40歳といえば働き盛りで、会社では部下を持ち家庭では子育てにお金がかかるという状況に置かれる方が多い年頃ではないでしょうか。
今日はそんな40歳の中でも「家を買いたいけれど、実は貯金なし」という皆さんのための記事です。
貯金がない40歳の方が増えている背景や、それでも家を買うことができるノウハウを知り、対策を始めましょう。
40歳貯金なしで家を買うのは非現実的?
国土交通省の『令和2年度住宅市場動向調査報告書』によると、人生1回目の住宅を購入する年齢の平均は新築の場合は38.5歳、中古だと44.4歳という結果でした。
年齢からすると、40歳で家を買うのはごく平均的な年齢だということが分かります。
では、貯金に関してはどうでしょうか。実際に貯金ゼロでも家を買う人は存在します。貯金なしで家を買う方たちの主な特徴は以下の通りです。
- 年収の高い仕事に就いている方
- 親が資産家で贈与を受けることが決まっている方
- 収入が低くても返済が負担にならないくらい安い物件を購入する方
- 住宅ローン審査に通りフルローンで借りることができた方
貯金がない方の多くは、主にこの4番目のパターンが多いのではないでしょうか。
40歳で貯金なしの方はどれくらいいる?
では、40歳で貯金がない方はどれくらいいるのでしょうか。厚生労働省の国民生活基礎調査(2019年度)によると、全世帯中貯蓄があるのは約82%で、平均貯蓄額は1,077万円でした。
この内、世帯主が40~49歳の家庭の平均貯蓄額は約650万円であることから、40歳の貯金の平均もおおよそ500~600万円辺りであることが推測できます。
一方、金融広報中央委員会が行った令和元年の調査によると、2人以上の家族がいる40代世帯で貯金がない世帯は18.7%という結果になりました。
参照:
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成19年~令和2年)』
40歳で貯金が無い原因
40歳で貯金なしの理由として考えられる理由を列挙してみましょう。
原因1:子供にお金がかかる
学校や習い事など、教育費にお金がかかる子供がいる世代のためなかなか貯金できない
原因2:貯金の重要さを実感していない
40歳は働き盛りで健康にも自信があるため、必死に貯金をする必要性を感じていない
原因3:親に甘えている
まだ親が健在で食品や生活物資を援助して貰うことも多く、金銭面でも頼ってしまっている
原因4:物欲、消費欲が強い
財布の紐がゆるく、家計管理もしっかりできていないため、お金があるだけ使ってしまうという癖が抜けていない
40歳貯金なしで家を買うメリット
貯金なしで家を買うのはもちろんなかなか大変で、デメリットが多いことは言うまでもありません。しかし貯金なしがメリットとして捉えられることも意外とあります。
ここでは、貯金がないままで家を買うメリットとデメリットを整理してみましょう。考え方や置かれている状況によっては、一歩踏み出す勇気になります。メリットとデメリットを天秤にかけ、さまざまな点から検討してみましょう。
①団体信用生命保険に救われる
住宅ローンを組む際に団体信用生命保険に加入します。ローン債務者に大病や死亡など万が一のことがあった際に、ローンがゼロになる保険です。
若い時に家を買っていればこの保険料を多く払っていたことになりますが、40歳からだと支払いが少なく済む計算になります。また、40歳は健康の心配がいろいろ出て来る世代なので、この保険は購入決断の大きな安心材料となります。
②老後も住むところに困らない
高齢になると賃貸住宅を借りにくくなります。収入や健康面の不安から、大家さんが快く貸してくれなくなってしまうのです。自分の家を持っていれば、老後に住むところに困ることはありません。
③持ち家は資産になる
賃貸の場合はずっと家賃を払い続けても自分のものになりません。持ち家はローンを払えば払うほど自分の資産になります。賃貸の家賃と同じくらいのローン返済額であれば、家を買ったほうがお得です。
40歳貯金なしで家を買うデメリット
一方でデメリットもあります。事前に把握し、対策しておきましょう。
①ローンの審査が通りにくい
金融機関や不動産会社によっては、年収だけでなく貯金額を聞いてくるところもあります。
家を買う際は手付金として購入金額の5~10%ほどを支払わなければならないので、もしもその金額が用意できないとなると、契約は難しくなります。
②諸費用が払えない
家を買う際に必要になるお金は、家本体の額面だけではありません。不動産会社に支払う仲介手数料や印紙代、登録免許税、不動産取得税、住宅ローンの手数料などを準備する必要があります。
これらの諸費用は住宅ローンにも組み込むことができますが、その分ローン返済額が増えてしまうことを忘れてはいけません。
40歳貯金なしで住宅ローンの審査は通るの?
40歳で貯金がないという状況が住宅ローン審査にどれくらい影響するのか、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
では実際、住宅ローンの審査では一般的にどのようなところが見られているのかをチェックしてみましょう。金融機関によって重要視する項目や度合いは異なりますが、ローンが通りやすい方と審査に落ちやすい方には大きな特徴があります。
ローンが通りやすい方の特徴
完済時の年齢 | 80歳以下 |
仕事 | 正社員で勤続年数が3年以上ある方 |
健康 | 健康状態が良好で、病歴や手術歴のない方 |
個人情報 | 他にローンがなく、延滞などの履歴もない方 |
なお、ローン審査には「事前審査」と「本審査」の2段階があります。事前審査では金融機関が本人の返済能力や融資可能額を審査します。事前審査が通れば本審査も通過する可能性が非常に高くなります。
ローン審査で落ちやすいのはこんな人
通りやすい人の逆パターンがローン審査に落ちやすい人です。
ローン完済時の年齢が80歳以上になる計算だと、収入面でも非現実的となり信用されません。40歳で家を買う場合はせいぜい25から30年で組むと良いでしょう。
仕事については、非正規社員や転職回数が多い方、その職に就いてから3年以下の方は審査が厳しくなります。
過去に大病をしたことがある、または現在も病気がちであったり直近の健康診断で引っ掛かったという方は、返済能力に問題ありと判断されやすくなります。
車のローンやリボ払いが残っていたり、過去に消費者金融で借金を繰り返したことがあるなど、個人信用情報に履歴がある方は審査で落とされがちです。
40歳で貯金がない方たちのローン事情
40歳で貯金がない方たちがローンを組む際は、マックスでお金を借りてフルローンを組むことになる場合がほとんどでしょう。
ここではフルローンの特徴や、返済の仕方のいくつかのパターン、団体信用生命保険の仕組みなどについて解説します。
家の大黒柱がひとりで必死に返済、という過去のイメージはだいぶ薄れました。現代のフルローン事情をご紹介します。
フルローンを組む
貯金がない方はフルローンを組むことになりますが、「フルローンは家を買う際に必要になる金額までしか借りられない」と思っていませんか?
住宅ローンの審査では、不動産の金額に対してというよりもその「人」に対して融資できる金額が割り出されるため、実際の家の購入額よりも多く融資を受けられる場合も多々あります。
多く借りることができた分は、仲介手数料や印紙代、登録免許税、不動産取得税、住宅ローンの手数料、引っ越し費用などの諸費用にも充てられるので、有効活用できます。
ペアローンを組む
世帯主がひとりで返済する場合も多いですが、近年では女性もフルタイムで働く家庭が増えており、夫婦でペアローンを組むことも一般的になってきました。
ペアローンにすると信用度が増すため、住宅ローン審査もより通りやすくなり借入可能額も上がります。返済割合は半々や7:3など、いろいろ設定することができます。
また夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるので、税金面でもメリットが大きくなります。
団信割合の工夫
団体信用生命保険(以下「団信」)は、住宅ローン返済者が大病を患ったり死亡してしまった際に、住宅ローンの残高がゼロになる保険です。
もし団信に加入していなければ、もしもの場合に他の家族が代わりにローン返済を背負わなければならなくなります。このため団信は必ず入っておきたい保険です。
もしペアローンを組んだ場合、ローン返済を5:5にしても団信割合は7:3などに変えることができるため、年の差夫婦などの場合は団信割合を工夫することでより安心度が増します。
やっぱり頭金・自己資金は大切!
貯金なしでも40歳で家を買うことは可能な場合もあるとご紹介しました。しかし家を買うことを決心したなら、まずは少しでも多く貯金をすることから始めることをおすすめします。
人生は何が起こるか分かりません。急に家以外のことでお金が必要になったり、仕事を辞めることになったり、家族に何かハプニングが起こる可能性もあります。
精神的な余裕を持つためにも、まずは貯金をするところからスタートしましょう。
頭金ゼロでも貯金ゼロは危険!
不動産会社やハウスメーカーの営業マンから「今は頭金ゼロでも家を買える時代なんですよ」というセリフを聞くことが多くなりました。このため「貯金ゼロでも家が買えるんだ」と考えてしまう方がいます。
しかし「頭金ゼロ=貯金ゼロ」ではありません。先述のように、家そのもの以外にも付随してかかるお金がたくさんあるため、その他諸々のための費用は別途現金で必要になります。貯金がないと太刀打ちできず、いくら月収が多めでもすぐにお金が足りなくなってしまうでしょう。
親からの贈与に税制優遇あり!?
貯金がない場合は、親の援助を期待している世帯も多いことでしょう。高齢者の貯蓄を市場に出回らせるため、また住宅購入を促進するため、以下のような税制優遇措置があります。
還暦課税 | 通常は親から金銭をもらうと贈与税がかかりますが、1年間に110万円(基礎控除)以内であれば非課税となり、贈与税の申告も不要になります。 |
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与率の非課税 | 省エネ住宅なら1,000万円、その他の住宅なら500万円までの贈与が非課税となります。 |
相続時精算課税制度 | 2,500万円までの贈与なら非課税となりますが、相続税の基礎控除「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」よりも多く財産がある親の場合は、この制度を使わない方が良いこともあります。 |
頼れるプロにまずは相談してみよう
住宅ローンや贈与などの観点から貯金なしで家を買うことについて考察してきましたが、さまざまな条件や置かれている状況によってはどうしても購入が難しくなる場合があります。
無理なく家を買うことができるか、自分の状況で使える制度は他に無いかなど、必ず銀行の融資担当者やファイナンシャルプランナーなどのプロに一度相談してみることをおすすめします。
人生最大の買い物を失敗で終わらせないためにも、お金の面は慎重に調べて準備を怠らないようにしましょう。
■諸費用を節約したい方向けのおすすめ資料
▶︎無料でダウンロードはこちら
不動産に関するお悩みを解決!
中古マンション・リノベーションを得意とする「wednesday」。物件の購入や売却、リノベーションのサービスを提供しています。
不動産の売買は人生において、とても大きなイベントです。だからこそ、「よくわからない」を無くして、安心して理想の暮らしを手に入れていただくためにセミナーや個別相談を実施しています。
不動産のプロであるwednesdayのコンシェルジュにお気軽にご相談ください。
■FP(ファイナンシャルプランナー)に相談
不動産購入の資金計画についてプロのFP(ファイナンシャルプランナー)にご相談いただけます。
こんな方におすすめ:
・住宅ローンに関する不安がある方
・無理のない資金計画をたてたい方
▶︎【参加費無料】FP相談の申込はこちら
■チャットで気軽に相談
wednesdayに会員登録いただくと、コンシェルジュにいつでも気軽にチャットでご相談いただけます。会員登録はもちろん無料です。
▶︎【無料】会員登録はこちら