住宅ローン控除は2022年に制度の改正があり、中古住宅の築年数が緩和されるなど、利用者に大きな影響のある変更が行われています。
そこでこの記事では、住宅ローン控除の概要をおさらいした後、2022年の改正によって変わった点を中心に説明していきます。
住宅ローン控除のおさらい
住宅ローン控除の適用条件や改正内容についてご説明する前に、住宅ローン減税とはどんな制度なのか、概要をおさらいしておきましょう。
住宅ローン控除は正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、「住宅ローン控除」という呼び名が広く使われています。
ざっくりと説明すると「住宅ローンの借入残高があると払った所得税(住民税)の一部が戻ってくる」制度です。
住宅ローン控除を適用するには住宅の築年数、借入額などの条件がありますので、順番に確認していきましょう。
住宅ローン控除が受けられる条件は?
住宅ローン控除は、ローンを利用して住宅を購入すれば誰でも受けられるのではなく、条件を満たしている必要があります。
主な条件は次の通りです。(2022年の改正後の条件)
・居住用の住宅であること
購入してから6ヶ月以内に居住を開始し、申請する年の12月31日まで継続して居住していることが必要です。
・床面積が50㎡以上
対象住宅の床面積が50㎡以上あることが必要です。ただし、新築住宅の場合、2023年までに建築確認を受けたものは40㎡までに緩和されます(合計所得金額が1,000万円以下に限る)。
・年間所得が2,000万円以下であること
2022年度の改正により、所得の条件が3,000万円以下から2,000万円以下に変更されました。
・住宅ローンの借入期間が10年以上あること
住宅ローンの借入期間が10年未満の場合は、住宅ローン控除が受けられません。
繰上げ返済をしたことで、借入開始日から返済完了日までが10年未満となった場合にも、住宅ローン控除は適用されなくなります。
・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などを受けていないこと
居住した年と前後の2年間に居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などを受けていないことが条件となります。
築何年までが住宅ローン控除を受けられる?
住宅ローン控除は、新築だけでなく中古住宅を購入した際にも利用することができますが、築年数に制限があります。
中古住宅で対象となるのは、1982年以降に建てられた住宅です。
住宅ローン控除制度の改正前は、耐火住宅は築25年以内、非耐火住宅は築20年以内という条件があり、これに当てはまらない場合は証明書類の提出が必要でした。
しかし、2022年の改正により中古住宅の適用条件が緩和され、1982年以降に建てられた住宅が対象となりました。
住宅ローン控除の改正内容とは?
2022年に住宅ローン控除制度の改正が行われました。今回の改正は適用条件や控除率が変わり、利用する人に大きく影響する内容です。
主な改正点は次の通りです。
・適用期限の延長
・控除率の変更
・控除期間の変更
・借入上限額の変更
それではひとつずつ詳しくみていきましょう。
期間延長で2025年までの適用に
住宅ローン控除は2021年度までとされていましたが、2025年までの4年間延長されることになりました。
それにともない、控除率、控除期間、借入上限額の変更など、適用条件や内容の大きな改正が行われています。
制度が延長されたのは住宅購入を考えている人には嬉しいばかりですが、調べていた情報と違ってくる部分もありますので、2022年以降に住宅ローン控除を利用する人は再度の確認が必要でしょう。
控除率が1%から0.7%に
控除率とは、住宅ローンの借入残高に対して控除される税額の割合です。控除率は2021年まで1%でしたが、改正後の2022年からは0.7%に変更となりました。
例をあげて考えてみましょう。
年末のローン残高が3,000万円の場合、控除される税金の額は次のようになります。
・控除率1%の場合:3,000万円×1% = 30万円
・控除率0.7%の場合:3,000万円×0.7% = 21万円
控除率が変更されたことにより、控除額にこのような違いが生じます。
控除期間が新築住宅・買取再販13年、中古住宅は10年に
控除を受けられる期間が、新築住宅・買取再販(※1)について10年から13年に延長されました。2019年に消費税増税の緩和措置として13年に延長されたものを、そのまま引き継いだ形となります。
ただし、認定住宅等(※2)以外の住宅については、2024年以降の入居からは控除期間が10年となります。
中古住宅の控除期間は10年です。
※1 不動産会社などが買い取った中古住宅をリフォームなどをして販売している物件
※2 認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅
環境性能に合わせた借入上限額
住宅ローン控除の利用にあたっては、ローン借入額の上限が決められています。2022年の改正後は、住宅の環境性能により借入上限額が次の様に設定されています。
~2021年 |
2022~2023年 |
2024~2025年 |
||
新築住宅 買取再販 |
認定住宅 |
5,000万円 |
4,500万円 |
|
ZEH |
4,000万円 |
4,500万円 |
3,500万円 |
|
省エネ住宅 |
4,000万円 |
3,000万円 |
||
その他住宅 |
3,000万円 |
0円 |
||
中古住宅 |
認定住宅 |
3,000万円 (2023年までに新築の建築確認がされている場合2000万円) |
||
その他住宅 |
2,000万円 |
その他(一般)の新築住宅・買取再販については、4,000万円だった限度額が3,000万円に引き下げになりますが、認定住宅等については限度額が引き上げられています。
そのほかの改正内容
ほかには次のような改正が行われています。
・所得要件の引き下げ
住宅ローン控除を利用する人の年間の所得金額が、3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられました。
・新築住宅の床面積の緩和
新築住宅の床面積が、50㎡以上から40㎡以上に緩和されました。
床面積の緩和は、2023年までに建築確認がされた新築住宅で、年間所得が1,000万円以下の場合に限り、適用されます。
・中古住宅の築年数の緩和
これまでは、鉄筋コンクリート造などの耐火住宅は築25年以下、木造住宅などの非耐火住宅は築20年以下が条件で、当てはまらない場合は、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書、または耐震基準適合証明書の提出が必要でした。
2022年の改正で、1982年以降に建てられた住宅は新耐震基準適合住宅であるとして、証明書類の提出が不要になりました。
改正後の必要書類は?
住宅ローン控除を受けるには、1年目は必要書類を揃えて確定申告をしなければなりません。確定申告に必要な書類は次の通りです。
・確定申告書
取得場所:税務署または国税庁のサイト
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
取得場所:税務署または国税庁のサイト
・本人確認書類(マイナンバーカード)
マイナンバー通知カードの場合はあわせて運転免許証などが必要
・建物・土地の登記事項証明書
取得場所:法務局
・建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
取得場所:不動産会社(契約書類)
・源泉徴収票
取得場所:勤務先
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
取得場所:借入先の金融機関
2022年の改正で当書類は不要になり「住宅ローン控除申請書」が必要になります。
・特例要件(耐震改修や認定長期優良住宅など)を証明するための書類
取得場所:不動産会社
※改正後の必要書類については正式に発表がされていませんので(2022年3月26日現在)、利用にあたっては国税庁のサイトなどで確認してください。
新築と中古住宅の違いは?
住宅ローン控除は新築住宅と中古住宅で借入上限額や控除期間に違いがあります。控除を最大限利用した場合に、トータルの控除額にどのくらいの差があるのか、2022~2023年に利用することを前提としてみてみましょう。
控除期間 |
借入 上限額 |
1年間の 控除額 |
トータルの 控除額 |
||
新築住宅 買取再販 |
認定住宅 |
13年 |
5,000万円 |
35万円 |
455万円 |
ZEH |
4,500万円 |
31.5万円 |
409.5万円 |
||
省エネ住宅 |
4,000万円 |
28万円 |
364万円 |
||
その他住宅 |
3,000万円 |
21万円 |
273万円 |
||
中古住宅 |
認定住宅 |
10年 |
3,000万円 |
21万円 |
210万円 |
その他住宅 |
2,000万円 |
14万円 |
140万円 |
ローン借入額が3,000万円を超えている場合、新築住宅のトータルの最大控除額は、認定住宅>ZHE>省エネ住宅>その他(一般)住宅の順になります。
中古住宅は控除期間が短いため、借入金額が同じでもトータルの向上額は新築住宅より少なくなります。
現在ローン控除を受けている人はどうなる?
現在、住宅ローン控除を受けている人は、制度の改正によって自分にどんな影響があるのかが気になるところでしょう。
結論からいうと、すでに住宅ローン控除を受けている人への影響はありません。控除額や借入限度額が2022年から下がることはないので心配はいらないでしょう。
事前準備を早めに行うことが重要
住宅ローン控除を利用するには、必要書類を揃えて確定申告をする必要があります。入手先は税務署、法務局、不動産会社など複数に渡りますので、漏れのないように余裕を持って準備を進めましょう。
確定申告の提出期間は、原則として毎年2月16日~3月15日までの1ヶ月です。
この期間に間に合わなかったり確定申告を忘れた場合は5年以内に申告すれば住宅ローン控除を受けられます。しかし、住民税からの控除が適用されなくなります。
また、確定申告を忘れた場合は5年の猶予がありますが、確定申告をしたけれども住宅ローン控除の申告を忘れた場合には、遡って控除を受けることが難しくなります。
スムーズに控除を受けるには、1年目に書類を揃えて期間内に確定申告するのが一番確実です。
改正された内容も理解してローン控除を利用しよう
住宅ローン控除とは、ローンを利用して住宅を購入した場合に、所得税や住民税が控除される制度です。2022年に改正が行われ、控除率、借入上限額、適用条件などに変更がありました。
影響が大きいと思われる変更は、控除率が1%から0.7%に下げられたこと、環境性能に合わせて借入上限額が設定されて、一般新築住宅は上限額額が4,000万円から3,000万円に下がったこと、中古住宅の築年数が緩和され1982年以降に建てられた住宅が条件となったことなどです。
現在、住宅ローン控除を受けている人、今回の改正により影響を受けることはなく、利用開始当初の条件のまま続けることができます。
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