「そろそろ家を購入したいな」と考えたときに、新築か中古を購入するのかは、悩むポイントのひとつではないでしょうか。中古住宅を購入してリノベーションをする場合、リノベーションにかかる費用はどれくらいかも気になるところです。
そこで今回は、リノベーションにかかる費用の相場や住宅ローンは使えるのかなど、気になるお金のことを解説します!理想の住まいを実現するために、ぜひチェックしてみてください。
リノベーションの費用相場とは?
では、リノベーションにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。一般的に、マンションをフルリノベーションする場合にかかる費用は、1㎡あたり10~15万円といわれています。平均的な3LDK 70㎡程度の物件なら、700~1,050万円くらいが目安ということになります。
<リノベーション費用の目安>
・2LDK 60㎡程度の物件:600~900万円くらい
・3LDK 70㎡程度の物件:700~1,050万円くらい
・4LDK 90㎡程度の物件:900~1,350万円くらい
ただ、リノベーションの規模や方法は案件によってまちまちです。そのため費用も一概にいくらというのが難しいものです。
キッチンやお風呂といった水回りの場所を移動したり、床や壁などに使う資材にこだわりがあるケースでは、広さが同じでも費用は高めになります。複数の業者に見積もりを依頼して、費用感をつかむようにしましょう。
リノベーションにかかる費用の内訳
リノベーションの工事にかかる費用を紹介しましたが、リノベーション時には、工事費用のほかにも諸経費や引っ越しに関わる費用などが必要になります。含めて予算を確保しておきましょう。
物件購入のときにかかる費用
中古物件を購入する場合は、物件そのものの購入費に加えて次のような諸費用が必要です。マンションの場合、物件価格の5~8%程度が諸費用の目安となりますので、予算に組み込んでおきましょう。
・登記費用:司法書士に支払う費用(5~15万円が相場)
・仲介手数料:物件価格の3% + 6万円が目安(上限)
・固定資産税:課税標準額×税率(標準は1.4%)
さらに、住宅ローンを利用するケースでは合わせて次のような諸費用もかかります。
・金融機関への融資事務手数料
・ローン保証料・団体信用生命保険料
・火災保険料
住宅ローン関係の諸費用は、利用する金融機関や借入額などによって変わってきますので、複数の金融機関でシミュレーションをしてかかる金額を比較することをおすすめします。
一例として、三菱UFJ銀行の住宅ローンの場合、次のような内訳になります。
「借入金額2,000万円・借入期間20年の場合」
・事務手数料:440,000円(借入金額の2.2%)
・ローン保証料:不要
・団体信用生命保険料:借入れ側の負担なし(保険加入は必要。銀行側負担)
【参考】三菱UFJ銀行 新規お借入れシミュレーション (2021年11月18日現在の情報)
火災保険料は保険会社や契約内容によって変わってきますので、ソニー損保の例を紹介します。
「ソニー損保 新ネット火災保険 築年数10年・所在地東京の場合」
・10年契約の保険料 49,994円
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リノベーション費用の内訳を徹底解説
実際にリノベーションにかかる費用ですが、内訳はどのようになっているのでしょうか。
リノベーションでは壁や床、キッチン、バスルームなどを新しくしますので、それらの資材に一番お金がかかると思っている人も多いでしょう。もちろん資材の占める割合は大きく、素材や設備にこだわるほどに費用は高くなります。しかしリノベーションにかかるお金はそれだけではありません。
一般的に、一番大きな割合を占めるのが施行する職人さんの人件費です。ひとくちに住宅の工事といっても、解体工事、電気設備工事、ガス設備工事、水回り工事、塗装工事、内装工事などに細かくわかれていて、それぞれに専門の職人さんがいます。施工の面積が広く日数がかかればそれだけ人件費もかさんでいきます。
そのほかにも、現場監督やデザインや設計にかかる費用も発生します。
引っ越しの費用は?
金額別のリノベーション施工例
◆500万円〜1000万円の場合 |
◆500万円以下の場合 |
|
施工費用 |
7,400,000円 |
5,000,000円 |
建物種別 |
一戸建て |
マンション |
間取り |
Before: 4LDK→ After: 3LDK |
Before: 3LDK→ After: 2LDK |
築年数 |
16年 |
40年 |
施工面積 |
42.44m² |
36.31m²(物件面積59.12m²) |
家族構成 |
大人2人+子供2人 |
大人2人+子供1人 |
採用した商品 |
キッチン システムキッチン(トクラス) サニタリー ユニットバス(トクラス) 洗面化粧台(LIXIL) トイレ(LIXIL) |
キッチンカウンター/収納 LOHAS studio(造作) ※キッチン設備は既存のまま |
リノベーションが終わって物件に引っ越すとなれば、引っ越し費用もかかってきます。どのくらいの費用がかかるのかは、移動の距離や荷物の多さ、元の住居や引っ越し先の階数などによって変わってきますので、複数の引っ越し業者から見積もりをとって検討するとよいでしょう。
元々住んでいた住宅をリノベーションするケースでは、リノベーション工事期間中は、家に住めない場合には仮住まいの家賃も発生します。
リノベーション物件に引っ越してからは、マンションの管理費や修繕積立金が毎月かかることも心得ておきましょう。
金額別のリノベーション施工事例をご紹介
リノベーションは工事の規模や施工箇所などによってかかる費用が変わってきます。予算内でどこまでのリノベーションが可能なのかは気になるところでしょう。
そこで、マンションの場合について、500万円以下、1,000万円以下の費用でどの程度のリノベーションが可能なのか、事例を紹介します。
500万円以下の場合
「施工費用:500万円・築年数40年」
M様邸のリフォームは ご購入された中古マンションの『RC造』という特性を全面に活かし コンクリートの風貌に温かみある自然素材が程よく融合したヴィンテージスタイルに完成しました。
むき出しのコンクリート天井とアイアンのダクトレール。 無垢ウォールナット材で造るムラ色がリズミカルなフローリング。 乱張りに造作したキッチンカウンター。 こっくりと白い漆喰の壁。
「リビングを広くしたい」のご要望には 大がかりな間取り変更はあえてせず 洋室1つをLDに組み込んで実現しました。 LDKは天井を上げて 縦空間を広げたことで ひとまわり大きな空間に生まれ変わっています。
【引用】https://www.okuta.com/renovation/cost.html
500万円〜1000万円の場合
「施工費用:7,400,000円」
ご家族が集うLDKは 隣接する和室を組み込んで面積を広げ 4人家族がゆったりと過ごせる大きな空間を造作しています。
キッチンは設備の配置を少し移動して リビングを眺める 対面タイプに変更しました。
シンクと対面する場所には お子さまの「スタディコーナー」 にも使えるキッチンカウンターを新設することに。これまで背中を向けて作業していたキッチンが 家族とコミュニケーションを愉しめる賑やかな場所に変わりました。
【引用】https://www.okuta.com/renovation/cost.html
リノベーションするなら「築年数」が重要!
中古マンションを購入してリノベーションすることを考えるときには、物件の築年数に注意しましょう。
築年数の古いマンションは物件価格が安いというメリットがありますが、共通の設備の老朽化は否めません。専有部分はリノベーションで快適な空間を作ることができますが、マンション自体の構造は変えることができないことは理解しておく必要があります。
耐震を例にとると、1981年に新耐震基準が定められ、基準が強化されました。それ以前の物件は旧耐震基準により建てられたものになっています。
また、物件の築年数は住宅ローンに影響することが考えられます。中古住宅を購入する際の住宅ローンについて、物件の築年数に制限を設けている金融機関がありますので、事前の確認が必要でしょう。
さらに、住宅ローン控除の適用にも築年数がかかわってきます。建築から取得までが20年以内(鉄筋コンクリート造などの耐火建築物は25年以内)に該当しない場合は住宅ローン控除が受けられないので注意しましょう(既定の築年数を超える住宅であっても、取得日前2年以内に耐震基準が証明されている場合は対象となります)。
参考:国税庁「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
リノベーションで住宅ローンを使う方法とは
リノベーション費用のために借り入れができるローンとしては、「住宅ローン」と「リフォームローン」があります。リフォームローンは、リフォームやリノベーション向けのローンですので、リノベーションにはこちらを使うべきと考えるかもしれませんが、住宅ローンも利用することができます。住宅ローンを利用すれば、税金がお得になる住宅ローン控除の適用を受けることもできますので、条件が合えばぜひ利用することを検討しましょう。
住宅購入時にリノベーションをする
まずは、中古住宅を購入すると同時にリノベーションを行うケースです。この場合は、物件の価格とリノベーションの費用を合わせて住宅ローンを組むことが可能です。
この場合に注意したいことが2つあります。ひとつめはリノベーション費用の概算見積もりについてです。住宅ローンにリノベーション費用を合わせて借り入れる場合には、事前審査時にリノベーション費用の概算見積もりを提出することが求められます。物件を決定してからリノベーション業者を選定していては間に合わなくなってしまいますから、物件探しと並行してリノベーション業者の検討も行い、業者と相談しながら物件の決定~住宅ローンの審査を進めるのがよいでしょう。
もうひとつは、物件の担保についてです。住宅ローンの借り入れをする際には、審査基準のひとつに物件の担保評価があります。金融機関が融資を行う際には、万一ローンの支払ができなくなった場合に備えて物件を担保とします。物件に融資価格に見合った価値があるかどうかの評価が担保評価なのですが、築年数が古くなるほど評価が下がり、希望する額の融資が受けられない可能性もでてきますので注意が必要です。
持ち物件をリノベーションする
持ち物件をリノベーションする場合は、住宅ローンが残っているか完済しているかで使えるローンが変わってきます。
ローンが残っている場合なら、住宅ローンの残額にリノベーション費用を加えた金額で、新たな金融機関でローンを借り換えすることで、リノベーション費用を含めて住宅ローンを利用することができます。
このとき注意したいのは、住宅ローンをそのまま残してリフォームローンを組む場合と比較して、お得になるかどうかを判断するということです。住宅ローンよりもリフォームローンのほうが金利が高いので、多くの場合借り換えをしたほうがお得になりますが、念のためシミュレーションをしてから最終決定をしましょう。
すでに住宅ローンを完済している場合、リノベーション費用に住宅ローンを利用することはできず、ローンを組むならリフォームローンを利用することになります。
住宅ローンなどを上手に活用して、リノベーションを
住宅を購入するときの選択肢に、中古マンションを買ってリノベーションすることを選択肢に入れて検討する人が増えてきています。リノベーションは、間取りや設備を自分好みにできるところが、すべて出来上がった新築マンションを購入するのとはまた違った魅力といえるでしょう。
リノベーション費用は1㎡あたり10~15万円が相場といわれます。平均的な3LDK 70㎡程度の物件なら700~1,050万円くらいが目安になりますが、手を入れる場所や使う資材によってかかる費用は大きく変わってきます。また、リノベーション費用のほかにも、「登記費用」「仲介手数料」「固定資産税」といった物件購入時の諸費用や、「融資事務手数料」「団体信用生命保険料」のような住宅ローンに関わる諸費用、さらには引っ越しの費用もかかりますので、予算に組み込んで考えましょう。
リノベーション費用は住宅購入費用と合わせて住宅ローンを利用することもできます。築年数などの条件が合えば税金面の優遇も受けられますので、上手に活用して理想の住まいを手に入れましょう。