長期優良住宅とはどんな住宅のことを指すのか、実際のところどのくらいお得になるのか、制度の仕組みを詳しく知りたいと思いますよね。
この記事では長期優良住宅の制度の概要や、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
長期優良住宅とは何?
長期優良住宅について詳しく知りたいと思うと、次のような疑問が浮かぶ人も多いでしょう。
- 他の家とどう違う?
- どうすれば認定される?
- 何を見ればわかる?
- 中古住宅も対象?
一つ一つ詳しく解説していくので、ぜひチェックしてみてください。
他の家とどう違う?
長期優良住宅とは、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」のことをいいます。
長期優良住宅の認定を受けるためには、安全性や快適性などに関わるさまざまな認定基準を満たす必要があります。近年は認定を受けていない一般住宅でも品質の良い家は多いですが、厳しい基準をクリアした長期優良住宅は、より長期にわたって安心して快適に住み続けることができる住宅といえます。
さらに、税の特例措置や補助金制度などさまざまなメリットが得られる点が、一般住宅との大きな違いです。
どうすれば認定される?
長期優良住宅の認定を受けるためには、認定基準を満たす設計を行い、着工前に審査を受けて申請をする必要があります。
登録住宅性能評価機関に技術審査を依頼して適合証を交付してもらい、所管行政庁に申請をする、というのが大まかな流れです。
何を見ればわかる?
登録住宅性能評価機関での審査と所管行政庁での審査をクリアすると、「認定通知書」が発行されます。この認定通知書があることで、長期優良住宅であることがわかります。
ポータルサイトで物件探しをする際、長期優良住宅の物件は、物件情報の詳細欄に「長期優良住宅」や「長期優良住宅認定通知書 」の記載があります。建売住宅やマンションの購入を考えている場合は、記載内容をチェックしてみてください。
中古住宅も対象?
中古住宅はそのままでは長期優良住宅の認定を受けることができませんが、リフォームをすることで認定されるケースもあります。
リフォームを計画する際に、劣化対策や耐震性、 省エネ性などに関する認定基準を満たした上で、所管行政庁に長期優良住宅の増改築認定申請を行うことで認定を受けることができます。
長期優良住宅は固定資産税が減税でお得!
ここでは長期優良住宅の固定資産税の減額措置について紹介します。一般住宅に比べて減税期間が優遇されるため、ぜひチェックしてみてください。
一戸建ての場合
長期優良住宅の戸建住宅は、固定資産税の税率が1.4%、減税内容が2分の1、減税期間が5年間となります。
マンションの場合
長期優良住宅のマンションは、固定資産税の税率が1.4%、減税内容が2分の1、減税期間が7年間となります。
その他
長期優良住宅ではないその他の一般住宅は、固定資産税の税率が1.4%、減税内容が2分の1という点は同じになりますが、減税期間が短くなります。
一般の戸建て住宅は3年間、一般のマンションは5年間となり、長期優良住宅よりも減税期間が2年短くなります。
例えば固定資産税評価額が1,000万円の住宅の場合、購入して3年目までは長期優良住宅も一般の住宅も減税内容は同じになります。
しかし4年目の場合は一般の住宅は減税期間が終わるため、以下計算となります。
【長期優良住宅】1,000万円×1.4%÷2=7万円
【一般の住宅】1,000万円×1.4%=14万円
その他の長期優良住宅のメリット
長期優良住宅には次の8つのメリットがあります。
- 住宅ローンの控除を受けられる
- 投資型減税を受けられる
- 不動産取得税が減税になる
- 登録免許税の税率が引き下げられる
- 住宅ローンの金利が優遇される
- 地震保険が割引される
- 地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けられることもある
- 売却時に付加価値となることもある
それぞれ解説していくので、ぜひチェックしてみてください。
①住宅ローンの控除を受けられる
長期優良住宅は、借り入れした住宅ローンにおいて年末の残高の1%が所得税から控除されます。適用条件を満たしている場合に確定申告をすることで控除を受けられ、期間は最大10年間です。
住宅ローン控除の対象になる借り入れ限度額は、一般住宅が4,000万円のところ、長期優良住宅は5,000万円と優遇されています。
②投資型減税を受けられる
投資型減税は、住宅ローンを利用せずに自己資金だけで住宅を購入した場合に受けられる制度です。長期優良住宅を建てるために割高になった費用(掛かり増し費用)の10%が年末の所得税から控除されます。掛かり増し費用とは長期優良住宅の基準を満たすためにかかった費用のことを指します。
控除対象の限度額は650万円なので、最大控除額は65万円となります。
③不動産取得税が減税になる
長期優良住宅の場合、住宅購入にかかる不動産取得税の控除額が一般住宅よりも優遇されます。不動産取得税とは不動産を取得した際にかかる税金のことで、土地や家屋を購入または建築した際に申請が必要です。
不動産取得税の算出方法は以下の通りで、一般住宅よりも長期優良住宅のほうが軽減率が大きくなります。
不動産取得税 |
|
一般住宅 |
(固定資産税評価額※-1,200万円)× 3% |
長期優良住宅 |
(固定資産税評価額-1,300万円 )× 3% |
※固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際の基準となる評価額のことで、各自治体が個別に決定するものです。
④登録免許税の税率が引き下げられる
登録免許税とは、家を建てた際や購入した際の所有権保存登記や所有権移転登記にかかる税金です。
各税率は以下の通りで、一般住宅よりも長期優良住宅のほうが税率が低くなります。
保存登記の税率 |
移転登記の税率 |
|
一般住宅 |
0.15% |
0.3% |
長期優良住宅 |
0.1% |
0.2% |
⑤住宅ローンの金利が優遇される
長期優良住宅の場合、フラット35S金利Aプランが適用されます。フラット35とは、金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う「全期間固定金利型住宅ローン」のことです。
フラット35の技術基準を満たす長期優良住宅の場合はフラット35S金利Aプランが適用され、最初の10年間は金利が年に0.25%引き下げられます。
⑥地震保険が割引される
長期優良住宅の認定を受けると、地震保険が割引されます。割引の基準を満たしていることの確認資料を保険会社に提出することで、割引を受けることができます。
地震保険の割引は「建築年割引」「耐震等級割引」「免震建築物割引」「耐震診断割引」の4種類です。長期優良住宅の認定基準を満たしている建物は「耐震等級割引」または「免震建築物割引」のどちらかの条件を必ず満たしており、割引率が高いほうが適用されます。
⑦地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けられることもある
地域型住宅グリーン化事業とは、長期優良住宅をはじめ省エネルギー性能などに優れた木造住宅を新築する場合などに、最大110万円の補助金が支給される制度です。
⑧売却時に付加価値となることもある
長期優良住宅は安全性や快適性を国が認めた住宅であり、売却時には築年数が古くても高く売れる可能性があります。
築年数が古くなるにつれて住宅の価格も下がるのが一般的ですが、長期優良住宅の場合は認定を受けていることで「価値が高い」と評価されるため、大きなアピールポイントとなります。
長期優良住宅のデメリット
長期優良住宅には次の3つのデメリットがあります。
- 申請に費用がかかる
- 建築コストがアップする
- 定期点検が必須になる
それぞれ解説していきます。
①申請に費用がかかる
長期優良住宅の申請を自分で行う場合、かかる費用は一般的に5~6万円程度です。多数の書類を揃える必要があることから、実際にはハウスメーカーや工務店に申請を代行してもらう場合が多いため、この手数料も含めた合計額は20~30万円程度になるのが一般的です。
②建築コストがアップする
長期優良住宅の認定基準である耐震性や省エネ性などの条件を満たすためには、必然的に建築資材や住宅設備もグレードの高いものを使用することになります。さらに長期優良住宅は工期が長めの傾向があり、そのための人件費もコストが増える要因です。
標準仕様でも長期優良住宅の認定基準をほとんど満たすようなハウスメーカーの場合は建築コストに大きな差は生じませんが、工務店などでは2〜3割程度割高になることもあります。
③定期点検が必須になる
長期優良住宅の認定基準には維持保全も含まれているため、入居後の定期点検が必須となります。建築前に提出した「維持保全計画」をもとに点検し、必要に応じて修繕する必要があります。維持保全を怠った場合は認定を取り消されることもあるため注意が必要です。
定期点検は5年、10年、15年、20年と5年ごとに行われます。
長期優良住宅の注意点
長期優良住宅は、税の特例措置や補助金制度などさまざまなメリットがある一方で、申請コストや建築コストが高めになりやすいというデメリットもあります。
申請は着工前までという期限があるため、税制優遇等のメリットとコストを比較した上で着工前までに十分検討することが大切です。
長期優良住宅の認定の際は、工事中のチェックや完成後の検査などはなく、申請書類の内容のみの確認となります。
完成した建物の品質を実際にチェックする制度ではないため、質の高い住宅を建ててもらえる建築会社を見極めるようにしましょう。
まとめ
この記事では長期優良住宅の制度の概要や、メリット・デメリットなどを解説しました。
長期優良住宅は長く安心して暮らすための認定基準をクリアしており、デメリット以上にさまざまなメリットがあります。制度の仕組みを正しく理解した上で、長期優良住宅の認定を受けるのかを決めるようにしましょう。
長期優良住宅の建設や購入を検討する際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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