住宅ローンの借入れでは、金利のタイプを選択することになります。しかし、実際のところ変動金利と固定金利どちらにしたらよいのかが悩みどころではないでしょうか?
ここでは、住宅ローンの金利について、変動金利・固定金利のポイントや注意点をご紹介します。住宅ローンを検討する際にお役立てください。
住宅ローンの金利の相場は?
住宅を購入する際多くの人が利用する住宅ローン。しかし、住宅ローンには金利がつきます。住宅購入費を借りるためにかかる金額なため、金利によっては月々の支払い額が大きく変わります。金利はなぜ変動するのでしょうか。金利が変動する理由から確認していきましょう。
金利はなぜ変動する?
金利は、景気や物価、為替などさまざまな経済情勢と結びついています。住宅ローンの金利も、世の中の経済の動きとともに変動していくものです。
世の中が好景気であればお金の循環はよい状態であるため、金利が高くても借入をする人は増加します。そのため、全体的に金利も上昇します。高くても購入する人がいれば、同じものでも値段はあがるというのと同じ理論です。
一方、不景気で物を購入しなくなったり投資が減ったりすると、お金の循環は悪くなります。金利が高いままだと借入する人も少なくなるため、金利も低くなります。
金利は、経済と深く結びつき変動するものです。住宅ローンを検討するなら、金利タイプなどもよく確認しておくことが大切になります。
変動金利と固定金利とは?どちらがおすすめ?
住宅ローンの金利には、大きく分けて2つのタイプがあります。
・固定金利タイプ
・変動金利タイプ
それぞれにポイントがあり、どんな人に向いているかも異なります。どちらが自分に向いているのかみていきましょう。
固定金利とは?どんな人におすすめ?
固定金利とは、住宅ローンの借入から完済まですべての期間において変動しない金利のことです。
そのため、金利が低いときに契約すると低金利のまま完済までいくということになります。つまり、経済の動きの影響を受けないということです。
毎月の返済額が変わることがないため、月々の出費の見通しがつきやすくなります。一方、全体的に利率はあらかじめ高く設定されている傾向にあります。
これは世の中の金利が上がるときが来ても、対応できるようにするためです。住宅ローンは長い期間をかけて返済していくもの。その間にも、世の中経済は変動します。
固定金利は、金利は多少高くても月々の返済額を一定にしたいと考える人に向いているといえるでしょう。
変動金利とは?どんな人におすすめ?
変動金利とは、住宅ローンの借入れから完済までの期間すべてにおいて金利が変動することです。経済の動きにともなって、利率が変わります。
一般的に固定金利より、利率は低い傾向にあります。しかし、ずっと低いままかというとそうではありません。経済の動きによって、低いときもあれば高いときもあります。そのため、金利が高くなっても対応できることが重要になります。
変動金利は、貯蓄などがあり金利が上がっても経済的な余裕がある人、借入金額が少ない、借入期間が短い人に向いているといえるでしょう。
住宅ローンの金利の推移について
金利は経済の動きと連動しているものです。経済は世界の情勢とも絡み合っているため、未来の金利を予測することは困難だといわれています。
これまでの金利の推移はこちらの表のようになっています。
※ 主要都市銀行のHP等により集計した金利(中央値)を掲載。なお、変動金利は昭和59年以降、固定金利期間選択型(3年)の金利は平成7年以降、固定金利期間選択型(10年)の金利は平成9年以降のデータを掲載。
※ このグラフは過去の住宅ローン金利の推移を示したものであり、将来の金利動向を約束あるいは予測するものではありません。
固定金利の推移
固定金利の推移をみると、変動金利より高い水準でグラフは上下をくり返しています。特に2003年が低いのに対し、2004年から2014年あたりでは比較的高くなっていることが確認できます。
固定金利は契約したとき金利で固定されるものです。そのため、タイミングによっては高い水準のまま完済までいくことになります。
ローン返済は長い期間をかけて返済していくものです。確実に完済するためには、契約のタイミングもかなり重要だといえるでしょう。
変動金利の推移
変動金利は、全体的に固定金利より低い水準にあります。また、特に2010年以降の約10年間に大きな変動はみられません。
グラフをみてわかる通り、金利は景気の動きとも連動しているものです。過去の金利と現在の金利の間には最大で約4倍ほどの違いがあります。
変動金利は、住宅ローンの借入期間中にも金利が変わります。金利を予測するのは困難なため、大きな変動が来ても対応できる備えが必要だといえるでしょう。
住宅ローンの金利は今後どうなる?
経済や金利を予測するのは困難です。しかし、金利を支払う以上今後どうなっていくのかも考えて心構えをしておくことは必要です。
先ほどの民間金融機関の住宅ローンの金利の推移をみていくと、今のところ変動金利には変動がないものの固定金利のグラフにはジグザグとした波があります。これには、マイナス金利政策が関係しています。
マイナス金利政策は日銀にお金を預けている金融機関の利息(金利)がマイナスになることです。金融機関は日銀にお金を預けると利息(金利)をを支払わなければならないことから、企業や投資への貸出を積極的に行おうとします。これにより、経済が活性化することが狙いです。
個人に直接影響が出るわけではありません。しかし、住宅ローンの固定金利は、日銀が金利誘導を行う長期金利が基準になります。
日銀がマイナス金利(金利を抑える政策)を取り続けるなら住宅ローンの固定金利は抑えられた状態になります。しかし、マイナス金利政策を撤廃した場合、固定金利も高くなる可能性があるというわけです。
金利別の返済額をシミュレーションするにはどうすればいい?
金利によって住宅ローンの月々の返済額がどうかわるのか、自分で計算することは可能です。しかし、「元利均等返済方式」か「元金均等返済方式」かによっても計算方法は異なります。
元利均等返済方式は、月々の返済額(元金+金利)が一定な返済方法です。一方、元金均等返済方式は一定の元金に、残った元金にかけられた金利をプラスして返済する方法です。
それぞれの金額は次の計算式で求められます。
〈元利均等返済方式〉
月々の返済額=借入金額×(利率/12)×(1+利率/12)返済回数÷(1+利率/12)返済回数-1
〈元金均等返済方式〉
月々の返済額=(借入金額÷返済回数)+(借入残高×利率×日数/365)
電卓を使うことで計算はできますが、労力も使うためExcelに関数を入れることでも計算できます。また、各金融機関でも簡単なシミュレーションができるようです。気になる場合は、いくつかのシミュレーターを使ってみるのもよいでしょう。
金利を比較して住宅ローンを検討する際の注意点
住宅ローンの支払総額は金利によって変わります。金利は低いものを選択したいところですが、ここにもいくつか注意しておきたいところがあります。
・審査基準
・手数料
・団体信用生命保険
これらは、住宅ローンを検討するなかで重要になってくるポイントです。1つずつ確認していきましょう。
①審査基準の注意点
住宅ローンの借入れでは、金融機関による審査があります。これは、借入した人が必ず返済できるかどうかを確認するためです。
審査には契約者の年齢や、健康状態などさまざまな項目があります。また、借入金額や借入期間も審査の対象です。
基本的に住宅ローンでは、返済比率と審査金利が金融機関によって独自に決められています。審査金利は審査の計算の際に使われる金利で、実際の金利より高く設定されているようです。そのため、借入希望金額によっては審査に通らない可能性があります。
そもそも金利の低い住宅ローンを選択したとしても、審査に通らなければ借入はできません。返済負担率と合わせて、実際に借入ができる金額、期間かどうかの確認が必要となります。
②手数料の注意点
住宅ローンの借入れ契約には、いくつかの手数料がかかります。
・事務手数料
・保証料
・司法書士へ支払う登記費用
借入れの事務手数料は、金融機関によって異なります。一律のところもあれば、借入金額に応じた割合になっていることもあるため、あらかじめ確認しておく必要があります。
保証料は、保証会社へ支払う費用です。保証料がかからない住宅ローンもありますが、その場合は事務手数料が割高になる可能性があります。住宅ローンを選択する際は事務手数料と保証料を合算して比較してみるとよいでしょう。
住宅ローンは住宅を購入するための借入れです。しかし、住宅購入費以外にも登記費用などがかかります。金利だけでなく、他の費用についても考えに入れておく必要があります。
③団体信用生命保険の注意点
団体信用生命保険(団信)とは、病気や事故などで住宅ローンの返済ができなくなったとき、肩代わりをしてくれる保険です。
この保険は基本的に年齢や性別による違いはありません。しかし、住宅ローンによって特約などの種類は異なります。どのような特約をそろえているか、金利以外の面も含めて検討していくことも大切です。
住宅ローンの借り換えは可能?
住宅ローンの借り換えとは、新たな住宅ローンを契約し現在の住宅ローンを一括返済することです。住宅ローンの借り換えは、基本的には可能です。
しかし、公的融資を利用している場合や、住宅を賃貸に出している場合、借り換えはできません。また、借り換えをしない方が良い場合もあります。
他にもいくつかのポイントがあります。
・タイミング
・メリット
・注意点
3つの点について確認していきましょう。
タイミングが大事
借り換えに適しているといわれているのは下記のようなタイミングです。
・返済残高1000万以上、残りの年数が10年以上
・更新で金利が上がった、返済中の住宅ローンより金利水準が下がった
・転職などで収入が変わる前
・ライフステージが変化した
金利は元金に掛けられて支払っていくことになります。返済残高が1000万円より少ない場合、借り換えをして金利が下がっても総返済額に大きな差がでないことがあります。また、返済期間が短くても同じことが考えられるでしょう。
金利の見直しや、経済の動きで金利水準が返済中の住宅ローンよりも下がるタイミングの方が、借り換えのメリットは大きくなります。
また、借り換えは新たな住宅ローン契約をすることになるため、審査が必要になります。勤続年数や収入などは審査の対象です。
転職の予定があるのであれば、その前に手続きを行う方が有利になります。また、子どもの成長などでライフステージが変化する場合も、家計の見直しとしてはよいタイミングでしょう。
借り換えの3つのメリット
借り換えのメリットとしては、下記の3つがあげられます。
・低金が上がった場合のリスク回避ができる
・月々の返済額・総返済額が減る
・団体信用生命保険の保障内容を増やすことができる
返済中の住宅ローンが変動金利の場合、金利が上がってしまうリスクがあります。借り換えで固定金利にすると、金利上昇の不安が解消されます。
さらに、返済金額も一定になることから、家計の見通しもつきやすくなるでしょう。借り換えで金利が低くなると、総返済額と月々の返済額を抑えることにもつながります。
また、団体信用生命保険は、ローン返済期間中の変更ができません。しかし、借り換えでは新たに住宅ローンを組むことになるため、団体信用生命保険についても欲しい保障を選んだり、増やすことができます。
借り換え時の3つの注意点
住宅ローンの借り換えには3つの注意点があります。
・借り換え手続きに費用がかかる
・住宅ローン残高・残りの年数・金利差
・変動金利の見直し
借り換えでは、新しい住宅ローンを組みなおすことになります。すると、借り換え手続きの費用も新たに発生することになります。手続き費用を含めても総返済額が抑えられる状態であることが大切です。
また、返済中の住宅ローンの残高や残りの年数が少ない、金利差が小さい場合、借り換えをしても大きなメリットにはつながらない可能性があります。残高が1000万円以上、残りの年数が10年以上、金利差1%以上だと借り換えのメリットは大きいというのが一般的です。
返済中の住宅ローンが変動金利の場合、金利の見直しによっては金利に大きく差が出ないことがあります。すぐに借り換えをするのではなく、金利の見直しを確認したあとに手続きをはじめた方がよいでしょう。
フラット35とは?
フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して運営する、全期間固定金利の住宅ローンです。
・フラット35の金利はいくらなのか
・フラット35の金利は何で決まるのか
上記の2点についてみていきましょう。
フラット35の金利はいくら?
フラット35には、借入れ期間が最長35年のもの、20年、50年とさまざまなプランがあります。また、新機構団信も用意されています。
2022年4月の借入金利水準は下記のとおりです。
〈取扱い金融機関が提供する金利の範囲〉
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下
融資率 |
金利の範囲 |
最も多い金利 |
9割以下 |
年1.440%~年2.540% |
年1.440% |
9割超 |
年1.700%~年2.800% |
年1.700% |
フラット35は、固定金利型の住宅ローンであるため契約から完済まで同じ金利が掛けられることになります。フラット35を利用している人のほとんどが年1.700%の金利となっているようです。
フラット35の金利は何で決まる?
フラット35の金利は、機構債の金利に住宅金融支援機構や金融機関の利益分の金利を上乗せして決定されるものです。
機構債は、機構債は、日本の長期金利と機構債のローンチスプレッドを合わせて計算されています。このローンチスプレッドは住宅金融支援機構のサイトで確認することができます。
フラット35の金利のベースとなるのは機構債です。また、機構債も日本の長期金利が関係しているため、現在の金利は低く抑えられています。
難しく感じる言葉が多く出てきますが、フラット35の金利も日本の長期金利などの経済と深く結び付いていることがわかります。
自分に合う金利の住宅ローンを選択しよう
住宅ローンは、長期的に返済していくものです。そのため、生活の負担にならないようにしておく必要があります。
日常の中で物価に目を向けることはあっても、経済全体に目を向ける機会は少ないかもしれません。しかし、金利は国の経済や政策と深く結びついているものです。
金利は総返済額や月々の返済額を左右します。固定金利がよいのか変動金利がよいのかは人それぞれ。しかし、どちらにも共通しているのは、タイミングの重要性です。
長期的な目線に立ち、タイミングを逃さないように住宅ローンを選びましょう。低金利のタイミングなら、返済の負担も軽減できるはずです。
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