2025年問題という言葉を知っていますか?団塊の世代が一斉に75歳以上を迎える2025年は社会保障制度に大きな影響を与えると言われており、不動産も例外ではありません。
この記事では、2025年問題と不動産価格との関係に加え、購入・売却のタイミングについて解説します。家の購入や売却を検討している方はぜひご参考ください。
2025年問題とは?
2025年問題とは、1947〜1949年に生まれた「団塊の世代」と呼ばれる方々が75歳を超えることにより、医療や介護などの社会保障制度に大きな影響を与えるという問題です。
約800万人にのぼる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることで、日本の社会保障費は2018年よりも約20兆円増加すると言われています。
少子高齢化によって働く世代の人口が減っているにもかかわらず、大幅な社会保障費の増加が起こることにより、公共サービスの破綻や縮小が懸念されているのです。
2025年問題は不動産"購入"に影響はある?
2025年問題が起こると、不動産購入にはどのような影響があるのでしょうか?ここでは、以下の3つの項目について詳しくまとめました。それぞれみていきましょう。
- 空き家が増える
- 立地適正化計画が進む
- 相続時の売却が増える
以下から一つずつ解説していきます。
影響1:空き家が増えるので安く購入できる
2025年には3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると言われています。そのため、住人が亡くなったり、介護施設や高齢者向け住宅に移ったりすることで空き家となる物件が増えることが想定されます。
空き家が増えると住宅が余ってしまうため、不動産を所有する売り手は物件価格を下げる可能性が高くなります。その結果、不動産相場の下落が発生し、住宅の価格は現在よりも安く購入できると考えられます。
影響2:立地適正化計画が進み、価格が下落する
「立地適正化計画」とは、公共施設やインフラなど公共サービスを効率的に運営することを目的に、自治体ごとに推奨する居住エリア(居住誘導区域)に人口を集める計画です。
立地適正化計画は2014年に施行された「都市再生特別措置法」に基づいており、現時点で学校や公共施設などの統廃合が進められています。今後も統廃合が進むことにより、居住誘導区域の不動産価格は維持され、それ以外のエリアでは価格が下落することが想定されます。
影響3:相続時の売却が増えるので価格が下落する
現在、高齢者が居住している持ち家に相続が発生した場合、利便性が低いエリアや老朽化が進んだ住居では、家族が相続した実家を維持できずに売却するケースも増えてくるでしょう。
その結果、売却の増加によって不動産の「供給」が増えます。
一方、少子高齢化によって若い世代が少なくなり、不動産の「需要」は減ると考えられます。需要と供給のバランスが崩れて不動産価格が下落することが想定されるのです。
2025年問題は不動産"売却"に影響はある?
不動産購入だけでなく、不動産売却にも2025年問題は影響するのでしょうか?以下の4つの項目についてまとめましたので、それぞれみていきましょう。
- 空き家が増える
- 立地適正化計画が進む
- 生産緑地期限が迫る
以下から一つずつ解説していきます。
影響1:空き家が増えるので売却は困難になる
持ち家に居住している高齢者の割合は多く、高齢者(65歳以上)のいる主世帯の80%以上が持ち家に居住しており、単身の高齢者世帯においても65%以上が持ち家です。
2025年問題で高齢化が進むと、さまざまな理由によって高齢者が居住を継続できなくなった住宅が売却され、不動産市場に出回ることになります。
しかし、住宅購入需要のある30~40代は減少傾向にあるため、多くの住宅が購入されず空き家になってしまい、売却が困難になる可能性があるのです。
影響2:立地適正化計画のエリア外にある不動産は価値が下がる
立地適正計画では、自治体が推奨する居住誘導区域に医療や福祉、公共交通機関などの公共サービスが集約されます。
居住エリアも同じく居住誘導区域エリアに集約されるため、居住誘導区域を境界に不動産価格に差が生じる可能性があります。つまり、エリア外にある不動産は価格が下がってしまうのです。
立地適正化計画は多くの都市で進められているため、不動産売却を考えている方はその地域の各行政ホームページを確認しておきましょう。
影響3:買い手世代が減少するので売却しづらい
買い手が少なくなることによって、不動産売却価格の下落が考えられます。
住宅や不動産の買い手は、主に30〜40代の若い世代です。現在は少子高齢化により、住宅需要の高い買い手世代は減少傾向にあります。
2025年問題が起こると空き家や不動産相続などによって不動産市場に出回る住宅が増加し、買い手の需要よりも住宅の供給が多い状態になります。その結果、住宅に対して買い手の割合が少なくなり、売り手は不動産価格を値引きせざるを得なくなってしまうのです。
影響4:生産緑地期限が迫る
2025年問題のほかに不動産売却に影響を与える可能性があるものとして、「生産緑地期限」があります。
「生産緑地」として指定された土地は、30年間農地として維持することで税金の優遇が優遇されます。その間は建物を立てられないという制約があり、多くの生産緑地が2022年に期限切れを迎えるのです。
国土交通省が2015年に行った調査によると、生産緑地は全国で13,442ヘクタール、東京だけでも3,296ヘクタールにのぼります。
もし、生産緑地期限を迎えた土地が一斉に売りに出されれば、不動産市場は共有過多となり価格の下落が予想されているのです。
2025年に不動産の価格が大きく変化すると考えられる地域は?
75歳以上の後期高齢者世代が一気に増える2025年は、不動産の価格が大きく変化すると言われています。そのなかでも、特に価格の変化が大きいと考えられるのはどのような地域でしょうか?
ここでは、2025年問題の影響をより強く受けて不動産価格の下落が想定される地域について、以下の2つの項目についてまとめました。
- 急速に高齢者が増加すると考えらえる地域
- 立地適正化計画対象外地域
急速に高齢者が増加すると考えらえる地域
地方など高齢者の割合が多い地域は、住人の死亡や介護施設などへの転居に伴って、空き家や持ち家相続時の売却が増加します。
高齢化が進んでいる地域は不動産の買い手である若手の世代が少ない傾向にあるため、供給過多の状態になって不動産価格が下落すると想定されるのです。
2015年に国立社会保障・人口問題研究所が行った調査によると、高齢者の増加率が高い都道府県上位3県配下の通りです。
2015年高齢者数/万人 |
2025年高齢者数(予測) |
増加数 |
増加率 |
||
1位 |
沖縄県 |
278,337 |
361,649 |
83,312 |
+30% |
2位 |
宮城県 |
588,240 |
695,813 |
107,573 |
+18% |
3位 |
茨城県 |
771,678 |
879,025 |
107,347 |
+14% |
国立社会保障・人口問題研究所|『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』都道府県別にみた推計結果の概要
立地適正化計画対象外地域
立地適正化計画対象外地域では、学校の統廃合やバスなどの公共交通機関の減少など、過疎化が進む地域のようなことが起こると考えられます。
立地適正化計画対象外地域の土地が急激に下落することはありませんが、公共サービスなどが徐々に縮小されてくるため、将来的ににぎわったり発展したりといった可能性はかなり低いと考えられるでしょう。
そのため、立地適正化計画対象外地域は、対象内地域と比べて土地の価格が下がると予想されます。
家を買うのは2025年まで待つべき?メリットとは?
ここまで、2025年問題が与える不動産への影響を説明してきました。現在、家の購入を考えている方は、2025年まで待つべきなのでしょうか?
家の購入を2025年まで待った場合に得られるメリットについて、以下の3つの項目をまとめました。
メリット①:住宅の価格が下がる
家の購入を2025年まで待った場合、不動産価格の相場が下落して住宅の価格が下がる可能性が高くなります。家の購入は大きな買い物であるため、少しでも価格を抑えるために税金の軽減措置などを利用する人も多いでしょう。
しかし、2025年問題によって大幅な不動産価格の下落が起こる可能性があるのです。価格の下がり幅は地域や利便性などによって異なりますが、全体的な不動産価格に影響が出る可能性が高いと考えられるのです。
メリット②:数多くの住宅が出回り選択肢が増える
2025年以降は、不動産市場に多くの売り出し物件が出回り、購入物件の選択肢が増えるというメリットが考えられます。
現在、物件探しをしているものの「なかなか希望のエリアや価格などの条件に合う物件が見つからない」という方も多いかもしれません。不動産の供給が大幅に増加する2025年以降であれば、選択肢が増える可能性が高くなるでしょう。
特に、都市部にこだわらなければ、より安い価格で家を購入することができるでしょう。
メリット③:条件の良い物件や新築も安くなる可能性がある
2025年問題の影響で不動産価格が下落するのは、主に高齢化が進んでいる地域や立地適正化計画対象外地域など地方や利便性の低い地域、また築年数を経ている中古物件です。
しかし、不動産市場の供給過多によって全体的に価格が下落し、利便性の良い地域の物件や新築物件なども考えられます。2025年まで家の購入を待った場合は、このような条件の良い物件を安く購入できる可能性もあるのです。
しかし、好条件の物件は人気が高いため、すぐに売れてしまいます。購入を希望する場合はこまめに情報収集を行いましょう。
家を売るのは2025年までにするべき?メリットとは?
家を売りたいと考えている方は、2025年までに売却するべきなのか悩んでしまうかもしれません。
ここでは、家の売却を2025年までに行ったときに得られるメリットについて、以下の3つの項目をまとめました。
メリット①:買い手が多く競合物件が少ない
2025年までに家を売却する場合、2025年以降に売却した場合と比べて買い手が多く、競合物件が少ないというメリットがあります。
2025年以降になると不動産を所有している売り手が一斉に売却を行い、不動産市場が供給過多状態になることが予想されます。そのため、競合物件が増えて不動産価格は下がってしまうでしょう。
2025年まで余裕をもって家を売れば競合物件も比較的少なく、買い手が付きやすいと考えられます。
メリット②:現在は不動産価格が上昇している
現在は不動産価格が上昇しています。2013年以降、不動産価格は全体的に上昇傾向にあります。2020年は新型コロナウイルスの影響で一時的に価格が下がったものの、その後不動産価格は全国的に上昇しており、2021年12月時点の調査において不動産価格は住宅総合で2.9%、戸建て住宅で2.5%、マンションで0.8%増となっています。
そのため、価格が上昇しているうちに、2025年問題の影響で不動産価格が下がる前に家を売ったほうが、高く売れる可能性が高くなると考えられるのです。
参考:国土交通省「不動産価格指数(令和4年1月・令和3年第4四半期分)」
メリット③:価格の値下がりリスクを軽減できる
2025年までに家を売った場合、不動産価格が値下がりするリスクを軽減することができます。
2025年が近づくにつれ、2025年問題を心配した不動産所有者が一斉に売却を始めることが想定されます。2025年になってから家を売却しようとすると、不動産市場に多くの売り出し物件が出回ります。その結果、物件の供給が買い手の需要を上回り不動産価格が下落してしまうのです。
特に住宅ローン残高が残っている場合は、不動産価格が下落すると売却によってローンを返済できなくなるため、2025年までに余裕をもって売却することで値下がりのリスクが軽減できます。
ベストタイミングで購入・売却をしよう
2025年問題が起こると、高齢の住人が亡くなったり、介護施設に転居したりすることで空き家の増加や相続時の売却が増加します。
現在は少子高齢化によって買い手需要世代である30~40代が減少傾向にあるため、供給過多状態の売り出し物件とのバランスが崩れ、不動産価格が下落してしまうのです。
不動産価格は2025年問題以外にも、立地適正化計画や生産緑地期限など、さまざまな要因に影響を受けます。
家の購入や売却を検討している方はしっかりと情報収集を行い、自分に合ったタイミングで家を売買しましょう。
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