不動産を購入・売買する際に気になるのは「その不動産にどのくらいの価値があるのか」ではないでしょうか。家や土地などの不動産の価値は、一般的に「評価額」と言われています。しかし、評価額にはいくつかの種類があり、混同されやすいのが難点です。
今回は、不動産の価値をあらわす評価額の1つ、固定資産評価額について解説していきます。
固定資産評価額とは?
自宅を持つと必ず課税される固定資産税。その税額をきめる基準価格となるのが今回お伝えする固定資産評価額(固定資産税評価額)です。各市町村が国が定めた固定資産評価基準に基づいた評価を行い、評価額を決定しています。
評価を行うのは3年ごとに1回、その年の1月1日です。決定した評価額は、土地や家のさまざまな情報とともに、市町村で管理している固定資産課税台帳に記載されています。
また、著しい地価の下落があった場合や、新築・増築など、評価を見直すべき事情があった際は、3年を待たずに評価を行うケースもあります。
>>プロフィールはこちら
固定資産税の計算に使われる
固定資産評価額が分かれば、固定資産税が計算できます。市町村によって異なる場合もありますが、一般的には次のような計算式です。
・固定資産評価額×税率1.4%
例えば、固定資産評価額が800万円であるなら、固定資産税は112,000円となります。
固定資産評価額は、固定資産税だけでなく、都市計画税や不動産取得税、登録免許税など、家や土地に関するさまざまな税金の額を決める基準となるものです。
各市町村によって評価されて決まる
市町村は、土地や家の評価方法を定めた国の基準、「固定資産評価基準」に沿って確認します。各自治体の固定資産評価員が評価しますが、その評価方法は家と土地で異なるので注意しましょう。
土地 |
公示価格の約70%を目安に、道路への接し方や形状から細かく調査する。 |
建物 |
再建築価格を用いた計算で評価額を決定する。再建築価格に経年劣化分を補正するため、一般的には再建築価格の50~70%が建物の評価額になるといわれている。 |
※公示価格:一定の地域のなかで「標準地」を選定し、指標となる価格を算出したもの。国が1年に1度調査している。
※再建築価格:同じ物件を再建築した場合に、どのくらい費用がかかるのかを示したもの。
購入する家の固定資産評価額を知りたいときは?
これから不動産を購入する方のなかには、固定資産税がどのぐらい掛かるのか知りたい方もいるのではないでしょうか。固定資産税を知っておくと、住宅ローンや光熱費などと合わせて、購入後の家計が予測しやすくなります。
固定資産税を決める基準となる固定資産評価額を、購入前に把握できる方法はあるのでしょうか。
新築物件を購入する場合
土地だけがある状態で新築の購入を検討する場合、家の固定資産評価額は建ったあとの調査で決定するため、正確な額を知るのは難しいでしょう。
近隣のモデルルームやモデルハウスで確認することで、目安となる額が分かるかもしれません。しかし、あくまでも目安であるため、実際に購入した不動産の評価額とは異なる可能性があるとおさえておきましょう。
中古物件を購入する場合
中古物件の場合は、すでに土地と建物の両方が存在しているので、固定資産評価額が決まっています。もし気になる物件があり、固定資産評価額を聞きたい場合は、不動産の仲介会社に確認してみるのがおすすめです。
自分の家の固定資産評価額を知りたいときは?
不動産の売買や相続などで、自分の家の固定資産評価額を把握したいケースもあるかと思います。
固定資産評価額を知る方法はいくつかありますので、把握しておきましょう。
「課税明細書」を見る
家や土地を所有していると、毎年5~6月ごろに納税通知書が届きます。その納税通知書に同封されているのが「課税明細書」です。
参照:大阪府 堺市
参照した堺市の課税明細書では、⑭にあたる項目が評価額です。家と土地を両方所有している場合、それぞれ別に評価額が決定していることが分かりますね。
課税明細書の書式は各市町村によって異なりますので、お住いの地域の明細書をよくご確認ください。
国土交通省のサイトで調べる
固定資産評価額は、国土交通省が運営するサイト「土地総合情報システム」でも検索できます。このサイトでは、地価公示や都道府県地価調査での評価額を確認できます。
土地の固定資産評価額は地価公示の約70%を目安に決定されているため、自宅からおおよその評価額を調べたい時におすすめです。なお、地価公示や都道府県地価調査は1年ごとの評価ですが、固定資産評価額は原則として3年ごとの見直しであることにご注意ください。
固定資産課税台帳を閲覧する
固定資産評価額は、各市町村で作成している「固定資産課税台帳」でも閲覧可能です。固定資産課税台には、土地や家屋の所在地をはじめ、床面積や所有者などが登録されています。
また、固定資産課税台帳に登録されている内容を書類として持ち歩きたい場合は「固定資産評価証明書」の交付を申請しましょう。
>>プロフィールはこちら
家の床面積が同じでも金額が違う?固定資産評価額はどう決まる?
床面積が同じであっても、固定資産評価額は家ごとに異なります。どのような要素によって評価額が決まるのでしょうか。
一般的に、コストのかかった住宅ほど固定資産評価額も高くなります。家の構造や建材、設備の質など、さまざまなポイントが判断基準となるといわれています。具体的には、木造よりも鉄筋コンクリート造の方が高くなる、古い方のキッチンより最新式の方が高くなるといったものです。設備一つひとつの品質や大きさ、数などが評価額に影響を及ぼします。
では、マンションと木造の一戸建てで比べるとどうでしょうか。
土地の評価額が同じで、購入価格が同じであるケースを比べると、マンションの固定資産税の方が高い傾向があります。木造と鉄筋コンクリートといった構造の違いもありますが、一番の違いは購入価格に対する土地と建物の比率です。
マンションの場合、敷地面積を戸数で割ったぶんが自分の所有区分とみなされるため、購入金額に占める土地の比率が小さくなっています。また、一戸建てよりも経年による劣化が遅く、固定資産税の額が高いままの状態が続きやすいという特徴をおさえておきましょう。
固定資産評価額を理解して売買を進めよう
今回の記事では、固定資産税の基準となる固定資産評価額について解説しました。固定資産評価額はこれから今後不動産の売買をする方、今住んでいる物件にかかる税金の計算方法が知りたい方にとって重要な情報といえます。
実際の不動産売買では、売り手と買い手のバランスを考慮した時価となっているケースが多いものの、固定資産評価額を知っておくことで売買を決める根拠の1つになるでしょう。不動産の取得の際には、ぜひ固定資産評価額もご参考ください。
■個別相談
不動産の購入や売却、リノベーションに関することなどを個別でご相談いただけます。
こんな方におすすめ:
・住み替えを検討中の方
・理想の物件・間取りが見つからない方
・リノベーションに興味がある方
■チャットで気軽に相談
wednesdayに会員登録いただくと、コンシェルジュにいつでも気軽にチャットでご相談いただけます。会員登録はもちろん無料です。