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旧耐震基準と新耐震基準の違い|いつまでが旧耐震?築年数は関係ない?確認方法をご紹介

2022.03.22
2022.12.16
住宅模型を手に持つ女性の画像

建物がどれだけの揺れに耐えられるのか、能力を定めるものを「耐震基準」と言います。

 

1950年に制定されたものが「旧耐震基準」、1981年に制定されたものが「新耐震基準」です。二つの基準は震度5程度の地震が起きたとき、建物の損傷にどの程度の差があるのでしょうか。

 

今回は「旧耐震基準」と「新耐震基準」の違いや特徴などを過去の地震事例と比較しながらお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

旧耐震基準と新耐震基準の違いとは?

(ひび割れた道路の上に家の模型の画像)

 

地震に耐える建物の構造基準を「耐震基準」と言い、大規模な地震があるたびに何度も見直されています。

 

「旧耐震基準」は、震度5程度の地震に対して建物が崩壊・倒壊しないという基準で、大規模な地震は想定されていませんでした。

しかし、震度5程度の地震が年に数回起きることも珍しくありません。旧耐震基準の場合、建物が倒壊しなくても損傷を受ける可能性があるのです。

 

一方の「新耐震基準」は、震度6~7程度の地震に対して建物が崩壊・倒壊しないものの、多少損傷を受ける可能性があるという基準です。新耐震基準では、震度5程度の地震に対して損傷を受けないことが条件となっていて、大地震に対しての基準が定められたことはとても重要だといえます。



いつまでが旧耐震?築年数は関係ない?

(ひびが入った家の壁の画像)

 

物件を購入する際に、旧耐震か新耐震かについての記載が見当たらない場合、築年数をもとに判断する方も多いのではないでしょうか。

しかし、築年数だけで物件の良し悪しを決めるのは適切ではありません。

 

というのも、建物が完成するまでに長ければ数年以上かかることもあります。築40年前後であれば、どちらの耐震基準で建てられたのか確認しておいた方がいいでしょう。

 

また、旧耐震のときに建てられていても、耐震基準を満たすために耐震補強工事が施されている場合もあります。耐震基準は築年数だけで判断できないのです。




旧耐震基準は建築確認日が1981年5月31日まで

旧耐震基準は1950年から1981年5月までの約30年にわたって運用されてきました。

1981年5月31日までの建築確認において適用されていた基準のことを旧耐震基準と呼び、大規模な地震には耐えられない可能性が高いです。

 

しかし、近年の地震の大きさを考えると旧耐震基準では不安が残ります。

旧耐震基準にかろうじて適合している物件もあり、震度5強の揺れであっても倒壊するリスクが高いといえるのです。

 

また、建築確認日というのも注意すべき点です。建物が完成した年月日ではなく、着工する前に建築基準法に適合するか審査され、内容が確認された日のことを建築確認日といいます。建物が完成した年月日を示す「竣工日」と間違えやすいので注意が必要ですね。



新耐震基準は建築確認日が1981年6月1日以降

1981年6月1日に建築基準法が改正されたため、1981年6月1日以降に建築確認がされた建物であれば新耐震基準を満たしていることになります。

 

しかし、先ほどと同様に竣工日が1981年6月1日以降でも建築確認日がそれ以前であれば新耐震基準を満たさない可能性が高いのです。

 

「建築確認が1981年だから安心」「1981年6月以降が竣工日」という理由で、新耐震基準を満たしていると安心してしまう人も多いのではないでしょうか。

 

勘違いが原因で後悔しないためにも、建築確認日がいつなのかをしっかりと確認しておくことが重要でしょう。

 

「建築確認日」はどこで確認すればいい?

(書類を持って男性二人が話している画像)

建物の着工前に建築確認申請を行う必要があり、申請は施工会社が代行するのが一般的です。

 

その際に「確認済証」が発行されるため、保管していれば確認することができます。万が一紛失してしまった場合、再発行はできませんが建築確認日を知る方法はあるので安心してください。

 

<建築確認日を確認する方法>

・建築計画概要書

・台帳記載事項証明書

・建築確認台帳

 

「建築計画概要書」と「台帳記載事項証明書」はどちらも役所で取得できます。

建築計画概要書に確認日が記載されていることがほとんどなので、まずは建築計画概要書を取得するといいでしょう。

 

もし記載されていない場合、「台帳記載事項証明書」を取得します。

役所によって「建築確認台帳の証明」など名称が異なるため注意が必要です。

 

そして、この確認証や建築確認の履歴を記載した台帳を「建築確認台帳」といいます。

証明書が発行されない場合は建築確認台帳を閲覧することで建築確認日を知ることが可能です。閲覧する場合は、登記簿謄本に記載されている建物の新築年月日を確認しましょう。

 

ご紹介した3つの方法は役所で確認できるので、手元にない場合は役所に聞いてみると確認できますよ。

 

新耐震基準の住宅のメリットとは?

(家の模型を守る男性の手の画像)

地震が多い日本では、大地震が起きる可能性も非常に高いです。

新耐震基準の建物が多くなることで少しでも被害を抑えることができます。

 

また、安心できるだけでなく税制上のメリットもあるので、ぜひ参考にしてみてください。

 

<新耐震基準の税制上のメリット>

・住宅控除を受けられる

・フラット35が適用される



住宅控除を受けられる

新耐震基準の建物であれば、ローン残高の1%を所得税もしくは住民税から約10年間控除される「住宅ローン減税」という制度を受けることができます。

以前は木造など非耐火住宅で築20円以内、マンションなどの耐火住宅では築25年以内が減税を受けられる条件でした。

 

しかし、税制改正によって「耐震基準適合証明書」があれば住宅ローン減税が受けられるようになったのです。仮に築40年以上の旧耐震基準であっても、耐震補強を行うことで新耐震基準を満たしていれば住宅ローン減税の対象となります。



フラット35が適用される

フラット35は固定金利であることが魅力であり、計画的に返済することができます。

最初の5年~10年間は金利が引き下げられるなど数多くのメリットがありますが、旧耐震基準の場合フラット35は適用されません。

 

建築確認日が1981年6月1日以降であることが基準ですが、もし建築確認日が不明な場合は新築された時期が1983年4月1日以降のものが適用となります。

 

ですが、時期が満たない場合でも建物の耐震評価基準が適合していればフラット35が適用されることもあるため、自分の家の耐震評価を確認しておきましょう。

いずれにしても新耐震基準であれば安心ですね。



旧耐震基準のマンションの割合はどのくらい?

(マンションの画像)

国土交通省は、2018年時点で約645.7万戸の分譲マンションストック数のうち、旧耐震基準で建てられたマンションは約104万戸であることから、旧耐震基準のマンションの比率は約16%だと公表しています。

 

2013年時点で旧耐震基準のマンションの比率は18%で、5年間でかなり減っていることがわかりますね。2025年には戸建てを含む旧耐震基準の建物はほとんどなくなると言われており、マンション耐震化マニュアルなどを作成によって耐震化を促進しています。



過去の地震による被害の旧新の差

(建物が倒れている画像)

 

旧耐震基準と新耐震基準では、建物被害の差がどれだけあるのか、過去の地震から比較してみたいと思います。まずは1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災の建物の被害状況です。

 

阪神淡路大震災

大破以上

中・小破

軽微な被害・無被害

新耐震基準

約8%

約16%

約75%

旧耐震基準

約29%

約37%

約34%

 

阪神淡路大震災では震度7を観測し、旧耐震基準では大きな被害を受けやすいといえるでしょう。

 

新耐震基準であれば旧耐震基準と比べて大破以上の建物の被害を3~4分の1に抑えられており、新耐震基準の方が地震に強いといえますね。

 

続いては熊本地震の被害状況を確認していきましょう。熊本地震は2016年4月14日に熊本県と大分県で相次いで発生した地震です。



熊本地震

大破以上

中・小破

軽微な被害・無被害

新耐震基準

約15%

約54%

約31%

旧耐耐震基準

約46%

約49%

約5%

 

熊本地震では震度7の地震が立て続けに2回発生していて、新耐震基準であっても約15%の建物が大破しています。

 

しかし、大破以上の被害を受けた建物の割合は旧耐震基準の約3分の1程度に抑えられており、大規模な地震において新耐震基準の方が被害を抑えられているといえるでしょう。

 

結果、旧耐震基準よりも新耐震基準の建物の方が強いことがわかりますね。





旧耐震基準の物件を選ぶなら!確認すべき3つのポイント

(虫眼鏡にチェックの文字の画像)

 

新耐震基準の建物と比べると、旧耐震基準の建物は強度にも不安を感じます。

ですが、立地条件が良く低価格であることや、自分のライフスタイルに合った条件が整っていれば旧耐震基準であっても魅力を感じるのではないでしょうか。

 

そこで、旧耐震物件を選ぶ際の確認すべきポイントについてご紹介していきます。

 

<旧耐震基準の物件を選ぶ際の確認すべきポイント>

・健耐震診断を受ける

・壁式構造の物件を選ぶ

・地盤がしっかりしている場所を選ぶ

 

健耐震診断を受ける

建物がどの程度の地震に耐えられるのか、数字で表した診断方法です。

耐震診断には簡易検査、一般診断、精密診断の3つの方法があり、簡易検査は自分で耐震性を確認するためチェックシートなどを用いて行います。

 

一般診断では建物を傷つけずに耐震補強が必要か専門科が判断するため費用は約10万円ほどかかるでしょう。精密診断では専門科が壁などを壊して詳細に診断するため費用は約20万ほどかかります。

 

健耐震診断を行うことは不安を解消するだけでなく、補強が必要であればしっかりと対応することができるので安心した生活を手に入れるためにもぜひ検討してみてくださいね。

 

壁式構造の物件を選ぶ

旧耐震基準の物件を選ぶ際は、壁式構造が採用されているか確認しておきましょう。

4階建て以下の低層マンションや、築年数の古い建物に多く使われていて、重心が低く揺れに対して壁で建物を支える頑丈な造りになっています。

 

旧耐震基準であっても非常に高い耐震強度を保っているため、十分安心材料になるのではないでしょうか。

 

地盤がしっかりしている場所を選ぶ

新耐震基準であっても必ず安心と言えるわけではなく、物件を選ぶ際は地盤がしっかりしているかがとても重要です。

 

水分を多く含んだ地盤では、地震の揺れが加わることによって地中の水分が地表に噴き出す液状化現象が発生します。液状化現象は川や沼を埋め立てた地で起こりやすいと言われていて、地面が大きく傾くことで建物が倒壊する危険性も高まるでしょう。

 

液状化リスクはハザードマップで確認できるため、物件選びの際は希望のエリアをチェックしておくことをおすすめします。

 

旧耐震基準物件にかかる費用とは?

(お金を持った女性の画像)

 

旧耐震物件で耐震補強工事が必要な場合、工事費用がかかります。

耐震補強工事の相場は100~200万円と言われていて、築年数が長くなるほど工事費用も高くなる傾向にあるため物件を購入する際は健耐震診断を受けておく方がいいでしょう。

 

部分的に耐震補強工事を行うことも可能なので、どの程度の補強が必要なのか知っておくと安心です。

 

エレベーター工事費用は1台800万円

旧耐震基準の建物に備わっているエレベーターは、安全性が確保されておらず既存不適格となっている可能性があります。

エレベーターの耐震基準についてもこれまで何度も見直しが繰り返されてきていて、場合によってはリニューアル工事が必要となることも。

 

また、新耐震基準のエレベーターを備え付ける場合、1台あたり800万円ほどの費用がかかると言われています。

 

マンションの場合、旧耐震基準で修繕箇所が多くなると修繕積立金も高額となる可能性があるため気を付けたいですね。

 

投資する場合は「耐震基準適合証明書」取得費用

不動産投資をする際、融資を受けるために「耐震基準適合証明書」の取得が必要となる場合があります。

耐震基準適合証明書は専門科に依頼するのですが、証明書の取得にかかる費用は1通当たり約5万円ほどかかるでしょう。

 

他にも、専門科に依頼する際に一定の書類が必要となることや、取得に最低1ヵ月ほどかかることも。

 

また、耐震基準を満たすために補強工事が必要になればさらに費用がかさみます。投資するのであれば、旧耐震基準の物件は選ばない方が良いでしょう。



保険加入料もかかる

物件を購入する際、地震や火災に備えて保険に加入するのが一般的です。

しかし、旧耐震基準の物件の場合、保険料が割高になるため注意が必要になります。

 

新耐震基準の建物と同じ金額で保険に加入するのであれば、先ほどご紹介した耐震基準適合証明書の提出が必要になったり、補強工事を行って新耐震基準の建物と同等の耐震性が確保されていることを証明したりしなければなりません。

 

となると、工事費用や証明書の取得に費用がかかるため、新耐震基準の物件に比べてお金がかかってしまう可能性が高いといえます。

 

耐震基準を見極めて安全に暮らそう

新耐震基準だからといって、必ずしも安心とは言い切れません。新耐震順であっても地震の規模や揺れ方によって建物に損傷を受ける可能性も十分にあるのです。

 

しかし、過去の地震から見ても新耐震基準の方が被害は少なく、旧耐震基準と比べても安心できるといえます。建物だけでなく命を守る確率を高めるためにも、新耐震基準について話し合ってみることも大切なことではないでしょうか。

 

そのうえで旧耐震基準の物件を選ぶ際は、旧耐震基準のデメリットや対策も踏まえた上で検討してみてくださいね。

不動産情報メディアの記事管理、編集を行う。 記事は不動産売買から家具やインテリアなど住環境に関する内容まで網羅。

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