不動産売買における仲介手数料は、仲介してくれた不動産会社に支払う成功報酬です。
わたしたちがお店でモノを買う時と同じように、仲介手数料にも消費税がかかるのか?疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
本記事では以下の点について解説します。
・仲介手数料に消費税はかかるのか否か
・仲介手数料を抑える方法と上限額について
・不動産取引において消費税がかかるもの・かからないもの
・不動産売買をする際に注意したい消費税のこと
不動産売買を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産売買の仲介手数料に消費税はかかる?
不動産売買の仲介手数料には、消費税がかかります。
また、不動産売買に関わらず消費税がかかる取引は以下の4つの要件を満たしている場合です。
・国内取引であること
・事業者が事業として行うものであること
・対価を得て行うものであること
・資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること
参照:消費税のしくみ(国税庁)
仲介手数料は、不動産売買の仲介をしてくれた報酬として支払う手数料。
まさしく、消費税がかかる要件の「事業者が事業として対価を得て行うサービス」に該当するため、消費税が課税されるということです。
仲介手数料を非課税にすることはできない
既述の通り、仲介手数料は消費税が課税される要件に該当するため、非課税にできません。
しかしながら、そもそもの仲介手数料を抑えれば、消費税の負担を小さくできます。ここでは、仲介手数料を抑える方法を紹介します。
また、仲介手数料が不当な金額で請求されないために、手数料の上限についても把握しておくとよいでしょう。
仲介手数料をなるべく抑えるには?
仲介手数料を抑えるには、仲介手数料が安い不動産会社を選びましょう。
不動産会社にとって、仲介手数料は重要な収入源ですが、他の不動産会社と差別化をはかるため、積極的に安くしている会社もあります。
ですが仲介手数料は、仲介を行ってくれた不動産会社に支払う「成功報酬」です。
安さだけで選んでしまうと、担当者の対応が不親切だったり、ミスが多く手続きが進まなかったりと、不満を感じるかもしれません。
そのため、仲介手数料が安い不動産会社を利用する際は、事前に口コミや評判など、その会社について調べることが大切です。
仲介手数料には上限がある
仲介手数料は、宅地建物取引業法の定めによって上限が決められています。
仲介手数料の上限金額を求める際の速算式は、以下のとおりです。
売買価格 |
仲介手数料の上限 |
200万円以下の場合 |
売買価格(税抜)×5%+消費税 |
200万円~400万円以下の場合 |
売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
400万円超の場合 |
売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
参照:宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(国土交通省)
不動産会社は、上限額を超える仲介手数料の請求はできません。
万が一、仲介手数料が高いと感じたときは、必ず上限以内で請求されているかチェックしましょう。
具体的な仲介手数料の計算方法については、後述します。
仲介手数料の計算方法とは?
一例として、売買価格4,000万円の場合の仲介手数料を計算してみましょう。
前述の通り、仲介手数料は「売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税」という速算式を使います。
4,000万円×3%+6万円=126万円
売買価格4,000万円の仲介手数料の上限額は「126万円」
さらに、消費税額(10%)を加えると、仲介手数料の合計額は「138万6000円(税込)」です。
一般的に、仲介手数料は上限額で請求されます。
不動産取引において消費税がかかるのは?
不動産取引において、仲介手数料以外に消費税が課税されるものは、以下の通りです。
・課税事業者が売主である場合の建物の売買
・建物の建築(リフォーム含む)工事にかかる費用
・住宅ローン融資手数料
・司法書士への報酬
それぞれの項目について、具体的に説明します。
①課税事業者が売主である場合の建物の売買
課税事業者とは、消費税を納付する義務がある法人や個人事業主のことで、ここでは不動産会社や建築会社などが該当。
課税事業者を介して、マンションや一戸建てなどの売買をした場合、建物に対して消費税がかかります。
詳細は後述しますが、課税事業者に該当しない「個人間で建物の売買」を行った場合は、消費税が課税される要件を満たさないため、消費税はかかりません。
②建物の建築やリフォーム工事にかかる費用
建物の建築工事には、新築住宅の建築や中古マンションのリフォームなどがありますが、その際、建築工事費や設計料などに対し消費税が課税。
例えば、建築やリフォームを行うために使用する、建築材料費、機材費、人件費などが挙げられます。
なお、2022年2月時点の消費税率は10%なので、2,000万円の建物を建築した場合、200万円の消費税がかかるということです。
③住宅ローンの融資手数料
家を購入する際に、ほとんどの方が住宅ローンを利用することになるでしょう。
融資に伴う事務手続きの手数料として、金融機関に「融資手数料」を支払います。
融資手数料は、金融機関という課税事業者のサービス提供に該当するため、消費税の課税対象です。
各金融機関によって融資手数料は異なりますが、3万~10万円前後が相場。その金額に応じて、消費税がかかります。
④司法書士への報酬
不動産売買では、不動産の所有権が売り手から買い手に移行することを証明するために、抵当権を抹消・設定する手続きが必要です。
この手続きは個人でも可能ですが、手間や時間などを考え「司法書士」に依頼することがほとんど。
司法書士に支払う報酬も「サービスの提供」に該当するため、報酬額に対し消費税がかかります。
消費税がかからない(非課税)取引は?
不動産売買において、以下の取引には消費税がかかりません。
・土地の代金
・住宅ローンの利子
・売主が個人の場合
・火災保険料・団体信用生命保険料など
それぞれの項目について、具体的に説明します。
①土地の売買
消費税は、お金を払いモノを手に入れたり、モノの販売や消費をしたり、サービスの提供などに対して課税されます。
土地の売買は「モノやサービスの消費ではなく、資本の移転であるため消費税になじまない」という理由から、消費税がかかりません。
しかしながら、駐車場や何らかの施設などに利用する場合は、「サービスの提供」に該当し課税されます。
②住宅ローンの利子
住宅ローンを組む際の、融資手数料には消費税がかかりますが、住宅ローンの利子は非課税です。
国税庁ホームページに公開している情報には、「消費税は、財貨やサービスの流れを通して消費に負担を求める税」と記載。
したがって、住宅ローンの利子は消費税の課税要件になじまない、資金の流れに関する不動産取引と判断され、消費がかからないとされています。
③売主が個人の場合
課税事業者に該当しない「個人」から不動産を購入する場合、建物・土地関わらず消費税がかかりません。
消費税が課税されるのは、「事業として行うもの」であること。すなわち、事業者によるモノやサービスが課税対象です。
売主が「個人」か「課税事業者」かの見極め方としては、物件検索サイトで「取引態様」から確認できます。
取引態様が「売主」となっている物件は、課税事業者(不動産会社などの法人)が売主となっているため、消費税が課税される可能性が高いです。
「代理」もしくは「媒介(仲介)」と表記されている場合は、売主が個人であると判断できるため、消費税がかからないと考えてよいでしょう。
④火災保険料・団体信用生命保険料
住宅ローンを借りるときには、火災保険の加入は必須。また、団体信用生命保険の加入を条件としている金融機関がほとんどです。
加入した際に支払う、火災保険料や団体信用生命保険料は、消費税法の規定により非課税とされています。
これらの保険以外にも、基本的に「保険」や「保証」とつくような、地震保険料やローン保証料も同様に消費税がかかりません。
消費税以外にかかる税金もある!
不動産売買において、消費税以外にもかかる税金があります。どのような税金があるのか、確認していきましょう。
<印紙税>
印紙税は、契約書や領収書などの文書に対して課される税金。不動産取引においては、売買契約書や住宅ローンの契約書などに対して課税されます。
<登録免許税>
登録免許税は、不動産を取得して所有権を「登記」したことに対して、課税される税金のことをいいます。
「登記」を簡単にいうと、不動産の持ち主が、誰にでもわかるように登記簿に記録することです。
<不動産取得税>
不動産売買や贈与で取得した場合や、新築や増築したときに「不動産取得税」が課せられます。
不動産売買をする際に注意したい消費税のこと
不動産の売買価格は、一般的に「税込み」価格で表示されていますが、仲介手数料は「税抜き」の売買価格をもとに計算します。
しかし、不動産会社によくある勘違いで「税込みの価格のまま」で、仲介手数料の計算をしてしまうケースがあります。
「税込み」価格で計算をしてしまうと、仲介手数料の額が大きくなり、通常よりも払いすぎてしまうので注意が必要です。
ほとんどの場合、不動産会社が仲介手数料の計算をしますが、自分自身でも税込み価格で計算されていないか確認するようにしましょう。
速算式を活用してトラブルを回避しよう
不動産売買における仲介手数料は、仲介してくれた不動産会社に支払う成功報酬です。
仲介手数料は「課税事業者が行うサービスの提供」にあたるため、消費税がかかります。
仲介手数料を非課税にできませんが、そもそもの仲介手数料を抑えられれば、消費税の負担を小さくすることは可能です。
また、仲介手数料の上限額や計算方法を把握しておくことで、不当な金額で請求されたり、払いすぎてしまうといったトラブルを回避できるでしょう。
不動産売買を検討している方は、ぜひ消費税以外にかかる税金や、注意点なども参考にしてみてください。
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