マンションの理事会について、「できればやりたくない」と思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、実は理事会に入ることによって得られるメリットも多くあるのです。
この記事では、マンションの理事会では具体的にどんなことをするのか、入ると得られるメリットについて詳しく説明していきます。
分譲マンションを購入された方、購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
マンションの理事会とは?
マンションの理事会とは、分譲マンションにおいて住民たちの代表となってマンションの管理・維持を行う組織です。理事会役員に選ばれた場合は定期的に理事会を開催しながら、マンション管理に関する情報共有や問題点について話し合います。
「マンション管理は管理会社が行うのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、管理会社は管理組合から管理業務を委託されている立場です。実際にマンション管理を行う当事者は、管理組合となります。しかし、何かを決めるたびに全世帯の住人が集まるのは難しいもの。そのため、管理組合のなかから代表者を選んで組織されるのがマンションの理事会です。
理事会の役員が代表として情報共有や話し合いをしながら、マンションの管理を進めていくことになります。
マンションの理事会の選ばれ方とは?
マンションを管理・維持するための代表者として組織される「理事会」。理事会のメンバーはどのような方法で選ばれるのでしょうか?
マンションによっては選出方法は異なりますが、一般的には以下の3つの方法で選ばれます。
立候補して選ばれる
理事会の希望者を公募して、立候補した人のなかから選ぶ方法です。一般的に意識が高く、理事の仕事に対して前向きな人が立候補するため、理事会や管理組合の運営が活発に行われることが期待できるでしょう。
しかし、「理事会は面倒である」というイメージが強いため、多くの立候補者は望めません。理事の定員を満たすには、他の選出方法の併用も必要となるでしょう。
また、「立候補した人に任せればいい」と管理組合の活動に対して無関心になりやすいというデメリットもあります。
推薦されて選ばれる
現役員が中心となり、理事の適任者を推薦する方法です。人望の厚い人や責任感のある人を選出できるため、スムーズな理事会の運営が行えるというメリットがあります。
しかし、「あなたが適任なので推薦します」と言われると断りづらく、押しつけになってしまう可能性があります。選出者の意思もしっかりと尊重しましょう。
また、一部の役員が結託してお互いを推薦し合い、理事会を独占してしまう恐れも。特定の居住区域で理事選出者が偏らないよう、居住区域をグループ分けするなどバランスよく選出することが大切です。
持ち回り(輪番制)で選ばれる
一定の周期で、区分所有者の全員に理事の順番が回ってくる方法です。立候補や推薦による候補者が定員に満たない場合や、「全員が公平に役員を行う」という公平性から持ち回り制を採用している場合も多くあります。
国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」では、順番性(持ち回り制)を採用しているマンションは75.2%を占めることが報告されています。
しかし、年数が経過したマンションだと売買や引っ越しによる空き室や住民の高齢化などの問題もあるため、注意が必要です。
参照:平成30年度マンション総合調査結果
管理組合運営等の状況 役員の選任方法及び任期
マンションの理事会に選ばれたら何をするの?
マンションの理事会の役員に選ばれた場合、月に1回〜数か月に1回程度開催される理事会に参加します。そこでマンションの管理状況や問題について情報共有や話し合いを行うのです。
理事会では、主な役職として「理事長」「副理事長」「会計」などがあります。それぞれの役職によっても役割が変わってくるため、説明していきます。
理事長の役割
理事長は理事会の代表であるとともに、管理組合の代表でもあります。区分所有法上の「管理者」にもあたり、理事会・管理組合の業務を統括します。
年に1回、全ての管理組合員を集めて行う総会で決まったことや、マンション管理規約に定められたことを遂行する権限があります。管理会社など外部とのやり取りの際は、窓口となることも。
副理事長の役割
副理事長は、理事長の補佐として活動する役職です。理事長の職務は多岐にわたるため、スムーズに行うためには副理事長のサポートが必要不可欠となります。理事長が不在の際は、副理事長が一時的に理事長代行として職務を行います。
また、何かしらの理由で理事長が欠けてしまった場合、副理事長が理事長となり職務を遂行します。
会計の役割
会計は、マンション管理費や修繕積立金などについて、出納、保管、運用、支出などの会計業務を行います。具体的には現金や通帳、収支の管理などといった内容です。
会計の業務は専門知識も必要となるため、業務の大半は委託された管理会社が行っている場合もあります。その場合、会計担当理事は管理会社による会計書類のチェックや収支の状況を把握する役割となります。
マンションの理事会に入るメリットとは?
マンションの理事会について、「できればやりたくない」「やる意味がない」などマイナスなイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、理事会に入ることによって役員同士で親しくなったり、マンション管理に対する理解が深まったりと生活しやすくなることもあります。
ここでは、マンションの理事会に入る4つのメリットについてまとめました。
- マンションを購入した実感が湧く
- 他の役員と関わることができる
- マンションの金銭面について詳しくなる
- マンションの生活環境面について詳しくなる
メリットを知ることで、理事会に対するイメージが少し変わるかもしれませんよ。
マンションを購入した実感が湧く
分譲マンションを購入した時点で管理組合の一員となりますが、組合員としての活動はほとんどなく、年に1回行われる総会への出席程度です。しかし、理事会に入会すれば、職務を通して積極的にマンション管理に関わることができます。
「マンションを購入した」という実感が湧くとともに、自分のマンション管理を自分たちで行うことでマンションに対してより愛着を持って生活できるでしょう。
他の役員と関わることができる
同じマンションに住んでいても、普段はなかなか住人同士が交流する機会は少ないものです。理事会に入ることで、他の理事役員と定期的に顔を合わせたり話し合ったりするため、親しい関係になれます。
マンション内に親しい間柄の人たちがいることは、とても心強いものです。困ったときにはお互いに助け合ったり、近隣トラブルの予防にもつながります。
マンションの金銭面について詳しくなる
マンション管理の予算決めや決済は理事が行っています。そのため、理事会に入ることで、毎月支払っている管理費や修繕積立金がどのように使われているかを把握できます。
また、そのなかで不明な点や無駄な出費がある場合は意見したり、節約の提案をしたりといったことも可能です。自分たちのマンションの金銭面についてきちんと把握や意見ができることは、理事会に入る大きなメリットのひとつといえるでしょう。
マンションの生活環境面について詳しくなる
マンション共有部分の設備点検やルール決め、防災訓練、防犯に関することなども理事会の仕事です。これらの仕事を通じてマンションの生活環境面について詳しくなれることは、理事会に入るメリットです。
共有部分や設備をより有効活用できるだけでなく、防災や防犯意識も高められるでしょう。火災などいざというときにも、落ち着いて行動できるはずです。
マンションの理事会に入るデメリットとは?
一方で、マンションの理事会はメリットばかりではありません。「マンションの維持管理」という大きな職務のため、どうしても責任や労力は大きくなってくるものです。
ここでは、マンションの理事会に入る3つのデメリットについてまとめました。
- 責任が重い
- 集会があるので時間が取られてしまう
- 住民の苦情に対応しなければならない
責任が重い
理事会役員はマンション住民の代表としての立場であるため、どうしても責任は重くなります。特に理事長は、理事会・管理組合の代表であるとともに区分所有法上の「管理者」にもあたるため、重圧を感じやすいでしょう。
マンションの管理・維持は、マンションの資産価値にもつながる重要な仕事です。そのぶんやりがいは大きいですが、責任もともなう仕事であるといえます。
集会があるので時間が取られてしまう
理事会役員は、月に1回〜数か月に1回の頻度で定期的に集会を開催します。そこでマンション管理についての情報共有や、問題点などについて話し合いを行うのです。
また、年に1回は全区分所有者が参加する総会があるため、出席することはもちろん資料作成や理事役員同氏の打ち合わせなどの準備も必要となります。
これらの集会や準備によって、貴重な休日を費やさなければならないことも多いでしょう。
住民の苦情に対応しなければならない
マンションの理事会には、住民から苦情が寄せられることもあります。たとえば、「隣人の生活音がうるさい」「ゴミ出しのマナーが悪い」「共有部分に私物が放置してある」など、住環境や住民同士のマナーに関する苦情を受け付け、理事会で対応しなければなりません。
話し合いで解決できればいいですが、ときには住民同士のトラブルに発展したり、理不尽なクレームを言ってくる住民がいたりするケースもあるでしょう。
マンションの理事会の入会を拒否する方法とは?
理事会への入会を拒否したとしても、法的な罰則やペナルティはありません。しかし、理事を引き受けた人からすると不公平感や不満感を抱かれてしまう可能性も。マンションは住民全員で管理していくものであるため、正当な理由なく理事を断ることは避けましょう。
しかし、仕事や家庭の事情などがありどうしても難しい場合もあるでしょう。そのときは納得してもらえるような理由を添えたうえで、「次回、あるいは〇年後なら引き受けられる」と具体的な時期を回答すると誠意が伝わります。
マンションの理事会に入ると報酬はある?
マンションの理事会は、基本的にはボランティアで報酬はありません。しかし、管理組合が報酬額を規定することは可能なため、マンションによっては報酬が支払われる場合も。
国土交通省「平成30年度マンション総合調査」によると、役員全員に報酬を支払っているマンションは全体の約2割となっています。報酬は理事長にだけという場合も。また、報酬額に関しては、各役員一律の場合は月額3,900円となっています。
参照:国土交通省「平成30年度 マンション総合調査」 p.95、p.97
理事会の司会進行手順
理事会の司会進行は基本的に理事長が行いますが、説明を管理会社が担当する場合もあります。それぞれの管理組合に合った進め方を選択してください。
理事会の流れは以下の通りです。
- 理事長からのあいさつ
- 理事会の出席状況を確認(理事会は半数以上の出席で成立)
- 各議案の説明
- 各議案の審議と決議(出席理事による賛成・反対の意思確認)
- 理事会終了
理事会をスムーズに進行するためには、事前準備が重要です。理事長は事前に、管理会社と議案内容や資料のすり合わせを行っておきましょう。
理事会に入ってマンション生活を楽しもう
マンションの理事会というと、責任の重さや仕事の大変さなどデメリットばかりがイメージされがちです。
しかし、自分たちが購入したマンションの管理に積極的に関わったり、管理費や修繕積立金についても意見できたりすることは大きなメリットといえるでしょう。理事会を通じて役員同士の親睦が深まれば、マンション生活もより楽しく豊かになります。
いつかは順番が回ってくる理事会。メリットを理解して、前向きに取り組めるといいですよね。
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