売却を想定してマンションを購入する場合は10年後・20年後の価格や値下がり率が気になるところです。また、築20年のマンションで後悔したくない、中古マンションの20年後はどうなる?という声も少なくありません。
本記事では売却を想定してマンションを購入する方に、20年後でも売却しやすいマンションの特徴や注意点をご紹介します。
マンションは築何年まで住める?
結論からいうと、マンションは適切な管理がされていれば築100年以上であっても住むことは可能です。物理的には鉄筋コンクリート造のマンション建物の寿命は117年と推定されています。
参照:国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取り組み紹介
しかし、日本では築40年前後のマンションの多くが建て替えられています。これに関係しているのは耐震基準です。
建物の建築確認が取得されたのが1981年5月31日以前なら「旧耐震基準」、1981年6月以降なら「新耐震基準」の建物とされています。
旧耐震基準は震度5程度の地震を想定しているのに対し、新耐震基準は震度7程度の地震を想定した基準で定められています。そのため、旧耐震基準で建築されたマンションの多くが建て替えられているというわけです。
1981年6月以降に建築確認が取得されたマンションであれば、耐震性という面では長く住み続けることも可能といえるでしょう。建て替えられたマンションが増えれば、より長く住み続けるのが一般的になる可能性もあります。
購入してから20年経っても売れるマンションの特徴
購入から20年経っても売れるマンションがある一方、売れにくいマンションがあるのも事実です。売却を想定するのであれば、20年後にも売れやすい特徴を備えたマンションを購入したいもの。
20年経っても売れるマンションにはいくつかの特徴があります。
- 利便性が高いマンション
- 希少価値のあるマンション
- 管理がしっかりしているマンション
- マンション周辺地域に再開発の予定がある
それぞれを詳しく解説していきます。
利便性が高いマンション
マンション購入でまず重要視されるのは利便性です。
- 駅・商業施設・医療機関・金融機関・行政機関などが徒歩圏内にある(立地条件がよい)
- エントランスから玄関までバリアフリーになっている
- セキュリティがしっかりしている
通勤・通学・買い物がしやすいのは暮らしやすさに直結しています。また、買い手は若い世代だけとは限りません。中古マンションを購入し暮らしている間に年齢を重ねる人もいるでしょう。
高齢者にとって、医療機関・金融機関・行政機関などが徒歩圏内にあるのはかなり便利です。バリアフリーになっていることで安全に移動でき、セキュリティ面がしっかりしているのも安心要素になります。
希少価値のあるマンション
希少価値が高いマンションは20年経っていても売れやすい傾向にあります。
ランドマークが見える・景色がよいなどの特別な眺望や、広い部屋・高い天井といった他にはない魅力があるマンションは希少価値が高く人気です。
ゲストルームを用意しておきたい、プライベートルームが欲しいという人もいるため、部屋数の多さも魅力のひとつになります。
立地条件だけでなく、希少価値というプラスαの魅力が購入層をより広げるともいえるでしょう。購入層が広ければ広いほど、売れやすくなるのは間違いありません。
管理がしっかりしているマンション
マンションの寿命に欠かせないのがメンテナンスをはじめとする管理です。マンションの寿命とともに、壊れている箇所がないか衛生的であるかどうかも売却のしやすさを左右します。
マンションの建物はメンテナンス次第では100年以上維持できるとされています。階段の手すりや柵なども手入れをしていればさびなども目立ちません。配管設備の寿命はコンクリートより短いとされています。
貯水槽のあるマンションは水の管理が衛生的であることが大切です。廊下や駐輪場・駐車場の様子、エントランスの様子によっても生活しているのがどんな人たちなのかわかります。
これには管理組合がしっかり機能していることが重要です。管理が行き届いているマンションは暮らしやすく安心感があるため、買い手が付きやすくなります。
周辺地域の再開発予定がある
周辺地域の再開発によってもマンションの資産価値は変わります。再開発によって周辺地域の人の流れや道路の流れも変化するでしょう。
複合型商業施設ができれば自然と人は集まりやすくなり、エリアの人気も高まります。利便性がよくなることで、購入者層の幅も広がりやすくなります。
エリアの人気や利便性によってもマンションの価値は変動するものです。周辺地域に再開発の予定があることも、20年後にマンションを売却するのに有利な条件となります。
購入から20年後に中古マンションは売却できる?
将来的に売却するのを前提にマンションを購入する場合、「本当に20年後に中古マンションとして売却できるのか」は気になるところです。
実は築20年のマンションは売却に向いている時期とも言われています。もちろん諸説ある中の1つの意見に過ぎませんが、これには理由があります。
築20年ほどの中古マンションは見た目はそれほど古びた印象でなく、室内の設備も最新とまではいかなくても大きく劣ることはないためです。
- 築年数別の平均売却価格
- 築年数別の中古マンション成約率
こちらのデータを確認していきましょう。
築年数別の平均売却価格から見る
築年数別の平均売却価格は、東日本不動産流通機構が公表するデータから確認できます。
<中古マンション成約状況(万円、㎡)>
価格 | 面積 | ㎡単位 | |
築0~5年 | 6,136 | 64.84 | 94.63 |
築6~10年 | 5,538 | 66.86 | 82.83 |
築11~15年 | 4,886 | 70.38 | 69.41 |
築16~20年 | 4,685 | 72.80 | 64.35 |
築21~25年 | 3,746 | 69.24 | 54.10 |
築26~30年 | 2,275 | 61.23 | 37.15 |
築31年~ | 2,040 | 57.28 | 35.61 |
参照:レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021)」中古マンション成約状況
中古マンションは築年数が古くなるにつれて価格も下がっていきます。しかしそのペースは一定ではありません。データを確認すると築25年を境に大きく価格が下がるのがわかります。
これは住宅ローン控除や登録免許税の優遇措置などが築25年を境に外れてしまうことと関係しています。また、築26年を過ぎると建物自体の価値も大きく下がることから売却価格もそれほど大きな変動は見られません。
中古マンションを購入し20年後に売却するのであれば、20年後は築何年になるのかを見極める必要があります。築5年の中古マンションなら、20年後には築25年。売却価格が大きく下がるタイミングにあたるためです。
築年数別の中古マンション成約率から見る
築年数別の中古マンション成約率も東日本不動産流通機構のデータから確認できます。これは、レインズ(不動産物件情報交換のためのコンピュータネットワークシステム)に新規登録された物件のうち、築年数別に何割が成約されたのかを示しています。
<対新規登録成約率(%)>
築年数 | 2020年 | 2021年 |
築0~5年 | 26.3 | 30.5 |
築6~10年 | 36.4 | 40.7 |
築11~15年 | 28.0 | 35.3 |
築16~20年 | 28.4 | 34.9 |
築21~25年 | 20.7 | 28.3 |
築26~30年 | 14.1 | 19.9 |
築30年~ | 12.5 | 16.4 |
参照:レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021)」対新規登録成約率
しかし、築30年以上の物件の成約率も2020年は12.5%、2021年では2020年の築26~30年を上回る16.4%という数字が出ました。
物件の成約率は年ごとに変化するものではありますが、築年数の古い物件が必ずしも売れないわけではないと判断できるでしょう。購入するのが中古マンションであっても、一定以内の築年数の物件であれば20年後に売却できる可能性はあるといえます。
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マンションの売却の注意点
築年数の浅いマンションはそれだけで買い手が付きやすいところがあります。しかし、築20年を過ぎた物件の売却にはいくつかの注意が必要です。
少しでも売却しやすくするためにあらかじめ知っておきたいのは以下の点です。
- リフォームはしなくてよい
- 売却スケジュールにゆとりを持たせる
- 設備の不具合の告知を徹底する
- 修繕した方がよいところは直す
それぞれ詳しく解説していきます。
リフォームはしなくてよい
築20年を過ぎたマンションは、リフォームせずに売りに出すことをおすすめします。これは自分好みにリフォームすることを前提に購入する人もいるためです。
売却前にリフォームしてしまうとリフォーム費用の分だけ売却価格を上げることになります。しかし、自分でリフォームしたいと考えている人にとっては少しでも価格を抑えて購入し、その分をリフォームに当てたいという人もいるのです。
自分の使い勝手を考えてリノベーションしたいという人もいます。そのような人にとって、すでに手を加えられている物件は購入希望の対象から外れてしまいます。
中古物件は価格が抑えられるということも魅力の1つです。リフォーム費用として値引きした価格で売却した方が買い手は付きやすくなります。
「きれいな方が買い手が付きやすくなるのでは?」と感じるかもしれませんが、むしろリフォームしない方が有利に働くこともあるのです。
売却スケジュールにゆとりを持たせる
中古マンションは売りに出してすぐに買い手がつくものではありません。売却スケジュールにもゆとりを持たせましょう。
次の表に首都圏で売却された物件の「平均築年数」と「成約に至る平均日数」のデータをまとめました。
<平均築年数と成約に至る平均日数>
年 | 平均築年数(年) | 平均日数(日) |
2011年 | 18.27 | 67.5 |
2012年 | 18.97 | 77.1 |
2013年 | 19.27 | 79.1 |
2014年 | 19.63 | 71.2 |
2015年 | 20.13 | 65.5 |
2016年 | 20.26 | 69.3 |
2017年 | 20.70 | 74.7 |
2018年 | 21.00 | 78.8 |
2019年 | 21.64 | 81.7 |
2020年 | 21.99 | 88.3 |
2021年 | 22.67 | 74.7 |
不動産の売買は経済の動向とも関係しているため、年によってバラつきが出るものです。しかし、売りに出してから成約までは平均3カ月程度はかかると考えおきましょう。スケジュールにゆとりを持たせておいたほうが心理的にも安心です。
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設備の不具合の告知を徹底する
中古マンションを売却する際、最も大切なのは「設備の不具合の告知」です。室内の設備に不具合が出ていても修繕せずに売却することは可能です。しかし、不具合については正直に告知しましょう。
マンションの売却では不動産会社から「付帯設備表」と「告知書」の記載が求められます。
付帯設備表:設備の撤去や不具合の有無を記載する書類
告知書:設備以外の問題点を記載する書類
これらには事実を隠さず記載しましょう。
不具合があるにも関わらず正しく告知をしていないと、契約内容とは別の物を売却したとして「契約不適合責任」を問われます。契約不適合責任とは、売却後に売主が買主から追完請求または契約解除・損害賠償のいずれかを追求される責任のことです。
不動産会社は付帯設備表と告知書の内容を基に売買契約書を作成します。不具合などの事実を反映した売買契約書が作成されていなければ、売主が契約不適合責任を負ってしまう可能性があります。設備の不具合の告知は徹底しましょう。
修繕した方がよいところは直す
築20年以上のマンション室内はどうしても何かしらの修繕すべき点が出てきます。修繕した方がよい箇所は直しておきましょう。
壁の目立つキズ・床の大きなへこみ・カーペットの目立つシミは、物件が売れにくくなったり売却価格を下げたりする要因になります。
どの程度までのキズやシミを修繕した方がよいのか判断がつかない場合は、そのままの状態で査定してもらうのも手です。査定のうえで不動産会社に意見を求め、修繕してから売却するかそのまま売却するかを決めることもできます。
不動産会社から修理会社を紹介してもらえる可能性もあるため、結果としてムダを省けるというメリットもあります。修繕した方がよいところは直してから売却しましょう。
正しい知識でスムーズな売却を!
20年後にマンションを売却するのは不可能ではありません。それには売却に対する正しい知識を持っておくことが大切です。
20年後の世の中や実際の暮らしを具体的に想像するのは難しいかもしれません。しかし、過去から現在までのデータや動きを確認しておくことでタイミングを逃さず売却できる可能性は高まります。
また、売却時の注意点なども視野に入れておくと、無駄なくスムーズな売却につながるでしょう。これからの20年とそこから先の未来をより安心して暮らすために、正しい知識を蓄えておくことをおすすめします。
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