不動産を取得したときに支払う税金の1つに、不動産取得税があります。
家や土地などを購入したり、譲り受けたりした場合に課税対象となりますが、だいたいいくらぐらいかかるのか知っている人は少ないのではないでしょうか?
この記事では、不動産取得税とはどんな税金なのか、計算の方法や押さえるべきポイントも含めて解説していきます。
不動産取得税とは?
不動産取得税とは、その名の通り、不動産を取得した際に支払う税金です。
都道府県を対象に支払う地方税の1つで、都道府県から届く納税の通知書に従って支払います。
課税対象となるケースには、家や土地の購入により不動産を取得した場合だけでなく、贈与や交換により取得した場合や、リフォームなどにより増改築した場合も含まれます。
不動産の取得自体が無償であっても不動産取得税は課税されるので、予め理解しておきましょう。
固定資産税とは何が違う?
固定資産税も不動産取得税と同様、不動産を取得した際に支払う税金ですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
大きな違いの1つは、納税先が都道府県であるか市町村であるかという点です。
不動産取得税は都道府県が課税主体となっているため都道府県へ、固定資産税は市町村が課税主体であるため市町村へ支払います。
また、不動産取得税の支払いは、不動産を取得した際の一度だけであるのに対し、固定資産税は、不動産を持っている限り毎年継続的に支払わなければならないという点も、大きく異なるポイントです。
非課税となるのはどんなケース?
不動産取得税は、基本的に不動産を取得すれば課税される税金ですが、中には非課税となるケースもあります。
例えば、相続で不動産を取得した場合や、法人が合併したことで不動産を取得した場合は非課税となり、不動産取得税はかかりません。
また、対象となる不動産の金額が一定の基準を下回っている場合も非課税となります。具体的な基準額としては、土地であれば10万円以下、新しく建物を建築した場合は23万円以下、既存の建物を取得した場合は12万円以下となっています。
不動産取得税の計算の仕方
ここでは、不動産取得税が実際いくらかかるのか知りたい人のために、計算の仕方を紹介していきます。
不動産取得税の基本の計算式は、「不動産の課税標準額×税率」です。
課税標準額とは、固定資産課税台帳に記されている金額で、固定資産評価基準をもとに定められています。不動産取得税の計算で使う金額は、実際の購入価格ではないことに注意しましょう。
また、税率については、不動産の種類によって異なります。
居住用の建物や土地であれば3%、事務所や店舗などのように居住用ではない建物であれば4%です。
不動産取得税の軽減特例
不動産取得税の計算において重要となるのが、軽減特例です。
軽減特例とは、特定の条件を満たしていると、不動産取得税を計算する際に、一定の金額が課税標準額から控除されるというものです。
つまり、軽減特例の対象となれば、支払うべき不動産取得税の金額が安くなるということです。
また、不動産取得税の軽減特例は、対象となる不動産の種類によって内容が異なります。自分が取得する不動産の種類に応じた軽減特例の内容を理解し、税額を計算することが必要です。
新築住宅の場合
取得した不動産が新築住宅である場合の不動産取得税は、延べ床面積に応じて計算の仕方が変わってきます。
対象となる新築住宅の延べ床面積が50㎡以上240㎡以下であれば、軽減特例の対象となり、課税標準額から1,200万円を控除して計算します。
つまり、取得した不動産が新築住宅であり、上記の延べ床面積に当てはまる場合の計算の仕方は、(課税標準額-1,200万円)×3%となります。延べ床面積が条件に当てはまらない場合は、基本式通り、課税標準額×3%です。
また、新築住宅の中でも、長期優良住宅と認定された場合は控除額がさらに増え、1,300万円の控除額となる点も、頭に入れておくと良いでしょう。
中古住宅の場合
中古住宅を取得する場合は、新築住宅の場合に比べて軽減特例の条件がやや複雑になるので、取得した中古住宅が条件に当てはまるかよく確認した上で計算しましょう。
軽減特例の条件は、延べ床面積が50㎡以上240㎡以下であることに加え、特定の耐震基準をクリアしていることも必要となります。
また、控除額については、新築住宅の場合は一律1,200万円と定められているのに対し、中古住宅では築年数に応じて決まります。平成9年4月以降に建てられた住宅である場合の控除額が1,200万円と定められていて、これより築年数が古くなるにつれて控除額が少なくなっていく仕組みです。
建築された時期 | 控除額 |
平成9年4月以降 | 1,200万円 |
平成元年4月から平成9年3月 | 1,000万円 |
昭和60年7月から平成元年3月 | 450万円 |
昭和56年7月から昭和60年6月 | 420万円 |
昭和51年1月から昭和56年6月 | 350万円 |
昭和48年1月から昭和50年12月 | 230万円 |
昭和39年1月から昭和47年12月 | 150万円 |
昭和29年7月から昭和38年12月 | 100万円 |
例えば、中古住宅の軽減特例の条件を満たしている、平成元年4月に建てられた住宅を取得する場合の不動産取得税は、(課税標準額-1,000万円)×3%という計算式で求められます。
取得した中古住宅の築年数を把握し、控除額がいくらであるか確認しておくと良いでしょう。
土地の場合
不動産取得税の対象が土地である場合、基本の計算式において課税標準額を半額として計算するので、注意が必要です。
さらに、土地の場合も軽減特例があるので、控除額も考慮して計算する必要があります。
土地の場合における不動産取得税の控除額は、下記の2つのうち大きい方の金額となります。
- 45,000円
- (1㎡あたりの土地の価格×1/2)×(床面積×2)×3% ※床面積は最大200㎡まで
上記のうち金額が大きい方を控除して計算しましょう。
以上より、土地についての不動産取得税は、(課税標準額×1/2×3%)-控除額という計算で求められます。3%の税率も掛けた上で最後に控除額を引くという点が、注意すべきポイントです。
具体的なシミュレーションの例
ここでは、具体的な例を挙げて不動産取得税のシミュレーションを行ってみましょう。
例えば、課税評価額3,000万円で広さ200㎡の土地を購入し、その上に課税評価額2,000万円で床面積100㎡となる新築住宅を建てた場合、不動産取得税はいくらになるでしょうか?
まず、建物部分について、新築住宅の計算式に当てはめると、(2,000万円-1,200万円)×3%=21万円の不動産取得税が求められます。
次に、土地部分については、控除額から計算していくと良いでしょう。(土地1㎡あたり15万円×1/2)×(100㎡×2)×3%=45万円(> 45,000円)が控除額となることが分かります。
これを土地についての計算式に当てはめると、(3,000万円×1/2×3%)-45万円=0円となるので、土地についての不動産取得税はかからないということが分かります。
以上より、今回のケースにおいて支払う不動産取得税は、21万円+0円=21万円と求められました。
不動産取得税の支払い方法と時期
不動産取得税は、いつどのような方法で支払うのでしょうか?
不動産を取得してから5ヶ月ほど経過すると、不動産取得税の納税通知書が管轄の都道府県から手元に届きます。
納税通知書には支払い期限が記載されているので、内容を確認した上で支払いを済ませましょう。
支払いは、各金融機関やコンビニエンスストアなどでできるケースがほとんどです。
支払いを後回しにして期限を過ぎてしまうと、延滞金がかかってしまう場合もあるので、納税通知書が届いたらなるべく早めに支払うようにしましょう。
滞納した場合について
不動産取得税の納税通知書が届いたにもかかわらず、期限までに支払いをせずに滞納してしまった場合、さまざまなペナルティが課せられることが考えられます。
ペナルティの1つが、延滞金の発生です。期限を過ぎてから支払うまでの日数が長くなるにつれて、支払わなければならない延滞金の額も増していきます。万が一期限を過ぎてしまった場合は、できる限り早めに支払いを完了させるようにしましょう。
さらに、支払いに関する督促状が届いてから10日以上経過した場合、差し押さえが入るケースも考えられます。差し押さえの実行により、取得したはずの不動産を失ってしまうことにもなりかねません。
こうしたペナルティを受けることがないよう、期限を守って納税することが大切です。
場合によっては分割での支払いも可能
不動産取得税の支払いは、全額を1回で済ませるのが原則ですが、例外的に分割での支払いが可能となるケースもあります。
どうしても一括での支払いが困難である場合、納税通知書に記載の税事務所へ連絡し、分割での支払いを必要とする合理的な理由を認めてもらわなければなりません。
また、分割での支払いが認められる場合、長くても6ヶ月以内には支払わなければならないことがほとんどであるということも覚えておきましょう。
何らかの事情により不動産取得税を一括で支払うことが難しい場合は、延滞する前に、分割での支払いについて税事務所へ相談することをおすすめします。
不動産を取得するなら不動産取得税の理解を深めておこう
不動産取得税は、家や土地などの不動産を取得する場合に支払う重要な税金の1つです。
今後、マイホームの購入などにより不動産を取得することを検討している人は、今のうちから不動産取得税に関する理解を深めておきましょう。
不動産取得税がだいたいどのくらいかかるか事前に計算して把握しておくことで、より具体的な資金計画を立てることにも役立ちます。
ぜひこの記事を参考に、不動産取得税のシミュレーションも行ってみてくださいね。
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