個人事業主は住宅ローンの審査が厳しいと言われており、審査にクリアできるか心配な方は多いのではないでしょうか。
そんな方にはフラット35の住宅ローンがおすすめです。今回はフラット35の内容、審査ポイントなど詳しくご紹介していきます。
個人事業主はもちろん、銀行ローンと比較検討したいという方も是非参考になさってください。
フラット35について
フラット35は独立行政法人住宅金融支援機構と全国300以上の民間金融機関が提携して融資を行う住宅ローンです。
フラット35は全期間固定金利型の住宅ローンで返済期間は最短15年、最長35年となっており、借入金利が返済終了まで固定されます。そのため金利上昇のリスクがなく毎月の返済額が決まっているので資金計画が立てやすいのがメリットです。
2003年に誕生した比較的新しい住宅ローンですが、民間住宅ローンに比べて審査基準が低く加入しやすいため多くの方に利用されています。
民間住宅ローンとの違い
民間住宅ローンは銀行ローンともいわれています。民間住宅ローンでは契約の際に連帯保証人が必要なこともありますが、フラット35では保証人は不要、またローン保証料も必要ありません。また繰上返済手数料も無料で諸費用が抑えられます。
また民間住宅ローンとの大きな違いは加入のしやすさです。勤続年数や雇用形態は民間住宅ローンでは重要な審査基準となりますが、フラット35ではローンを申し込む際に利用者の勤続年数や雇用形態に条件はありません。そのため自営業者、転職して間もない方など幅広い方が申込可能な住宅ローンです。
自営業の住宅ローン審査が厳しい理由
自営業者が住宅ローンの借入れをする場合、会社員に比べて住宅ローンの審査に通りづらいという話を聞いたことがあるかもしれません。それは一体なぜなのでしょうか。そこで自営業者の住宅ローンが厳しい理由を詳しく解説していきます。
自営業者に協力的な金融機関が少ないから
金融機関にとって住宅ローンは力を入れる主力商品のひとつです。
自営業者は、収入面や安定した返済能力など不確定要素が多く、金融機関からは会社員に比べて信用度が低いと判断されてしまいます。
会社員よりも審査が厳しくなるだけでなく、事業の将来性などいろんな角度から細かく審査が必要になる自営業者に対して、金融機関から消極的な対応をされることもあるようです。
会社員より収入が不安定だから
数千万の高額なお金を借入れ、長い期間かけて返済していく住宅ローンは安定した収入や返済能力がとても重要になってきます。
会社員は勤務先の会社から毎月のお給料という安定した収入がありますが、自営業者は病気やケガなどにより働けなくなったり、景気の動向によって大きく収入が減ってしまうリスクがあります。そのため金融機関からは、自営業者は会社員に比べ返済能力は低いとみなされてしまうのが現実です。
3期連続の所得で判断するため
会社員が住宅ローンを組む際には年収が審査対象になりますが、自営業者の場合、収入から経費をひいた所得部分が対象になります。
そして所得は直近の3期連続の所得が黒字、また直近の3年分の平均所得が200万円以上であることを一般的な条件としています。
開業してまだ間もない場合は住宅ローンに申し込むことができず、直近の3年の間に1期でも赤字があると住宅ローンの審査通過が難しくなります。
フラット35が個人事業主におすすめの理由
個人事業主が住宅ローンを組もうと思っても民間住宅ローンでは審査が厳しく、審査を通過するのが難しいのが現実です。
そこでおすすめなのがフラット35の住宅ローンです。
審査基準が低いフラット35であれば個人事業主でも住宅ローンを利用することは十分可能です。
決算書の提出が不要だから
民間住宅ローンの場合、直近3期分の決算書の提出が必要です。そして基本的に3期連続黒字である必要があり、業績が不安定で直近3期のうち1年でも赤字があると申込みができません。
しかしフラット35の場合、決算書の提出は不要で確定申告書と納税証明書それぞれ直近の2年分だけで済みます。個人事業者にとって住宅ローンの申込みのハードルが低く利用しやすいのが特徴です。
返済負担率の条件が直近1年分で判定されるから
返済負担率とは所得に占める住宅ローンの年間返済額の割合のことで、住宅ローンの審査の重要なポイントのひとつです。
フラット35では直近1年分の所得で返済負担率の条件を満たしているかが判断されます。
民間住宅ローンで借入れを行う場合、直近3年連続黒字であることが求められるのに対して、フラット35では直近の業績が好調で返済負担率の条件を満たしていれば承認されるので審査に通りやすいといえるでしょう。
連帯債務者を追加できるから
フラット35では収入の制限を設けていないため、収入が低くても住宅ローンを利用しやすいです。しかし収入が低く希望の借入額が借りられないという場合があります。
そこでフラット35では配偶者、または親、子など一定の要件を満たす家族1名が連帯債務者となり、収入を合算できる収入合算のプランを提供しています。収入合算をすれば審査対象となる収入が増え借入額も大きくなります。
住宅ローン控除も連帯債務者それぞれ利用できるのでより多くの控除を受けることができるのも大きなメリットといえるでしょう。
団体信用生命保険の加入が任意だから
団体信用生命保険(団信)は死亡や事故によって住宅ローンの返済が困難になった際に、残りの住宅ローンが保険金で全額弁済できる保障制度です。
一般的に民間の住宅ローンは団信の加入が義務付けられています。しかし病気の既往歴や持病がある場合、団信の加入ができません。
その場合、団信の加入が必須である住宅ローンの利用はできませんが、フラット35の場合団信の加入が任意のため持病があっても申込みが可能です。
個人事業主がフラット35を利用する際に必要な書類
フラット35の住宅ローンの審査には数多くの書類が必要です。スムーズに準備ができるよう事前に把握しておくとよいでしょう。個人事業主がフラット35を利用する際には以下の書類が必要です。
・申込関連書類
・本人確認書類
・所得(収入)を証明する書類
・物件に関する書類
・団体信用生命保険に関する書類
個人事業主の場合、所得を証明する書類には確定申告書一式コピー、納税証明書コピーそれぞれ直近2年分が必要になります。
書類に不備があり契約が後ろ倒しにならないよう、本審査の1ヶ月程前から準備しておくとよいでしょう。
自営業の年収は「所得金額」からみる
フラット35には年収の制限はありませんが、返済負担率がフラット35の基準を満たしていることが条件になります。返済負担率とは収入に対するカードローンや自動車ローンなど全ての借入れの返済額の割合をいいます。(個人事業主の事業用借入れは除外)
ここで注意したいのが、会社員は給与所得控除という形で一定の経費が認められ、給与額がそのまま審査の対象額になります。それに対し自営業者は事業収入から必要経費を引いた所得部分が年収になります。
節税のために経費を使いすぎていると所得が減り、希望する借入額が借りられない可能性がでてくるので注意が必要です。
借入可能額の計算方法とは?
フラット35の借入可能額は100万円以上8000万円未満で、借入可能な金額は年収や総返済負担率、融資率などによって異なります。
フラット35では年収400万円未満の場合、総返済負担率が30%以下、年収400万円以上の場合、総返済負担率が35%以下が条件です。
また融資率は住宅購入費用に対してのローン金額の割合のことで「借入額÷住宅購入費用×100」という計算方法で算出されます。
どのくらいの額を借入れできるかは、フラット35のホームページで必要項目を入力するだけで簡単に借入可能額のシュミレーションができます。気になる方はチェックしてみてください。
自営業でも審査に落ちることはある?審査ポイントをご紹介
民間ローンと比べて自営業者でも審査が通りやすいフラット35ですが、全てのかたが審査に通るわけではありません。気をつけなければならない審査ポイントをいくつかご紹介していきますので、審査前に当てはまるポイントがないか確認しておきましょう。
過去の信用情報がクリーンではない
住宅ローンの審査において過去の信用情報は最も重要視されるポイントのひとつです。「指定信用情報機関」で個人情報やローン、クレジットの申込み、返済状況や借入残高などの記録が管理されており、その情報をもとに過去の信用情報の調査が行われます。
過去にクレジットカードの支払いの延滞を複数回繰り返していたり、奨学金の滞納があった場合、住宅ローンの審査が通りにくくなります。
また過去に自己破産をしている場合、破産手続きをしてから10年間は記録が残るのでその間は住宅ローンを組むことはほぼ不可能と考えましょう。
複数のローンを組んでいる
車のローンなどフラット35以外にローンを組んでいる場合、審査に落ちる確率が上がります。中でも注意したいのがカードローンやキャッシング、リボ払いです。これらの借入れがあると返済能力が低いとみなされてしまう可能性があります。
また忘れがちなのが携帯端末の分割払いです。審査に通りやすくするためにフラット35を申し込む前に他のローンを完済しておくとよいでしょう。
借入希望額が高すぎる
先程もお伝えしましたが、フラット35では年間の返済負担率が年収400万円未満の場合、総返済負担率が30%以下、年収400万円以上の場合、総返済負担率が35%以下という条件があります。
収入に対して借入希望額が高すぎる場合、返済負担率の条件に当てはまらなくなってしまうので注意が必要です。
頭金を多めに用意する、収入合算を利用するなどして返済負担率を下げ、無理のない返済プランを立てるようにしましょう。
個人事業主にはフラット35おすすめ!
今回はフラット35とはどんなローンなのか、審査のポイントなど詳しくご紹介しました。フラット35は審査の基準が低く、民間住宅ローンの審査が厳しい個人事業主にもおすすめの住宅ローンです。
住宅購入希望を考え始めたら物件探しをする前に、直近2〜3年の確定申告書で収入を確認し、いくら借り入れができるかシュミレーションをしてみましょう。
また事前に審査ポイントをしっかり把握してスムーズに審査が通るよう、審査対策をしておくとよいでしょう。
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