住宅の売買を考えているなら「どのタイミングだと損をしないのか」と考えるのではないでしょうか。不動産価格の推移は気になりますよね。
ベストなタイミングで不動産の売買をしたいなら、「不動産価格指数」を確認するのがおすすめです。そうは言っても、不動産価格指数とは何なのかよくわからない方も多いのでは?今回は、不動産価格指数の内容や調べ方、2022年最新の公示情報について解説します。
「不動産価格指数」とは?
「不動産価格指数」は、国土交通省が毎月公示している、不動産価格の動向を指数化した統計データです。
年間30万件におよぶ実際の取引をもとに、全国・ブロック別・都市圏別などカテゴリー別に価格の動向をデータ化しています。これまでの推移を月ごとに把握したい場合は、不動産価格指数を活用してみるとよいでしょう。
また、不動産価格指数をきちんと理解し応用するには、「目的」や「地価公示との違い」についても把握しておくことが大切です。
「不動産価格指数」の目的とは?
不動産価格指数は、変動する不動産価格の動向を「素早く、かつ的確に把握し示すことを目的」として作られました。
この目的の理由としては、世界的な金融・経済危機を背景に、銀行の破綻やそこに投資をしていた企業が大きな損失を生じた過去があるからです。
このように本来は、金融危機回避のために作成されたものですが、一般的には不動産価格の傾向をつかむための指針として、不動産を売買する際に活用されています。
「地価公示」との違いとは?
不動産価格の動向は「地価公示」からも確認が可能です。不動産価格指数と地価公示の違いには「公示内容」と「公示のタイミング」が挙げられます。
具体的な内容・違いは、以下のとおりです。
公示内容 |
公示のタイミング |
|
地価公示 |
具体的な土地の |
1月1日時点の地価を |
不動産価格指数 |
価格ではなく、 |
「毎月」の指数を公示 |
地価公示とは、毎年1月1日時点において、標準地がどの程度の価格水準にあるのかを示したものです。土地の適正価格を判断する目安として用いられます。
不動産価格指数は価格ではなく、基準値と比較した際の「指数」を毎月公示しているため、地価公示よりも推移がわかりやすく相場感がつかみやすいでしょう。
不動産価格指数の算出方法とは?
不動産価格指数は、以下3つの要素をもとに算出されます。
- アンケート調査から
- 不動産鑑定士が現地調査をする
- 登記情報
それぞれについて、詳しく説明していきます。
1.アンケート調査から
不動産価格指数は、実際に不動産を取引した人を対象としたアンケート調査に基づいて算出しています。
アンケート調査とは「不動産の取引価格情報提供制度」を利用したもので、120万件以上の取引を保有しているデータベースです。
取引価格や取引時期、所在地から築年数などの情報が集約され、不動産価格指数を割り出しています。
2.不動産鑑定士が現地調査をする
不動産価格指数は、不動産鑑定士の現地調査の結果による情報も加えて算出しています。
現地調査とは、不動産鑑定士が実際に物件まで行き、土地の種類や建物の配置、現地周辺環境の調査を実施することです。
そして、土地や建物がどの程度の価値があるのか、管理・使用状況などの環境も含めて鑑定したものを、不動産価格指数に加味し算出しています。
3.登記情報から算出
不動産価格指数を算出する際には、登記情報を基にした情報も使われています。登記情報とは、その不動産がある場所やこれまでの取引の様子がわかる一覧のことです。
法務省が行っている有料サービスの登記情報を利用することで、その物件の場所・取引内容をチェックできます。
この方法は、正式な登記から確認をとっているため、事実と相違のない正確な情報をもとに算出されているといえるでしょう。
不動産価格指数の調べ方とは?
不動産価格指数の調べ方は、以下の2つです。
- サイトの表で見る
- サイトのグラフで見る
それぞれについて、詳しく説明していきます。
1.サイトの表で見る
不動産価格指数を表から確認したい場合は、国土交通省(不動産価格指数)のウェブサイトから閲覧できます。
最新データ「不動産価格指数(住宅)」の「Excel」をクリックすると、ダウンロードしたファイルの閲覧が可能です。
ページごとにブロック分けされており、確認したい地域の指数を対前年比も含めて知ることができます。
2.サイトのグラフで見る
不動産価格指数をグラフから視覚的に確認したい場合は、「表で見る方法」と同様に国土交通省(不動産価格指数)のウェブサイトから閲覧できます。
サイトにアクセスして、更新情報から確認したい対象期間の「PDF」をクリックすれば閲覧可能です。
なお、PDFファイル2ページ目から、2008〜2021年までの土地・戸建て・マンションの指数を視覚的にわかりやすく知ることができます。
【2022年版】最新の不動産価格指数
ここでは、2022年2月28日に国土交通省が公示した、最新の不動産価格指数をご紹介します。
紹介する項目は、以下のとおりです。
- マンションの価格指数
- 戸建ての価格指数
- 土地の価格指数
具体的な数値をもとに、それぞれの項目の推移をチェックしてみましょう。
マンションの価格指数
2021年 |
2020年 |
2019年 |
170.6 |
155.5 |
150.3 |
この表からわかることは、マンションの不動産価格指数は右肩上がりで、住宅用マンションの需要が増加していることを示しています。
近年、コロナ禍の影響もあり「おうち時間」が増えました。マンションであれば、利便性やセキュリティ面が優れているため、マンションの人気は高まり、不動産取引が活発化しているのかもしれません。
参照:
国土交通省「不動産価格指数(令和3年11月・第3四半期分)」
戸建ての価格指数
2020年 |
2020年 |
2019年 |
108.1 |
102.7 |
102.1 |
戸建ての不動産価格指数は横ばいで推移していましたが、表からわかるように2020年から2021年にかけて上昇傾向が見られます。
これもマンション同様にコロナ禍の影響を受け、住まいを充実させようということからファミリー層がとくに、戸建て住宅に着目しているからかもしれません。
参照:
国土交通省「不動産価格指数(令和3年11月・第3四半期分)」
土地の価格指数
2020年 |
2020年 |
2019年 |
105.5 |
100.6 |
101.3 |
土地も戸建てと同じように、2020年までは横ばいで推移していましたが、2021年からは緩やかな上昇傾向が見られます。
しかし一方で、以下のように対前月比のマイナスが続いている地域ブロックもあり、土地価格の二極化が進んでいるのが実状です。
全国 |
北海道 |
東北 |
北陸 |
中部 |
|
不動産価格指数 |
105.5 |
118.2 |
112.5 |
103.4 |
88.1 |
対前月比(%) |
0.9 |
▲ 0.6 |
▲ 2.2 |
▲ 9.9 |
▲ 3.7 |
参照:
国土交通省「不動産価格指数(令和3年11月・第3四半期分)」
不動産価格指数以外で動向を調べる方法とは?
不動産価格指数を利用する以外で、不動産の動向を調べる方法は以下のとおりです。
- 「不動研住宅価格指数」を確認する
- 「レインズタワー」を確認する
それぞれについて、詳しく説明していきます。
1.不動研住宅価格指数を確認する
首都圏既存マンション(中古マンション)の価格変化を確認したい場合は、不動研住宅価格指数(日本不動産研究所)のウェブサイトから閲覧できます。
不動研住宅価格指数は、地域内の全物件の単純平均ではなく、過去に2回売買された時の価格差をもとに指数化。なお、以下の地域ブロックで作成されています。
- 首都圏総合
- 東京
- 神奈川
- 千葉
- 埼玉
これらの地域にある、既存マンション(中古マンション)の動向を確認したい場合は、不動研住宅価格指数を活用してみましょう。
2.レインズタワーを確認する
東日本ブロックや首都圏の動向を確認したい場合は、レインズタワー(東日本不動産流通機構)のウェブサイトから閲覧できます。
レインズタワーとは、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営しているネットワークシステムです。
システムを通して入手した情報で、不動産市場動向の統計を作成しています。今後の動向を知りたいときには、レインズタワーを活用してみましょう。
不動産価格指数を見る時の注意点とは?
不動産価格指数を見る時の注意点として、公示日と対象期間に3カ月程度のタイムラグがあることを覚えておきましょう。
たとえば、今回ご紹介した「最新の不動産価格指数」は2022年2月に公示されましたが、対象期間は2021年11月であり、3か月程度のラグがあります。
くわえて、不動産価格指数はあくまで過去のデータ統計です。不動産の動向は、株価のように常に変動しているため、不動産価格指数をそのまま不動産価格に当てはめるのはおすすめしません。
不動産価格指数をそのまま信じて売買した結果、損をしたり、高く値をつけすぎて売れ残ったりする可能性があるからです。そのため、不動産価格指数は動向を知る「ひとつの判断材料」として使うようにしましょう。
売買する際は「不動産価格指数」を確認しよう
不動産価格指数は、国土交通省が毎月公示している、不動産価格の動向を指数化した統計データです。
不動産売買をするうえで、「取引のベストなタイミング」を見極めるための判断材料として活用できるデータといえます。
しかし、不動産の価格は常に変動するため、不動産価格指数以外にも不動研住宅価格指数やレインズタワーなどの情報も併せてチェックし、不動産売買する際に役立てましょう。
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