長期優良物件は、長く住んでも良好な状態で住めるように条件をクリアした物件のことです。
長期優良住宅として認定されるためには、9つの厳しい条件をクリアしなければなりません。もちろんメリットやデメリットもあるのでそれらを知った上で購入するといいでしょう。
本記事では、中古で購入するときの注意すべきポイントなどをご紹介します。
長期優良住宅とは
長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で住み続けられるように基準が設けられ、それらをクリアした優良な住宅のことです。
長期優良住宅は国が定めた認定基準に沿って建築、維持保全の計画を作成し所管行政庁から認定を受けることで長期優良住宅と認められます。
長期優良住宅の認定を受けるためには?
長期優良住宅の認定を受けるためには9つの条件を満たす必要があります。
どのような条件があるのかご紹介していきます。
1.バリアフリー性
将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下のスペースが確保できていること。
高齢者等配慮対策等級(共用部分)3級(共同住宅のみ)
2.可変性
居住者のライフスタイルの変化に合わせて間取りの変更が可能であること。
躯体天井高さ 2,650mm 以上(共同住宅のみ)
3.耐震性
極めて稀に発生する地震に対して、継続して利用するための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
(耐震等級(倒壊等防止)2級以上もしくは耐震等級(倒壊等防止)1級かつ安全限界時の層間変形1/100(木造の場合 1/40)以下 品確法に定める免震建築物)
4.省エネルギー性
必要な断熱性能などの省エネルギー性能が確保されていること。
(断熱等性能等級4級以上)
5.居住環境
良好な景観の形成、その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されていること。
地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容と調和を図る。
6.維持保全計画
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
構造や設備について定期的な点検・補修等に関する計画を策定
7.維持管理・更新の容易性
構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
(維持管理対策等級(専用配管)3級、共同住宅等は・維持管理対策等級(共用配管)3級と更新対策(共用排水管)3級)
8.劣化対策
数世代にわたり構造躯体が使用できること。
(劣化対策等級(構造躯体等)3級かつ 構造の種類に応じた基準)
9.住戸面積
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
(一戸建ては75 ㎡以上、共同住宅は55 ㎡以上が必要)
長期優良住宅を購入するメリットとは?
長期優良住宅にすると一般住宅を購入するときよりも長く税制優遇を受けることができたり、一定期間金利の引き下げを受けることもできます。
ここではメリットを3つご紹介します。
①住宅ローンの金利が引き下げられる
フラット35を利用し長期優良住宅を購入するとフラット35Sを利用することができます。
フラット35では返済期間や融資額に応じて1.38〜2.77%の金利がかかりますが、フラット35Sを利用して長期優良住宅を購入すると、その金利から0.25%の金利の引き下げを受けることができます。
例えば1.50%の固定金利だとすると、フラット35Sを利用するとかかる金利が一定期間1.25%になります。
金利プランはAとBの2種類あります。
金利Aプランは4つの条件のうち1つ以上満たしていることです。ただし2022年の10月から審査基準が変わるので要注意です。金利Bプランは6つある条件のうち1つでもクリアしていれば受けることができます。
金利Aプランは10年間、金利Bプランは5年間金利の引き下げを受けられます。
例えば3000万円の借入をし、借入期間が35年、元利均等法、ボーナス払いなし、金利1.3%の場合、フラット35であれば3,735万円を支払わなければなりません。
同じ条件でフラット35Sを利用すると金利Aタイプは3,663万円、フラット35S金利Bタイプは3,686万円でフラット35を利用するよりも総返済額を減らすことができます。
また2022年の10月からはフラット35(ZEH)が創設され、最大で10年間0.5%の金利引き下げを受けることができるプランも始まります。
参照:フラット35
②税制優遇を受けられる
長期優良住宅を建てたり取得した場合、いくつかの税制優遇を受けることができます。
優遇されるのは、所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税の4種類です。
所得税は令和4年以降の居住で、控除率が0.7%、控除期間は13年間、借入限度額が5,000万円までの場合であれば最大で455万円の控除が受けられます。
登録免許税はかかる税率が一般住宅よりも軽減されます。所有権保存登記は一般住宅が0.15%に対して長期優良住宅は0.1%、所有権移転登記は一般住宅が0.3%に対して、長期油量住宅は戸建が0.2%、マンションが0.1%になります。
不動産取得税は課税標準からの控除額が一般住宅よりも100万円多い1,300万円になります。
固定資産税は新築の住宅にかかる固定資産税の減額期間が一般住宅より2年間延長されます。
参照:国土交通省
③資産価値が高い
家の資産価値は、時間の経過や使用による劣化で落ちると言われています。
長期優良住宅に定められた条件をクリアすることで建物の劣化を軽減することができ、また耐震性などの付加価値があるため建物の資産価値が上がります。
長期優良住宅を購入するデメリットとは?
長期優良住宅は、長く良好な状態で使える分デメリットもあります。
ここではデメリットの部分も紹介するので、メリットの部分と比較して検討しましょう。
①時間やコストがかかる
長期優良住宅は一般の住宅よりも申請に時間がかかったり、申請を代行する場合は20〜30万円程度のコストがかかります。
長期優良住宅は認定を受けてから着工になるため、3週間〜1ヶ月程度の余裕を見ておく必要があります。
②物件数が少ない
長期優良住宅は、一戸建てでは新築で増えてきているもののマンションで認定を受けている物件は少ないです。
そのためすぐに売り切れてしまう場合があるので、マンションで購入を検討しているのであればこまめにチェックしたり、早い段階で決断したりする必要があります。
③税制優遇は期間が決まっている
メリットにもあげた税制優遇ですが、税制優遇には期間があり住宅ローン控除では最大で13年間、固定資産税は7年間など決まった期間しか受けることができません。
そのため税制優遇が終わった時に備えて注意が必要です。
中古の長期優良住宅で購入するときに必要な手続きは?
長期優良住宅を中古で購入する際、長期優良住宅促進法第10条で定められた「長期優良住宅の地位の承継申請」に基づいて認定を受けた長期優良住宅は、売買で地位を引き継ぐときに、認定計画実施者の地位を継承する必要があり、これを受けるために所管行政庁で承認を得るための手続きが必要です。申請手数料は数千円ですが、各自治体において違うので自分が申請する場所で確認しましょう。
また法務局で所有権移転登記の手続きも必要です。特に手続きする期限は決まっていないので購入後そのままでも罰則などはありませんが、所有権を証明するための大切な手続きになります。
一般的に不動産業者と提携している司法書士などが引き渡し日に行ってくれることがほとんどですが、自分ですることも可能です。
中古の長期優良住宅を購入する際の注意点
住宅ローン控除減税は中古物件でも受けられますが、受けるためには条件があります。
長期優良住宅を中古で購入する際は、「生計を同一にする親族等」から購入したあと、その後もその親族等と生計を同一にする場合は住宅ローン控除減税は適用されません。
また建物が木造築であれば20年以内、耐火建築物築であれば25年以内でないとこちらも住宅ローン控除減税が適用されません。
この期間を越えている場合には新耐震基準を満たしているか、既存住宅売買瑕疵保険に加入していて、取得の日までに耐震工事の申請を行い、居住の日までに耐震工事が完了した住宅でなければ控除を受けることができないので注意が必要です。
長期優良住宅は、中古でも安心して住める!
長期優良住宅は長く良質な状態で住めるように厳しい条件をクリアし設計されているため、中古で購入しても問題ないです。
間取りの変更などもできるような設計のため、ライフステージが変わっても対応できるのが嬉しいところです。
また中古で購入しても条件を満たしていれば控除なども受けることができるので、事前に条件や申請方法を確認しましょう。
元々の数が少ない長期優良物件は中古で出回ることが少ないので、もし気になる物件があった場合は早めに検討してみてくださいね。
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