マンションを取得する際には、不動産取得税が課されることをご存じでしょうか?不動産取得税は、不動産を取得するときに一度だけ課せられる地方税です。不動産取得税についての知識を身に付けることにより、税負担を抑えることも可能です。
本記事では、不動産取得税の計算方法や軽減措置などについて解説します。
マンションの不動産取得税を知ろう
初めに不動産取得税とは、どんな税金なのか説明します。
マンションを購入すると不動産取得税を納める必要がある
不動産取得税は、建物だけでなく土地を購入した場合にも課される税金です。したがってマンションにも土地の共有持分があるため、建物と土地の不動産取得税をそれぞれ支払わなければなりません。
また、不動産を購入した以外にも贈与や交換などによって取得したときにも課税されます。しかし、相続の場合には相続税が課税されるため不動産取得税は課されません。
納付先と期限は?
不動産を取得した場合、当該不動産を所管する税事務所に申告をする必要があります。
申告をすると、後日管轄の税事務所から納付書が送られてくるので、それに従って納税します。都道府県によって納付期限は異なりますが、通常1~2カ月以内に支払わなければなりません。支払方法は、管轄の税事務所のほかに金融機関の窓口・コンビニエンスストア・クレジットカード払いなどが可能です。
申告に必要な書類は、次のようなものがありますが、自治体によって必要な書類は多少異なりますのであらかじめ確認しましょう。
【申告に必要な書類】
- 不動産取得税申告書
- 不動産取得税課税標準の特例申請書
- 土地の不動産取得税減額適用申請書
- 建物の不動産取得税減税適用申請書
- 売買契約書のコピー
- 建物全部事項証明書
- 住宅家屋証明書(中古住宅)
マンションの不動産取得税の計算方法は
不動産取得税の計算は次の式で求めます。
不動産取得税=課税標準額×4% |
課税標準額は、購入金額ではなく固定資産税評価額が使われます。固定資産税評価額は、土地については時価の70%程度、建物は50~60%程度が目安といってよいでしょう。
また2024年3月31日までは、特例により土地および住宅にかかる税率は3%になります。
マンションの不動産取得税は要件が合えば軽減される
不動産所得税には軽減措置があり、要件に合致すれば税金を減らせます。軽減措置は建物および土地によって計算方法は異なります。
建物の軽減措置
建物の軽減措置は、新築か否か・耐震基準に適合しているか否かで控除額は異なってきます。
◎新築物件の場合
新築物件の場合は、課税標準から1,200万円控除されます。したがって不動産取得税は次のようになります
(固定資産税評価額-1,200万円)×3% |
例えばマンションを5,000万円で購入し、建物価格が3,000万円、土地が2,000万円とします。この建物の固定資産税評価額が、1,800万円とした場合の不動産取得税は次のようになります。
⇒建物の不動産評価額=(1800万円-1,200万円)×3%=18万円
なお、軽減措置を利用するためには次の要件を満たす必要があります
- 取得者の居住用、またはセカンドハウス用の住宅であること
- 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
◎耐震基準に適合する中古物件の場合
新耐震基準に適合する建物の場合には、固定資産税評価額から新築された時期ごとに定められた額を控除できます。したがって次の計算式で不動産取得税を計算します。
不動産取得税=(建物の固定資産税評価額 -新築年次ごとに定められた控除額)× 3% |
なお、控除額は各地方自治体によって異なりますが、東京都の場合は次表の通りです。
【東京都の中古住宅の控除額】
新築された日 | 控除額 |
平成9年4月1日以降 | 1,200万円 |
平成元年4月1日~平成9年3月31日 | 1,000万円 |
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 | 450万円 |
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 | 420万円 |
出典:中古住宅を取得したときの東京都の不動産取得税軽減制度(一部抜粋)
たとえば建物が平成8年に建築され、固定資産税評価額が1,100万円とした場合の不動産取得税は次のようになります。
⇒不動産取得税=(1,100万円-1,000万円)×3%=3万円
この軽減措置を利用するためには次の要件を満たす必要があります
- 1982年1月1日以降に新築されたか、新耐震基準に適合することが証明されたもの
- 取得者の居住用、またはセカンドハウス用の住宅であること
- 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
◎新耐震基準に適合しない中古物件の場合
新耐震基準に適合しない住宅を取得した場合、耐震工事を行うことで固定資産税評価額から一定金額を控除されます。新耐震基準に適合しない住宅の計算式は次の通りです。
不動産取得税=固定資産税評価額×3%-控除額 |
なお、控除額は各地方自治体によって異なりますが、東京都の場合は次表の通りです。
【東京都の中古住宅の控除額】
新築された日 | 控除額 |
昭和56年7月1日~昭和56年12月31日 | 12万6千円 |
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 | 10万5千円 |
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 | 6万9千円 |
出典:中古住宅を取得したときの東京都の不動産取得税軽減制度(一部抜粋)
たとえば建物が昭和55年に建築され、固定資産税評価額が400万円とした場合の不動産取得税は次の算式で表せます。
⇒不動産取得税=400万円×3%-10万5千円=1万5千円
この軽減措置を利用するためには次の要件を満たす必要があります
- 取得後6ヶ月以内に耐震改修工事を施工すること
- 耐震改修工事後、取得者が当該住宅に居住すること
- 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
土地の軽減措置
宅地については、下記のいずれか多い額を不動産取得税から控除できます。
- 4万5,000円
- 土地1㎡当りの固定資産税評価額×1/2×住宅床面積の2倍(200㎡まで)×税率(3%)
例えば敷地面積160㎡・固定資産税評価額2,500万円で床面積80㎡の新築住宅の場合の不動産取得税を計算してみましょう。Bを計算するためにはステップを踏んで計算し、その結果Aとどちらが大きいか比べる必要があります。
(1)1㎡あたりの評価額を計算
1㎡あたりの評価額=2400万円÷160㎡=15万円
(2)Bの控除額を計算
15万円×1/2×80㎡×2×3%=36万円
AよりBが大きいので36万円控除できます。従って土地の不動産取得税額は、
⇒2,500万円×1/2×3%-36万円=1万5千円
なお宅地にかかる軽減措置を受けるためには、下記の要件を満たす必要があります
【新築住宅の場合】
- 建設された住宅が、建物の軽減条件を満たしていること
- 土地を取得した場合、3年以内に建物を新築すること
- 建物を先に建てた場合、1年以内にその土地を取得すること
- 新築未使用の住宅とその土地を、新築後1年以内に取得すること
【中古住宅の場合】
- 建設された住宅が、建物の軽減条件を満たしていること
- 土地と住宅の取得者が同一であること
- 土地の取得が住宅取得前後の1年以内であること
認定長期優良住宅の軽減措置
認定長期優良住宅は、100万円プラスし1,300万円控除額できます。(2024年3月31日まで)
従って長期優良住宅の不動産取得税の算式は次のようになります。
不動産取得税額=(固定資産税評価額-1,300万円)×3% |
長期優良住宅の認定を受けるためには次の要件を満たす必要があります。
- 長期に使用するための構造及び設備を有していること
- 居住環境等への配慮を行っていること
- 自然災害等への配慮を行っていること
- 一定以上の住戸面積を有していること
- 維持保全の期間、方法を定めていること
新築マンションは不動産取得税がかからないこともある
すでに述べたように新築マンションでは、要件が満たされれば固定資産税評価額から1,200万円(長期優良住宅であれば1,300万円)控除できます。従って建物の時価が2,000万円程度(長期優良住宅であれば2,200万円)ならば、固定資産税評価額は1200万円程度になるため、建物の不動産取得税はかかりません。
土地は共有持ち分となるため、土地の固定資産税評価額を入居者の数で割って算出します。土地についても軽減措置により、一定の額が控除されるため、不動産取得税がかからないか大幅に安くなることが多いです。
中古マンションは築年数を考慮しよう
中古マンションの場合は、新築された日によって控除額が異なります。
平成9年4月1日以降に建てられた中古マンションは、1,200万円控除されますが、古いマンションになると控除額は減ります。
したがって中古マンションを取得する際には、新築された日がいつか確認しておく必要があるでしょう。
マンションを購入する方は不動産取得税を知っておこう
マンションを購入する際には、多額の不動産取得税を納めなければなりません。
しかし軽減措置を上手に使えば、納税額を抑えられるだけでなく、税金を0にできる場合もあります。不動産取得税および軽減措置をよく知り、税金をできるだけ抑えましょう。
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