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建築基準法の改正はいつ?なぜ?違いをわかりやすく解説

2022.05.09
2022.12.16
閑静な住宅街の画像

戸建て住宅を建てたりリノベーションしたりするときは「建築基準法」というルールを守る必要があります。

建築基準法は制定された年から数回の改正が行われていますが、どんなときに改正されるのでしょうか。

 

今回は建築基準法の改正についてご紹介します。

建築基準法が改正される理由や、改正後どう変わったのかをわかりやすくまとめました。

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建築基準法とは?

建築中の建物と図面をみるエンジニア

建築基準法とは私たちが安全に快適に暮らすための、建物や土地に対する基本的なルールを定めた法律です。

建築基準法では建物を建てる場所や構造などについて細かくルールを定めており、都市計画法や消防法などさまざまな法律と関連しています。

 

建物の建ぺい率や容積率、耐震基準などを定める建築基準法は、1950年の制定以来数回にわたり改正が行われてきました。

建築基準法の改正は家づくりに大きく関わるため、改正のポイントを押さえておくとよいでしょう。

 

どういう時に改正される?

建築基準法の改正の多くは、大規模な自然災害による被害が発生するたびに行われてきました。

大地震や大型台風、火山の噴火といった自然災害のほかに、ビル火災などの事故や事件が起きたあとにも改正されています。

 

また東京五輪や大阪万国博覧会の開催など、社会のニーズに合わせて改正されたこともありました。

 

1950年に制定された建築基準法は、より安全で安心できる建物にするために時代の変化や建物技術の進化などに合わせて改正が行われているのです。

 

新耐震基準と旧耐震基準とは?違いは?

新聞の耐震化の文字

建築基準法では耐震基準を定めており、1971年、1981年、2000年に大きな改正が行われています。

この中でも1981年の改正は21年ぶりとなる大改正で、現在の「新耐震基準」が定められました。

 

1981年5月31日までに建築確認申請を受けた建物は「旧耐震基準」となり、1981年6月1日以降に建築確認申請を受けた建物は「新耐震基準」となります。

 

新耐震基準と旧耐震基準の大きな違いは耐震強度です。

旧耐震基準は「震度5強程度の中規模の地震で家屋が倒壊・崩壊しないこと」とされていました。

 

新耐震基準では「震度5強程度の中規模の地震で家屋がほとんど倒壊しないこと、震度6強~7程度の地震で家屋が倒壊・崩壊しないこと(ただし多少の損傷は許容)」とされています。

 

1950年に建築基準法が制定

弁護士が話している様子

建築基準法が制定されたのは1950年ですが、それ以前に制定された建築法規があります。

日本で耐震構造への本格的な研究が始まったきっかけは1891年に岐阜県で起きた濃尾地震(M8.0)で、翌年には地震予防調査会が設立されました。

 

そして1919年には日本で初めての建築法規である「市街地建築物法」が制定されます。

しかし1923年に関東大震災が発生し、翌1924年には市街地建築物法に耐震規定が盛り込まれるという大改正が行われました。

 

その後1927年の北丹後地震、1943年の鳥取地震、1944年の東南海地震、1945年の三河地震、1946年の南海地震、1948年の福井地震と多くの大地震が発生し、戦後の1950年には市街地建築物法が廃止となり、建築基準法が制定されたのです。

 

1971年に改正【旧耐震基準】

地震で傾いた家の模型

1950年に制定された建築基準法は、1971年に大きな改正が行われています。

1968年の十勝沖地震で耐震設計が施されたコンクリート造の建築物の被害が多かったことを受け改正されました。

このときの耐震基準が「旧耐震基準」と呼ばれるものです。

 

1971年の改正は鉄筋コンクリート造柱のせん断補強筋のうち、帯筋を増やすことでせん断耐力を高め、建物の倒壊を防ぐことが目的でした。

この改正により1995年に起きた阪神淡路大震災の被害を減らすことができたと考えられています。

 

1968年の十勝沖地震の影響

1971年の改正は、1968年に起こった十勝沖地震(M7.9)を踏まえたものです。

この十勝沖地震では、耐震設計が施されたコンクリート造の建築物が初めて本格的な被害を受けたとされています。

 

それまで耐震性が高いとされていた鉄筋コンクリート造の建物の被害が多く、中でも十分な壁量・柱量をもたない建物が被害を受けていたことがわかりました。

 

そこで日本建築学会基準の柱のせん断補強法や鉄筋コンクリート構造計算基準が改正され、建築基準法も同時に改正されたのです。

 

震度5程度が基準

1971年に建築基準法が改正されましたが、旧耐震基準は「震度5強程度の中規模の地震で家屋が倒壊しないこと」とされていました。

つまり震度5程度の地震が基準であり、震度6以上の地震に対する基準は設けられていなかったのです。

 

旧耐震基準の建物は壁量が少なく、また柱などの接合部や基礎部分への配慮がされていないため、耐震性が低いといえるでしょう。

そしてのちに発生した大地震を受け、さらなる改正が行われることになります。

 

1981年に改正【新耐震基準】

コンクリートの亀裂

建築基準法は1978年の宮城県沖地震の発生を受け、1981年に大きな改正が行われました

このときの耐震基準が「新耐震基準」です。

 

この改正による大きなポイントは「許容応力計算」と「保有水平耐力計算」の二つで、耐震基準は「震度6強~7程度の地震で家屋が倒壊・崩壊しないこと」また「震度5程度の地震では軽いひび割れ程度の損傷にとどめること」とされています。

 

阪神淡路大震災や熊本地震における被害状況から、より厳しくなった新耐震基準の有効性が確認されました。

 

1978年の宮城県沖地震の影響

1981年に建築基準法が改正された背景には、1978年に宮城県沖地震(M7.4)が起こったことが挙げられます。

 

宮城県沖地震の最大震度は5でしたが、旧耐震基準の建物の多くが倒壊するなど深刻な被害が発生しました。

そこで必要壁量が大幅に強化されるなど、耐震設計について大幅な見直しが行われたのです。

この改正では、大規模な地震が起こっても人命に危害を与えるような建物の倒壊が生じないことが目標とされています。

 

震度6程度が基準

新耐震基準は震度6程度の地震が基準になっており、従来の「許容応力計算」に加え「保有水平耐力計算」を行うことが定められています。

 

許容応力計算は一時設計と呼ばれ、建物を構成している部材が荷重や地震に対して耐えられるかを算出するものです。

一方、保有水平耐力計算は建物を構成している部材が地震や風圧などの水平力に対して耐えられるかを算出するもので、二次設計と呼ばれます。

 

新耐震基準の大きなポイントは、震度6程度の大規模地震でも建物が倒壊・崩壊しないように「許容応力計算」と「保有水平耐力計算」の二段階で計算することといえるでしょう。

 

その他の概要

国土交通省耐震規定に関する法律の変遷についての資料によると、1981年の改正では鉄筋コンクリート造の場合、軟弱な地盤では基礎を強化すること、木造の場合は壁の量を増やすことなどが定められています。

 

また屋上の突出物に局地的な地震力を定める、建物の各階の変形やねじれの割合に制限を加えるなど、地震の影響を考慮した内容に改正されました。

 

2000年に改正

基礎工事

2000年には木造住宅の耐震性に関わる建築基準法の改正が行われました。

この新耐震基準を「2000年基準」と呼びます

1995年の阪神淡路大震災により木造住宅の多くが倒壊したことを受け、より耐震基準を厳しくしたのです。

 

この改正に伴い、事実上は木造住宅の地盤調査が義務化されました。

また耐力壁の配置バランスが規定され、接合部の金物も指定されています。

 

鉄筋コンクリート造のマンションについての耐震基準は、1981年の大改正から大きく変わっていません。

 

木造住宅に関するもの

2000年の改正では木造住宅の耐震基準が大きく変更されました。

 

一つ目は地盤に最適な基礎設計をすることです。

木造住宅の土台となる基礎を地盤に応じて布基礎やベタ基礎などの形状にすることが規定されました。

そのためには地盤調査が必須なので、地盤調査が義務化されたといえます。

 

二つ目は柱などを固定する接合部に指定の金物を取り付けて地震の際に抜けないようにすること三つ目はバランス計算を行い耐力壁の配置をすることです。

 

2000年の改正以前に建てられた木造住宅は耐震性能に不安があるといえるため、耐震診断を行うとよいでしょう。

 

2018年にも建築基準法の一部を改正

密集住宅地

建築基準法は2018年にも一部が改正されています。

国土交通省のホームページによる改正の主な概要は次の通りです。

 

  • 建築物・市街地の安全性の確保
  • 既存建築ストックの活用
  • 木造建築物の整備の推進

 

これらの改正が行われた背景には、2016年の新潟県糸魚川市大規模火災や2017年の埼玉県倉庫火災など大規模な火災が発生していることや、日本全国の空き家が増加傾向にあることなどが挙げられます。

 

それぞれの内容について見ていきましょう。

 

①建築物・市街地の安全性の確保

老朽化した建物の建て替えや建物の防火改修を行い、建築物および市街地の安全性を確保することが目的です。

 

密集市街地などで火災が発生したときの延焼を防ぐため、防火地域・準防火地域における耐火建築物の建ぺい率が10%緩和されました。

 

②既存建築ストックの活用

空き家を福祉施設などの住宅以外の建物にするなど、既存建築物を有効利用することが目的です。

 

改正により、3階建て以下・床面積200㎡以下の戸建て住宅を用途変更する場合は建築確認手続きが不要になるなど、規制が合理化されています。

 

③木造建築物の整備の推進

建築材料に木材を活用することで国内の林業振興を図り、森林の再生を促すといった循環型社会の形成や地域経済の活性化などが目的です。

 

耐火構造とする必要があった建築物の規制が緩和されたため、建築物の木造化が期待できます。

 

最新の建築基準法を確認しておこう

今回は建築基準法がいつどのように改正されたのかについてご紹介しました。

地震大国である日本の建築基準法は、大きな地震が起こるたびに耐震基準を改正してきたともいえます。

 

安心して生活するには、マンションや一戸建て住宅の築年数や耐震性能を確認することが大切です。

不安がある方は耐震診断を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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