不動産を購入する際、誰しもが最も気にするポイントは価格ではないでしょうか。しかし不動産本体の価格だけでなく、税金も意外と大きな金額となってのしかかってきます。今回はマンション購入に伴って発生する税金について、重要なポイントをご紹介します。後で予定外の出費に困らないためにも、税金に関する知識を増やしましょう。
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購入時にかかる税金
まずはマンション購入時にどんな税金がどれくらいかかるのかについて押さえておきましょう。これらは購入当初にだけかかる税金ですが、全て合計すると意外と大きな金額になることが分かります。そしてこれらはあくまで税金であるため、住宅ローンに組み込むことはできません。すぐに支払えるよう、現金を用意しておく必要があります。
消費税
通常の買い物と同様、マンションを購入する際も消費税が発生します。例えば3,000万円の新築マンションを購入した場合は、消費税10%が加算されて3,300万円となります。
一般的にはマンションは不動産会社などの事業主から購入します。しかし、住居用に使われていた個人のマンションを中古で売主から直接購入する場合は、消費税を支払う必要はありません。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物を取得した際に最初に一度だけ支払う税金です。売買時だけでなく贈与された場合も支払う必要があります。
またマンションの場合は自分の居住スペースだけでなく、エントランスや郵便受けなどの共用部分に対しても不動産取得税の支払い義務が発生します。計算式は「課税標準額×税率」で、2021年以降の税率は4%となっています。
不動産取得税は地方税のため、マンション購入後に居住する自治体の税金事務所に届け出ます。後日納税通知書が送られて来るので、期日までに支払えば終了となります。
登録免許税
登録免許税は不動産を購入すると支払い義務が発生する税金です。その不動産が誰の名義なのかを登録するための登記の手続きにかかる費用です。
不動産取得税同様、分譲マンションの場合は自分の家のみでなく共用部の土地などの分も登録免許税を支払うことになります。
税率は国税庁によって決められており、計算式は「課税標準額×税率」です。新築マンションは0.4%、中古は2%となっています。
印紙税
マンションの購入契約書や住宅ローンを借りる際の金銭消費貸借契約書を作成する際には、必ず印紙を貼らなければなりません。契約時に不動産会社や銀行から貼付けを求められるので、忘れることはないでしょう。
印紙税の税率は購入金額によって異なり、500万円以上1,000万円以下なら1万円、1,000万円以上5,000万円以下なら2万円です。2024年3月末までに作られた契約書の場合は、軽減措置により半額となります。
購入後にかかる税金
マンションを購入した後に毎年ずっと支払いが続くのが「固定資産税」と「都市計画税」の2つです。これらもあくまで税金のため、住宅ローンに組み込むことはできません。4月中旬から5月頭の支払い時期に、しっかりお金を用意しておきましょう。
固定資産税
戸建てやマンションを購入すると、固定資産税の支払い義務が生じます。1月1日時点で所有者であった人に固定資産税の納付通知書が届くことになっています。このため年の途中で所有者が変わった場合は、新たな所有者は日割り計算で前所有者に固定資産税を支払うことになります。
計算式は「固定資産税=課税標準額×税率」です。課税標準額は国土交通省が年に1回発表する地価公示価格や建物を再建した場合にかかる費用を概算して、自治体が決めます。税率は多くの自治体が1.4%に設定しています。役所の職員が個別に家に訪問して計算しているため、100%正確とは言い切れません。おかしいと思ったら問い合わせてみましょう。
都市計画税
市街化区域にある土地や建物などの固定資産税に対してかかる税金です。土地区画整理事業に充てるために徴収される市町村税で、固定資産税の納付通知書に都市計画税も一緒に記載されています。
計算式は「都市計画税=課税標準額×税率」で、その税率は自治体によって異なりますが、高くても0.3%までと制限がかけられています。固定資産税を基準に計算されるため、固定資産税が間違っていると都市計画税の数字も不正確になります。
税金のシミュレーション
マンション購入に伴ってかかる各種税金をご紹介しましたが、ここでシミュレーションを見てみましょう。細かな条件などは異なりますが、目安が分かるので頭金やローン借り入れの金額も決めやすくなるでしょう。新築も中古も、どちらも3,000万円の物件を購入する想定です。課税標準額はあくまで概算とし、詳細を設定しません。
新築マンションの場合
消費税 |
300万円(10%) |
不動産取得税 |
約17万円 |
登録免許税 |
約40万円 |
印紙税 |
2万円×2回(2024年3月末までは半額の1万円となるため2万円。対不動産会社と対銀行との契約で計2回) |
固定資産税 |
約22万円 |
都市計画税 |
約5万円 |
上記からも分かる通り、初年度はおおよそ400万円の税金がかかります。消費税は住宅ローンに組み込めるため全納する必要はありませんが、金額としては大体これくらいの税金になります。
中古マンションの場合
消費税 |
300万円*業者ではなく個人から直接購入の場合はゼロ |
不動産取得税 |
約17万円 |
登録免許税 |
約45万円 |
印紙税 |
2万円×2回(2024年3月末までは半額の1万円となるため2万円。対不動産会社と対銀行との契約で計2回) |
固定資産税 |
約22万円 |
都市計画税 |
約5万円 |
新築同様、合計約400万円の税金が発生しますが、不動産会社などではなく個人から直接購入できれば消費税が丸々無くなります。人脈や情報を大事にすると、良い中古物件を個人から購入できる可能性もあるでしょう。
優遇税制の種類と手続き
税金の種類の多さや金額に驚いている方に朗報です。社会情勢を鑑みた国の政策などによって、不動産購入者のための優遇税制や特例、給付金が用意されています。条件によっては税金が大幅に軽減されたり給付金が得られるので、自分が該当するかどうかをしっかり確認しておきましょう。
不動産取得税の軽減措置
新築マンションを購入する場合は、住宅部分の課税標準額から1,200万円の控除が受けられます。課税標準額から1,200万円を引き算して出た数字に4%をかけたのが不動産取得税となります。延床面積が50~240㎡であることが条件です。
中古マンションには不動産取得税の軽減措置はありません。
登録免許税の軽減措置
新築マンションの場合、建物にかかる登録免許税の税率は通常0.4%ですが、軽減措置により現在は0.15%に下げられています。土地部分に対する軽減はありません。認定長期住宅や認定低炭素住宅に認定されたマンション物件の場合は、0.15%ではなく0.1%まで軽減されます。
中古マンションでは土地にかかる登録免許税軽減もあり、通常2%が1.5%に軽減されています。建物部分に関しては通常2.0%ですが、0.3%となります。認定長期住宅や認定低炭素住宅に認定された中古マンションの場合は、0.3%が0.1%になります。
いずれの軽減措置も2023年3月末で終了の予定です。
固定資産税と都市計画税の軽減措置
認定長期優良住宅の新築マンションの場合、新築された年から7年間は固定資産税が2分の1に軽減されます。条件としては床面積が50㎡以上280㎡以下であることと、新築翌年の1月31日までに長期有料住宅として認定された場合のみです。不動産会社に確認し、忘れずに申請する必要があります。
土地部分の固定資産税は6分の1に、都市計画税は3分の1に軽減されます。こちらも新築から7年間です。適用されるのは200㎡までの土地に対してです。
住宅ローン控除
住宅ローンの金利負担軽減を目的としているのが、住宅ローン控除の制度です。2022年1月以降に新たにマンションを購入した人は以後13年間、年末の住宅ローン残高の0.7%分の所得税が減税されます。
所得税から引き切れなかった場合は、住民税からも引かれます。
例えば年末に住宅ローン残高が3,000万円あった場合、その0.7%である21万円が所得税から引かれます。次の年の年末に残高が2,800万円になった場合、0.7%の19万6,000円が所得税から引かれます。
新たに借りた住宅ローンの返済期間が10年以上であること、投資用などではなく自分で住む物件であること、床面積が50㎡以上ある物件であることなどの条件があります。
すまい給付金
消費税率引上げによる住宅購入者の負担軽減を目的に作られたのが、すまい給付金制度です。収入額や家族構成によって金額が変わりますが、10万円から50万円の給付を一度受け取ることができます。
新築、中古、いずれのマンションも個人ではなく業者から購入した際に適用されます。
国土交通省のすまい給付金のサイトで金額のシミュレーションができるので、利用してみましょう
参照:すまい給付金シミュレーション 会社員の方|すまい給付金 (sumai-kyufu.jp)
住宅資金贈与非課税の特例
贈与は通常なら高額な税金が発生しますが、住宅取得の際に祖父母や両親などの直系尊属から費用を贈与された場合は、1,000万円までなら贈与税が非課税になるという特例があります。
様々な条件があり、床面積が40㎡以上240㎡以下であることや贈与された全額を土地や建物の購入に使い切ること、贈与を受けた翌年3月15日までにその物件に住み始めることなどを守らなければ適用されないので、十分注意が必要です。
この制度は令和5年12月31日で終了となる予定です。
税金に関する注意点
不動産の状態や購入者の収入額、国の制度の期限など、様々な条件が複雑に絡み合っているため、上記の内容が全てあなたに当てはまるとは限りません。購入を決める前の検討段階で、不動産会社やファイナンシャルプランナーなどのプロに一度しっかり相談をし、かかる税金や受けられる控除について概算を出してみることをお勧めします。
見通しが甘いと後で大きな後悔をする可能性もあるため、最初の出だしが肝心です。いずれにせよ、税金の支払を見越して余裕を持ったマネープランを練るようにしましょう。
税金に関する知識は理解できましたか?
いかがでしたか。様々な税負担がある一方、嬉しい控除や給付もあることがお分かりいただけたと思います。
これを機に貯蓄の現状把握や今後の収入見込みについてもじっくり考え直し、自身の経済状況やライフプランなどももう一度総まとめしてから、マンション購入という大きな決断をするようにしましょう。
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