近年の分譲マンションではペット飼育OKな物件があたりまえとなりつつあります。
ペット可のマンションでも騒音トラブルが起きうることはご存知でしょうか。
ペット可マンションの防音事情やトラブルの要因、防音性に優れた物件の見分け方と、近隣にうるさいといわれないための騒音対策について分かりやすくご説明します。
ペット可マンションは防音されているとは限らない
ペット可のマンションであれば防音対策がされているイメージがありますが、とくに法律上の決まりはありません。
マンションであればSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)かRC造(鉄筋コンクリート造)であるため、木造のアパートなどと比べるとはるかに遮音性は高いといえます。
しかし「遮音性が高い=防音されている」とは限らないのです。
ペット可マンション3つの苦情例
実際のペット可マンションにおける苦情例は、主に
・吠え声、鳴き声
・ひっかき音
・足音
の3つのパターンに分けられました。
犬の場合は吠え声が問題となるケースが多くみられます。特に早朝や深夜など、一般的な就寝時間に吠える声がうるさいとのトラブルが多いようです。
飼い主のいない時間に吠えるため、管理会社を通じて伝えても改善しなかった、という例もあります。
猫であれば、鳴き声がトラブルになるケースは犬と比べれば少ないのですが、発情期の鳴き声がうるさいというクレームがみられました。
また、壁や床をひっかく音が問題になる場合もあります。音自体は大きくなくとも、延々とひっかく音が続いて気になってしまうという例です。
足音に関しては犬猫どちらの場合もあり、ボールなどのおもちゃを使った室内遊びでドタバタとした音が響いてしまうようです。
どちらかというと犬を飼っている世帯の多いマンションで、騒音がトラブルの原因となるケースが多くみられます。
ペット可の物件で騒音問題が起きる要因とは?
なぜペット可のマンションであるにもかかわらず、騒音が問題となってしまうのでしょうか。
原因には大きくわけて次の2点があります。
・マンションの防音性が低い
・建てられた当初はペット可ではなかった
それぞれ詳しくご説明します。
防音性が低いマンションだった
先に述べたとおり、ペット可=防音されているわけではありません。
生活音やペットの鳴き声が近隣に伝わるかはマンションの構造に左右されます。
物件のつくりによっては鳴き声は聞こえずとも足音が伝わってしまったり、室内なら問題がないのに廊下などの共用部分での音が近隣に響いてしまうこともあります。
遮音性と密閉性が高いマンションであれば、ペットの可否にかかわらず、生活音はもれません。
建てられた時はペット可物件ではなかった
建てられた当時はペット可ではなかったのに、なんらかの理由でペット可に変更された物件も存在します。
とくにトラブルとなりやすいのは、なかなか入居者が決まらないため条件を緩和したという物件の場合です。
「ペット相談可」の表記となっていることが多いこのケースでは、防音性は期待できないうえ、近隣の入居者が動物を飼っていない世帯であると理解を得づらいためです。
防音性が高い物件の構造は「SRC造」
具体的にどういった構造のマンションであれば防音性が高いといえるのでしょうか。
建物の構造には
・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
・RC造(鉄筋コンクリート造)
・S造(鉄骨造)
・W造(木造)
という4種類があります。
マンションならばほとんどがSRC造かRC造です。
高層ビルやタワーマンションなどの大規模建築物にもちいられるSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)が建物構造のなかで最も丈夫で気密性も高いため、音も通しにくいといえます。
内見時にできる5つの防音性チェック法!
SRC造であれば防音性が高い建物であるといえますが、そうでない物件の場合、どのように防音性をチェックすればよいのでしょうか。
実際に確かめる方法について、内見時にできる
・室内で手を叩いてみる
・壁をノックしてみる
・共有部分を歩いてもらう
・時間帯をかえて内見する
・過去のクレームを確認する
の5つをご紹介します。
室内の中心で手を叩いてみる
一番手軽なのが音の反響をチェックする方法です。部屋の中央で手を叩き、音が返ってくるか確認します。
手を叩いたときの音が反響しない場合、音は部屋の外に漏れている=気密性が低いということになります。
一部屋ずつそれぞれ確認することが望ましいですが、とくにペットと家族が一緒にすごすリビングルームで試してみるのがよいでしょう。
部屋の壁を軽くノックしてみる
次にご紹介するのが、部屋の壁を叩いてみる方法です。部屋の四方、それぞれの壁を叩いた時の感触から壁の防音性を確かめます。
コンコンとノックしてみて、かたく詰まっているような感触で音が響かないようであれば防音性の高い壁といえるでしょう。
叩いた感触が裏側に抜け、音が響いていくような壁であれば、防音性は期待できません。
スタッフや同行者に共有部分を歩いてもらう
室内の気密性や壁の防音性に問題がない場合でも、意外と廊下の音が響くという物件もあります。玄関ドアの防音性が低い場合です。
確認するには、同行のスタッフや家族に廊下などマンションの共有部分を歩いてもらいましょう。
部屋のなかから耳をすませ、足音が響いて聞こえてくるようであればペットの活動する音も気になってしまう物件かもしれません。
昼と夜など時間帯を変えて内見する
内見は可能であれば昼と夜など、時間帯を変えて2回行うのがおすすめです。
防犯などの観点からも昼夜2回内見することが推奨されますが、ペット可の物件の場合は昼は静かだったのに夕方に遠吠えをする犬がいる、というようなケースもあります。
休日の日中や夕方以降など、実際に自分が家ですごすことの多い時間帯に内見してみるのが望ましいでしょう。
過去のクレームについて確認する
最後に、実際のクレームについて確認するという方法です。
不動産業者に過去に騒音に関するクレームはあったか、騒音関係のトラブルで退去した人はいないか聞いてみましょう。
また、マンション内の掲示物があれば見ておくことをおすすめします。
過去にトラブルがあったり、子どもの声やペットに関する注意が掲示されている場合、防音性に問題がある物件の可能性が高くなります。
【ペットと暮らす方向け】騒音トラブルを起こさないために
ペットと暮らす方は、マンションがペット可であっても騒音関係トラブルを起こさないためにあらかじめ防音対策をしておくのがよいでしょう。
ここからは実際にペットと暮らす方、これからペットを迎える予定の方向けに、4つの対策をご紹介します。
・フローリング/クッションマットを敷く
・ペット用トイレやハウスの位置に注意する
・吸音パネルを設置する
・しつけを徹底する
フローリング/クッションマットを敷く
足音などの振動にはフローリングシートやクッションマットを敷きましょう。
とくにジョイントマットは防音効果以外にも、
・安価
・必要な面にあわせて敷ける
・汚れた箇所だけ交換できる
・不要になったときの処分も簡単
という点でメリットが多く、おすすめです。
コルク素材のものであれば滑り止めにもなり、スポンジ材のものより長持ちします。
隣の部屋に近い場所にトイレやハウスを設置しない
隣の部屋に近い位置にペットのトイレやハウスを設置してしまうと、出入りの音が響いてしまいます。設置する場合は壁に接しないようにおき、できるだけ隣の部屋から離れた場所にしましょう。
とくに猫はトイレのあとに走り回る習性があるため、トイレを設置する部屋にはあわせてフローリングシートやクッションマットを敷きましょう。
壁に吸音パネルを設置する
犬や猫の鳴き声は壁や窓などを伝わって外に響きます。鳴き声への対策としては壁に吸音パネルを設置するのがおすすめです。
ここ数年で家庭向けの商品も増えており、インターネットやホームセンターで購入できます。
虫ピンやテープで固定する、ネジを必要としないものや、シンプルでおしゃれな見た目のものもありますので検討してみてください。
しつけを徹底する
部屋自体への対策も必要ですが、大切なのがペットへのしつけを徹底することです。
犬の場合、生活時間やエサ、散歩などの運動量をみなおすことで無駄吠えが改善する場合もあります。
どうしても早朝や深夜に吠えてしまう、走り回る、ひっかくなどの困ったクセが治らなかったり、自宅でのしつけが難しいようであれば、しつけ教室に通う、ブリーダーや獣医に相談するという選択肢もあります。
ペット共生型というマンションも
ここまでペット可の一般的なマンションについてご説明してきましたが、近年需要が高まっているのがペット共生型マンションです。
ペットとの暮らしを重視したマンションで、ペット用の足洗い場が標準設備として設けられているほか、広めの専用ポーチやドッグラン、ペット用災害備蓄が用意されている物件も。
一般的なペット可マンションでは禁止となっている大型犬の飼育や、多頭飼いが可能な場合もあります。
ペット共生型の物件であれば騒音トラブルが起きないというわけではありません。しかし、近隣の方の理解は得やすく、そのほかの設備も含め暮らしやすいことは確かです。
大切なペットとの生活のために検討してみてはいかがでしょうか。
ペットと近隣への配慮を常に心がけよう
ペットを飼っていない方、ペットと暮らしている方、両方に向けてペット可マンションの騒音トラブルについてご説明しました。
どんな暮らしや家族構成であっても、お互いにトラブルは避け、気持ちよく暮らしたいですよね。
集合住宅で動物を飼う場合は、せっかくのペットとの生活がトラブルの要因とならないように、普段からしっかりと対策がとれるとよいですね。
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