住宅性能評価という言葉を聞いたことはあっても、どのような制度なのか詳しく知らないという人も多いでしょう。
この記事では住宅性能評価について、制度の概要やメリット・デメリット、申請から交付までの流れなどを詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
住宅性能評価とは?
住宅性能評価とは、全国共通のルールのもと、住宅の性能を公正な立場で評価する制度です。住宅の性能を10の分野に分けて第三者機関が評価を行い、等級や数値などで表示した住宅性能評価書が交付されます。
以前は異なる事業者が販売する住宅の性能を比べることは難しいとされていました。しかし平成12年に住宅性能評価の制度が導入されたことにより、共通のものさしで評価することで専門家でなくとも住宅の性能を比較しやすくなりました。
住宅性能評価がある物件のメリットは4つある!
住宅性能評価書が交付された物件には、大きく分けて次の4つのメリットがあります。
- 紛争処理の支援がある
- 住宅ローンや地震保険料が割引される
- 贈与税を節税できる
- 売却時の価値が上がる
一つずつ解説していきます。
メリット1:紛争処理の支援がある
住宅性能評価書を取得した住宅において万一のトラブルが発生した場合、指定住宅紛争処理機関へ紛争処理の依頼をすることができます。
指定住宅紛争処理機関とは、国土交通大臣が指定した機関で、住宅の取得契約に関するさまざまなトラブルを円滑かつ迅速に処理するための機関です。各地の単位弁護士会が公正に対応してくれるため、安心です。
メリット2:住宅ローンや地震保険料が割引される
住宅性能評価書を取得した住宅は、住宅ローンの金利優遇や地震保険料の割引が適用されます。
住宅ローンの場合、厳しい技術基準を満たした住宅に適応される「フラット35S」を利用することができ、金利が最大で10年間引き下げられます。
地震保険も保険料が割引になり、割引率は耐震等級3の場合50%、耐震等級2の場合30%、耐震等級1の場合10%です。
メリット3:贈与税を節税できる
住宅を購入する際に両親や祖父母などから資金援助を受けるケースも多いですが、援助額が年間110万円を超えてしまうと贈与税が発生します。
しかし住宅性能評価書を取得した住宅の場合は、贈与税が非課税になる限度額が一般住宅よりも500万円高く設定されています。
援助額が多ければ多いほど贈与税の金額も大きくなるため、非課税限度額が高ければその分節税につながり、メリットが大きいです。
メリット4:売却時の価値が上がる
住宅性能評価書を取得した住宅は、高い住宅性能で長期間安心して住むことができる、いわば国からのお墨付きをもらった住宅です。
一般的には住宅の資産価値は経年とともに低下していきますが、住宅性能評価書を取得した住宅の場合は資産価値を維持しやすく、相場よりも高く売却できる可能性があります。
住宅性能評価がある物件のデメリットとは?
住宅性能評価書を取得することにはメリットが多いですが、もちろんデメリットもあります。
まずは間取りやデザインの自由度が低い点です。例えば耐震性の基準を満たすためには、吹き抜けや大きな窓などを希望通りに設計できないこともあります。
もう一点は、取得に費用がかかることです。性能向上のために建築コストが増え、さらに申請や検査などの事務的な費用もかかります。申請にかかる費用は住宅の延床面積や委託した評価機関によって異なりますが、一般的に15万円前後です。
取得を検討する際には、メリットとデメリットの双方を理解した上で判断することが大切です。
住宅性能評価書を取得する方法とは?
住宅性能評価書を取得するためには、国土交通大臣登録機関へ申請書類を提出し、手続きを進めていきます。しかし住宅を新築する場合と既存の住宅とでは方法が異なるため、ここではそれぞれの場合について解説します。
新築住宅の場合
新築住宅の場合、下記の通り設計の段階と施工の段階でそれぞれ検査と交付があります。
- 設計図書の作成
- 設計図書の評価
- 設計住宅性能評価書の交付
- 施工段階・完成段階の検査
- 建設住宅性能評価書の交付
3階建て以下の住宅の場合は、住宅性能評価機関が原則として現場に4回立ち入って検査をします。4 階建て以上の住宅では階数に応じて検査の回数が増えます。
中古住宅の場合
既存の住宅の場合、下記の内容で実施されます。
- 評価の申請
- 評価の実施
- 現況検査・建設住宅性能評価書の交付
ただし現状検査の結果明らかになった不具合については、一旦評価を中断し、補修後に再検査を受けることも可能です。
住宅性能評価書を取得する流れとは?
住宅性能評価書の交付を受けるための手順は、大きく分けて3つに分かれています。
最初は相談や見積もりを行います。国土交通大臣登録機関の中から委託をする機関を決めて、新築住宅の場合は着工前に相談や見積もりを進めましょう。
次は現場検査です。新築住宅の場合は家づくりの段階に応じて検査や評価が行われます。既存住宅の場合は書類や図書の審査の後に検査が実施されます。
最後は評価書の受領です。全ての検査と評価を終えると、評価内容に応じた住宅性能評価書が交付されます。
住宅性能評価の10分野
住宅性能評価の評価基準は、新築住宅と中古住宅の場合で項目と内容が異なります。ここではそれぞれの場合について一覧にまとめて解説します。
新築住宅の場合
新築住宅を対象とした性能表示項目は下記の10分野に分けられ、さらに内容が32項目に分けられています。
項目 |
内容 |
1.構造の安定 |
耐震等級、耐風等級、耐積雪等級など |
2.火災時の安全 |
感知警報装置設置等級、脱出対策、耐火等級など |
3.劣化の軽減 |
劣化対策等級 |
4.維持管理・更新への配慮 |
維持管理対策等級、更新対策 |
5.温熱環境 |
省エネルギー対策等級 |
6.空気環境 |
ホルムアルデヒド対策、換気対策など |
7.光・視環境 |
単純開口率、方位別開口比 |
8.音環境 |
重量床衝撃音対策、軽量床衝撃音対策など |
9.高齢者等への配慮 |
高齢者等配慮対策等級 |
10.防犯 |
開口部の侵入防止対策 |
「1.構造の安定」「3.劣化の軽減」「4.維持管理・更新への配慮」「5.温熱環境」については必須項目、それ以外については選択項目となります。
中古住宅の場合
中古住宅の場合は、新築住宅を対象とした性能表示項目のうち7分野27項目と、既存住宅のみに設定された2項目になります。
項目 |
内容 |
1.構造の安定 |
耐震等級、耐風等級、耐積雪等など |
2.火災時の安全 |
感知警報装置設置等級、脱出対策、耐火等級など |
4.維持管理・更新への配慮 |
維持管理対策等級、更新対策 |
6.空気環境 |
ホルムアルデヒド対策、換気対策など |
7.光・視環境 |
単純開口率、方位別開口比 |
9.高齢者等への配慮 |
高齢者等配慮対策等級 |
10.防犯 |
開口部の侵入防止対策 |
現況検査により認められる劣化等の状況に関すること |
現況検査により認められる劣化等の状況 |
特定現況検査により認められる劣化等の状況 |
既存住宅においては事項ごとに選択事項となっており、評価申請の際にそれぞれの事項の評価を希望するかを明示して申請します。
また、新築時に建設住宅性能評価書が交付されていない住宅の場合は、6分野16項目の適用となります。
既存住宅用の基準でも、等級などの設定や表示方法は基本的に新築住宅用と同じです。
住宅性能評価について理解できましたか?
ここまで住宅性能評価について、制度の概要やメリット・デメリット、取得方法や評価基準について解説しました。
住宅性能評価書を取得した住宅は、長期に渡って安心して住める、質の高い住宅です。メリットとデメリットを理解した上で、取得を検討してみてください。
【失敗したくない方必見】中古マンション購入を検討中の方におすすめセミナーがあります!
不動産のプロが中古マンションの購入の流れや物件の探し方、資金計画までをわかりやすく解説。
「中古マンションを購入してリノベーションしたい」「リノベーション済の中古マンションを購入したい」方や、「住宅ローンやお金のことがよくわからない」方におすすめのセミナーです。
参加費無料で、参加方法はオンライン・来社どちらでも可能!個別相談参加でAmazonギフト券をプレゼント!
中古マンションの選び方のポイントや、あなたにぴったりの暮らしを叶える物件選び・探しまでサポートしますので、まずはご参加ください♪
▶︎物件購入のノウハウが100%手に入るセミナーの申込はこちらから!
物件探しで具体的なお悩み・相談内容がある方は個別相談にお申し込みください。