新築を購入される際に、和室を検討する方も多いのではないでしょうか。
日本では昔から客間として使われてきた和室ですが、現在は使い方もさまざまです。
そこで、この記事では和室の活用方法や選び方について詳しくご紹介していきたいと思います。
和室の最適な間取りや知識を深め、快適な家づくりの参考にしてみてください。
そもそも和室は何のためにある?
和室はもともと、お客さまをもてなす「客間」として使われていました。
リビングが散らかっていても和室であれば急な来客に対応できますし、親や親戚が訪ねてきた場合は泊まってもらうこともできますね。
ほかにも、家事スペースとして活躍していました。
畳なので床が柔らかく、座って洗濯物を畳んだりアイロンがけをしたり、一時的に作業をするのにぴったりなスペースなのです。
近年では和室の使い方も多様化し、子どもの遊び場やくつろぎのスペースとして使われることも多くなりました。
長く愛される和室には使い勝手の良さがあるのではないでしょうか。
和室のある家はどのくらいの割合である?
生活の欧米化に伴って、海外の伝統を用いたインテリアを取り入れる家庭が増えています。
そのため、和室を取り入れた家が少なくなっているというイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
調査によると、戸建て住宅では約70%、集合住宅では約63%の住宅に和室があったことがわかりました。(参照:一般社団法人日本家政学会研究所発表要旨集 住宅における和室の配置と使用状況について)
とはいっても、年々和室離れは進んでおり4人に1人の割合で畳とは無縁の生活を送っていることがわかっています。
しかし一方で、和室を設けた世代の割合は意外にも20代が一番多く、若い人ほど和室に関心があるようです。
和室を客間として使うのではなく、家事や子育てをするスペースとしての需要が高いと考えられます。
和室の基礎知識
日本人の暮らしに大きく関わってきた和室ですが、夏は涼しく冬は暖かく、日本の気候に合わせて快適に暮らすための知恵が詰まった昔ながらの伝統でもあります。
使い方は多様化してきましたが、和室にも様々な構造があり、名称があるのです。
和室に触れる機会が減ってきたからこそ、和室を構成する要素についてご紹介します。
構造名称 |
概要 |
床の間 |
和室の中でも一段高くなっていて、掛け軸や生け花、置物を飾っている。 床の間は和室の顔ともいわれていて、和室全体の印象を大きく変える重要な場所。 |
仏間 |
仏壇や位牌を置くスペース。 仏さまやご先祖様と向き合う空間を持つ役割があり、昔はご先祖様を祀るために香炉や掛け軸が置かれていた。 |
欄間 |
和室と廊下、部屋などの境目に設けられている。 透かしや装飾を施した板をはめ込んでいて、光や風を通すだけでなく視覚的にも日本の伝統を感じることができる。 |
長押 |
柱と柱を水平に繋ぐ部材。 もともと構造を支えるための柱で、工法の変化によって現在は装飾材となった。 |
鴨居 |
開口部の上の横材のことで、襖や障子といった建具を支える役割。敷居の溝とセットになっていて、建具をスライドさせるために鴨居の溝は深くなっている。 |
敷居 |
開口部の下に横向きで設置されている建材。 敷居は家と外の境界線という意味があり、昔の玄関は引き戸が多かったために「敷居をまたぐ」などという言い回しが生まれた。 |
小壁 |
鴨居や長押よりも上にある天井との間の壁。 また、小さな壁のことを小壁という場合もある。 |
和室のある間取りの種類と特徴
和室を設けようと決めたものの、難しいのは和室の位置ではないでしょうか。
誰もが行き来できるスペースとしてリビングの横に設けるのか、それとも完全に独立した部屋として和室を設けるのか、自分の用途に合った間取りと種類を選ぶことが大切です。
和室のある間取りや種類、特徴について詳しくお伝えしますので、参考にしてみてくださいね。
独立和室
壁や扉を取り付けたり、部屋と和室に廊下があったり、完全に孤立した和室の間取りのことを「独立和室」と言います。
その名の通り、独立しているため万が一リビングが散らかっていてもお客さまを直接和室に案内することができるのです。
また、生活音が聞こえにくく静かな空間として使うことができます。
客間として使うのはもちろんですが、読書をしたり心を落ち着かせたりする場所にも最適です。
リビング横
リビングのすぐ隣に和室がある間取りのことです。
扉があれば個室としても使えますが、たとえばリビングに来客がある場合、一時的に物を置いて隠すという使い方もできます。
また、子どもがハイハイしたりお昼寝したり、家事をしながら子どもの様子を確認できるのも嬉しいですね。
ほかにも、リビングの延長として使うことができるためホームパーティーの際にも使い勝手が良いのではないでしょうか。
その他
リビングなどの床よりも高くなっている和室を「小上がり和室」と言います。
近年では段差部分を高くして、収納を設ける間取りも増えているそうですよ。
小上がり和室は若い世代に人気で、赤ちゃんのおむつ替えや休憩するときの椅子代わりに使うこともできるのでとても便利です。
また、部屋に奥行きが出るため広くておしゃれな雰囲気を演出することができるのも小上がり和室の特徴でしょう。
和室のある間取りのメリット
和室を設けない家庭が増えていますが、和室の使い道はさまざまです。
落ち着いた雰囲気と日本の伝統を感じることができる和室は、生活する上でのメリットもたくさん存在します。
そこで、和室の間取りのメリットを詳しく見ていきましょう。
<和室のある間取りのメリット>
- 幅広い使い方ができる
- 湿度を調整する効果がある
- 収納が増える
①幅広い使い方ができる
和室は洋室よりも幅広く、さまざまなシーンで活躍します。
洋室はフローリングなので床が硬く、寝転んだり一休みするにも快適とは言えません。
しかし、畳であれば子どもを寝かせたり昼寝をしたり座って家事をしたり、自由で快適なスペースになるのです。
特に物を置かなくても和室さえあれば快適でさまざまな使い方ができるため、ライフスタイルに合わせて使い方を変えるのもいいですね。
②湿度を調整する効果がある
和室といえば、畳ですよね。
畳には「い草」が使われていて、湿気を吸収してくれる作用があるのです。
反対に、部屋が乾燥していると湿気を放出してくれるため、湿度を快適な状態で保ってくれます。
そのため、夏は涼しく冬は暖かく、一年を通して快適な空間を作り出してくれるのが和室のメリットだと言えるでしょう。
③収納が増える
和室を設けることで収納スペースを増やすこともできます。
和室に押入れを設置すれば、大容量の洋服を収納することが可能です。
洋室はクローゼットになっていますが、押し入れであればクローゼットよりも奥行きがあるため、かさ張る羽毛布団や毛布を収納するのにもおすすめだと言えます。
来客用の布団を収納しておけば、親や友達が泊りに来た際もスムーズにもてなすことができるのではないでしょうか。
和室のある間取りのデメリット
和室には数多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
快適で便利な和室ですが、デメリットもしっかりと把握しておくことが大切でしょう。
和室のデメリットはどのようなものがあるのか、詳しくご紹介します。
<和室のある間取りのデメリット>
- 手入れが大変
- 家具の跡が付きやすい
- スペースが狭くなる
①手入れが大変
和室の一番のデメリットと言えるのが、畳の手入れが大変なことです。
畳は基本的に傷つきやすく、汚れやすい素材で出来ているため小さなお子さんがいる家庭では特に注意が必要でしょう。
たとえば、ジュースをこぼしてしまった場合、フローリングであればさっとふき取ることができますが、畳の場合はすぐに染み込んでしまいます。
そのため、シミになりやすく何年かごとに畳を入れ替える必要があるのです。
とはいっても、近年では昔ながらのい草ではなく、汚れが付きにくく手入れが簡単なポリプロピレン樹脂で出来た畳も増えているため、和室を楽しむことはできますよ。
②家具の跡が付きやすい
畳に置いてあった家具を動かしてみると、くっきりと跡が付いていることがありますよね。
畳の表面は柔らかいため、重たい家具を長時間置くことで跡が付いてしまうのです。
なるべく長時間同じ場所に家具を置かない方がいいのですが、もし跡が付いてしまった場合はしっかりと対処することで元通りになります。
跡の上に絞ったぞうきんを置いて、その上からアイロンをかけて乾燥させるとほとんど目立たなくなるでしょう。
また、跡が付かないためのグッズも販売されているので、気になる方はぜひ購入を検討してみてください。
③スペースが狭くなる
和室を取り入れることで他の部屋が狭くなってしまうというデメリットがあります。
和室の間取りをどこに設置するかによっても変わってきますが、リビングや他のスペースが狭くなる可能性は高いでしょう。
そのため、和室をどれくらいの頻度でどのように使うのかしっかりと決めておくことが大切です。
せっかく和室を設けたのに使用頻度が低く、思ったよりも使い勝手が悪いと感じると、和室のスペースがもったいなく感じてしまうのではないでしょうか。
和室の使い道をしっかりと決めておけば、後悔することなく快適に使うことができますよ。
和室の活用法
先ほどもご紹介しましたが、和室には他にもたくさんの活用法が存在します。
ライフスタイルに合った使い方をしたり、趣味の部屋に使ったり、ご自分に合った和室の使い方を見つけることが重要です。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
<和室の活用法>
- おしゃれな書斎
- 便利な客間
- 子どもと過ごしやすい寝室
①おしゃれな書斎
近年では、和室をおしゃれな書斎にするのが流行っています。
床の間に机を座椅子を置いたり、和風な机を置いて座布団を敷いたり、隠れ家のような落ち着いた雰囲気の書斎は和室と相性抜群です。
また、夜は静かに読書を楽しむために暖かい色合いの照明を置くのもおすすめ◎
在宅ワークにも最適ですね。
おしゃれでほかの部屋とは違った雰囲気作りも魅力的なのではないでしょうか。
②便利な客間
昔ながらの代表的な和室の使い方が、客間です。
そんな客間のインテリアですが、あえてソファを置いたり洋風な家具を置くことでワンランク上のおしゃれを楽しむことができますよ。
和室という形にとらわれず、こだわりが詰まった客間にするとお客さまにも喜ばれるのではないでしょうか。
おしゃれな家具やインテリアを飾って、誰でも気軽にくつろげる空間にすれば、お客さまだけでなく家族ものんびりと過ごすことができますね。
③子どもと過ごしやすい寝室
和室を寝室にする方が増えています。
特に、小さなお子さんがいる家庭では子どもと一緒に和室で寝るというスタイルが人気です。
畳にはリラックス作用がありますが、小さな子どもにとってはフローリングのような硬めの床よりも畳の方が快適に感じるでしょう。
万が一転んでも、畳であればケガの心配も少なくて済むので両親にとっても安心ですね。
和室のある家を選ぶ際の注意点
新築住宅で和室を設ける場合は特に問題ないのですが、和室がある賃貸物件を選ぶ際は注意が必要です。
というのも、もともと和室が付いている場合自分の思い通りの設計ではない可能性があり、住んでみて後悔するパターンも決して少なくはありません。
そこで、和室を選ぶ際の注意点についてまとめてみました。
<和室のある家を選ぶ際の注意点>
- 何畳くらいがいい?
- 方角に注意!南向きはよくない?
- ベッドは置ける?
①何畳くらいが良い?
和室の広さは、最低4.5畳~6畳あれば充分なスペースが確保できると言われています。
しかし、スペースが限られている場合は3畳程度に設定する人も少なくありません。
少し小さめではありますが、どんな用途で使うのかがとても大切なポイントになります。
ライフスタイルに合わせて和室の活用法を考え、それに見合った広さの間取りを設定すると後悔なく快適に過ごせるのではないでしょうか。
②方角に注意!南向きはよくない?
和室を設ける際に注意したいのが、方角です。
結論から言うと、和室を設けるのであれば北側が望ましいでしょう。
南側は日当たりが良く、開放的なイメージがありますが、実はデメリットが多く存在するのです。
南側に和室を設けると、道路からの視線を遮断するために外構工事が必要となり、さらに日当たりがいいからこそ畳の劣化を早めてしまうというデメリットがあります。
比較的若いうちはいいのですが、年を重ねると和室の活用法も変化し、日が当たらない落ち着いた部屋の方が過ごしやすく感じることもあるのです。
和室を設ける際はなるべく北側に設計するようにしてくださいね。
③ベッドは置ける?
和室にベッドを置くことは可能です。
ただし、こちらもいくつかの注意点があります。
先ほどご紹介したように、畳は物の跡が付きやすいためベッドを置くと跡が付くだけでなくへこんでしまうことも考えられるのです。
さらに、かなり重たいので頻繁に場所移動ができず置きっぱなしになってしまうことを想定しなければなりません。
また、ベッドを置くことで畳に湿気がこりやすくなり、いくら湿気を吸収してくれる畳でもカビやダニの原因になる可能性が高いと言えるでしょう。
しかし、ベッドの下に「コルクマット」や「ジョイントマット」を敷けば畳に跡が付く可能性も低く、カビやダニも発生しにくくなります。
ベッドを置く際はよく検討してみてくださいね。
デメリット対策をして和室を作る
住宅を購入する際や賃貸物件を選ぶ際に和室を設けるかどうかはとても悩んでしまいますよね。
和室にはたくさんの魅力がある反面、手入れの大変さやほかの部屋とのバランスなども考えなければなりません。
しかし、デメリットも対策をすれば和室を設けるメリットの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
日本の伝統ともいえる和室について、ご家族でたくさん話し合って検討してみてくださいね。
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