現在の新築マンションには標準で装備されていることも多い床暖房。寒い季節に重宝される人気の設備です。
「マンションを購入した当初は必要ないと思っていたけれど、やっぱり床暖房が欲しい」「マンションだけど、リフォームして床暖房をつけたい!」と、後から床暖房をつけたいと考えることもあるかもしれません。マンションに住んでいて、床暖房を取りつけようか迷っている人に向けて、以下のポイントを紹介します。
- 床暖房の種類
- 床暖房のメリットとデメリット
- 床暖房におけるトラブル
- 床暖房の取り付け費用とメンテナンス料金
- 床暖房の寿命と後付け時の段差
マンションに床暖房を取りつけリフォームしたい人におすすめの記事です。ぜひご覧ください。
床暖房とは?
床暖房とは、フローリングなどの下に熱を出すマットや配管を設置し、部屋を暖める暖房のことです。床が温まることで、一定の温度で部屋全体まで暖かくすることができます。この床暖房は2種類あります。
- 床下に配管を設置して、お湯を流すことで床全体を暖める温水式
- 床下に電熱線の入ったパネルを設置する電気式
それぞれの特徴を紹介していきます。
温水式の床暖房について
まずは床下の配管にお湯を流すことで床全体を温めることができる温水式。
電気式にくらべ、リフォーム費用は高くなる傾向ですが、管理費用は温水式のほうが低い傾向にあります。
また、温度は40℃ほどしか上がらないため、低温やけどの心配もありません。部屋を均一に早く暖められるため、冷えやすいリビングや寝室などの床暖房には、温水式が向いているといえるでしょう。
電気式の床暖房について
次に床下に電熱パネルを組み込む電気式です。リフォーム施工も簡単で、製品自体の費用も控えめです。
その一方で、温まるまでに比較的時間がかかることや、ずっと床に座ったり触れたりしていると、低温火傷を起こす可能性があるなど、小さい子どもがいる家庭では注意が必要になるでしょう。
トイレや脱衣所など、短い間、狭い範囲で使用するケースや、設置費用をおさえたい人におすすめです。
床暖房の構造はどうなっている?
温水式と電気式がある床暖房。その構造はどうなっているのでしょうか。床暖房をリフォームするには2種類の工法があります。「直張り」と「張り替え」です。
直張りは今ある床の上に床暖房の設備を直張りする方法になり、施工費用が比較的おさえられます。直張りする分、床が高くなるため、段差ができる点が特徴です。
一方、張り替えは今ある床を剥がした上で床暖房を設置、新しい床を上からかぶせていく方法です。施工費用は高くなるが、段差はないというのが特徴です。
床暖房を後付けすることは可能?
マンションをリフォームすることによって、床暖房を後付けすることは可能です。1階、2階などの階数や住宅の種類に関係なく取り付けられます。
しかしながら、電気式床暖房の場合は、家ごとの電力使用可能量が決められているケースもあるため、マンションの管理規約を確認することが必要です。
また、高い遮音性のフローリングを使っている物件などでは、床を剥がすことが禁止になっているケースもあります。
後付けすること自体は可能ですが、管理規約がどうかを確認してから、業者に依頼するようにしましょう。
床暖房を取り付けるメリットとは?
後付け可能な床暖房。お住まいのマンションに取りつけるかどうか、迷っている人もいるでしょう。家族にとってどのくらいのメリットがあるかで判断する人もいるはずです。大きく分けると以下のメリットがあります。
- ホコリが出ない
- 火事や火傷の心配がない
- 足元が暖かい
- 部屋の掃除がしやすい
床暖房を設置するメリットを4点ほど紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
①エアコンのように風邪は出ないから埃が舞わない
まずはエアコンのように風が出ない点。ホコリが部屋中に舞わない点がメリットです。空気ではないため、エアコンやストーブのように換気をする必要もありません。
また、乾燥を気にせず水蒸気の心配もないため、カビやダニの発生もおさえることができます。
さらには、床下の温水や電気熱を利用しているだけなので、ハウスダストのアレルギーをもつ人、気管支喘息などの症状をもつ子どもがいる家庭にも、おすすめといえるでしょう。
②火事や火傷の心配がない
次に、床暖房は家事や火傷の心配がありません。高温になることがないため、小さな子どもがいる家庭でも安心といえるでしょう。長時間触れ続けることによって起こる低温火傷に気をつければ、問題はありません。
一方、ヒーターやストーブなどは高温になってしまい、触れば火傷の心配もあります。特に小さい子どもがいる家庭では、子どもが間違って触ってしまう危険性もあるでしょう。
床暖房は安全性の面でもメリットがあるといえます。
③足元が暖かいので冷えにくい
足元が暖かいのもメリットといえる床暖房。部屋にいれば、冷気が足元にたまってしまうため、寒さを感じやすくなってしまうのが普通です。エアコンに比べて床暖房は足元が温められるため、冬場は特に効果を実感するでしょう。
床が温かいため、冬でもスリッパや何枚もの靴下を履く必要がありません。家族が多い家では、リビングに床暖房を入れれば一家団欒につながったり、家族間での会話が多くなったりと、快適さと実用性にメリットがあるといえます。
④掃除がしやすい
最後は掃除がしやすい点です。床暖房はヒーターやストーブ、エアコンのように本体が部屋の中にあるわけではないため、部屋の掃除がしやすいメリットがあります。
動かしたり、片付けたりといった必要がないため、場所を取ることがありません。部屋が乾燥せずホコリが舞うこともなく、部屋の掃除がしやすい。エアコンのようなフィルター清掃の必要もなく、こまめにメンテナンスをすることもありません。
使い勝手がよく、楽というメリットがあるといえます。
床暖房を取り付けるデメリットとは?
一方、デメリットはどうでしょうか。床暖房を取り付けると快適ですが、当然デメリットもあります。大きく分けると以下のデメリットがあります。
- コストがかかる
- 暖かくなるまで時間がかかる
- 温度を上げすぎると火傷の恐れがある
-
年に1回不凍液の補充をしなくてはならない
以上のように、コストがかかり暖かくなるまで時間がかかる性質があることや火傷、不凍液と4点ほど紹介していきます。
①コストがかかる
まずはコストがかかることです。床暖房の最大のデメリットというべき問題である費用。初期費用の高さやランニングコストが割高というネックを抱えているのは間違いありません。
床暖房を取りつける場合には工事に3日ほどかかり、さらに温水式の場合には給湯設備も必要になります。そのため、高い費用になってしまうのです。
温水式は初期費用が高い点はありますが、月の電気代などのランニングコストはおさえることができます。反面、電気式は安く取りつけることは可能ですが、月の電気代が高くなりがちです。どちらが家庭に合っているのか、検討する必要があるでしょう。
②暖かくなるまで時間がかかる
暖かくなるまで時間がかかることもあげられます。電気式の床暖房でいうと、部屋全体が暖まるまで1時間ほどはかかります。
冬場では、床暖房で部屋が暖まるまで、エアコンやストーブを使用することが考えられます。電気代が余計にかかることも想定しておきたいところです。
しかしながら、床暖房の種類によってはタイマー予約があります。設定時間に床暖房を入れることが可能です。
また、電気式より温水式のほうが早く暖まる特徴もあります。
③温度を上げすぎると火傷の恐れがある
次に温度を上げすぎると、火傷をする可能性があります。床暖房の表面温度はおよそ30℃まで上がるため、低温火傷の可能性も否定できません。
子どもや赤ちゃんがいる家庭や、ご高齢の方がいる家庭では注意すべきポイントでしょう。低温火傷はカイロでも同じことが起こるように、気がつかないうちに起こるものです。盲点ですので、気をつけておきましょう。
④年に1回不凍液の補充しなくてはならない
最後は不凍液についてです。不凍液とは、主に寒冷地において、温水式床暖房の水が凍らないようにするためのものになります。年に1回稼働前に不凍液の補充をして故障を防ぐことが必要です。
また、5年から10年に1回、不凍液の全量を交換しなければなりません。その際の費用は数万円ほどですので、メンテナンス料として修理費用と同じく必要なものだと思ってください。
床暖房をリフォームで作る際のトラブルとは?
続いて、床暖房におけるトラブルをまとめてみました。
- 配管が詰まってしまう
- 配管が錆びてしまう
- 熱源機が故障してしまう
以上のケースが考えられます。
配管が詰まったり、錆が出てしまったりと、配管を交換することになるケースも多いため、こまめに使用することも大切です。
ここでは、上記3点を紹介しますので、トラブルの際の参考にしてみてください。
①配管が詰まってしまう
まずは配管が詰まってしまう現象です。床暖房の配管が詰まるとお湯の循環ができなくなるほか、熱効率が悪くなるため、正常な使い方ができません。
なぜ詰まることがあるかというと、以下のような原因があります。
- 長時間使用してないと配管内の水が腐る
- 不純物が配管内にたまる
配管が詰まることになれば、交換することになる場合がほとんどでしょう。
②配管が錆びてしまう
さらに、配管が錆びてしまうこともあります。鉄の配管を使っている場合やソケットが鉄だったりすると、配管内に錆がたまることがあるからです。
また、錆が進行すると、鉄に穴が開いて水漏れが起きることも。この場合もこれから床暖房を再度使用しようと思えば、配管の交換は不可欠といえるでしょう。
ちなみに、配管がポリエチレンの場合は、錆びない素材のため、配管洗浄を業者に頼むだけで済みます。
③熱源機が故障してしまう
最後のトラブルは熱源機が故障してしまうことです。温水式床暖房の場合、配管内の水をお湯にするための熱源機が必要になります。この熱源機が故障することがあれば、10万円から20万円ほどの工事費用が必要です。
また、寿命で故障する場合は、10年から15年ほどのスパンに1度交換することになります。
故障の原因は寒冷地の凍結によるものが多いです。そのため、床暖房を使っていなくても熱源機のコンセントを抜かないようにしましょう。
床暖房を取り付けるリフォームの価格はいくら?
それでは、床暖房を取りつけるためのリフォームの価格はいくらなのでしょうか。おおよその目安としては、以下のとおりです。
■電気式床暖房の場合
|
6畳 |
10畳 |
直張り |
35万円ほど |
60万円ほど |
張り替え |
45万円ほど |
65万前後 |
■温水式床暖房の場合
|
6畳 |
10畳 |
直張り |
50万円ほど |
70万円ほど |
張り替え |
55万円ほど |
75万前後 |
リフォームを検討する際に、工事価格の目安として参考にしてくださいね。
床暖房のメンテナンスは料金がかかる?
床暖房のメンテナンスにいくらかかるのか見ていきましょう。まず月々の光熱費やメンテナンス費用といったランニングコストは当然、かかります。
■メンテナンス費用の目安
温水式床暖房 |
電気式床暖房 |
約8,000円 |
約10,000円 |
上記はあくまで目安です。床暖房の面積や熱源の種類などによっても料金は変わってきます。一般的には光熱費は、電気よりもガスや灯油の方が低い傾向です。
また、温水式では高品質の熱源機を使用すると光熱費がかなりおさえられます。ただその分、製品分の初期費用が高くなるため、ランニングコストと比較してバランスのよいところで選択することが大切といえるでしょう。
床暖房の寿命はどのくらい?
寿命の長さも床暖房の特徴のひとつでしょう。エアコンなどの家電の寿命はおよそ10年に対し、温水式の床暖房は約30年と長いです。
しかしながら、温水式で使用する給湯設備は10年から15年ほどの寿命となっており、給湯器だけの交換が必要になります。温水式は床下のパイプに熱源機でつくった温水を流し、循環させて暖めるという方法です。給湯設備が長くて15年、パイプが30年で劣化というところです。
一方、電気式の床暖房は、シンプルなつくりの温熱パネルを設置してあるだけのため、ほぼ故障はありません。地震などで床自体が壊れたり、家自体が災害に遭ったりといったことがなければ、寿命はないと考えてよいでしょう。
床暖房を後付けすると段差が生じる可能性がある
床暖房を取りつけたことにより、段差ができるのは直張り工法で施工した場合となります。
10mmから20mmほどの段差ができるため、この段差をなくすには解消工事が必要です。つまずき防止などの観点から考えましょう。
段差部分には部材を設置することで、なだらかにする対応をとります。しかしながら、段差を無いものにはできないので、気になる人は張り替え工法で床暖房を取りつけるのがおすすめです。
張り替え工法は、段差がない床と床暖房で快適さを実現します。
床暖房をリフォームで取り付けることはおすすめ
本記事では、床暖房をリフォームで取り付ける場合の以下ポイントについてご紹介しました。
- 床暖房には2種類「電気式」と「温水式」がある
- 足元が暖かく、火傷の心配がない上、ホコリが出ないので掃除がしやすいメリット
- 初期費用やメンテナンス料金が高く、暖かくなるまで時間がかかるなどのデメリット
- 寒冷地などでは、不凍液のことを考えなくてはならない
- 配管が詰まったり、錆びたりするトラブルがある
- 床暖房リフォームは数十万円単位のお金がかかる
- 後付けするには、マンションの管理規約を確認する必要がある
床暖房は取りつけるには確認が必要であり、こまめなメンテナンスやある程度の出費は計算に入れておかなければならないでしょう。
しかしながら、足元が暖かく素足でフローリングを歩けることや、リビングに設置することで一家団欒のひとときにつながります。床でゴロゴロしたい小さな子どもにも優しい床暖房。ぜひリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。
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