物件を選ぶ際、参考にする値に「築年数」があります。築年数は、物件の状態を判断するのに重要な指標の一つです。比較的新しい物件を選ぶ人が多いですが、実は古い物件にもメリットがあるのをご存知でしょうか。
今回は、築年数を中心に物件をご紹介します。築浅・築古物件のそれぞれのメリット・デメリットや、築年数別の気になるポイントなどもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
築年数とは?
築年数とは、建物が完成してからの経過年数を表す数字です。同じ築年数でも、建物の構造やメンテナンスによって建物の状態は変わります。そのため、必ずしも築年数だけで判断することはできないのですが、一般的な状態を判断するのに大切な指標です。築年数を表す言葉として、新築・築浅・築古があります。
「築浅」は、築5年以内の建物のことを指します。中には、3年以内や10年以内を築浅と指すこともあり、明確な定義はありません。
「築古」は、築30年以上経つ物件です。築古に関しても、明確な定義はないため築10年・20年・30年を築古と表すこともあります。
また、よく聞く「新築」の物件ですが、築浅とは定義が異なります。新築は、築1年未満かつ未使用未入居の物件です。
築浅物件のメリットとデメリットとは?
比較的選ばれることの多い築浅物件ですが、築浅物件にも入居する上でさまざまな注意点があります。ここでは、築浅物件のメリットとデメリットをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
築浅物件のメリット
築浅物件のメリットを2つご紹介します。
一つ目は、最新設備が備わっていて、物件もきれいで新しい点です。築浅物件には、物件が完成した当時の最新設備が備わっています。たとえば、浴室乾燥機や床暖房など、築古物件にはない設備があり、生活する上でとても便利です。また、最新設備であればあるほど、省エネが標準装備なので経済的です。
また、築浅物件は、建物が経ってから月日が経っていないため、築古物件に比べると内装も外装も新しく綺麗です。毎日過ごす場所なので、物件がきれいな状態かどうかは、重視する人も多いポイントになります。
二つ目は、近隣住民と人間関係を築きやすい点です。築古物件だと、既に人間関係が出来上がっている中に新参者として入るため、なかなか馴染むのに時間がかかってしまいます。その点築浅物件は、築古物件と比べると居住者が同時期に入居しているため、他の住人と人間関係を構築しやすいです。
築浅物件のデメリット
築浅物件のデメリットも2つご紹介します。
一つ目は、価格が高い点です。築浅物件は需要が高く、最新設備も備わっているため、同じ条件でも築古物件より割高になります。物件の価格が落ちるのは築20年が経過してからなので、それまでの物件の価格は据え置きのことが多いです。
二つ目は、人があまり住んでいないため、物件探しの際の参考情報が少ない点です。たとえば、周辺環境や建物の基礎部分などについては、前の住人の意見を参考にすることができません。住み始めてからのリスクを回避するなら、ある程度築年数が経った建物のほうがおすすめです。
築古物件のメリットとデメリットとは?
築古物件は、選ばれることが少ないように思われがちですが、実はメリットも存在します。ここでは、築古物件のメリットとデメリットをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
築古物件のメリット
築古物件のメリットを2つご紹介します。
一つ目は、価格が安い点です。築年数が経っていると、建物や設備の古さなどから需要が少なく、価格が安くなります。家に関する支払いは毎月かかる固定費ですので、少しでも安く抑えたい人にはおすすめです。
二つ目は、立地の条件が良い場合もある点です。長くその土地に建って、人が入居しているのは、何かしらのメリットがあるということ。築古物件かつ、そこまで価格が落ちていない場合は、周辺の環境が良いことが多いです。今までの住人の意見も参考にできるため、住む上でのリスク回避もできます。
築古物件のデメリット
築古物件のデメリットも2つご紹介します。
一つ目は、住みにくい間取りの可能性がある点です。2000年代から流行し始めたLDKの間取りですが、それ以前の1990年代はDKの間取りが主流でした。間取りを気にする人は、築古物件を選ぶ際は間取りや生活動線を確認したほうがよいです。
二つ目は、建物や設備が古い点です。築古物件には、最新の設備は備わっていません。また、建物が建ってから時間が経過しているため、建物の外装や内装が劣化しています。給排水設備も劣化している可能性があるため、住む前に各所を点検しなければなりません。
また、耐震や防火についても、現在の国や自治体の基準に達しているのか、住む前に確認する必要があります。基準を満たしていない物件は、災害が起きた際にとても危険です。
築浅・築古物件はどんな人におすすめ?
ここまで築浅・築古物件それぞれのメリット・デメリットをご紹介しました。では、それぞれの物件はどのような人におすすめなのでしょうか。ここでは、築浅・築古がおすすめの人の特徴をそれぞれご紹介します。自分がどちらに当てはまるか、ぜひチェックしてみてください。
築浅がおすすめの人の特徴
築浅物件がおすすめの人の特徴は以下になります。
・きれいな物件に住みたい人
・設備が新しい物件に住みたい人
多少の費用はかけてでも、きれいで最新設備が備わっている物件を選びたい人には、築浅物件がおすすめです。物件を選ぶ際、新築や築年数を10年以内など選択して選ぶとよいでしょう。
築古がおすすめの人の特徴
築古物件がおすすめの人の特徴は以下になります。
・価格を抑えたい人
・周辺環境など今までの住人の意見を参考にしたい人
物件や設備が古くても、少しでも価格を抑えたい人には築古物件がおすすめです。また、以前の住人から、防犯面や建物の状態、生活圏内の住みやすさなどを参考にしたい場合も、築古物件を選ぶとよいでしょう。
マンションやアパートは築何年が寿命?
建物には寿命があるのをご存知でしょうか。実は、マンションやアパートといった部類だけではなく、材質や構造によっても建物の寿命は異なります。ここでは、マンション、アパートそれぞれの寿命をご紹介します。
マンションの場合
≪耐用年数≫
木造・合成樹脂造 |
22年 |
木骨モルタル造 |
20年 |
れんが・石造 |
38年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 |
47年 |
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表)」
上記は、耐用年数ですので、書類上の資産価値の寿命ということになります。マンション自体の寿命は、メンテナンスや環境によってかなり異なります。マンションの平均寿命は、68年といわれています。(参考:国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介」)しっかりとメンテナンスを行えば100年以上持つこともあり、中には150年経っても住めるマンションもあるため、寿命は建物の状態によってそれぞれです。
アパートの場合
≪耐用年数≫
鉄骨造 |
骨格材の厚み3㎜以下 |
19年 |
鉄骨造 |
骨格材の厚み3㎜~4㎜以下 |
27年 |
鉄骨造 |
骨格材の厚み4㎜以上 |
34年 |
鉄筋コンクリート造 |
|
47年 |
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
アパートの場合も、書類上の資産価値の寿命になりますが、それ以上住むことも可能です。マンションに比べるとやや劣化が早まるため、上記の年以上に経年しているアパートは選ばないほうが安全でしょう。
築年数が古い物件の設備で気になるポイント
築古物件はメリットもたくさんあるため、築古物件に住みたい人もいるのではないでしょうか。ただ、築古物件を事前に確認する際、どのポイントを注視すべきか知らない人もいると思います。ここでは、築古物件の設備に絞って気になるポイントをご紹介します。
①給排水設備や給湯器
②外装
③セキュリティ面
①給排水設備や給湯器
築古物件の場合、マンションの外壁や内装はきれいに見えても、見えない部分は劣化していることがあります。特に、給排水設備や給湯器は、年数とともに確実に劣化しているため、事前の確認が必要です。内見のときには見えないポイントですので、不動産の担当者などにしっかり確認をして、点検が必要なのか聞いておきましょう。
②外装
築古でも、マンションの内装はリノベーション工事などできれいにできます。しかし、外装は雨風にさらされるため、劣化を隠すことは難しいです。大規模修繕があっても、やはり築浅物件と比べると劣っていまいます。毎日住む家ですので、気になる場合は、内見の際に外装も確認をするとよいでしょう。
③セキュリティ面
築古物件は、オートロックなどの防犯面が十分でない場合があります。女性や子どもなどが住む場合、セキュリティ面は重視するべきポイントの一つです。そのため、内見では、事前に共有・専有部分それぞれの玄関のオートロックや非常階段などの防犯面にも、目を向けてチェックをしておくようにしましょう。
築年数で見たときの気になるポイント
建物は、築年数ごとで建物の状態や気を付けるべきポイントが変わってきます。ここでは、築年数ごとで見た物件の気になるポイントを5つに分けてご紹介します。
・築10年の物件ポイント
・築20年の物件ポイント
・築30年の物件ポイント
・築40年の物件ポイント
・築50年以上の物件ポイント
築10年の物件ポイント
築10年の建物は築浅に該当します。築10年の物件の気になるポイントは、設備の交換期が重なるという点です。エアコン・ガス給湯器・壁・クロスなどは、使用期間が10年のことが多く、住み始めてから一気に設備を交換しなければならない場合があります。
また、大規模修繕がまだ行われていないことが多く、住み始めてから基礎の部分に問題が発覚する場合もあります。築10年という築浅物件でも気にするべきポイントはあるため、しっかりチェックしてから住むようにしましょう。
築20年の物件ポイント
築20年の物件は、2回目の大規模修繕に向けて積立金を集めている段階です。そのため、管理費が上がるタイミングになります。管理費も毎月の固定費なので、値上げはかなり痛い出費です。住み始めてから管理費が上がることもあるため、過去に管理費が上がったタイミングや、次回の大規模修繕の予定について確認しておくとよいでしょう。
築30年の物件ポイント
築30年になると、築古物件に該当してきます。築30年の物件で一番気を付けるべきポイントは、住宅ローンの控除が受けられない可能性がある点です。住宅ローン控除は、基本的に築25年以下の建物が対象になります。
ただ、リフォームやリノベーション物件で基準をクリアし、「耐震基準適合証明書」を取得していれば、住宅ローン控除を受けることができます。最大10年(13年の特例もあり)の控除ができる制度ですので、ぜひ対象物件かどうか事前に確認してください。
築40年の物件ポイント
築40年になると、築古物件に該当してきます。建物自体や設備のメンテナンスに、かなりの費用を費やさなければなりません。そのため、管理費の値上げや、急な修理での出費が発生することも。大規模修繕も行われるため、急な出費に備えましょう。
築50年以上の物件ポイント
築50年になると、一番注意すべきことは耐震面です。建築基準法が改定され、1981年6月1日から新耐震基準が施行されたのですが、築50年の物件は、この改定以前に建てられた建物になります。日本は、災害大国です。もしもに備えるためにも、現在の耐震基準はクリアしている物件を選ぶことをおすすめします。築50年でも、リフォームやリノベーションをして、新たな耐震基準に合わせる補強工事をしている物件もあります。
築年数が経ってる物件でも住宅ローンは使える?
物件を購入する際に利用する住宅ローンですが、築古物件でも使用はできます。ただし、借入れる金融機関によって条件はさまざまです。築古物件の場合は、特に以下のような項目に条件があります。
・収入
・就業状態
・他からの借り入れ状況
築古物件は、新築物件に比べると物件の評価額が下がるため、借入金額が少なくなるケースがあります。住宅ローンを使用して築古物件を購入する際には、各金融機関の条件をしっかり確認してから購入するようにしましょう。
また、マンションと戸建で条件が異なることも。中古マンションは築年数の制限がなくても、中古戸建の場合は築〇年以下と条件がついている金融機関もあります。中古の戸建の購入を検討している場合は注意しましょう。
物件購入は築何年がおすすめ?
物件を購入する際、おすすめは築20~30年の物件です。その理由は以下の3点になります。
・資産価値が下がっていない
・耐震もクリア
・設備も比較的新しい
一つ目は、資産価値が下がっていない点です。物件の価格は、築20年以降から下がり始めるため、手が出し易い価格になっています。ただ、まだ20~30年であれば建物自体の資産価値は下がっていません。将来、物件を売却するときのことを考えると、あまり古すぎる建物は売却価格が安くなってしまいます。築20~30年であれば、売却も視野に入れて購入できておすすめです。
二つ目は、耐震基準もクリアしている点です。築20~30年であれば、現在の国の耐震基準をクリアしています。日本は災害大国なので、いつ地震が起きてもおかしくはありません。安心して暮らせるよう、こういった基準もクリアしている物件をしっかり選ぶとよいでしょう。
三つ目は、設備も比較的新しい点です。築20~30年であれば、床暖房やオートロックなどの設備は整っている物件が多いです。中には、浴室乾燥機がついている物件もあります。最新設備ではありませんが、十分生活しやすい設備が整っています。最新設備にこだわっている人以外には、おすすめ物件です。
築年数の特徴を理解して物件探しをしよう
今回は、築年数にフォーカスして物件をご紹介しました。
建物が経ってからの年数を表す「築年数」ですが、築浅・築古という言葉のくくりもあります。それぞれの言葉に明確な定義はありませんが、築年数や築浅・築古といった項目は、物件を選ぶ際の重要な指標の一つです。築浅・築古にはそれぞれメリットやデメリットもあるため、自分の生活やスタイルに合った物件を選ぶようにしましょう。
また、マンションやアパートには耐用年数や寿命があります。ただ、メンテナンスの状態や構造によって、耐用年数や寿命はかなり変わってきます。
築年数ごとの確認すべきポイントもありますので、選んだ物件がどれくらいの築年数なのか確認をしておくようにしましょう。購入の際は、住宅ローンも使えますが、築年数によって金融機関の条件も異なることがあります。
築年数によって建物の状態はさまざまです。築古でも住みやすいと感じられるポイントはたくさんあります。今回ご紹介したポイントを参考にぜひ物件を探してみてください。
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