フラット35は固定金利が特徴の住宅ローンです。年収や職業に関する条件がないため、一般的に住宅ローンを組むのが難しいとされる自営業や転職直後、年収の少ない人でも申込しやすくなっています。
この記事ではフラット35についての基礎知識をはじめ、審査基準やメリット・デメリットなどについてもくわしく解説しています。
フラット35とは何?
フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提供する住宅ローンです。金利や手数料、提出書類などは金融機関によって異なります。
借入期間中の金利がずっと一定である固定金利タイプであることが特徴で、毎月の返済額が変わらないため返済計画が立てやすいというメリットがあります。
また、銀行の住宅ローンは金融機関ごとに勤務形態や勤続年数などの基準が設けられていますがフラット35ではこれらの条件は問われません。
フラット35の基礎知識をわかりやすく解説
ここではフラット35の基礎知識をわかりやすく解説します。以下の5つの項目についてまとめましたので、それぞれみていきましょう。
- 返済期間は?
- 金利はどうやって決まる?いつ変わる?
- 年収の何倍まで?
- 頭金はいつ払う?
- 親子リレーとは?
返済期間は?
フラット35の返済期間は15年~35年(1年単位)です。しかし、完済時の年齢が80歳になるまでの年数と比較して短い年数となります。
最長返済期間=80歳₋申込者の申込時の年齢(1歳未満切り上げ)
例えば、50歳でフラット35を申し込んだ場合の最長返済期間は、80-50=30年です。
申込者や連帯責任連帯債務者が満60歳以上の場合は10年となります。
また、返済期間を20年以下とした場合は、返済途中で借り入れ期間を21年以上に変更することはできません。
金利はどうやって決まる?いつ変わる?
フラット35の金利は借入申込時点の金利ではなく、住宅ローン融資実行日の金利が適応されます。
そのため慎重に選びたいところですが、マイホームの購入には売買契約、住宅ローン審査、決済などさまざまな手続きがあることに加えて売主の都合もあるため、金利を見ながら融資実行月を調整することは難しいでしょう。
金利の選択肢は、融資実行予定日が月をまたぐ場合に、前月がよいか翌月がよいかをしっかり考えましょう。
年収の何倍まで?
フラット35の最低融資額は100万円、限度額は8,000万円です。融資可能額は年収に対する返済額の割合(返済負担率)に基づいて、年収400万円を境に決定されます。
年収400万円未満の場合は返済負担率が30%以内、年収400万円以上は返済負担率が35%以内となります。
ここでの年収は銀行に振り込まれる手取り金額ではなく、税金や年金などを含んだ額であることに注意してください。限度額いっぱいまで借り入れた場合は、ローン支払いに追われて生活が苦しくなってしまいます。
頭金はいつ払う?
頭金を支払うタイミングは、物件の購入契約時から引き渡しまでの間です。具体的な頭金支払いのタイミングについては、不動産会社の担当に確認しておきましょう。
頭金は大きな金額になるため、余裕をもって準備しておくことをおすすめします。しかし、思うように資金の調達できなかったなど準備が間に合わない場合は早めに金融機関に連絡し、頭金を減らす手続きを行いましょう。
親子リレーとは?
親子リレーローンとは、申込者(親)とその後継者(子)が二世代で返済していく住宅ローンです。契約時に定めた期間を申込者が返済し、期間が終了後は後継者がバトンタッチして完済まで返済を続けます。
借り入れ当初から後継者が連帯債務者となり、後継者以外は連帯債務者にはなれません。
フラット35の親子リレーでは申込者本人が居住する場合、後継者の同居の有無や将来の同居については問われないという特徴があります。
フラット35の条件・審査基準
ここからは、フラット35の条件や審査基準について詳しく解説します。以下の項目をまとめました
- 何歳から何歳まで組める?例外は?
- 何回まで?
- 年間の合計返済額に条件がある
- 資金使途に制限がある
- 国籍は日本のみ
- 審査はどこがする?
- 審査は何日かかる?
何歳から何歳まで組める?例外は?
フラット35の年齢制限は、申込時の年齢が満70歳未満です。ただし、親子リレー返済の場合は満70歳以上でも可能となります。
年齢制限の下限は設けられていません。そのため、20歳未満の未成年者でもルール上はフラット35を借入れることは可能です。しかし審査によって収入の安定性などが認められない可能性があります。
また、未成年者は単独で重要な契約などの法律行為ができないため、親権者による承諾が必要になるでしょう。
何回まで?
フラット35の審査に落ちてしまった場合、再度審査を行うことが可能です。具体的に何回まで審査が受けられるかは決まっていませんが、やみくもに何度も審査を受けることは避けましょう。
再度審査を行う場合は審査に通らなかった理由を冷静に考えて対策したうえで、最低半年以上の期間を空けてから行うことをおすすめします。
審査の履歴は個人信用情報に記録されるため、すぐ申し込むと印象が悪くなり審査が難しくなってしまう可能性があるためです。
年間の合計返済額に条件がある
フラット35では申込者の年収に関する制限がない代わりに、年間の合計返済額に条件(総返済負担率)があります。
フラット35の総返済負担率は年収が400万円未満の人は30%まで、400万円以上の人は35%までとなっています。総返済負担率は住宅ローンだけでなく、自動車ローンや養育ローン、カードローンなどその他の借り入れも合計する必要があります。
そのため、住宅ローン以外に借り入れが多い人はフラット35での借入可能額が少なくなるのです。
資金使途に制限がある
フラット35は借り入れた住宅ローンの用途に制限があります。
資金使途は申込者またはその親族の方が居住する住宅を購入するための資金に限られ、第三者に譲渡する目的で購入する場合には適応されません。
単身赴任先や週末を過ごすためのセカンドハウスとしては、申込者が居住する場合に適応されます。また、フラット35はリフォームのための資金には利用できません。
国籍は日本のみ
原則として日本国籍を有していることが条件です。
外国籍の場合でも永住者または特別永住者であれば利用可能で、申込者本人だけでなく連帯債務者となったり住宅を共有することもできます。
しかし、借り入れ後に永住者または特別永住者の資格がなかったことが判明した場合は、借入金を一括して返済しなければならないため注意してください。
審査はどこがする?
フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提供している住宅ローンです。
事前審査は取り扱っている金融機関が行いますが、本審査では金融機関に加えて住宅金融支援機構が加わり2つの期間が審査に関わることになります。
そのため審査に比較的長い期間が必要であり、また「事前審査は通ったものの、本審査で落ちた」などということが起こるのです。
フラット35はさまざまな金融機関で利用できますが、どの金融機関でも共通した基準で審査を行っているため、金融機関の違いで審査の内容などが異なることはありません。
審査は何日かかる?
フラット35の審査にかかる期間は事前審査と本審査でそれぞれ異なり、合わせて1週間~3週間ほどです。
金融機関によっても違いますが、事前審査の期間は2~3日といわれています。事前審査では申込者がフラット35に適しているかどうかを大まかに判断します。そのため、本審査よりも比較的早く審査結果がわかり、金融機関によっては当日中に結果が出る場合もあります。
本審査にかかる期間は1~2週間が一般的です。本審査は事前審査よりも融資可能かどうかを厳しく判断するため、審査期間も長くなります。
フラット35のメリット
フラット35は魅力的な住宅ローンですが、選択肢のひとつとして検討するためにはメリットはもちろん、デメリットについてもよく理解しておくことが大切です。
まずはフラット35のメリットを3つまとめました。
- ①保証人が不要
- ②固定金利で月々の返済額が変わらない
- ③勤務形態や勤続年数、年収などに関する条件がない
①保証人が不要
住宅ローン契約者が返済不能になった場合、代わりに返済するのが連帯保証人(保証人)です。金融機関によっては融資の条件として、保証人や保証会社との契約が必要な場合があります。
フラット35では保証人が不要で、別途保証料を支払う必要もありません。
保証人はローン残高全額に返済義務があり責任が重いことに加え、年齢、収入、勤続年数などの条件も求められるため、誰にでもお願いできるものではありません。保証人の代わりとなる保証会社も保証料がかかるため、保証人や保証会社が必要ないことはフラット35のメリットといえるでしょう。
②固定金利で月々の返済額が変わらない
フラット35は固定金利タイプのため、返済中は金利変動の影響を受けず毎月の返済額が変わりません。返済額も借り入れ時に確定します。
そのため、金利変動によって返済額が変化する変動タイプよりも、長期的な返済計画が立てやすくなっています。
特に「金利が上がると返済が厳しくなってしまう」という人にとっては、将来的に金利が上がるかもしれないという不安がない固定金利は大きなメリットに感じるでしょう。
③勤務形態や勤続年数、年収などに関する条件がない
フラット35では審査対象が人物中心ではなく物件中心という特徴があり、勤務形態や勤続年数、年収に関する条件がありません。
一般的にフリーランスや転職直後の人は住宅ローン審査に通りにくい傾向がありますが、フラット35では勤務先や勤務形態を厳しくみられることはなく、収入基準を満たしていれば借り入れが可能です。
また、年収や所得金額に関する制限もないため、年収が少なくても所得に対する返済負担割合などの条件を満たせば借り入れの対象となります。
フラット35のデメリット
例えば固定金利のように、同じ条件でも考え方次第でメリットになったりデメリットになったりする場合もあるでしょう。住宅ローンが自分に合っているかどうかを判断するためには、メリット・デメリットの両方をみることが大切です。
ここでは、フラット35における3つのデメリットについてまとめました。
- ①変動金利よりも金利が高い
- ②物件によっては審査が通らない可能性がある
- ③頭金なしだと金利が高くなる
①金利が高い?
固定金利タイプのフラット35は借り入れ時から完済までの金利が一定で返済額が変わりません。長期的な返済計画が立てやすかったり、将来的に金利が上昇するリスクがなかったり安心感がある一方、変動金利タイプの住宅ローンと比べて金利が高くなります。
どの金利タイプの特徴も考え方次第でメリット・デメリットになり得ますが、変動金利タイプであれば受けられる低金利の恩恵を受けられないことはデメリットのひとつといえるでしょう。
②物件によっては審査が通らない可能性がある
フラット35には購入する物件に関して独自の基準が設けられており、収入や勤務形態などに問題がない人でも物件自体が基準を満たしていなければ審査が通りません。
また、その基準を満たしているかどうかを住宅金融支援機構に証明する適合証明書の提出が必要となり、そのための検査費用がかかります。
物件に関する基準は以下の通りです。
- 住宅金融支援機構の技術基準に適合する新築または中古住宅
- 床面積が一戸建て70㎡、マンションの場合は30㎡以上
- 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合している
- 購入金額(建築金額)が消費税を含め1億円以下の新築・中古住宅
③頭金なしだと金利が高くなる
フラット35は頭金の割合によって金利が変わります。住宅の購入金額に対し頭金が10%未満の場合は金利が高くなるため、足りなければ親族に借りるなど頭金の割合が10%以上になるように検討したほうが金利面で有利です。
頭金を用意するのが難しい場合は購入金額の10%を他の住宅ローン、残りの90%をフラット35を利用するという方法も選択肢のひとつです。
フラット35はこんな人におすすめ
フラット35は以下のような人におすすめです。
- 将来の生活の計画性を重視する人
- 金利の上昇リスクを下げたい人
- 収入はあるが正社員ではない人
- 会社員で勤続年数が短い人や転職直後の人
- 自営業やフリーランスの方
固定金利タイプであるフラット35は金利上変動の影響を受けず月々の返済額も変わらないため、将来の生活や返済計画を重視する人や金利の上昇リスクを下げたい人に向いています。
また、職業や年収などに関する審査基準がないことから、金融機関で収入が不安定と判断されやすい転職直後や自営業、フリーランスの人にもおすすめです。
フラット35について理解いただけたでしょうか?
フラット35の特徴である固定金利は金利変動の影響を受けず毎月の返済額が変わらないというメリットがある一方、変動金利の住宅ローンと比べて金利が高くなるといったデメリットもあります。
また、フラット35は勤続年数や勤務形態など職業に関する条件がないため、一般的に住宅ローンを組むのが難しいとされる自営業や転職直後の人でも収入基準を満たしていれば借り入れが可能です。
金額が大きく返済期間の長い住宅ローン選びはとても重要です。審査基準やメリット・デメリットをよく理解して、自分に合った住宅ローンを選びましょう。
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