投資用マンションの売却において、売却したい時に売却できないということが無いよう、あらかじめ適切なタイミングを把握しておくことは大きなメリットとなるでしょう。
そこで今回は、投資用マンション売却に適したタイミング、ローン残債がある場合、売却後の税金など売却にかかる費用、また、査定を依頼する際の注意点もご紹介します。
投資用マンションを売却する理由は?
投資用マンションを売却するには様々な理由があります。投資用マンションのオーナーは具体的にどのような理由で売却を決断するのか、主な売却理由は以下の通りです。
- 相続税の納税対策のため
- まとまった資金が必要になり資金作りのため
- マンションの維持・管理業務を手間に感じて解放されたいため
- マンション投資で赤字が続いているため
- キャピタルゲインを狙い、市況判断で売却するケース
投資用マンションを売却する理由を明確にすることで、どのような目的で売却するのかという目標設定ができます。それにより、目標に向けて売却のタイミングを見極めることに繋がるでしょう。
投資用マンションの売却に適したタイミングは?
投資用マンションを売却するのに適したタイミングは下記のようなものが挙げられます。
- 金利が低い時期
- 築年数20年を迎える前
- 大規模修繕の前
- 減価償却が終了する前
- 物件の所有期間が5年を超えてから
- 路線価が上昇している
- 月々の収支がマイナスになった時
- 保有期間が5年を超える
- 空室になったタイミング
- 修繕積立金の値上がり前
- 物件の家賃が周辺の相場よりも高い時
それぞれ詳しく解説していきます。
金利が低い時期
投資用マンションの売却に適したタイミングは、金利が低い時期です。日本では、2013年に行われた金融緩和政策の影響などにより、現在金利が低い状態が続いています。
住宅ローンの金利が低いと住宅ローンの借り入れがしやすく、お得にマンションを購入できるため、買い手が見つけやすいです。そのため、金利が低い時期はマンションの売却に適したタイミングと言えます。
金利は常に変動するため、投資用マンションの売却を検討している方は金利の低いうちに行動を始めると良いでしょう。
築年数20年を迎える前
築20年はマンションの1つの節目と言われているのをご存知でしょうか。
築20年を迎える頃に内装などの修理・交換が必要になり、高額な大規模修繕の費用が発生します。また、築20年以内の物件は35年ローンでの借り入れが可能なのに対し、築20年超えの物件は、住宅ローンを組める期間は15〜25年程です。
築20年超えの物件は、毎月の返済額が多くなり、利回りが低くなるため、売却が困難になる可能性が高くなります。そのため、築年数20年を迎える前も売却に適した1つのタイミングです。
大規模修繕の前
一般的に、マンションは12年〜15年ほどの周期で大規模修繕工事を行います。この大規模修繕工事の費用は、マンションの区分所有者が支払う修繕積立金でまかなわれており、毎月修繕積立金の支払いが必要です。
しかし、修繕積立金だけでは足りず、一戸あたり数十万〜数百万円の一時徴収金を請求されるケースが多く見られます。
また、大規模修繕をきっかけに修繕積立金が値上がりするケースも珍しくありません。そのため、大規模修繕の前は、投資用マンションの売却を検討する1つのタイミングと言えます。
減価償却が終了する前
減価償却とは、時間の経過とともに不動産などの資産の価値は減っていくという考え方で、購入費用を分割して少しずつ計上する会計処理のことです。
減価償却費は経費として計上できるため、終了すると課税対象となる投資用マンションの利益が増えて、税金が上がってしまいます。減価償却期間は鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションでは47年です。減価償却はマンション投資のキャッシュフローに大きな影響を与えるため、減価償却が終了する前は投資用マンションの売却に適したタイミングと言えます。
物件の所有期間が5年を超えてから
マンションの売却をした後の譲渡益にかかる税率は、物件の所有期間が5年以下(短期譲渡所得)か5年超え(長期譲渡所得)かで異なります。所有期間が5年以下の場合の税率は、所得税36.3%、住民税9%、合計45.3%です。それに対して、所有期間が5年超えの場合、所得税15.315%、住民税5%、合計20.315%と倍近く変わります。
そのため、投資用マンション売却による利益を増やしたい方にとっては、マンションの保有期間は大事なポイントです。
路線価が上昇している
路線価とは、土地の公的価格の1つで、主要な道路に面した一平方メートルあたりの土地価格が年に一度、国税庁により発表されます。
路線価が上昇しているときはマンションなどの不動産の価格も上昇し、高値で売却できる可能性が高いです。そのため、投資用マンションの売却のタイミングの1つであると言えます。
路線価は国税庁HP「路線価図・評価倍率表」で調べることができるため、ご自身で確認すると良いでしょう。
月々の収支がマイナスになった時
投資用マンションは、入居者がいても月々の収支がマイナスになっていくこともあります。
一般的にマンションの家賃下落率は1年あたり約1%で、築年数が経過するごとに家賃が下落すること、低く設定されていた管理費・修繕積立金が値上がりする、住宅ローンの金利が上昇して必要な出費が増えていくことが原因です。
毎月の収支、中長期の資金計画を確認し、月々の収支がマイナスに転じた場合には、できるだけ早めに売却に向けて行動するようにしましょう。
空室になったタイミング
空室になったタイミングは、投資用マンションを短期間で売却できる可能性が高くなります。
入居者がいない空室の場合、内覧によって現状確認ができるのがメリットです。それにより、リフォームやリノベーションを視野に入れて、マイホームとして購入を検討する人も候補に入り、買い手が見つけやすくなります。
そのため、空室を埋めるため家賃を下げて入居者を待つよりも、早めに売却するのも1つの手です。賃料を下げて入居者を募集する場合と、売却する場合のシミュレーションで比較検討すると良いでしょう。
物件の家賃が周辺の相場よりも高い時
所有しているマンションの家賃が周辺の相場より高い時も、投資用マンションを高く売却できる可能性が高くなります。
投資用マンションでは入居者がいる場合、内覧などは行わず書面上のやり取りだけで売却が可能です。このような物件は「オーナーチェンジ物件」と呼ばれています。通常、オーナーチェンジ物件は購入希望者が内覧を行えないため、売却価格は下がるパターンが多いです。しかし、周辺の相場よりも家賃が高い場合は、投資家からすると魅力的なオーナーチェンジ物件となり、高値で売却できる可能性が高くなります。
2022年の今は投資用マンションの売却に適している?
2022年の現在、投資用マンションの売却に適していると言われています。
その理由の1つはマンション売却価格相場が上昇し続けていることです。国土交通省が公表している不動産価格指数のデータによると、2009年から全国のマンション価格は現在まで上昇し続けています。また、コロナウイルスの影響は一時的なものであったため、今後もマンションの価格指数は上昇傾向で推移していくと考えられています。
さらに、2025年に開催される大阪万博の影響で全国の地価が上昇、マンション価格も上昇していく見込みが強いです。そのため、2022年は投資用マンションの需要が高まっており、売却に適したタイミングと言えるでしょう。
投資用マンション売却の手順は?
投資用マンションの大まかな流れをご説明します。
情報収集し不動産会社に査定依頼をする
査定依頼は、多くの情報を得るため複数の不動産会社に依頼するようにしましょう。また、事前に相場を調べて把握しておくと交渉がしやすくなります。
■Wednesdayの簡易査定
不動産の売却を検討中の方は、簡易査定にお申し込みください。Wednesdayの簡易査定は、面倒な訪問は不要でオンラインのみで売却まで完了します。
こんな方におすすめ:
・売却・住み替えを検討中の方
・今のお家がいくらで売れるか知りたい方
必要書類の準備をする
マンション売却には、さまざまな種類の書類が必要です。売却をスムーズに行うためにも、必要な書類を事前に確認し準備しておきましょう。
不動産会社を選び媒介契約を結ぶ
不動産会社を決めたら媒介契約を結びます。契約形態には大きく分けて「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があるため、それぞれの特徴を確認し自分に合った契約を選びましょう。
販売価格を決め売却活動をする
物件が空室の場合、必要に応じて内覧対応をしますが、満室の場合には、オーナーチェンジ物件として内覧は行いません。
売買契約を結ぶ
購入希望者と条件の交渉を行い、合意に至ったら売買契約を結びます。なお、このタイミングで買い主から手付金を受け取ります。
マンションの引き渡しと残金の支払い
残金を受け取り、鍵や物件に関する書類一式などを渡します。その後、法務局にて所有権移転登記を行い手続きは完了します。
事前にマンション売却の流れを把握し、余裕を持って行動するようにしましょう。
投資用マンション売却にかかる費用は?
投資用マンションを売却する際、かかる費用はどのようなものがあるのでしょうか。主に以下の費用がかかります。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消登記の費用
- 譲渡所得にかかる税金
それぞれ詳しく見ていきましょう。
仲介手数料
不動産会社(仲介業者)と媒介契約を結び、マンション売却が成立したら不動産会社に「仲介手数料」の支払いが必要です。仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限額が定められています。
マンションの売却額が400万円を超える場合、上限額を算出する計算式は「物件価格×3%+ 6万円+消費税」です。例えば、3,000万円の投資用マンションを売却した場合、105.6万円が仲介手数料の上限額となります。
不動産会社によって仲介手数料は異なるため、確認するようにしましょう。
印紙税
投資マンションの売却には印紙税がかかります。印紙税の税額は、投資用マンションの売却価格によって異なるため、下記の表を参考にして下さい。
記載された契約金額 | 税額 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え 1,000万円以下のもの | 5,000円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの | 10,000円 |
5,000万円を超え 1億円以下のもの | 30,000円 |
詳細は国税庁HP「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」で確認することができます。
引用:国税庁HP「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
抵当権抹消登記の費用
売却する投資用マンションにローンの残債がある場合、法務局にて抵当権抹消登記の手続きが必要です。抵当権抹消登記とは、金融機関でローンを組む際に、不動産を担保に設定した抵当権を不動産登記簿から抹消することをいいます。
抵当権抹消登記の手続きはご自身で行うこともできますが、やや複雑なため司法書士に依頼するのが一般的です。抵当権抹消登記にかかる費用は不動産一筆につき1,000円、司法書士手数料15,000円、印紙代など手続きに必要な費用が3,000円〜5,000円で合計2万円程かかります。
譲渡所得にかかる税金
投資用マンションを売却し譲渡所得(売却益)が発生した場合には、譲渡所得に対し所得税と住民税がかかります。これらを合わせたものが譲渡所得税です。
譲渡所得は以下の計算式で求めることができます。
譲渡所得=売却価格−(物件取得費+譲渡費用) |
そして、譲渡所得税の税率は、物件の所有期間によって異なります。5年以下の短期譲渡所得の場合の税率は39%、5年以上の長期保有所得の場合は20%です。
投資用マンション売却の注意点
投資用マンションを売却するにあたり、いくつかの注意点があります。
まず、投資用マンションを売却する際には、必ず複数の不動産会社に査定依頼をするようにしましょう。査定価格は、不動産会社によって数百万円の差があるケースも珍しくありません。
そして、一般的にマンション売却までにかかる期間はおよそ3ヶ月〜6ヶ月と言われています。売却に適したタイミングを見計らってスムーズに売却ができるように、事前に書類を揃える、相場を調べるなどの準備をしておきましょう。
また、記事中でもご説明した通り、マンションの所有期間に応じて譲渡所得税の税率が異なります。節税対策のために投資用マンションを購入してから5年を過ぎるまでは、売却するのを待ったほうが良いでしょう。
投資用マンションの売却のコツを知って高く売ろう!
今回は、投資用マンションを売却するのに適したタイミングや、手順、費用についてご紹介しました。
売却のタイミングは、景気の動向、築年数、キャッシュフローの状況など、さまざまな要素からの判断が必要です。また、時間も費用もかかるので、それらの点も考慮しなければなりません。
この記事を参考にして、投資用マンション売却のタイミングやコツを知って、高値で売却できるようにしましょう。
不動産に関するお悩みを解決!
中古マンション・リノベーションを得意とする「wednesday」。物件の購入や売却、リノベーションのサービスを提供しています。
不動産の売買は人生において、とても大きなイベントです。だからこそ、「よくわからない」を無くして、安心して理想の暮らしを手に入れていただくためにセミナーや個別相談を実施しています。
不動産のプロであるwednesdayのコンシェルジュにお気軽にご相談ください。
■Wednesdayの簡易査定
不動産の売却を検討中の方は、簡易査定にお申し込みください。Wednesdayの簡易査定は、面倒な訪問は不要でオンラインのみで売却まで完了します。
こんな方におすすめ:
・売却・住み替えを検討中の方
・今のお家がいくらで売れるか知りたい方
■不動産売却についての相談
不動産の売却についてのご相談は、個別相談のフォームよりお申し込みください。
■LINEで気軽に相談
WednesdayのLINEアカウントを友だち追加していただくと、コンシェルジュにLINEのメッセージ上でいつでも気軽にご相談いただけます。