マンションには何年住めるのか、気になる方も多いでしょう。この記事では、マンションの平均寿命や耐用年数などを解説します。
このほか、築古物件のメリット・デメリットや、マンションを購入するときのチェックポイントなども紹介しています。
マンションの寿命は何年?
国土交通省によると「鉄筋コンクリート造(RC造)の場合、建物の平均寿命は68年、構造上は100年以上の耐久性をもつ」と試算されています。
参照:国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介
言い換えれば、鉄筋コンクリート造(RC造)の場合、構造上は100年以上の耐久性があるものの、実際には68年ほどで取り壊される建物が多いということです。
マンションの建物だけ100年以上無事でも、住める状態でなければ、住宅としての意味がありません。配管や給湯器などの設備には、コンクリートのような耐久性がないため、建物が平均68年で取り壊されている理由には、設備面の限界が挙げられるでしょう。
マンションの耐用年数は何年?
マンションの耐用年数は、47年と定められています。耐用年数とはあくまでも、税法上の資産価値としての寿命です。
金融機関でローンを組むときは、耐用年数が建物の担保評価に直結します。そのため、耐用年数をマンションの寿命とする見方もありますが、税法上の資産価値と「住めるかどうか」という意味での寿命は異なります。
耐用年数が過ぎたマンションであっても、適切な修繕がされていれば住むことは可能です。マンションの寿命を考えるときは、耐用年数を念頭に置きつつ、建物の状態や修繕状況も加味して判断するとよいでしょう。
築古物件には何年住める?
マンションの寿命は「その物件が適切なメンテナンスを受けているか」に左右されるため、一概に断定できません。
国土交通省の資料では、「鉄筋コンクリート造(RC造)の場合、建物の平均寿命は68年、構造上は100年以上の耐久性をもつ」と報告されています。しかし、管理体制がずさんな物件では、平均寿命まで持ちこたえられないこともあるでしょう。
またその逆に、メンテナンスがきちんとされていれば、構造上の寿命近くまで住み続けられる可能性もあります。
耐震性が高いマンションは築何年?
日本は地震が多いため、建物を建設する際の耐震基準を設けています。耐震基準には「旧耐震基準」と「新耐震基準」があり、それぞれ定めている強度は以下の通りです。
施行時期 |
強度の基準 |
|
旧耐震基準 |
1981年6月以前 |
震度5強程度の地震で倒壊しない |
新耐震基準 |
1981年6月以降 |
震度6強~7程度の地震で倒壊しない |
2022年現在、1981年は41年前にあたります。すなわち、築40年の建物までは、新耐震基準で建設されたと考えられるでしょう。
しかしマンションの建設には、年単位の時間がかかることから、建設途中で新旧の切り替えが行われた可能性もあります。耐震基準については、管理者へ確認しておくと安心です。
築古物件は売却できる?
築古物件でも、売却できる可能性は十分あります。しかし、買い手をスムーズに見つけるため、以下のような付加価値が必要です。
・立地条件が良い
・大規模修繕済みである
・新耐震基準で建てられている
立地条件には「駅が近い」「治安が良い」「利便性が高い」などの要素が含まれており、生活しやすい環境であるほど重宝されます。
また、大規模修繕が行われている物件は「管理体制が整っていて住み続けやすい」と判断されるため、訴求力が上がります。
築年数別|中古マンション購入で確認しておきたいポイント!いつまで住める?
中古マンションを購入するとき、確認しておきたいポイントについて、築年数別に紹介します。
・築20年
・築30年
・築50年以上
それぞれの特徴を、把握しておきましょう。
築20年のマンションのポイント
築20年のマンションを購入するときに確認したい点は、水回りの設備や壁紙が、メンテナンスされているかということです。
キッチン・トイレ・お風呂などの水回りは、築10年ほどから傷みが酷くなりはじめます。そして築20年を超えると、パーツ交換などの修理をしなくてはいけない場合が多いです。
壁紙の張り替えも、築10年程度が目安といわれています。購入前にメンテナンスが行き届いているか、見ておきましょう。
築30年のマンションのポイント
築30年のマンションを購入するときに確認したい点は、配管の状態です。配管の寿命は、一般的に20~30年といわれています。
築30年のマンションは、金属製の配管を使用しているケースが多いため、メンテナンスをしないと、水漏れやサビによる赤水などが発生しやすくなるでしょう。
また、配管をコンクリートに埋め込んでいる物件も多いため、不具合が生じた際に交換が難しく、建て替えとなるケースもあります。配管の寿命や修繕状況は、事前に確認しておくとよいでしょう。
築50年以上のマンションのポイント
築50年のマンションを購入するときは、建物の耐震性に要注意です。新耐震基準が施行されたのは1981年6月。それ以前は、旧耐震基準を元にマンションを建てていました。
旧耐震基準では、震度6以上の地震が起こることを想定していません。そのため築50年以上のマンションは、現行の建物より耐震性に劣るのです。
旧耐震基準のマンションは、耐震性を高めるために補強工事をするよう、推奨されています。検討中の物件に補強工事がされているか、確認してみましょう。
築30年以上のマンションに住むことのメリットとは?
築30年以上のマンションに住むメリットを、4つ紹介します。
・リーズナブルな価格で購入できる
・立地条件の良い物件が多い
・大規模修繕している物件が多い
・管理状況を確認できる
どれも築古物件にしかない強みなので、見ていきましょう。
①リーズナブルな値段で購入することができる
マンションは築20年を超えると、急激に価格が下がります。築25年から下がり幅が緩やかになり、築30年を超えるとほぼ底値まで下がりきるでしょう。
改修状況などにもよりますが、築30年以上のマンションは、新築時の40%程度まで安くなる傾向があるといわれています。
希望エリアの中で、リーズナブルに物件を購入できるのは魅力的です。購入価格を抑えれば、その分リフォームに資金を充てられるメリットもあります。
②立地が良い物件が多い
築30年以上のマンションには、立地条件の良い物件が多いです。
分譲マンションが本格的に普及したのは、1960~70年代。その時代は、立地条件の良いエリアにどんどんマンションが建設されました。そのため好立地なエリアには、多くの築古物件が残っています。
立地条件の良し悪しは、売却時に重視されるため、資産性が高いという点においてもメリットといえるでしょう。
③大規模修繕している物件が多い
大規模修繕とは、マンションの共用部分や、防水対策の補修などをメインに行う修繕工事のことです。
マンションでは一般的に、12~15年に1回ほどのペースで大規模修繕が行われます。そのため、築30年以上の物件ならば、2回目の大規模修繕を終えている可能性が高いでしょう。
大規模修繕がスムーズに行われている物件は、修繕資金の用意がきちんとあり、管理体制が整っていると考えられるため、安心して暮らせます。
④管理状況を確認できる
築30年以上のマンションは、管理状況を確認しやすいです。適切なメンテナンスが施され、整理整頓されている物件であれば、大切に管理されているとわかります。
しかし逆に、修繕記録が残されておらず共用部分が荒れている物件は、ずさんな管理体制である可能性が高いでしょう。
マンションは、共用部分の修繕を自分で行えないため、管理の良し悪しが暮らしやすさに直結します。管理状況を確認しやすいことは、将来の安心につながる大きなメリットです。
築30年以上のマンションに住むことのデメリットとは?
築30年以上のマンションに住むデメリットを、4つ紹介します。
・住宅ローン控除が適用されない場合がある
・建物が老朽化している
・セキュリティが最新ではない
・修繕積立金が高い傾向がある
物件を選ぶときは、デメリットも把握したうえで検討することが大切です。
①住宅ローン控除が適用されない場合がある
「住宅ローン控除」は住宅ローンを組んだ際に、年末のローン残高の1%が、10年間にわたり控除される制度のことです。節税効果があるので助かる制度ですが、適用されるには、いくつかの要件を満たさなくてはいけません。
中古住宅でネックとなる条件は「築25年以内であるか、もしくは耐震基準適合証明書を取得していること」というもの。つまり、築25年以上のマンションを購入する場合は、耐震基準を満たしていると、書類で証明しなくてはいけないということです。
②建物が老朽化している
築30年以上のマンションは、建物や設備が新築に比べて古くなっています。
外壁の補修は、頻繁に行われるものではないため、見た目の古さが気になることもあるでしょう。水回りの設備が古く、不便を感じることもあるかもしれません。
また築古物件は、配管設備がモルタルやコンクリートに埋め込まれていたり、天井裏を通っていたりするケースも多いです。そのような場合は、配管の改修に高額な費用がかかる可能性もあります。
③セキュリティが最新ではない
セキュリティ設備の取り換えには、多額の費用がかかります。そのため築古物件は、性能が古い設備のまま、取り換えされていないケースも多いのです。
女性の1人暮らしや、小さな子どものいる家庭などは、不安を覚えることもあるでしょう。
セキュリティ設備が古いままになっている場合は、窓に補助錠をつけて二重ロックにしたり、玄関にセンサーライトをつけたりなど、工夫する必要があります。
④修繕積立金が高い傾向がある
修繕積立金は、大規模修繕などのために毎月積み立てられるお金です。
修繕積立金の徴収には、築年数が経過するごとに徴収額を増やす「段階増額積立方式」と、年数関係なく定額を払う「均等積立方式」があります。
修繕費は、築年数が経つほど高額になりやすいため、段階増額積立方式を採用しているマンションが多いです。段階増額積立方式で、築30年以上の月日が経てば、修繕積立金の徴収額は高くなります。
マンションを購入するときのチェックポイントとは?
ここでは、マンションを購入するときのチェックポイントを3つ紹介します。
・修繕計画や修繕履歴はあるか
・修繕積立金や管理費の金額は適正か
・周辺環境はどうか
築古、築浅物件ともに確認しておくと安心できるポイントです。それぞれ見ていきましょう。
①修繕計画や修繕履歴はあるか
マンションの建物や設備は、メンテナンスがきちんとされていなければ、早く傷んでしまいます。しかし、メンテナンスをするからといって、修繕費の急な追加徴収などがあると、住民が混乱してしまい大変です。
また、修繕履歴が残されていない物件は、管理体制が悪い恐れもあります。入居した後からトラブルに巻き込まれるのを防ぐため、修繕計画や修繕履歴は、必ず確認しておきましょう。
②修繕積立金や管理費の金額は適正か
修繕積立金と管理費の合計額は、2~3万円程度とされています。徴収額は、高すぎても安すぎても問題です。
毎月徴収されるので、相場より高額すぎると家計を圧迫してしまいます。逆に相場より安すぎると、資金不足で十分なメンテナンスを施せない危険性があるでしょう。
修繕積立金の金額は、マンションの入居者にしか伝えられない情報です。事前に知りたい場合は、売り主に直接訪ねるのではなく、仲介業者へ問い合わせを入れましょう
③周辺環境はどうか
マンションを購入するときは、周辺環境もチェックしましょう。「利便性が高いか」などの立地条件はもちろん、ハザードマップを確認して、災害リスクの低いエリアを選んでおくことも大切です。
海が近い物件ならば、塩害対策を行っているか見ておきましょう。また、周囲に高い建物がなく、雨風の影響を受けやすい物件では、外壁や屋上の防水対策が必要です。
「周辺環境とその影響に対してどう対策しているか」を確認しておくと、より安心できます。
自分のマンションは何年住めるのか把握しておこう
鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションは、構造上は100年以上の耐久性を持つと言われています。しかし実際には、平均68年ほどで取り壊されるケースが多いようです。
また、税法上の価値寿命である、法定耐用年数が47年であるため、その年数をマンションの寿命とする見方もあります。
しかしながら管理体制が悪く、メンテナンスの行き届いていないマンションは、平均寿命まで持ちこたえられない可能性が高いでしょう。
マンションを検討するときは、建物や設備の状態だけでなく、「修繕計画があるか」「修繕履歴がきちんと残されているか」なども確認したうえで、判断することをおすすめします。
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