相続した不動産を売却したいけど、どんな税金がかかるのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、相続した不動産の売却の流れや注意点についてご紹介します。
相続した不動産を3年以内に売却した場合の税金についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
相続した不動産売却の流れは?
相続した不動産を売却するには、不動産の名義変更が必要です。
相続人が複数いる場合は遺産分割協議をし、不動産を含む遺産の分割方法を決めます。
ここでは1人で相続する場合と複数人で相続する場合とにわけて、不動産売却の流れを見ていきましょう。
1人で相続する場合
1人で不動産を相続して売却する場合は、まず不動産の名義を、亡くなった方から相続する方へと変更する必要があります。相続不動産の名義変更は相続登記といい、相続発生後3年以内に行わなければいけません。
名義変更を行ったら、通常の不動産売却と同様の流れで売却することになります。不動産会社に査定を依頼し、媒介契約を結んで不動産を売却するのが一般的です。早く現金化したい場合は、不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。
複数人で相続する場合
複数人で不動産を相続する場合も、売却するには不動産の名義変更が必要です。
相続人が複数いる場合は遺産分割協議を行い、「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有分割」のいずれかの方法で遺産を分割します。
この場合は、亡くなった方から代表する相続人へと名義変更を行い、不動産の売却を行います。
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相続時の不動産売却の注意点は?
相続した不動産の売却を行う場合は、以下の点に注意が必要です。
- 名義変更が必要
- 相続税納税のための売却なら期限に気をつける
それぞれ詳しく説明していきます。
名義変更が必要
相続した不動産は、売却する前に名義変更をしなければいけません。
相続不動産の名義変更=相続登記を行わないままでいると、売却したいタイミングで売却できないなどのデメリットがあります。
有効な遺言書や遺産分割協議などに基づいて名義変更を行いましょう。
相続税納税のための売却なら期限に気をつける
相続税を払うために不動産を売却する場合は納税期限に注意が必要です。不動産の相続により発生した相続税を現金で支払えないという場合、不動産の売却で得たお金で納税することができます。
ただし、相続税の納税期限は相続発生から10ヶ月以内なので、その期間内に相続不動産を売却して現金化しなければいけません。
相続税納税のために不動産を売却する場合は、なるべく早い段階で名義変更を行い、査定依頼・売却活動を始めるとよいでしょう。
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相続した不動産売却にかかる税金は?
相続した不動産を売却すると、相続税以外に次のような税金がかかります。
- 印紙税
- 譲渡所得税
- 登録免許税
- 住民税
どんな税金を支払う必要があるのか、事前に把握しておくとよいでしょう。
印紙税
印紙税は、不動産の売却の際に取り交わす売買契約にかかる税金です。契約金額に応じて印紙税額が定められており、売買契約書に印紙を貼ることで納税します。
ただし、2024年3月31日までに作成される売買契約書は印紙税の軽減措置の対象となるので、不動産会社などに確認しておくと安心です。
国税庁の資料によると、契約金額に応じた印紙税額は次のようになっています。
契約金額 | 印紙税額 | 軽減措置後の税額 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
参照:不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置‐国税庁
譲渡所得税
譲渡所得税は、相続した不動産の売却で得た利益にかかる税金です。税率は不動産の所有期間により異なります。
国税庁の資料によると、不動産の所有期間に応じた税率は次の通りです。
5年以下(短期譲渡所得):30%
5年以上(長期譲渡所得):15%
不動産の所有期間が5年以下か5年以上かで、譲渡所得税額が変わります。
登録免許税
登録免許税は、不動産の名義変更などの登記内容の変更にかかる税金です。
国税庁の資料によると、税額は名義変更の内容により次のように定められています。
売買による所有権の移転登記:固定資産税評価額の2%
相続による所有権の移転登記:固定資産税評価額の0.4%
ただし、相続した土地の固定資産税評価額が100万円以下の場合、2025年3月31日までは登録免許税がかかりません。
住民税
住民税は不動産の売却で得た利益にかかる税金で、所得税と合わせて譲渡所得税と呼ぶことがあります。
住民税の税率は次の通りです。
不動産の所有期間が5年以下:9%
不動産の所有期間が5年以上:5%
譲渡所得税と同様に、所有期間5年を区切りに税率が変わります。
税金軽減制度や特例は?
相続した不動産の売却にはさまざまな税金がかかるため、税金の軽減制度や特例について把握しておくと安心です。
ここでは取得費加算の特例について説明します。
取得費加算の特例は譲渡所得税を軽減できる制度
取得費加算の特例とは、相続した不動産を相続税の申告期限から3年(相続から3年10ヶ月)以内に売却すると、税負担を軽減できるという制度です。
相続により発生する相続税の一部を不動産の取得費に加算することで、「譲渡所得」が少なくなります。
譲渡所得が少なくなる分「譲渡所得税」が減るため、節税することができるのです。
取得費加算の特例が利用できる条件
節税対策として取得費加算の特例を利用するには、条件を満たしている必要があります。
国税庁の資料によると、特例の適用を受けるための要件は以下の通りです。
- 相続や遺贈により財産を取得したものである
- その財産を取得した人に相続税が課税されている
- その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年を経過するまでに譲渡している
また、相続税を加算して節税するには確定申告が必要となります。
相続した不動産を3年以内に売却すべき理由
相続した不動産を3年以内に売却すると、譲渡所得税を抑える以外にもメリットがあります。
相続した不動産を3年以内に売却したほうがよい理由は次の2つです。
- 不動産の価値が下がってしまうから
- 空き家の場合でも固定資産税の納付義務があるから
ここでは相続した不動産を放置せず、3年以内に売却すべき理由について説明します。
不動産の価値が下がってしまうから
不動産は所有しているだけで価値がありますが、建物の資産価値は築年数に応じて下がっていくのが一般的です。
また、立地によっては土地の価値も下がってしまう可能性があります。
売却を検討している場合は、不動産の価値が下がる前に行動に移すとよいでしょう。
空き家の場合でも固定資産税の納付義務があるから
相続した不動産は、たとえ空き家にしていても、所有しているだけで固定資産税がかかります。
固定資産税の税率は自治体により異なりますが、固定資産税評価額×1.4%(標準課税)で算出するのが基本です。
相続した不動産を売却したときの3,000万円特別控除とは?
相続した不動産を売却すると、要件を満たしていれば「3,000万円特別控除」の対象になります。
3,000万円特別控除とは、不動産を譲渡して得た「譲渡所得」から3,000万円を控除するという特例です。
ここでは相続した不動産が空き家の場合とマイホームの場合にわけて、特別控除を受けるための主な要件をまとめました。
相続した不動産が空き家の場合
相続した不動産が居住用ではなく空き家の場合に売却すると、要件を満たすことで3,000万円特別控除を受けることができます。
国税庁の資料によると、特例の対象となる主な要件は次の通りです。
- 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された一戸建てである
- 相続の直前まで被相続人が居住していた
- 耐震基準を満たしている
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに1億円以下で売却する
- 相続から売却までの間空き家のままである
参照:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例‐国税庁
相続した不動産が居住用の場合
相続した不動産をマイホームにしていて売却する場合も、要件を満たすことで3,000万円特別控除の対象になります。
国税庁の資料によると、主に次の要件を満たしていることが必要です。
- 自分が住んでいた家または家屋とともに敷地や借地権を売る
- 売却した家屋や敷地などについて他の特例の適用を受けていない
- 売り手と買い手が親子や夫婦など特別な関係ではない
ただし、特例の適用だけを目的として居住した場合や、仮住まいのために居住した場合などは適用外になります。
相続不動産の売却は専門家に相談しながら行おう
この記事では、相続した不動産の売却の流れや、3年以内に売却するべき理由についてご紹介しました。
相続した不動産を売却するには、さまざまな複雑な手続きをする必要があります。
相続や税金についてはもちろんのこと、不動産についての知識も必要なので、売却する場合は専門家に相談しながら行うとよいでしょう。
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