不動産の個人売買をやってみようと思っても「不動産の個人売買ってそもそも違法じゃないの?」「個人売買のやり方がわからない」など、疑問点が出てくるでしょう。
この記事では、不動産の個人売買における基本的な知識やメリットとデメリットに加え、個人売買の流れや契約書の作成方法などを解説していきます。ぜひ参考にしてください。
不動産の個人売買は違法?
そもそも不動産の個人売買は違法なのでしょうか。法律が関わってくるなら、あらかじめ確認しておきたいところです。
- 法律的に合法な取引である
- 合法だがおすすめはしない
以上2点から紹介していきたいと思います。
法律的に合法な取引である
不動産の個人売買は合法的に取引が可能です。知人との個人間の売買においては問題ありません。不動産会社の仲介の場合は売主と買主をつなげて利益を得る方法のため、国家資格が必要になるのです。
個人間取引は合法ではあるのですが、契約書の作成やその他の義務などを忠実におこなう不動産会社のような規則がないため、取引におけるトラブルなどはすべて自己責任になります。
個人売買はおすすめはしない
個人売買は法律的には合法でもおすすめはできません。
不動産の個人売買は不動産会社がおこなう流れをすべて自分で決めなければなりません。取引には専門性が必要なため、その旨の知識がない場合、トラブルになりやすいリスクがあります。
もし、トラブルに発展してしまった場合、不動産会社との仲介手数料以上の出費になってしまう可能性も。手間がかかる上、自己責任になるため、効率的に売買をおこなうとするならば、不動産会社に任せてしまうのが安全といえるでしょう。
個人売買のメリットとは?
不動産の個人売買はリスクもありますが、メリットもあります。実際に個人売買をおこなっている人も多くいます。
- 仲介手数料・消費税がかからない
- 売却価格などを自由に決めることができる
- 買主にも消費税がかからない
以上3つのメリットを紹介していきます。
仲介手数料・消費税がかからない
まずは不動産個人売買の最大のメリットである仲介手数料と消費税がかからないことです。当然ですが、その分安く取引をおこなうことができます。
不動産会社に仲介を依頼、売却価格が400万円以上なら、
・売却価格×(3%+6万円)+消費税
となります。
たとえば、1,000万円で売却した場合は36万円の仲介手数料ということです。
しかしながら、個人売買であればこの仲介手数料も一切かかりません。加えて消費税も支払う必要がないところもメリットでしょう。
さらに不動産会社を利用しないことで、売却活動に対しての各種費用を減らすことができます。仲介手数料や消費税以外にも金銭的な面で大きなメリットがあるといえるでしょう。
売却価格などを自由に決めることができる
売主が契約条件から売却価格など、さまざまな面を自分で自由に決定できます。
不動産会社に依頼する場合は、不動産会社がメインで取引内容を取り決めていくことになるため、売主側の意見が反映しにくいことがあります。
また、個人売買では必要事項の確認と許可を業者にする工程などがないため、かかる手間が少ない点もメリットといえるでしょう。
買主にも消費税がかからない
売主だけでなく買主にも消費税がかからない点もメリットといえるでしょう。消費税といっても、数万円から数十万円にもなるため、金銭的に大きなメリットです。
また、売主が不動産会社に支払う費用がないため、その差額分も売値に反映させやすい面があります。
そのため買主側からしてみれば、買主側が価格をおさえて売ってくれる可能性も高く、消費税だけでない金銭的なメリットを感じやすいでしょう。
個人売買のデメリットとは?
一方、デメリットはどうでしょうか。個人売買は金銭的なメリットが多い反面、手間暇がかかりリスキーな面があります。
買主を自分で探すので時間がかかる
知人との取引以外では、サイトを利用して相手を探す方法がありますが、不動産会社に仲介してもらう場合よりも時間がかかるのが一般的です。
加えて、サイトに情報を掲載して買いたい人が現れるまで待つことになります。スピーディーに取引をまとめたい人にとってはデメリットといえるでしょう。
専門家が介入しないのでトラブルになりやすい
専門家が介入しないことでトラブルになりやすい点もデメリットといえるでしょう。想像以上にやることの多い不動産の取引を個人がおこなうのは、必要作業の漏れも多くなりがちです。
個人間で取引をおこなうには、売る側と買う側がしっかりと法律的な知識を身につけた上でおこなう必要があるでしょう。
不動産会社の仲介であればプロがおこなうため、売却までのプロセスが円滑に進められることを期待できますが、個人であればそうはいかないでしょう。
相応の手間と時間がかかるため、時間に余裕がある状態かをしっかりと見極めてからでないと効率が悪くなってしまいますよ。
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個人売買の流れ
個人売買のメリット、デメリットを紹介してきましたが、上記をふまえた上で個人売買の流れを把握しておきましょう。
- 相場を確認する
- 必要書類の準備
- 売却価格を決める
- 物件や土地の状態を書類にまとめる
- 契約書の作成
- 引き渡し
- 必要書類
以上になります。
個人売買では、売主と買主がお互いに取引内容と工程を理解しておくことが重要です。
相場を確認する
まずは相場の確認です。売りたい不動産の相場をしっかりと確認しましょう。
自分自身で売却価格を決められるとはいっても、適当な価格では取引になりません。おすすめの調べ方は一括査定サイトなどを活用することです。
一括査定サイトでは築年数や立地、不動産情報などを入力すると、不動産会社から物件の査定額を確認することができます。
ほとんどのサイトが無料で使えるため、活用し参考にするとよいでしょう。
必要書類の準備
次に必要書類の準備です。不動産取引では決まった資料の形式はありませんが、含めないといけない確認事項をしっかりと把握して、作成する必要があります。
基本的には以下の3つです。
- 登記簿謄本(抄本)
- 固定資産税評価額証明書
- 公図
役所などで取得する資料もあるため、あらかじめ余裕をもって準備しておきましょう。
売却価格を決める
このステップで売却価格を決めましょう。知人との取引では話し合いで価格を決定してもよいですが、買う人が決まってない場合は、相場や査定額を参考にして、購入希望者と交渉して決めるといった形が一般的です。
売る側は買う側が値下げ交渉をしてくることを見越して、あらかじめ少し高めの金額設定にしておくとよいでしょう。
物件や土地の状態を書類にまとめる
売却価格を決めたら、物件や土地の状態を書類にまとめておきます。その不動産に興味をもった購入希望者から問い合わせが来たときのために、現地の状態をしっかりと把握しておく必要があるからです。
時間的制約がある人は少し費用がかかりますが、不動産会社に依頼することで物件や土地の状態を調査の上、書類にまとめてもらうと早いでしょう。
契約書の作成
書類に物件確認の情報をまとめたら、契約書の作成に移ります。
後で万が一トラブルになった際、確認が取れないと困るため、親しい人との取引でも契約書に記載しておきましょう。わずかなことでも取り決めがあれば文面に残しておくことで、トラブルの深刻化を防げます。
よくある口約束は親しい間柄でもやめておきましょう。
引き渡しをする
契約が完了し、代金の受け渡しをしたあと、不動産の引き渡しになります。
取引完了後も契約内容の相違や欠陥など、予期せぬトラブルになるケースも多いため、アフターフォローはしっかりとおこなうようにしましょう。
個人売買における必要書類は?
必要書類は買う側が物件を確認するために必要な書類になります。必ず準備しなければならないもので以下の3種類です。
準備するのは以下の3種類。
書類 |
取得場所 |
取得時期 |
登記簿謄本 |
法務局で交付請求を行う |
資料準備の段階 |
固定資産税評価額証明書 |
各都税事務所・市町村役場 |
資料準備の段階 |
公図 |
法務局、登記所 |
資料準備の段階 |
個人で不動産売買契約書を作成する方法とは?
個人で不動産売買をする際の不動産売買契約書を作成する方法についてです。
- 最新のテンプレートを参考にする
- 契約書に収入印紙を貼る
以上2点を紹介します。契約書作成のために必要な知識を確認していきましょう。
最新のテンプレートを参考にする
契約書作成の際、最新のテンプレートを参考にしましょう。契約書のテンプレートを利用するには、インターネットでダウンロードが可能です。法改正などに対応している最新のものを使用しましょう。
また、契約書は一部内容を変更して作成が可能です。大体の部分はそのまま活用し、細かな部分はその取引内容に合わせて修正していくことで、契約書の作成をスムーズにおこなうことができるでしょう。
契約書に収入印紙を貼る
契約書には収入印紙を貼る必要があります。不動産の売買契約書には売却価格に応じた金額の収入印紙を貼らなければなりません。もし収入印紙を貼っていないと、未納として罰則があります。
500万円~1,000万円以下⇒1万円
1,000万円~5,000万円以下⇒2万円
以上、一例ですが、金額に応じた額を納める必要があります。
加えて、不動産の売買契約書は買主と売主に1通ずつ作成する必要があります。したがって、2通分の収入印紙が必要です。上記の2倍の印紙代がかかる計算になることもおさえておきましょう。
個人売買の3つの注意点
不動産の個人売買における注意点もチェックしておきましょう。トラブルが多くなりがちな個人売買。トラブルにならないよう、あらかじめ注意点をしっかりと確認しておく必要があります。
- 売却価格が適正か注意する
- 買主と口約束はしない
- 個人売買契約の「瑕疵」は要注意
以上3点を紹介していきます。
売却価格が適正か注意する
売却価格が適正なものか注意しておきましょう。個人売買ならではの売主が価格を決めることができる方法ですが、間違った価格の付け方をしてしまう恐れもはらんでいます。
相場に近い価格に設定できているかどうかをしっかりと確認しましょう。
買主と口約束はしない
親しい間柄の知人との取引だとしても、口約束をしないことです。個人間双方の認識の違いが多く発生する個人売買において、あとでお互いの認識のすり合わせができない状態は避けたいからです。
確認事項は契約書にしっかりと記載して、お互いの同意としましょう。
個人売買契約の「瑕疵」は要注意
個人売買における瑕疵には注意が必要です。不動産取引には瑕疵担保責任というものがあり、物件の引き渡し後、物件に欠陥(柱が足りない、シロアリがいる等)があった場合、売主に生じる責任のことをいいます。
個人売買ではこの瑕疵担保責任をしっかりと決めていなかったことで、トラブルに発展するケースが数多く起こります。
トラブルを避けるには、契約書に瑕疵担保責任について細かく記載することが大事です。期間やペナルティ内容などをお互い確認して、認識した上で取引をおこないましょう。
司法書士にも頼ろう
司法書士に頼むことで、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。個人売買では特に契約完了後の登記取引がうまくいかないといったことも少なくありません。
- 司法書士の依頼内容
- 依頼費用
- 選び方
以上3点を紹介していきます。
司法書士に依頼することで、売主買主双方が納得できる取引につなげることができるでしょう。
司法書士の依頼内容
司法書士の依頼内容は以下のとおりです。
- 売買代金の決定
- 売買契約書の作成
- 売買による名義変更などの登記申請
- 譲渡所得税の申告
- 不動産取得税の申告
以上が司法書士に依頼できる内容になります。
司法書士への依頼費用
売主が登記申請を依頼した司法書士への支払い報酬は1〜3万円ほど。また、買主が登記申請を依頼した司法書士への支払い報酬は5〜15万円ほど。額が違うのは、所有権移転登記に加え、抵当権設定登記分がかかるからです。
不動産会社に仲介を依頼するより、仲介手数料がかなりお得になるでしょう。
依頼する司法書士の選び方
そんな司法書士の選び方にはいくつかポイントがあります。
- 料金設定がわかりやすい
- 連絡、コミュニケーションがスムーズにとれる
- 専門的な知識とともに説明がわかりやすい
司法書士は不動産会社から紹介してもらえるほか、自分からお願いすることも可能です。
個人売買せずに仲介手数料を抑えるコツとは?
最後は個人売買はしないけれど、仲介手数料はおさえたい場合です。仲介手数料をおさえるコツがあります。
仲介手数料が安い不動産会社を選ぶ
仲介手数料が安い不動産会社を選ぶと言ったらそのままですが、仲介手数料が非常に安い、もしくは無料のところもあります。
前述の仲介手数料は手数料の上限です。つまりそれ以下の仲介手数料でおこなう会社もあり、リサーチをすれば見つけられるでしょう。
しかしながら、仲介手数料以外の料金はどうかをしっかりと確認してから依頼するようにしましょう。手数料だけ安くてもほかの部分では高めの金額設定なら意味がありません。
いくつか不動産会社を知った上で、他社の手数料を引き合いに出して交渉すると、成功する可能性が高くなるでしょう。
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個人売買にはリスクがあるため注意が必要
不動産の個人売買は可能だということがわかりました。しかしながら、自分ですべておこなわなければならないことから、時間に余裕のある人、法律的な知識を吸収しようという意欲のある人でないと、リスクがともないます。
メリットやデメリット、契約の工程や書類関係など、おさえておくポイントを覚えておきましょう。個人では難しいと思えば、司法書士などを頼ると間違いがないはずです。
■Wednesdayの簡易査定
不動産の売却を検討中の方は、簡易査定にお申し込みください。Wednesdayの簡易査定は、面倒な訪問は不要でオンラインのみで売却まで完了します。
こんな方におすすめ:
・売却・住み替えを検討中の方
・今のお家がいくらで売れるか知りたい方
■不動産売却についての相談
不動産の売却についてのご相談は、個別相談のフォームよりお申し込みください。
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