中古マンションを購入したあとに、見えない部分もチェックしておけばよかったと思う人も少なくないでしょう。特に配管はトラブルになりやすい箇所として重要なポイントです。
この記事では、マンションの配管のチェック方法などを紹介します。ぜひご一読ください。
マンションの配管を交換するかどうかのチェック方法とは?
まずは、マンションの配管を交換するかどうかのチェック方法から紹介していきます。
中古マンションの配管は交換する必要があるかどうかを判断することは重要です。判断方法としては、主に以下の2通りがあります。
- 配管の種類と寿命をチェック
- マンションの築年数をチェック
それぞれ配管の劣化には大切な指標となりますので、確認していきましょう。
配管の種類と寿命をチェック
配管の種類は金属製か樹脂製に分かれます。金属製配管は錆の腐食が発生するケースもあり、そこから漏水などのトラブルに発展することも多くありました。
マンション自体の寿命が伸びても、配管は劣化していくのが一般的です。その対策として、最近では樹脂製の配管が主流となっているようです。
経年劣化しにくい樹脂製の寿命は30年以上であるため、交換の必要がほとんどないといってもいいでしょう。
中古マンションに使われている主な金属製配管は以下のとおりです。
金属製配管 |
特徴 |
寿命 |
亜鉛メッキ鋼管 |
錆やすい |
15年~20年程度 |
塩化ビニルライニング鋼管 |
亜鉛メッキより錆びにくい |
15年~30年程度 |
ステンレス管 |
錆びにくく耐久性に優れる |
半永久的 |
亜鉛メッキは20年弱で配管の腐食が激しくなり、赤水や漏水などの問題を引き起こすなど、脆い特徴があります。現在は上水道配管には使用できなくなっている配管です。
塩化ビニルライニング鋼管は最も多く使用されている配管になります。亜鉛メッキより錆びにくい配管で、30年程度の寿命です。
そしてより耐久性の高いステンレス管は錆びにくく、パッキン交換を必要としますが、メンテナンス次第で半永久的に使用可能と言われています。
また、近年では、上記の金属製配管ではなく、非金属の樹脂製配管が出現しました。非金属であればサビの心配はなく、内外面を防食対策することで耐久性も高められます。
配管の状態維持もあることながら、水質の保全と維持にも役立つでしょう。
以上のことから、中古マンションで配管を交換するかどうかは、使われている配管を確認すると同時に、マンションの配管工事の記録などを確認することが重要です。
リノベーションなど、専用部の配管交換をする場合は、樹脂製配管に交換しましょう。
マンションの築年数をチェック
次にマンションの築年数をチェックすることで判断する方法です。
中古マンションは築20年を超えたあたりで、配管交換の目安とみてよいでしょう。ただ、築20年超えのマンションがすべて対象になるわけではなく、管理状態にもよります。
たとえば、管理が行き届いているマンションならば、リノベーションや大規模修繕の際に樹脂管に交換されているケースもあるのです。
一般的には2000年以前に建てられた中古マンションは金属製の配管が多く使われています。金属製の配管であれば寿命が20年から30年弱となっているため、老朽化した配管交換を念頭においてチェックするようにしましょう。
マンションの購入前にできる配管のチェック方法とは
次にマンションの購入前にできる具体的な配管チェック方法についてです。主に内覧した際にチェックすることで、配管の現状を知ることができます。
主なチェック方法は以下のとおりです。
- 自分で目視確認する
- 室内に点検口があるか確認する
- 不動産会社に確認する
- 修繕履歴と修繕計画を確認する
- ホームインスペクション(住宅診断)を実施する
自分で確認できる箇所以外は不動産会社や書類にて確認することになります。事前の配管チェック方法を知ることで、後悔のない購入につながるでしょう。
自分で目視確認する
内覧時に目に見える部分の配管を目視でチェックすることで、配管の素材や老朽化、それにともなう錆や水漏れなどが確認できるでしょう。
- メーターボックスの周り
- 洗面台、シンクの下
- 給湯器周り
などは目視チェックできる箇所です。
ただ、大部分の配管は壁や床に隠れて見えません。目視チェックはあくまでも見える範囲で自分がわかる参考程度とみておきましょう。
室内に点検口があるか確認する
マンションの部屋に点検のための点検口があるかどうかは、中古マンションの管理状況をはかる物差しになります。
配管のチェックを定期的にするための点検口。そこからメンテナンスをすることで、配管の老朽化を防げるからです。また、点検口はどこから水が漏れているかを確認するのにも適しています。
そのため、点検口の有無が管理体制の正確さや管理の意識をチェックすることにもつながり、マンション自体の信用を判断する材料とすることも可能といえるでしょう。
不動産会社に確認する
目視や点検口の有無などで確認したら、見えない部分の配管が気になるところ。内覧時に不動産会社の担当者に配管についてたずねてみましょう。
聞くポイントは配管が樹脂製であるかどうか。樹脂製であれば配管交換がされた後になるので、交換の必要がしばらくはないといってもよいでしょう。
もし、配管が金属製なら配管の種類とマンションの築年数などから、交換するかを検討したいところです。
不動産会社の担当者がはぐらかしたり、含むような返答であったりした場合は、後々のトラブル防止のため、やり取りをメールや文書などにし、証拠として残しておきましょう。
修繕履歴と修繕計画を確認する
不動産会社に確認する以外に、書面チェックの方法もあります。
修繕履歴と修繕計画がそれにあたり、計画的にマンションをメンテナンスしているかは、配管の状態にも関わることです。
適切なメンテナンスをおこなっているならば、中古マンションでも寿命がのびることにつながりますし、立派なマンションでも管理状況次第では、老朽化が早まると見込まれるマンションもあります。
配管のメンテナンス状態を知るためには、不動産会社に修繕記録を開示してもらうことになりますが、担当者が理由をつけて開示しないようであれば、警戒が必要になります。
ホームインスペクション(住宅診断)を実施する
ホームインスペクションとは住宅診断のことで、そのマンションの劣化や欠陥の状態、修理しなければならない箇所をチェックできるものです。
もちろん配管も確認できるため、ホームインスペクションは中古マンション購入の際には効率的なチェックができるといえるでしょう。
しかしながら、中古マンションの場合、購入前の段階で売主からホームインスペクションがNGになることもあります。そのため、前もってホームインスペクションができるかどうかを確認し、早めに不動産会社に希望する旨を言っておく必要があります。
配管修理費用が自己負担になる場合は
配管のチェック方法がわかったら、費用についてです。ポイントはどのようなケースで自己負担になるかでしょう。
購入したあとに配管の欠陥に気づくこともあるかもしれません。そのような購入後に不具合が見つかった際、責任の所在はどうなるのでしょうか。
- 共有部分と専有部分のどちらか
- 契約不適合責任はどうなっているか
以上の2点を見てみると、費用は誰が払うことになるのか、自己負担にならなくて済むのかがわかります。
共有部分と専有部分のどちらか
他の人と共有で使用する部分である共有部分と、入居者が所有する部分である専有部分があり、共有部分の配管は管理組合が負担。専有部分の配管は入居者が費用を自己負担します。
しかし、最近では購入から2年ほどは業者による保証期間がある場合も。築年数や解約条件にもよるのですが、保証期間内に不具合があった場合、修繕費は業者持ちとなります。
また、配管が水漏れし、下の階へと水漏れ被害が拡大した場合の備えとして保険に入っているマンション組合もあるので、規約で確認しておくとよいでしょう。
契約不適合責任はどうなっているか
契約不適合責任とは、以前は瑕疵担保責任と呼ばれていた法律です。中古マンションを買ったとき、契約内容とは異なる不備や欠陥を発見した際に、一定期間は売主が責任を負うことをいいます。
配管からの水漏れや蛇口からの悪臭など、配管に関わる不具合があった際、売主側の不備や十分な説明のないままだった場合に、損害賠償を請求することが可能です。
中古マンションを購入する際には、契約時に契約不適合責任についての期間の取り決めがあるはずなので、重要事項説明書や契約書を確認しましょう。
配管工事費用の目安は
一般的に配管を交換する際にかかる費用は30万円ほどと言われています。また、交換するにあたって床や壁といった構造を解体してからの工事となるため、全行程で100万円ほどかかるケースもあるとみてよいでしょう。
そのため、中古マンションの配管工事はリノベーションなどと一緒におこなうのが効率的です。わざわざ配管のためだけに構造体を壊すことを避けて、工事費を最小限に済ませましょう。
中古マンションの購入前には配管チェックを
いかがでしょうか。中古マンションを購入する前には配管の確認をしっかりとおこなうことが重要です。
その際には、書面にて配管のメンテナンスについて調べるとともに、不動産会社の担当者にも配管の種類やマンションの築年数、住宅診断などについてたずねてみましょう。
また、配管工事をすることになった際も、必ずしも自己負担で費用をまかなう必要はないかもしれません。責任の所在を明らかにするとともに、どこまでが自己負担かをしっかりと把握しておくことが重要です。
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