コンサバトリーは、近年家で快適に過ごしたいということで注目されているスペースです。まだ認知度は低いですが、使い方によって暮らしがより豊かに、理想とする環境を作っていけます。
今回はコンサバトリーの歴史や建築様式のスタイル、使用例やメリット・デメリットなど知識を深めていきましょう。ぜひ参考にしてください。
コンサバトリーとは
「conserve(保存)」というフランス語が語源となっている「conservetry(コンサバトリー)」は、主に屋外に面した多目的スペースを指しています。
間取りや構造はさまざまですが、一般的に屋根や壁面がガラス張りになっているのが特徴です。室内でありながらも、まるで屋外にいるかのような解放感を楽しむことができます。
イギリスの伝統的な住宅スタイル
コンサバトリーの発祥は18世紀のイギリスです。
外交・交易が進んでいた当時のイギリスは、諸外国から多くの果物を持ち帰りました。それに伴い、貯蔵するためのスペースが必要となり、木材とガラスを使用して専用の部屋を作ったことがコンサバトリーの原型です。
そしてのちに住宅スタイルとして広まり、現代では普段の生活の中でさまざまな活用ができる空間として確立しています。
コンサバトリーの方が庭や屋外にせり出している面積が多いため、家具などをレイアウトでき、一部屋として機能するくらい広々としているのが一般的ですよ。 >>プロフィールはこちら
代表的な4つのスタイル
18~19世紀中頃のジョージ王朝時代に誕生したコンサバトリーは、その後も各時代の建築様式に合わせてスタイルが変化し続けてきました。そんなコンサバトリーの代表的なスタイルは次の4つになります。
- ヴィクトリアン
- エドワーディアン
- リーントゥ
- パヴィリオン
スタイルの違いにより、どんなコンサバトリーが好みなのかを知るのも大切な検討材料です。ひとつずつ見ていきましょう。
ヴィクトリアン
19世紀中頃から20世紀初頭の、ヴィクトリア王朝時代の建築スタイルです。
代表的な建築物として、1851年にロンドン万博の会場として建てられたクリスタルパレスが挙げられます。
ガラスだけでなく鉄筋も普及し、強度の優れた骨組み構造が可能となったため、複雑でありながら気品と美しさを醸し出す女性的なデザインです。
エドワーディアン
20世紀初頭のエドワード王朝時代の建築スタイルです。
構造がシンプルな四角形の建築スタイルへと変わり、ヴィクトリアンとは対照的に男性的な印象を受けます。日本の寄棟屋根と似ており、壁面の四方がガラス張りになっているため、さらに開放的であることが特徴です。
また、四角形とスペースを有効的に使用できるため、テーブルやキャビネットといった家具やカーテン・ラグなどをレイアウトしたインテリアコーディネートがしやすい点もあります。
リーントゥ
四角形がベースの構造と、片流れの屋根が付いているのが特徴です。
4つのスタイルの中でもシンプルな造りなのでどんな住居にも合わせやすく設置できます。元々は温室として造られたコンサバトリーの原点で、ガーデニング好きな方から人気があるスタイルです。
パヴィリオン
パヴィリオン様式は、かつては貴族の庭に造られた「別棟」「離れ」「あずまや」のようなスタイルの建築物です。現在では博覧会や展示会に使用する仮説の建物という意味もあります。
屋根のシルエットは日本の住宅でも馴染みのある切妻屋根造りです。全面にはサンバーストという装飾が施されているものもあり、全体はシンプルながらもデザイン性の高さが光ります。
コンサバトリーの使用例をご紹介!
記事冒頭で「多目的スペース」とご紹介した通り、ライフスタイルに合わせて使用方法はさまざまです。
代表的な使用例は次の4つがあります。
- ガーデニング
- リビング・ダイニングの延長
- くつろぎ空間
- 洗濯物を干す
ひとつずつ見ていきましょう。
ガーデニングを楽しむ
現在も温室として使用されていることもあり、ガーデニングを楽しむ場所としてぴったりな環境です。日当たりが良く、さらに強風・大雨などの悪天候時も心配ありません。
環境の変化も少ないので季節を問わず、さまざまな種類の植物を育てることができます。
リビング・ダイニングの延長として空間を広げる
家具をレイアウトすることができるほどの広さがあるため、リビング・ダイニングに続く生活スペースとして過ごすことができます。設計によっては水回りなどの設備、エアコンをはじめとする生活家電の設置も可能です。
屋外と屋内をつなぐアウトドアリビングとして、家族や来客とともに楽しめます。
カフェや趣味の部屋としてくつろぎの場所に
コンサバトリーがある住居は珍しいので、特別感のあるスペースとして活用してはいかがでしょうか?
隠れ家のような日常から離れてリラックスできるカフェスペースや、趣味に関連するものをレイアウトして好きなものに囲まれてリフレッシュすることができます。
このような専用のスペースがあることにより暮らしにもメリハリが生まれるのでおすすめです。
洗濯物も干せる
コンサバトリーは十分な日当たりを確保することができるので洗濯物を干すのに適しています。広々としておりたくさんの量を干すことができ、室内なので近年の急激な天気の変化が起こっても安心です。梅雨の時期もコンサバトリーに干せばリビングに生活感が出てしまうこともありません。
コンサバトリーのメリットとは?
ひとつの部屋として家主が自由に使用し過ごすことができる意外にも、コンサバトリーならではの魅力的なメリットが3つあります。
- 明るく開放的
- 外気をやわらげる
- 趣味を楽しめる
一つずつ詳しくご紹介します。
①光が入って明るく開放的な空間に
コンサバトリーの設計の基本は「光を取り入れること」です。
空間全体もガラス張りなので視界が開け、自然光が降り注ぐ気持ちいい環境で過ごすことができます。
室内にいながら四季の移ろいや庭の自然、空模様を味わうことのできる贅沢な空間です。
②外気を和らげ、リビング・ダイニングが快適に
リビング・ダイニングに窓が設置されている場合は、外気を直接受けて室温に影響が出てしまいます。コンサバトリーをリビング・ダイニングに隣接するように設置すれば、外気が一旦コンサバトリーを通ることで温度がやわらぐので、夏場も冬場もリビングは快適です。
また、太陽光も間接的に取り込めるため、自然な明るさも保てます。
③趣味を楽しむ空間ができる
アートや制作が好きな方ならアトリエを、バイクや自転車のカスタムが好きな方ならガレージを…というように、趣味専用の空間に憧れのある方も多いかと思います。
リビングや自室とはまた違うとっておきの空間で、趣味を思い切り楽しむことができるのもコンサバトリーならではのメリットです。
居心地のいい空間で、自分の好きなことに触れている時間は暮らしを豊かなものにしてくれることでしょう。
コンサバトリーのデメリットとは?
ガラス張りで開放的なコンサバトリーですが、それゆえのデメリットも生じます。
前もって確認しておき、どのように対策をすればいいのかを併せて検討しておくことがおすすめです。
- 温度調節が大変
- メンテナンスが必要
- コストがかかる
ひとつずつ見ていきましょう。
①熱気がこもりやすいので、温度調節が大変
ガラス張りであるということは、夏場は強い日差しが直接入るのでほかの空間と比べると室内温度が高くなってしまいます。このようなデメリットを軽減するには、コンサバトリーに使用する材質選びが重要になります。断熱性の高いガラスや気密性のある二重ガラスにしたり、フレームも熱伝導率の低い樹樹脂を選びましょう。
②メンテナンスが必要
住宅は太陽光や雨風によるダメージを受けて汚れてしまいます。特にガラスは汚れが目立ちやすいので、せっかくの雰囲気を損なわないためにも日頃からのメンテナンスが必要です。
屋根部分、天井近くの壁など自身でのメンテナンスが難しい箇所もあります。メンテナンスの専門業者について調べておき、また、大型台風など自然災害に繋がる恐れがある場合は事前に対策することを視野に入れて相談するようにしましょう。
③コストがかかる
先に述べた温度調節、メンテナンスのための維持費は、施行スタイルや広さにもよりますが比較的コストが高くなるのが一般的です。
また、周りの環境によってはプライバシー保護のためのカーテン取付や、防犯対策としてのカメラの設置なども後から必要になることがあります。
なお、見落されやすいのが「固定資産税」です。
コンサバトリーは「天井があり、3方向以上が壁やガラスで囲まれている」、「床から天井までの高さが1.5m以上ある」という、課税対象となる条件に当てはまっています。注意しておきましょう。
費用はどれくらいかかる?
コンサバトリーを設置する費用は、広さやスタイル、オプションによって異なりますが約150万円~300万円が相場です。
新築時に設置するだけでなく、既に住んでいる住宅の屋外に一部屋増築するような造りになるため比較的安価であると言えます。
マンションにコンサバトリーを設置したい場合は、室内にガラス壁を設置して空間を区切り、「インナーテラス」を作るリフォーム・リノベーションをしてみてくださいね。 >>プロフィールはこちら
アレンジは無限大!自分好みの空間を作れる
ガラスに囲まれているという、非日常感のあるコンサバトリー。使い方に決まりがなく住人が好きなようにアレンジできる素敵な空間です。
メリット・デメリットについて理解しておき、必要に応じた対策をしておけば、家族も来客もいつも満足する時間を過ごせることでしょう。
ぜひ今回の記事を参考に、暮らしが豊かになるコンサバトリーを検討してみてくださいね。
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