マンションを売却する際は、プロであり取引の実績がある不動産会社に仲介を依頼します。
その際に必要になるのが仲介手数料ですが、相場やどのように算出されるのか気になる方も多いのではないでしょうか?
今回はマンション売却の仲介手数料について詳しく解説いたします。知っておきたいポイントなどもありますので、ぜひ参考にしてください。
マンションの売却時に必要な費用は?
マンション売却時にはさまざまな税金と費用がかかります。代表的なのが次の通りです。
- 印紙税
- 登録免許税
- 住民税
- 復興特別所得税
- 仲介手数料
どのようなものなのか確認していきましょう。
印紙税とは
印紙税とは、一定の課税文書を作成した際に課せられる国税のひとつです。
マンションを売却する場合に作成する「不動産売買契約書」が課税文書に該当します。売却価格によって異なりますが、相場は1万円〜3万円ほどです。
登録免許税とは
マンションや戸建てなどの不動産を購入する際に、所有権や抵当権を登録する必要があります。その際に納める国税が登録免許税です。登録免許税はマンション売却時にも関わってきます。
マンション売却において、所有権の名義変更をする場合には、「所有者移転登記」を再度行わなくてはなりません。この登記費用は買主が負担し、売主は抵当権抹消登記費用を負担します。
住民税とは
マンションを売却した際、購入費用の総額を超えた利益が生じた場合は、住民税も課税対象です。税率はマンションを所有していた期間によって異なります。
所有期間が5年以下だった場合は「短期譲渡所得」となり、税率は9%です。一方、5年以上だった場合は「長期譲渡所得」に変わり、税率も5%に下がります。
復興特別所得税とは
復興特別所得税は、2011年に発生した東日本大震災の復興に必要な財源を確保するための特別税です。2013年から2037年までの25年間、所得税に上乗せして徴収されています。
税率は2.1%で、マンション売却による所得税も復興特別所得税の課税対象です。
仲介手数料とは
不動産会社と販売活動に対する契約を結び、その報酬として支払うのが仲介手数料です。
仲介手数料の中に含まれる販売活動は、折り込み広告やチラシ、サイトの掲載や物件見学の立ち合いなどの営業が挙げられます。
また、契約条件の調整や各書類の作成、各手続きなどの代行も仲介手数料の対象となる業務です。
仲介手数料の計算方法
仲介手数料には販売活動、手続きの代行なども含まれていますが、最終的にどのように算出されるのでしょうか。
法によって定められている計算式と、計算シミュレーションを合わせて見ていきましょう。
法的に上限が決まっている
マンション売却時、費用内訳の中でも割合を占めるのが仲介手数料です。
どのくらいの金額になるかと不安になる方も多いかと思いますが、この仲介手数料には上限が定められています。
宅地と建物の公正な取引を確保するために制定されたのが「宅地建物取引業法」です。
この宅地建物取引業法第46条の「報酬」では、「国土交通大臣の定める上限を超えた報酬は受け取ってはならない」とされています。
料率によって計算
では、具体的に仲介手数料の上限はどのように定められているのでしょうか?
仲介手数料の上限は取引額によって異なり、以下の表の計算によって導き出すことができます。
取引額(売却額) | 報酬額の上限 |
200万円以下 | 取引額の5%以内 |
200万円以上、400万円以下 | 取引額の4%以内 |
400万円以上 | 取引額の3%以内 |
※表の金額は税抜きとなります。
売却価格から計算例
ただ、マンションの売却価格は400万円を超えることがほとんどです。したがって、不動産取引の際には次の計算式を使用して算出されます。
仲介手数料 = (売買価格 × 3%+6万円) + 消費税 |
この計算式をふまえ、いくつか例として仲介手数料の計算シミュレーションをまとめました。ぜひ参考にしてください。
不動産売却価格 | 税込み仲介手数料(計算式含む) |
1,000万円 | 1,000万円×3%+6万円+消費税=39万6千円 |
2,000万円 | 2,000万円×3%+6万円+消費税=72万6千円 |
3,000万円 | 3,000万円×3%+6万円+消費税=105万6千円 |
4,000万円 | 4,000万円×3%+6万円+消費税=138万6千円 |
5,000万円 | 5,000万円×3%+6万円+消費税=171万6千円 |
仲介手数料はいつどんな形で支払う?
仲介手数料の計算方法で、大まかな金額のイメージは掴めたかと思います。
では、仲介手数料はいつどのように支払いをするのでしょうか?事前にしっかりと準備をするためにも確認しておきましょう。
売買契約成立で成り立つ仲介手数料
仲介手数料は、売買が成立したうえで支払う「成功報酬型」です。また、これまで解説してきた通り、仲介手数料は売却価格が決まっていないと算出することができません。
仮に不動産会社に販売活動を依頼したものの、売買が成立しなかった場合は仲介手数料の支払いは不要となります。
物件価格から計算されることが多いため契約時支払いする
不動産会社が仲介手数料を請求できるのは売買契約が成立したときであり、仲介手数料の支払いのタイミングでもあります。
なお、仲介手数料は現金払いか振込が基本です。一部を除き、ローンを組んでの支払いは不可となります。
大きな金額となりますので、いざ現金を引き出す際や振込額の限度額に前もって注意しておきましょう。
支払い方法は一括や半分ずつなど
仲介手数料は一般的に「売買契約時」に半額を、「物件引き渡し時」にもう半額をと、2回に分けて支払います。
売買契約時に全額を一括で支払うことも可能ではありますが、引き渡し時まで所有権の移転登記や各種手続きが残っている状態なので、分割支払いのほうがより安心です。
スムーズに行えるよう、事前に不動産会社と確認しておきましょう。
仲介手数料が無料や半額の場合も
仲介手数料の下限については法的には定められておらず、各不動産会社が任意で低く設定していることもあります。
これは、不動産会社が買主・売主の両者から仲介手数料を受け取る場合、一方からの手数料を無料もしくは半額にしても利益が上がるためです。よって、交渉次第では仲介手数料を安くすることもできます。
しかし、中には手数料以外の名目の金額が高額に設定されているケースもあるので、業者選びの際は注意しましょう。
仲介手数料を払う前に確認したいポイントは?
無事に売買契約をし、いよいよ支払いという前に確認しておきたいポイントが3つあります。
- 仲介手数料以外の費用請求はあるか
- 仲介手数料の返金があるケースの確認
- 不動産の価格相場
最後まで安心して支払いをするためにもチェックしておきましょう。
仲介手数料以外の費用請求はあるか
マンション売却の営業活動にあたり、不動産会社は現地調査を行い物件価格の査定をするのが流れです。仮に売却予定のマンションが遠方にあった場合、不動産会社は出張費用として別途請求が可能となります。住居以外の所有マンションを売却する際には、事前に費用の確認をしましょう。
仲介手数料の返金があるケースの確認
「ローン特約」というものにより、まれに仲介手数料が返金されるケースがあります。
ローン特約は買主の住宅ローンの本審査が通らないときは契約を解除できるという規定です。
買主の住宅ローンの本審査時に売買契約書が必要となることから、まず売買契約を結ぶことになります。審査が通らなかったときは銀行が原因とみなす解除となるため、既に支払った仲介手数料の返金が起こるという仕組みです。
売買契約が成立した際に一度確認しておきましょう。
不動産の価格相場
不動産について精通していない限り、売主が価格の相場を把握していることは稀です。
知識が少ないことを逆手にとり、相場と見合わない請求をする悪徳業者も残念ながら存在します。前もって複数の業者に不動産の価格相場を確認しておくと安心です。知っておくことで売却計画をイメージしやすく円滑に進めることができます。
仲介手数料は不動産選びの指標にもなる
仲介手数料について、算出方法や支払いのタイミング、事前に確認しておきたいことなどを解説しました。
大切な財産のやりとりだからこそ、知識を深めておくことで不動産会社の比較検討や準備に役立ちます。
仲介手数料は安ければ安いほどいい、という訳ではありません。担当者としっかり確認と相談をし、信頼関係を築いていきましょう。