マンションの売却は消費税の課税対象になるのか、疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、マンション売却にかかる消費税についてご紹介します。
マンション売却で消費税が課税されるケースや、消費税の計算方法についてまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
マンション売却に消費税がかかるケース
マンションを売却したときに消費税がかかるのは次のようなケースです。
- 法人・個人事業主がマンション売却する場合
- 個人で投資用マンションを売却する場合
個人でマンションを売却する場合は基本的に消費税はかかりません。しかし、投資目的のマンションの場合は課税対象となるので注意が必要です。
それぞれのケースについて説明していきます。
法人・個人事業主の場合
法人や個人事業主がマンションを売却した場合は、原則として建物部分に消費税がかかります。
ただし、すべての法人・個人事業主ではなく、2年前の課税売上高が1,000万円を超えている場合が消費税の課税対象です。
たとえば法人が建物価格3,000万円のマンションを売却した場合の消費税は次のように計算します。
⇒建物価格3,000万円×消費税10%=300万円
投資用マンションを売却する場合
個人でのマンション売却では、投資用マンションの場合に消費税がかかります。マイホームとして使用しているマンションの売却に消費税はかかりません。
しかし、投資目的のマンションで、2年前の課税売上高が1,000万円を超えている場合は課税対象となるので注意しましょう。
そのほか、賃貸物件として活用しているマンションも課税対象です。法人・個人事業主の場合と同様に、建物部分のみが課税対象となります。
マンション売却に消費税がかからないケース
マンションの売却で消費税がかからないのは次のようなケースです。
- 個人で居住用のマンションを売却する場合
- 土地を売却する場合
それぞれ説明していきます。
個人で売却する場合
個人でマンションの売却をする場合は消費税がかかりません。
この場合は、個人が生活のために使うマイホームやセカンドハウスとしてのマンションをさしています。個人が建物価格3,000万円のマンションを売却したとしても、収益目的で所有していたマンションでなければ消費税の課税対象にはなりません。
また、投資用のマンションであっても、事業を始めてから2年以内であり、2年前の課税売上高が1,000万円以下の場合は消費税が免除されます。
土地を売却する場合
マンション売却で消費税がかかるのは建物部分であり、土地は課税対象になりません。個人でも法人・個人事業主でも、土地の売却には消費税がかからないのです。
土地と建物をセットで売却する場合も、課税対象は建物部分のみです。
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土地や個人による売却に消費税がかからない理由とは?
マンションの土地や個人でのマンション売却に消費税がかからない理由は主に次の2つです。
- 個人による売却に事業性がないから
- 土地に付加価値は生まれないから
ここではマンションの土地や個人での売却に消費税がかからない理由を説明します。
個人による売却に事業性がないから
個人でのマンション売却に消費税がかからないのは、事業性がないからです。
国税庁の「事業用建物等を譲渡した場合の消費税」によると、消費税の課税対象となる取引は「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡」となっています。この場合の事業者とは、不動産会社などの法人や個人事業主です。
個人の居住用のマンションの場合は「事業者が利益を得る取引」ではないので、消費税の課税対象になりません。
土地に付加価値は生まれないから
土地が消費税の課税対象にならないのは、土地に付加価値が生まれないからです。
国税庁の「消費税のしくみ」によると、消費税は「消費一般に広く公平に負担を求める税金」となっています。簡単にいうと、お金を払ってモノやサービスを消費するときに課せられる税金が消費税です。
また、日本に付加価値税はありませんが、消費税は付加価値税のひとつと考えられています。付加価値とはモノやサービスの価値であり、付加価値税は価値に対する税金です。
建物は築年数に伴い価値が「消費」されますが、土地は消費されません。付加価値が生まれず消費もされないため、土地には消費税がかからないのです。
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マンション売却にかかる消費税の計算方法は?
ここではマンション売却にかかる消費税の計算方法について説明します。
マンション売却にかかる消費税額を求めるには、建物部分と土地部分それぞれの売買代金の算出が必要です。
国税庁の課税標準についての説明では、建物部分と土地部分を合理的に区分する方法として以下の3つを挙げています。
- 譲渡時における土地および建物のそれぞれの時価の比率による按分
- 相続税評価額や固定資産税評価額をもとにした按分
- 土地、建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費・支払利子等を含む)をもとにした按分
この中でも、最も多く用いられているのは「固定資産税評価額をもとにした按分」です。
例として、以下のようなマンションを売却した場合の消費税を計算してみます。
税込マンション売却価格 | 7,800万円 |
消費税率 | 10%(2022年現在) |
土地固定資産税評価額 | 3,000万円 |
建物固定資産税評価額 | 2,000万円 |
まず、固定資産税評価額をもとに土地価格と建物価格の割合を計算します。
土地価格割合 3,000万円÷5,000万円=60%
建物価格割合 2,000万円÷5,000万円=40%
次に、建物価格割合をもとに、税込マンション売却価格のうちの消費税割合を計算します。
消費税割合 40%×10%=4%
この数字をもとにすると、税込マンション売却価格の構成は以下のようになります。
税込マンション売却価格=土地価格割合+建物価格割合+消費税
=60%+40%+4%
=104%
この数字をもとに土地価格、建物価格、そして消費税の額を計算します。
土地価格=税込マンション売却価格×土地価格割合÷税込マンション売却価格
=7,800万円×60%÷104%
=4,500万円
建物価格=税込マンション売却価格×建物価格割合÷税込マンション売却価格
=7,800万円×40%÷104%
=3,000万円
消費税=税込マンション売却価格×消費税割合÷税込マンション売却価格
=7,800万円×4%÷104%
=300万円
このことから、税込マンション売却価格が7,800万円の場合の消費税は300万円であるとわかります。
個人によるマンション売却でかかる消費税は?
個人でマンションを売却するときは基本的に消費税はかかりませんが、以下の3つには消費税がかかることを覚えておきましょう。
- 不動産会社への仲介手数料の支払い
- 司法書士への報酬
- 住宅ローンの繰上返済時の手数料
それぞれ説明していきます。
不動産会社への仲介手数料の支払い
不動産会社に支払う仲介手数料には消費税がかかります。
仲介手数料の上限額は取引金額により異なりますが、例としてマンションの売却価格が3,000万円の場合の消費税を計算してみましょう。
売却価格が3,000万円、つまり400万円以上の取引なので、仲介手数料の上限は取引額×3%+6万円です。
3,000万円×3%+6万円=96万円
この金額に消費税がかかるため、仲介手数料の消費税は
96万円×10%=96,000円となります。
司法書士への報酬
司法書士に支払う報酬も消費税の課税対象です。
抵当権の抹消や所有権の移転などの手続きは司法書士に依頼するのが一般的ですが、報酬の相場は依頼内容により異なります。
抵当権の抹消を依頼した場合は15,000~20,000円、所有権の移転を依頼した場合は50,000円前後を目安にするとよいでしょう。
住宅ローンの繰上返済時の手数料
住宅ローンの一括繰り上げ返済にかかる手数料も消費税の課税対象です。
マンション売却の際にローンの残債がある場合は、一括繰り上げ返済を行いローンを完済する必要があります。
手数料の金額は金融機関によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
消費税の課税・非課税に注意してマンション売却を
この記事ではマンション売却にかかる消費税についてご紹介しました。
原則として、法人や個人事業主の場合は消費税の課税対象ですが、個人の場合は課税対象にはなりません。
ただし、個人で投資目的のマンションを売却するなど、消費税がかかるケースもあるので注意が必要です。
また、仲介手数料や司法書士への報酬など、消費税の課税対象となるものもあります。
マンションを売却するときは、課税・非課税について把握しておくとよいでしょう。
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