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建築物を建てるために必要な法令とは?「建築基準法」「施行令」「規則」の概要や関係性、読み方をわかりやすく解説!

2022.07.08
2022.12.16
法律書の画像

みなさんは、建築物を建てるために必要な法令にどんなものがあるかご存知ですか?おそらく「建築基準法」という言葉は聞いたことがあるけれど、その内容についてはよく分かっていないという方が多いのではないしょうか。この記事では、家を建てるときや不動産の購入を考えているときに知っておくと便利な建築法令について解説します。

 

建築物を建てるために必要な法令

建物の設計をしている様子

日本で建築物を建てるためには、最低限のルールを守る必要があります。

「建築基準法」とは、建築物を建てるための最低限のルールを明確化したものであって、設計者や施工者は、建物を設計したり建築したりする際にきちんと法令を確認し、順守しなければなりません。また、その他にも「建築基準法施行令(政令)」や「建築基準法施行規則(省令)」など建築物を建てる上で順守すべき様々な規定があります。

 

   各法令の名称と概要

1.建築基準法 

 →国民の生命・健康・財産保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を憲法に基づき国会が定めます。

 

2.建築基準法施行令(政令)

 →建築基準法で定めた基準の内容をより細かく規定したもので、内閣が法律の委任により定めます。

 

3.建築基準法施行規則(省令)

 →建築基準法関連の手続き様式を示して必要な添付書類を規定するもので、国土交通大臣が定めます。

 

4.告示

 →法令や政令で定める基準を内容をさらに細かく規定するもので、国土交通大臣が定めます。

 

5.建築基準関係規定

 →建築基準法第6条の規定で、確認申請で適合させる必要のある各種規定について定義された建築基準法の規定です。

各法令の関係性

建築物に関わる法令の法体系

これまでの法体系を図解で解説すると上図のようになります。

建築物を建てる上で、これだけ多くの法令や政令、規定が関係していることに驚きますよね。建築士は、法令を正しく理解し適切に設計に反映させる必要がありますが、みなさまが全てを把握する必要はありません。家を建てる方や不動産の購入を考えている方は「このような成り立ちがあるんだ。」と、法体系の概要を理解していただくことで十分かと思います。

 

建築物の柱となる法律「建築基準法」を読み解く方法

法に関する文書を読んでいる人

ここからは、さらに知識を深めたい方や調べ物をしたい方向けの解説になります。

先述しましたように「建築基準法」を読み解くには、全体の法体系を正しく理解し、ルールを守って読み進めていく必要があります。

適切な順番で読み進める

読み進めるための順番は以下のようになります。

①「建築基準法」・・・最低限の内容を確認

  ↓

②「建築基準法施行令」・・・性能や技術的基準を確認

  ↓

③「建築基準法施行規則」「告示」・・・詳細な仕様を確認

  ↓

④その他、告示や関係規定など

基本的に「建築基準法」→「建築基準法施行令」→「建築基準法施行規則」の順番で、大まかな内容からより詳細な内容について記載されています。これを逆の順番で読んでしまったり、おおもとの基準を読み飛ばしてしまったりすると、ルールの本質を理解できないという事象が発生してしまいます。

建築関係の仕事に携わる人は「法令集」という、建築関係の法令を”ほぼ”全て網羅した本を用い、仕事を行っています。(”ほぼ”というのは、「法令集」は実務や建築士の試験で頻出する重要法文を抜粋しているため、各法令全ての内容を網羅しているわけではないからです。)このようにプロが使用する本でも、正しい順番で法令を理解するよう、それぞれの法文の直下に関係法令のページ番号が記載されるといった工夫がなされています。それほど、法体系の全容を把握するということは重要なのです。

 

基本的な法令用語のルールを知る

法令を読み解くためには、法文中の用語を正しく理解する必要があります。ここでは、基本的ないくつかの法令用語を解説します。

以上 その数値を含んで、上の値を示す。(例:10以上は、10を含む10より大きい値を示します。)
以下 その数値を含んで、下の値を示す。(例:10以下は、10を含む10より小さい値を示します。)
超える その数値を含まず、上の値を示す。(例:10を超えるは、10を含まない10より大きい値を示します。)
未満 その数値を含まず、下の値を示す。(例:10未満は、10を含まない10より小さい値を示します。)
及び A及びB → AとB両方を含みます。
又は A又はB → AとBどちらか一方です。
並びに A並びにB → AとB両方を含みます。
若しくは A若しくはB → AとBどちらか一方です。
かつ AかつB → AとB両方を含みます。



法令を読むときの留意点

必ず、最新の法令を確認するようにしましょう。建築関係の法令は、ほぼ毎年確実に何らかの法改正があります。例えば、1995年の阪神淡路大震災を受け、2000年には新たな耐震基準が設けられました。このように、法令はその時の世情を考慮し、新たなルールとして制定されていきます。

みなさんの生活に置き換えてみると「20年前、家を建てたときは問題なかったのに、新たに家を建てようとすると同じことが出来ないのはどうして?」といったことが起きるかも知れません。住宅メーカーや不動産の方は、最新の法令を理解した上でお話されていることは前提ですが、もしご自分でその根拠を確認したいと思った際は、常に最新の法令を確認するようにして下さい。

例1)インターネットで調べる際→「建築基準法 2022」※検索時の西暦を入力

例2)法令集で調べる際→最新の法令集を購入 ※最新の法令集は毎年11月〜12月頃に発売



法令について正しい知識を持つことの意味

建築に関する法令は大変奥深く、全容をきちんと把握するには多くの時間を要します。この記事を読んで下さった方は、「建築基準法」とは何か。ということに興味を持ってここまで読み進めていただいたかと思いますが、いかがでしたでしょうか。

建築の専門家ではない方でも、どんな方でも”建物”とは常に身近にあるものです。深い知識をもって損をすることはありませんし、自邸を構える際や不動産を所有しようとする際に参考となる知識が必ず含まれています。

最後にまとめになります。みなさまが法令を学ぶ際は、以下の3つのポイントを覚えておいて下さい。

POINT①

「建築基準法」とは、建築に関する最低限のルールを明確化したものであり、法令の全てではありません。(より詳しい内容については、施行令や規則、告示などを確認する必要があります。)

POINT②

法令を読み進める際は、正しい順番で読み進めます。

POINT③

常に最新の法令かどうか確認します。


知りたい情報を理解するまでには、法令を読み解く適切な順番があるために時間を要したり、法令用語が難しかったりと、なかなかハードルの高い作業ではあります。しかし、膨大な法令の中には必ず答えがありますので、ぜひみなさんも何か疑問を持った際には建築法令について調べてみて下さい!

不動産情報メディアの記事管理、編集を行う。 記事は不動産売買から家具やインテリアなど住環境に関する内容まで網羅。

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