マンションの売却ではタイミングがかなり重要です。特に売却は築20年までが最適な時期といわれています。同じ中古マンションでも築20年以上・築25年のマンションとはどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、築20年のマンションの売却相場や築年数による値下がり率との関係、売却の注意点について解説していきます。
築20年のマンションの売却相場と値下がり率
はじめに築20年のマンションの売却相場と値下がり率のデータを確認していきましょう。以下の表は東日本不動産流通機構が公表する中古マンション成約状況のデータと、築0年~5年からの㎡単価あたりの値下がり率を独自に算出したものです。
〈中古マンション成約状況(万円、㎡単価)〉
価格 | ㎡単価 | 値下がり率 | |
築0~5年 | 6,136 | 94.63 | |
築6~10年 | 5,538 | 82.83 | ▲12.4% |
築11~15年 | 4,886 | 69.41 | ▲26.6% |
築16~20年 | 4,685 | 64.35 | ▲32.0% |
築21~25年 | 3,746 | 54.10 | ▲42.8% |
築26~30年 | 2,275 | 37.15 | ▲60.7% |
築31年~ | 2,040 | 35.61 | ▲62.3% |
参照:レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)
築20年のマンションが売却しやすい理由とは?
他の築年数のマンションに比べると、築20年のマンションは売却しやすいといわれています。
次の表は2021年に新規登録(売りに出された)物件と成約物件(売れた物件)の築年帯別構成比率のデータをまとめたものです。
新規登録の割合 | 成約物件の割合(%) | |
築0~5年 | 7.8 | 9.6 |
築6~10年 | 8.6 | 14.2 |
築11~15年 | 9.9 | 14.2 |
築16~20年 | 9.4 | 13.3 |
築21~25年 | 9.6 | 11.0 |
築26~30年 | 10.1 | 8.1 |
築31年~ | 44.7 | 29.7 |
参照:レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)
このデータをもとに需要・成約率の観点で築20年のマンションが売却しやすいといわれる理由を解説していきます。
築20年のマンションは需要が高い
新規登録の割合を見ると売りに出された物件のうち、築0~20年の物件は全体の35.7%です。一方、築0~20年の成約物件の割合は51.3%。
売れている物件のおよそ半分は築0~20年の物件ということが読み取れます。つまり、築20年以内の物件に人気が集中しているのです。
人気があるということは、需要があると捉えることができます。これにより、築20年以内のマンションは売却しやすいと考えられます。
築20年のマンションは成約率も高い
築0~20年のマンションの成約率は51.3%です。さらに細かく見ていくと、ある時期を境に新規登録物件と成約物件の割合が逆転しているのがわかります。
2021年のデータでは、築0~5年の新規登録は7.8%、成約は9.6%となっています。これは新規登録数より成約数が上回っているということです。この傾向は築21~25年まで続いていますが、築26~30年で逆転します。
なかでも築11~20年の新規登録と成約の差は特に大きくなっています。新規登録物件を在庫物件と考えるなら、在庫より売れる(成約する)ほうが多いということです。
マンションを売却するなら、築20年以内が最も売れやすいといわれるのはこのためです。
築20年のマンションはいくらで売れる?
築20年のマンションの売却価格はいくらなのでしょうか。実際に成約となった物件の平均築年数と価格を確認してみましょう。
〈中古マンション平均築年数の推移〉
成約した物件の築年数の平均 | |
2017年 | 20.70 |
2018年 | 21.00 |
2019年 | 21.64 |
2020年 | 21.99 |
2021年 | 22.67 |
参照:レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)
〈中古マンション成約状況(万円、㎡)〉
価格 | 面積 | ㎡単価 | |
築0~5年 | 6,136 | 64.84 | 94.63 |
築6~10年 | 5,538 | 66.86 | 82.83 |
築11~15年 | 4,886 | 70.38 | 69.41 |
築16~20年 | 4,685 | 72.80 | 64.35 |
築21~25年 | 3,746 | 69.24 | 54.10 |
築26~30年 | 2,275 | 61.23 | 37.15 |
築31年~ | 2,040 | 57.28 | 35.61 |
参照:レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)
成約した中古マンションの平均築年数は築20~22年。2021年は22.67年となっています。また、2021年の築16年~20年の平均価格は4,685万円、築21年~25年の平均価格は3,746円です。
ただし、マンションの価格は建物の状態や立地条件など多くの要素から算出されるため、一概に同じとはいえません。その年によっても平均価格は変わります。売却相場は大まかな目安として考えましょう。
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築20年以上のマンションは売れにくいって本当!?
マンションの売却では築20年までが売れやすいタイミングだと考えられています。では、築20年以上のマンションは本当に売れにくいのでしょうか。
また、マンションは必ずしも売り出した価格で売却できるとは限りません。新規登録価格(売り出し価格)と成約価格(実際に売れた価格)の関係についても見ていきましょう。
築20年を超えると新規登録成約率が大幅ダウンする
次の表は新規登録(新たに売りに出された)物件の成約率を築年数帯別にまとめたものです。
〈中古マンション対新規登録成約率(%)〉
2020年 | 2021年 | |
築0~5年 | 26.3 | 30.5 |
築6~10年 | 36.4 | 40.7 |
築11~15年 | 28.0 | 35.3 |
築16~20年 | 28.4 | 34.9 |
築21~25年 | 20.7 | 28.3 |
築26~30年 | 14.1 | 19.9 |
築31年~ | 12.5 | 16.4 |
参照:レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)
データを確認すると、築0~20年までの物件の成約率が圧倒的に高いことがわかります。築21~25年から下がりはじめ、築26~30年になるとさらに大きく下がっているのも確認できます。
最も成約率が高いのは築6~10年で、2021年では40.7%です。ここから徐々に成約率は減少し築16~20年では34.9%。築6~10年に比べると5.8%下がっています。さらに、築21~25年は28.3%となっており、築16~20年に比べても6.6%のダウンです。
築20年を超えると成約率は下がりはじめ、その差も大きくなっています。つまり、築20年を超えると徐々に売れにくくなると考えられるのです。
築15年までなら売り出し価格で売れる場合もある
次の表は2021年の新規登録物件の価格(売り出し価格)と成約価格(売れた価格)の平均をまとめたものです。
新規登録価格(万円) | 成約価格(万円) | |
築0~5年 | 6,239 | 6,136 |
築6~10年 | 5,462 | 5,538 |
築11~15年 | 4,686 | 4,886 |
築16~20年 | 5,067 | 4,685 |
築21~25年 | 3,979 | 3,746 |
築26~30年 | 2,419 | 2,275 |
築31年~ | 2,358 | 2,040 |
参照:レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)
築0~15年までは売り出し価格とほぼ同程度の価格で成約されているのがわかります。一方、築16年以降は売り出し価格より成約価格が低くなっており、その差はおよそ200~300万円です。
築年数が増えるほど売り出し価格・成約価格ともに低くなると考えると、できるだけ高く売れるタイミングで売却したいものです。価格の面で考えると、築15年以内で売却するほうがよいともいえるでしょう。
築20年のマンション売却の際の注意点
新規登録成約率や成約状況を見ると、マンションの売却では築20年が区切りと考えられます。よりよい条件で物件を売れやすくするために特に注意したいのは以下の3点です。
- 築25年を超えないようにする
- リフォームは慎重にする
- 物件の不具合はきちんと申告する
それぞれ詳しく解説していきます。
築25年を超えないようにする
築20年を超えると成約率・価格ともに大きく下がります。新規登録成約数を見ても、築25年を超えた物件は特に売れにくくなっています。
購入する側からすると、築25年を超えたマンションは原則として税の優遇措置が受けられないことも要因です。
- 住宅ローン控除
- 登録免許税の軽減措置
- 特定住居財産の買換え特例
- 贈与税の住宅所得等賃金の非課税制度
- 相続時精算課税制度の特例
住宅ローン控除とは、住宅ローン残高に合わせた額を所得税から控除できる制度です。この制度が利用できなくなるのは、購入者側にとってはデメリットとなります。
購入者側の心理として費用面でのデメリットの多い物件は購入しづらく、売れにくい物件となってしまうのです。売却するなら築25年を超えないようにしましょう。
リフォームは慎重にする
築20年のマンションは、リフォームすれば売却しやすくなるとは限りません。リフォームはかなり慎重に考えたほうがよいでしょう。
中古マンションは新築に比べると価格を抑えて購入できるところが魅力です。購入者の中にはできるだけ安く購入し、自分でリフォームしたいという人もいます。
自分好みのリフォームを希望する人にとって、リフォーム済みの物件は購入対象から外れてしまいます。
購入者層を狭めないためにも、リフォームは慎重に検討しましょう。リフォーム費用分と考えて価格を下げれば、それだけで売却できる可能性も高くなります。
物件の不具合はきちんと申告する
築20年となると、マンションの設備には何かしらの不具合が生じることもあります。不具合がある場合は正直に申告しましょう。
物件を売買する際には、不動産会社から2つの書類の記載が求められます。
①付帯設備表:設備の撤去の有無や不具合について記載する書類
②告知書:設備以外の問題点について記載する書類
不動産会社は上記2つの記載内容をもとに売買契約書を作成します。売買契約書に事実が反映されていないと、マンションの売主は契約とは異なるものを売ったことになり「契約不適合責任」を問われます。
契約不適合責任とは、売買後に売主は買主から追完請求・契約解除・損害賠償のいずれかを追及される責任のことです。物件の不具合はきちんと申告しましょう。
築年数に合った売却方法を
築20年のマンション売却について、売却相場や値下がり率、成約率などを見ていくとさまざまなことがわかります。
中古マンションの売却でポイントとなるのは築年数です。築年数が浅ければそれだけ成約率や価格は高く、売れやすい物件となります。築年数が古くなればその分売却のタイミングは大切になってくるでしょう。
居住年数とは異なり、マンションの築年数は、人が住んでいてもいなくてもカウントされていきます。マンションを売却するなら、築年数に応じた売却方法を検討しましょう。
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値下がり率を見ると、築6年〜10年が12.4%であるのに対して、築16〜20年は32%、築21〜25年は42.8%です。また、築26〜30年の値下がり率が60.7%となっています。
築年数に合わせて売却相場や値下がり率を見ると、築20年まで、遅くても築25年を超えないタイミングの方が高く売却できる可能性があるといえるでしょう。
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