マンションの管理組合とはどんな組織でどのようなことを行っているのか、疑問に思う人も多いですよね。
この記事ではマンションの管理組合について、役割やトラブルの事例などを詳しく解説します。マンションを購入すると必ず加入する必要があるため、ぜひ参考にしてみてください。
マンションの管理組合とは?
マンション管理組合とは、分譲マンションの購入者(区分所有者)の全員で構成される、マンションを維持・管理するための組織です。
主な活動内容には、管理規約の作成や共用部分の管理、管理費・修繕積立金の徴収と管理といったものがあります。また、月に1回程度理事会を開催し、マンション内のさまざまな問題の解決に向けて話し合いを行います。
各担当は何をするの?役員別に紹介
マンションの管理組合にはいくつかの担当があり、マンションによって異なる場合もありますが、一般的には次のような担当があります。
・理事長
・副理事長
・会計担当理事
・監事
・防災担当理事
それぞれの担当がどのような業務を行うかを解説していきます。
理事長の業務内容
管理組合を代表する立場として、中心となって業務を行います。理事会や総会を開催してマンション内の問題の解決に努め、住民の代表として問題に向き合い決議を下すのが仕事です。
住人から直接相談を受ける窓口となったり、外部との渉外活動を行ったりと、多方面のかけ橋としての役割もあります。
副理事長の業務内容
主に理事長の補佐や、理事長が不在時に代行して業務を行う役割を担います。普段のサポートに加え、理事長が転居などで退任する場合には、副理事長が理事長の職務を行わなければなりません。
また、仕事の多い理事長に代わって、副理事長が地域の行事や会合に出席するルールを設けている管理組合もあります。他にも「マンションの防火管理者」を副理事長に任せるケースも多いです。
会計担当理事の業務内容
管理費などの出納、保管、運用、支出といった会計に関する業務を行います。具体的な業務内容としては、管理組合の現金や通帳の管理、収支報告書をはじめとした会計資料作成などです。
業務内容によって管理会社が代行する場合もありますが、自主管理のマンションの場合は管理組合で督促業務や管理費などの滞納の管理をすることもあります。
監事の業務内容
管理組合の業務の執行状況や財産を監視する役割を担います。管理規約や総会での決議に従った運営がされているか、点検・工事・清掃が事業計画通りにされているか、会計が適切であるか、といったことをチェックするのが主な仕事です。
管理組合の業務を監視する立場であるため、理事との兼任はできません。また、理事会の承認を得ずに臨時総会を開催する権限もあります。
防災担当理事の業務内容
マンション内の防災対策に関する企画・運営を行う役割を担います。防災マニュアルの作成や改定、避難訓練の実施、防災用具や備蓄品の準備など、非常事態を想定してさまざまな対策を行うのが主な仕事です。
実際に災害などが起きてしまった場合、本部を設置して被害状況や安否の確認、居住者へのアナウンスなどを行います。
管理組合以外の住民はどうなる?
管理組合の役員ではない住民は、役員ではないからといって何もしなくていいわけではありません。
マンションの管理業務の執行は民主主義で行われます。役職のない住民も毎年1回必ず行われる「定期総会」や、必要に応じて随時招集される「臨時総会」に出席する必要があります。
決議の際には議決権総数の半数以上の出席が必要です。出席できない場合は委任状の提出も有効ですが、住人の大半が理事長に一任するような状況では管理組合が十分に機能しなくなってしまいます。
管理費や積立金の使用状況やマンションの管理の現状などに対して関心を持ち、住民それぞれが意見を述べたり意思表示をしたりすることが大切です。
管理組合と管理会社の役割の違いは?
管理組合はマンションの区分所有者全員で構成される組織で、マンションの維持・管理を行います。
管理会社は、マンションの管理業務を引き受ける専門業者です。マンションの管理業務は専門的な知識や技術を必要とするものも多いため、管理会社に業務を委託するケースも多いです。
ただし管理業務を管理会社に委託した場合でも、最終的なマンション管理の主体は管理組合にあります。
管理組合に入らない・断ることは可能?
マンションを購入し区分所有者となると、管理組合に加入することが法的に義務付けられています。
区分所有法には「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」と定められています。そのため管理組合には区分所有者の全員が加入する必要があり、自由な脱退も認められていません。
逆に、区分所有者以外は管理組合に入ることができません。
マンション管理におけるトラブル事例
マンションの管理において、何らかのトラブルが発生することは少なくありません。ここでは特によくあるトラブルの事例を3つ紹介します。
・ごみの捨て方などのマナーのトラブル
・生活音や騒音のトラブル
・ペット飼育のトラブル
それぞれについて具体的に解説します。
①ごみの捨て方などのマナーのトラブル
ごみ捨てのルールを守らない、マナー違反がある場合にトラブルになってしまうことがあります。具体的には分別を守らない、生ごみの臭いが漏れる、粗大ごみが放置されている、ごみ置き場の清掃が不十分などでトラブルになる事例があります。
ルールの徹底のため、管理組合で問題点を掲示したり回覧したりして周知しているケースが多いです。
②生活音や騒音のトラブル
隣の住戸や上階の住戸からの生活音について、居住者同士で直接注意をしたり揉めたりすることで近隣関係が悪化してしまうケースがよくあります。騒音の種類としてはドアの開閉や家電の使用音、子どもの走る音や楽器の演奏などが挙げられます。
騒音トラブルについては管理組合は関与しないのが原則となっているため、居住者同士の主張が平行線をたどりなかなか解決に向かわないケースも少なくありません。
③ペット飼育のトラブル
ペットの飼育が禁止されているマンションやフロアで隠れて飼育している場合や、ペットの飼育可のマンションでも鳴き声や共用部分の汚れなどでトラブルになるケースがよくあります。
管理規約の手順に従い違反者には文書などで注意し、飼育を止めてもらったりルールを守ってもらったりする場合が多いです。
管理組合の業務内容も理解しよう
この記事ではマンションの管理組合について、役割やトラブルの事例などを詳しく解説しました。
管理組合はマンションを購入すると必ず加入する必要があります。役員になった場合はもちろん、役員ではなくても管理費や積立金の使用状況やマンションの管理の現状などに対して関心を持ち、一人一人がマンションの管理がより良い方向へ向かうことができるような意識を持つことが大切です。