住宅ローン控除は入居日などによって適用される年数が違います。自分は何年間受けることができるのか気になる人も多いでしょう。
そこで今回は、入居日や住宅の種類による控除期間の違いや、住宅ローン控除の適用条件について解説します。
基本的な仕組みを理解して、上手に住宅ローン控除を利用しましょう。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して居住用の住宅を購入した場合に、ローンの借入残高に応じて、所得税や住民税の一部が控除される制度です。
1年目は確定申告をすることで、2年目は職場の年末調整で手続きをすると、該当分の金額が返ってきます。
よく「家を買ったから年末調整でお金が戻ってきた」というのは、この住宅ローン控除の制度を利用しているからです。
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住宅ローンの控除期間は入居後10年?13年?どっち?
住宅ローン控除は、利用できる期間(控除期間)が決まっています。
制度を利用している人の中には、控除期間が10年という人もいれば13年という人もいます。この違いはどこからきているのでしょうか。
入居日によって異なる
住宅ローン控除制度は数回に渡り改正されていて、入居した時期がいつなのかによって控除期間に違いがあります。
入居日 |
控除期間 |
2007年1月1日~2008年12月31日 |
10年・15年の選択制 |
2009年1月1日~2019年9月30日 |
10年 |
2019年10月1日~2022年12月31日 |
13年 |
2007年と2008年に入居した場合は、10年か15年かを利用者が選ぶことができました。10年と15年とでは控除率に違いがあり、借入金額などと照らし合わせ、自分に有利なほうを選ぶ形です。
2009年~2019年9月の間に入居した場合の控除期間は10年間です。ただし最大控除額が年によって違うので、この期間に入居していれば同額が返ってくるということにはなりません。
2019年10月からは、消費税が増税されたことを受け、10%の消費税で住宅を購入し2020年12月末までに入居した場合は、控除期間が13年になりました。
その後、2022年の改正によって、入居時期が2022年12月末までに延長されています。
いつまでに入居?契約から6か月以内が条件
住宅ローン控除の適用を受けるための要件のひとつとして、購入から入居までの期間が決められています。
それは、「新築または取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。」です。
工事が完了した日もしくは契約をした日から、6か月以内に入居を開始する必要があるということになります。
2019年10月の消費税増税で控除期間が10年→13年に延長
2009年から、住宅ローン控除の控除期間は10年間でした。しかし、2019年10月に消費税が10%に増税されたことを受けて、次の2つの要件を満たした場合、特例措置として控除期間が13年に延長されました。
- 消費税10%が適用される住宅を購入した場合
- 2019年10月から2020年12月31までに入居した場合
2022年の住宅ローン控除制度の改正では、この13年の控除期間を引き継ぐ形で、新築住宅・買取再販住宅の控除期間が13年になっています。
特別措置の期間が2022年12月31日入居までに延長
2022年の住宅ローン控除制度の改正では、控除期間についての変更もありました。従来、控除期間は最大10年とされていましたが、改正により、新築住宅・買取再販(※1)について10年から13年に延長されました。
ただし、認定住宅等(※2)以外の住宅については、2024年以降の入居からは控除期間が10年となります。
※1 不動産会社などが買い取った中古住宅をリフォームなどをして販売している物件
※2 認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅
契約期限に注意
13年の控除期間が適用されるのは、次の2つが該当するケースです。
- 契約期限:2021年11月30日まで
- 入居期限:2022年12月31日まで
入居期限は2022年12月31日ですが、契約期限は2021年11月30日ですので、間違えないように注意が必要です。
改正後に住宅購入する場合は?
2022年の住宅ローン控除制度の改正では、戻ってくる金額に影響のある部分が大幅に変更となっています。
控除率、控除期間は控除される税金の額に影響するものなので、従来の制度と大きく変わったのはどんな点かを確認しておきましょう。
控除率は1%→0.7%に
控除率とは、住宅ローンの借入残高に対して控除される税額の割合です。従来、控除率は1%でしたが、改正により0.7%に変更されました。
例をあげて考えてみましょう。
年末のローン残高が3,000万円の場合、控除される税金の額は次のようになります。
- 控除率1%の場合:3,000万円×1% = 30万円
- 控除率0.7%の場合:3,000万円×0.7% = 21万円
控除率が変更されたことにより、控除額にこのような違いが生じます。
中古住宅(1982年以降に建築)は控除期間が10年に
中古住宅の適用条件が緩和されたことも大きな改正点のひとつです。
改正前は、耐火住宅は築25年以内、非耐火住宅は築20年以内という条件があり、これに当てはまらない場合は証明書類の提出が必要でした。
しかし、2022年の改正により中古住宅の適用条件が緩和され、1982年以降に建てられた住宅が対象となりました。
中古住宅を購入する人にとっては、適用範囲が広がり、住宅ローン控除制度を利用しやすくなったといえます。
ただ、控除期間は10年で、新築住宅と異なります。
新築住宅の控除期間は種類で異なる
新築住宅・買取再販の控除期間は、住宅の種類によって控除期間が異なります。
- 長期優良住宅・低炭素住宅/ZEH(※1)水準省エネ住宅/省エネ基準適合住宅:13年
- その他の住宅 :13年・2024年以降入居の場合は10年
※1:ZEHは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語。「家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家」を意味します。
新型コロナウイルスによる影響はある?
住宅ローン控除の適用については、新型コロナウイルスの影響で入居が遅れた場合に対して救済措置がとられています。
住宅ローン控除を適用要件として、「新築または取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。」というものがあります。
従来、消費税増税の特例措置として、控除期間が13年に延長された特例を適用するには2020年12月末までに入居していることが条件でした。しかし、新型コロナの影響を考慮して、入居が遅れても次の条件を満たしていれば、2021年12月末までに入居すれば特例措置の対象となります。
(1)一定の期日までに契約が行われていること。
・注文住宅を新築する場合:2002年9月末
・ 分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:2020年11月末
(2)新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響によって、注文住宅、分譲住宅、既存住宅又は増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと。
住宅ローン控除の注意点
住宅ローン控除は、ローンを利用して住宅を購入すれば誰にでも適用されるものではありません。
適用を受けるには、年間所得や限度額といった一定の条件を満たしている必要がありますので、主な注意点を確認しておきましょう。
①住宅ローン限度額がある
住宅ローン控除は借入限度額が決められています。限度額は住宅の種類によって異なります。
~2021年 |
2022~2023年 |
2024~2025年 |
||
新築住宅 買取再販 |
認定住宅 |
5,000万円 |
4,500万円 |
|
ZEH |
4,000万円 |
4,500万円 |
3,500万円 |
|
省エネ住宅 |
4,000万円 |
3,000万円 |
||
その他住宅 |
3,000万円 |
0円 |
||
中古住宅 |
認定住宅 |
3,000万円 (2023年までに新築の建築確認がされている場合2000万円) |
||
その他住宅 |
2,000万円 |
②最大控除額は住宅の種類によって異なる
住宅ローン控除の控除期間は借入限度額は、住宅の種類によって違いがあります。フルに活用した場合、トータルの控除額にどれくらいの差があるのかを見てみましょう。
控除期間 |
借入 上限額 |
1年間の 控除額 |
トータルの 控除額 |
||
新築住宅 買取再販 |
認定住宅 |
13年 |
5,000万円 |
35万円 |
455万円 |
ZEH |
4,500万円 |
31.5万円 |
409.5万円 |
||
省エネ住宅 |
4,000万円 |
28万円 |
364万円 |
||
その他住宅 |
3,000万円 |
21万円 |
273万円 |
||
中古住宅 |
認定住宅 |
10年 |
3,000万円 |
21万円 |
210万円 |
その他住宅 |
2,000万円 |
14万円 |
140万円 |
ローン借入額が3,000万円を超えている場合、新築住宅のトータルの最大控除額は、認定住宅>ZHE>省エネ住宅>その他(一般)住宅の順になります。
③所得要件がある
従来、住宅ローン控除を適用するには、年間所得が3,000万円以下であることという所得要件がありましたが、2022年の改正により「年間所得2,000万円以下」に変更されました。
また、住宅ローン控除には床面積要件もあり、基本的には50㎡以上の住宅について適用されます。しかし、2023年までに建築確認がされた新築住宅については40㎡に緩和されています。
この40㎡以上の床面積要件を適用する場合は、年間所得が1,000円以下であることが求められます。
住宅ローン控除の申告に間に合わない!そんな場合は?
住宅ローン控除の適用を受けるには、初年度は確定申告をする必要があります。
確定申告の提出期間は、原則として毎年2月16日~3月15日までの1ヶ月ですので、この期間に忘れずに申告を行うのが一番です。
しかし、万一確定申告を忘れてしまった場合でも、5年以内に申告をすれば住宅ローン控除を受けることができます。
ただ、ひとつ注意したいことがあります。
住宅ローン控除は所得税から控除しきれない場合、翌年の住民税から控除される仕組みです。しかし、本来確定申告すべきだった年に申告を忘れて後から申告した場合には、住民税からの控除が受けられなくなります。
確定申告の期日は前々から分かっていますので、期日に間に合うように早めに書類の準備を進めましょう。
新型コロナウイルスによって入居が間に合わない場合はどうする?
住宅ローン控除を適用するには、工事が完了した日もしくは契約をした日から、6か月以内に入居を開始する必要があります。しかし、新型コロナウイルスの影響で入居が遅れた場合には、救済措置がとられています。
従来の控除期間13年の特例を受けるには2020年12月末までに入居していることが条件でした。しかし、新型コロナウイルスの影響を考慮して、入居が遅れても条件を満たしていれば、2021年12月末までに入居すれば特例措置の対象となります。
救済措置を利用するには、入居が遅れたことを証明する書類「入居時期に関する申告書兼証明書」を作成して確定申告時に提出します。
入居時期以外の条件
住宅ローン控除は、ローンの借入をして住宅を購入すれば誰にでも適用できるわけではなく、満たすべき条件があります。
入居時期もそのひとつですが、ほかにはどんな条件があるのか、新築住宅、中古住宅それぞれについておさらいをしておきましょう。
新築住宅
新築住宅を購入した場合の、住宅ローン控除適用のおもな条件は次の通りです。
居住用の住宅であること
購入してから6ヶ月以内に居住を開始し、申請する年の12月31日まで継続して居住していることが必要です。
床面積が50㎡以上
対象住宅の床面積が50㎡以上あることが必要です。ただし、新築住宅の場合、2023年までに建築確認を受けたものは40㎡までに緩和されます(合計所得金額が1,000万円以下に限る)。
年間所得が2,000万円以下であること
2022年度の改正により、所得の条件が3,000万円以下から2,000万円以下に変更されました。
住宅ローンの借入期間が10年以上あること
住宅ローンの借入期間が10年未満の場合は、住宅ローン控除が受けられません。
繰上げ返済をしたことで、借入開始日から返済完了日までが10年未満となった場合にも、住宅ローン控除は適用されなくなります。
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などを受けていないこと
居住した年と前後の2年間に居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などを受けていないことが条件となります。
中古住宅
中古住宅の場合は、新築住宅の条件に加え、建物の築年数に条件があります。
1982年以降に建築された住宅であること
住宅ローン控除制度の改正前は、耐火住宅は築25年以内、非耐火住宅は築20年以内という条件があり、これに当てはまらない場合は証明書類の提出が必要でした。
しかし、2022年の改正により中古住宅の適用条件が緩和され、1982年以降に建てられた住宅が対象となりました。
住宅ローン控除制度は改正されたので注意しよう
住宅ローン控除とは、ローンを利用して住宅を購入した場合に、所得税や住民税が控除される制度です。何年間に渡って控除が受けられるかという「控除期間」は従来10年でしたが、消費税増税のタイミングで13年に延長の特例措置がとられています。
2020年の制度改正ではそれを引き継ぐ形で新築住宅・買取再販住宅の控除期間が基本的に13年となりました。
入居時期は、工事が完了した日もしくは契約をした日から6か月以内の必要がありますが、新型コロナの影響で入居が遅れた場合には特例措置があります。
住宅ローン控除を受けるには初年度は確定申告を行う必要があります。万一忘れてしまっても5年以内に申告をすれば控除が受けられますが、住民税からの控除はできなくなりますので注意しましょう。
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