「壁に穴が開いてしまった」「壁を新設して空間を区切りたい」
このように、壁のリフォームにもさまざまな用途がありますよね。費用や工事期間も異なってくるため、どのようにリフォームするかは慎重に選びたいところです。
この記事では、壁のリフォームに関する目的別の施工内容、費用、工期などを紹介しています。壁のリフォームをする際の注意点も説明していますので、計画を進める手助けになるでしょう。
壁をリフォームする目的とは?
ひとくくりに壁をリフォームするといっても、家族計画や住宅の構造などによって、その目的は大きく異なりますよね。
経年劣化による汚れや傷を修復する程度のリフォームもありますが、壁を撤去したり新設したりして、部屋の間取りを変える大掛かりな内容を検討中のご家庭もあるのではないでしょうか。
ここでは、壁をリフォームするおもな目的について3つ紹介します。
経年劣化によって傷んでいるから
長年住み続けていると、経年劣化によって壁が傷んでしまうことがあります。壁の劣化には、おもに以下の原因が多いようです。
- 家具を移動させたとき壁にぶつけて穴が開いてしまった
- ペットや小さい子どもが壁に傷や汚れをつけてしまった
- 日焼けなどで黄色っぽく変色したり、のりが剝がれたりしている
住み続けていれば、多少の劣化は仕方のないことです。しかし、見た目をキレイにすると気分よく過ごせるため、生活の質を向上させることにもつながりますよね。
経年劣化による壁のリフォームは全面的に施工するだけでなく、「腰壁」という壁の下半分を傷つきにくい素材で仕上げるパターンもあるようです。
家の間取りを変更したいかから
壁のリフォームを行って、家の間取りを変更することも可能です。家の間取りを変更するリフォームは、おもに以下の2つ。
- 仕切り壁を新設して1部屋を2部屋に分ける
- 仕切り壁を撤去して2部屋を1部屋につなげる
壁をリフォームして間取りを変更すると、空間を効率よく使えるようになります。子どもが生まれたり、親と同居することになったりなど、住人の数に変化があった場合に間取りの変更を検討するご家庭が多いようです。
壁のデザインを替えたいから
壁のリフォームには、大規模な模様替えとしての効果もあります。仕上げ材や壁紙(クロス)を替えることで、お部屋の雰囲気をがらりと変化させられるためです。
壁の仕上げ材には、さまざまな種類が用意されています。オーソドックスなのはクロスですが、近年では珪藻土など、調湿作用のある仕上げ材も人気が高まっているようです。
できるだけ費用を抑えて壁のデザインを変えたい場合、ホームセンターやネット通販で必要な道具を購入して、DIYするという方法もあります。
壁のリフォームの種類
ここでは壁の代表的なリフォームの種類と、おおまかな施工内容について5パターン解説していきます。
- 壁の穴や傷を修復する
- 壁を撤去して2部屋から1部屋にする
- 壁を撤去してドアや引き戸を設置する
- 壁を新設して1部屋を2部屋にする
- 壁のクロスを替える
それぞれのリフォームについて解説しますので、参考にしてみてください。
壁の穴や傷を修復する
壁は石膏ボードの上に、クロスを貼って仕上げられているものがほとんど。石膏ボードはあまり硬くないので、不意に衝撃を加えただけでへこんだり傷がついてしまったりします。
ごく小さな傷であれば、放っておいてもそれほど問題にはなりません。
しかし、大きな穴や傷をそのままにしておくと虫が入ってきやすくなったり、火災時に火が回りやすくなったりする恐れがあるので、早めに直しておきましょう。
壁の穴や傷を修復するには、石膏ボードに開いた穴をふさいだあと、その上からクロスを貼るのが一般的。5cmほどの穴までは、ホームセンターで販売されている壁穴修復用の商品を使って比較的手軽に直せます。
しかし、それよりも大きな穴をふさぐ場合や、修復箇所を目立たせたくない場合は、リフォーム業者に依頼した方がよいでしょう。
壁を取り除き2部屋から1部屋にする
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部屋を仕切る壁を撤去して空間を広く使いたい場合、壁を取り除くリフォームを行います。
たとえば「リビングと隣室を仕切る壁を撤去して、リビングを広くしたい」などのパターンです。
壁を取り除くリフォームでは、おもに以下の作業が行われます。
- 壁を撤去する
- 壁を撤去した部分の床や天井を修復
このリフォームでは「電気工事が必要かどうか」「内装の変更や修復をどの程度行うか」などによって費用と工期が変動します。
壁を撤去しドアや引き戸を設置する
壁を撤去した部分に、ドアや引き戸などの建具を設置するリフォームもあります。
このリフォームを行うと「2部屋に仕切りたいときは建具を閉める」「1部屋として広く使いたいときは建具を開ける」という、臨機応変な空間の使い方ができるようになるので便利です。
壁を撤去してドアや引き戸を設置するリフォームでは、おもに以下の作業が行われます。
- 壁を撤去する
- 撤去した部分の周囲を修復する
- 建具枠(ドアなどをはめるための枠)を取付
- 建具を取付
このリフォームでは「電気工事が必要かどうか」「建具の品質や種類をどうするか」などによって費用と工期が変動します。
壁を設置して1部屋を2部屋にする
1部屋を2部屋に仕切りたい場合は、壁を新しく設置するリフォームを行います。
「子どもが増えた」「ワークスペースが必要になった」「新たに収納スペースを確保したい」このように、何らかの理由で部屋数を増やしたいとき便利な方法です。
壁を新たに設置して1部屋を2部屋にするリフォームでは、おもに以下の作業が行われます。
- 壁の新設
- 壁を新設した部分周辺の内装補修
このリフォームでは「電気工事が必要かどうか」「内装の補修範囲が広いかどうか」などによって費用と工期が変動します。
壁のクロスを替える
クロスを新しく替えることで、気になる汚れや傷みを一掃できます。デザイン性に優れたクロスのほか、汚れにくいなど機能性の高いクロスも販売されているので、好みの雰囲気や求める性能に応じて選ぶとよいでしょう。
張り替え方法は、古いクロスを剥がして新しいクロスを張るというシンプルなもの。費用を抑えたい場合、2人以上の人手があれば業者に頼らずDIYすることも可能です。
しかし築年数が古い建物や、何度もクロスを張り替えている場合は、下地が劣化していることがあります。
下地の調整をせずにクロスを張り替えると、仕上がりが美しくならないので要注意。気になるときはリフォーム業者に相談しましょう。
壁のリフォームにかかる費用と工期
検討しているリフォーム方法に、一体どのくらいコストがかかるのか気になりますよね。
ここでは、代表的な壁のリフォームにかかる費用相場と工期について紹介します。
もちろん、依頼する業者や作業工数によって、数字は多少なりとも変動するものです。あくまでも壁のリフォームを検討する際の目安として、参考にしてみてください。
費用相場 | 工期 | 備考 | |
壁の穴や傷を修復する場合 | 2~5万円 | 数時間~1日程度 | 修復範囲などにより変動 |
壁を取り除き2部屋から1部屋にする場合 | 25~50万円 | 5~7日程度 | 電気工事の有無・内装の修復範囲などにより変動 |
壁を撤去しドアや引き戸を設置する場合 | 15~30万円 | 3~5日程度 | 電気工事の有無・建具のグレードなどにより変動 |
壁を設置して1部屋を2部屋にする場合 | 10~30万円 | 4~7日程度 | 電気工事の有無・新設する壁の大きさなどにより変動 |
壁のクロスを替える場合 | 10~20万円 | 1~3日程度 | 張り替え範囲・下地調整の有無などにより変動 |
壁の穴や傷を修復する場合
壁の穴や傷を修復するリフォームの場合、20,000~50,000円程度が費用相場になっています。作業時間は3~6時間ほど。
大きな穴の修復でなければ、1日以内で作業終了する場合がほとんどです。
しかし「修復範囲が大きい」「傷が深く壁の下地まで修復が必要」などの場合、費用が高くなり、作業が1日で終わらないこともあります。
壁を取り除き2部屋から1部屋にする場合
壁を取り除いて2部屋を1部屋にするリフォームの場合、250,000~500,000円程度が費用相場となっています。
単純に壁を取り除くだけであれば、50,000円程度で済む場合もあるようです。
しかし、壁を撤去したあとの修復作業は必須なので、実際には相場程度の費用がかかると考えておいた方がよいでしょう。
また、内装の修復範囲が広い場合、さらに価格は高くなります。工期は壁の撤去から内装の仕上げまでに、5~7日ほどかかる場合が多いです。
壁の撤去にともなう電気工事の有無や、内装の修復範囲によっては、7日以上かかるケースもあります。
壁を撤去しドアや引き戸を設置する場合
壁を撤去してドアや引き戸を設置するリフォームの場合は、作業内容だけでなく、新設する建具の種類によっても費用の総額が上下します。
おおよその費用相場は150,000~300,000円程度といわれていますが、建具のグレードを抑えてコストダウンにつなげることも可能でしょう。工期は壁の撤去から建具の設置までに、3~5日ほどかかる場合が多いようです。
壁の撤去にともなう電気工事の有無や、撤去した壁周辺の修復範囲によっては工期が延び、それにともなって費用も上振れる可能性があります。
壁を設置して1部屋を2部屋にする場合
壁を設置して1部屋を2部屋に分けるリフォームの費用相場は、単純に壁をつくるだけであれば100,000~300,000円程度といわれています。
しかし「新設する壁の範囲が広いか」「コンセントの配置移動が必要か」などによって費用が大きく変動するため、ほかの壁リフォームよりも金額の振れ幅が大きい様子。
とくに電気工事が必要な場合は、壁を設置するだけのリフォームに比べてかなり高額になるケースもあるようです。
工期の目安は、壁の設置から内装補修までに4~7日程度ですが、作業工数によって延びる場合があります。
壁のクロスを替える場合
クロスを替える場合の費用相場は、6帖あたりで100,000~200,000万円程度です。
しかし、クロス自体の価格によっても総額が変動します。量産型のクロスは比較的安いですが、海外輸入品や機能性に優れたクロスを選ぶと、1平米あたりの金額が高くなるためです。
また、「壁の下地調整が必要」「壁の形状が特殊」などの場合も費用が上振れるでしょう。
工期は、6帖あたりの張り替えで1日程度。下地調整に手間がかかる場合や、広範囲の張り替えをする場合は2~3日かかるケースもあるようです。
壁をリフォームする際の注意点
新たに家を建てるよりも、自由度が高いように思える壁のリフォーム。しかし実は、自由自在に何でもできるというわけではありません。
ここでは、壁のリフォームをする際に注意したい点について紹介します。思いがけずハプニングに巻き込まれないよう、必ずチェックしておきましょう。
撤去できない壁がある
建物のなかには「構造壁」や「耐力壁」と呼ばれ、建物を支える重要なポジションとなっている壁が存在します。これらの壁を撤去してしまうと建物の倒壊リスクが高まるので、基本的には撤去できません。
また、壁のなかに梁や柱がある場合も、撤去することで建物のバランスが崩れてしまい危険です。
該当する壁をあえて撤去する場合は、建物の耐久性を維持するため「筋交い」や「ブレース」などと呼ばれる補強材を設置する必要があります。結果的にリフォーム費用がかさんでしまうので要注意です。
「どれが構造壁にあたるのか」「どこに梁が埋まっているのか」などは、建物の図面を見れば確認できます。壁の撤去リフォームを検討する際は、希望通り取り除くことが可能かどうか、専門家に相談するとよいでしょう。
管理規約によって制限されている場合がある
マンションやアパートなどの集合住宅では、管理者の許可なくリフォームをすると、トラブルに発展してしまいます。
賃貸住宅の場合は、大家さんへの相談が必要です。
また、分譲マンションもリフォームについて規約を定めている管理者がほとんどなので、確認しておきましょう。
建物全体の耐久性にかかわるリフォームはもちろん禁止であるほか、リフォームに使う資材を規約で定めているパターンもあります。規約の内容は管理者によって異なるため、自分たちだけで判断せず事前に相談しましょう。
部分的なリフォームは浮く可能性がある
部分的なリフォームをすると修繕したところだけが真新しくなるので、周囲から浮いてしまう可能性があります。築年数が古い建物の場合は、とくに注意が必要です。
「リフォームした部分を目立たせたくない」「内装の統一感を損ないたくない」というときには、施工範囲を広くしたり、修繕後の内装を変更したりする工夫が必要となります。
しかしリフォームする範囲が少なければ、コストを抑えやすいというメリットもありますよね。どこまでリフォームするかは、修繕したい場所の周囲も確認しながら、慎重に決めるとよいでしょう。
クロス選び方は張り替え回数によって変えるべき
クロスを何度も張り替えることで下地が劣化し、デコボコしてきてしまいます。
その結果、選んだクロスの材質によってはデコボコが目立ってしまい、美しい仕上がりにならない場合があるので要注意です。
下地の劣化を目立たせないクロス選びのポイントは、「厚手なものを選ぶ」「柄物を選ぶ」といった工夫をすること。基本的にクロスは何度でも張り替え可能ですが、回数によって選び方を変えると、よりキレイな仕上がりになるでしょう。
依頼する業者は慎重に選ぶべき
ひとえにリフォーム業者といっても、施工プランや得意分野はさまざまです。対応の悪い業者を選んでしまうと、相場より高い費用を請求されたり、仕上がりに満足できなかったりする可能性もあります。依頼する業者は、ネットのクチコミなども参考にしながら慎重に選びましょう。
- 施工実績が豊富
- 見積もりの金額が妥当
- 相談したときの対応が丁寧
- 施工に必要な資格の所有者が在籍している
業者選びのおもなポイントは、このような点です。
また、見積もりは必ず複数社にお願いして比較検討しましょう。費用相場が確認できるほか、本命の業者へ価格交渉するための材料としても役立ちます。
壁のリフォーム例
リフォームをする際、参考にできるデザイン事例があるとイメージがわきやすく、安心できますよね。ここでは、実際に壁のリフォームを行った事例写真をご紹介します。
どのようなリフォームが最適なのかは、家族構成や住宅構造によるところもあるため、一概にはいえません。
具体的な事例写真を参考にして、ご自身に合ったリフォーム方法やデザインを検討してみるとよいでしょう。
また、業者を選定するときにリフォームの施工写真を見せてもらい、参考にするのもおすすめです。
壁のリフォームは計画的に行いましょう
壁のリフォームはクロスの張り替え以外、間取りを変更することにつながります。
空間の使い勝手や家族計画を考慮して、ライフステージに合わせたリフォームを検討するとよいでしょう。集合住宅にお住いの方は、必ず管理者へ相談してからリフォームを行ってください。
また、リフォーム業者へ依頼する場合、必ず複数社へ相談して比較検討するのがおすすめです。
見積もりや対応のよさを比べて慎重に業者を選ぶことで、より満足のいくリフォームになるでしょう。
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