マンションを売却するときに減価償却費の計算方法が分からず、困っている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、マンションを売却時の減価償却費の計算方法について詳しく解説します。
マンション売却時に減価償却費の計算が必要な理由や、計算するときの注意点もまとめているので参考にしてください。
減価償却とは?
減価償却とは、不動産などの固定資産の価値を年ごとに減らす会計処理のことです。
取得に10万円以上かかった不動産や自動車、パソコンやスマートフォンなども減価償却の対象になります。
減価償却費の計算方法
減価償却費の計算方法は、定額法と定率法の2種類です。ここでは、定額法と定率法の計算方法について解説します。
方法①定額法
定額法とは、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法です。定額法では、減価償却費=取得価格×定額法の償却率を用いて計算します。
定額法の償却率は、以下の通りです。
耐用年数 |
償却率 |
2 |
0.500 |
3 |
0.334 |
4 |
0.250 |
5 |
0.200 |
6 |
0.167 |
7 |
0.143 |
マンション売却時に減価償却費を計算する場合、定額法を使用します。
方法②定率法
定率法とは、減価償却費が一定の割合で減少するように計算する方法です。定率法では、減価償却費=未償却残高×定率法の償却率で計算します。
定率法の償却率は、以下の通りです。
耐用年数 |
償却率 |
2 |
1.000 |
3 |
0.667 |
4 |
0.500 |
5 |
0.400 |
6 |
0.333 |
7 |
0.286 |
定額法と同様、耐用年数によって償却率が異なることを抑えておきましょう。
マンション売却時に減価償却費が必要な理由
マンションを売却して利益が出た場合、譲渡所得税が発生します。譲渡所得税を正しく計算するためには、減価償却費の計算が必要です。
譲渡所得税は譲渡所得×税率で計算しますが、譲渡所得は、売却価格-取得費-譲渡費用で計算しなければなりません。譲渡所得の計算で利用する取得費は、土地建物の購入代金+取得に要した費用-減価償却費で算出しなければなりません。
マンション売却で出た利益から、減価償却費を差し引くことで節税対策にもなるため、減価償却費をしっかりと計算しましょう。
マンション売却時の減価償却費の計算手順
ここからは、マンション売却時の減価償却費の計算手順を解説します。
手順①マンションの建物購入代金を調べる
マンションの購入代金は土地と建物の合計金額になっていることが多いため、建物部分の購入代金を調べる必要があります。
建物の購入代金は、売買契約書から確認可能です。土地と建物の価格が分けて記載されている場合は、建物の価格を計算に使用します。
売買契約書に土地と建物の合計金額が記載されている場合は、消費税額から建物の購入金額を計算しましょう。土地には消費税が課税されていないため、消費税から建物の購入金額の算出が可能です。
建物の購入金額は、売買契約書に記載された消費税÷消費税率+消費税で計算しましょう消費税率は、購入時の税率で計算してください。
手順②マンション取得にかかった費用を調べる
建物の購入金額以外にも、マンションの取得にかかった費用も調べる必要があります。マンションの取得にかかる主な費用は以下の通りです。
- 仲介手数料
- 登記費用
- 不動産取得税
- 住宅ローンの事務手数料
- 住宅ローン保証料
- リフォーム費用
土地と建物の両方にかかった費用は、按分する必要があります。建物価格が700万円、土地価格が300万円のマンションで、仲介手数料を100万円支払った場合、建物分の仲介手数料は100万円×7/10で計算しましょう。
手順③償却率を調べる
償却率とは、耐用年数によって定められた割合です。減価償却費の計算で使用する償却率は、以下の通りマンションの材質や構造によって異なります。
材質・構造 |
償却率 |
木造 |
0.031 |
木造モルタル造 |
0.034 |
金属造(骨格剤の肉厚4mm超) |
0.020 |
金属造(骨格剤の肉厚3mm超4mm以下) |
0.025 |
金属造(骨格剤の肉厚3mm以下) |
0.036 |
れんが造・ブロック造・石造 |
0.018 |
鉄筋コンクリート |
0.015 |
手順④経過年数を調べる
経過年数とは、マンション購入から売却までの所有期間の年数です。6ヶ月未満の場合は切り捨て、6ヶ月以上の場合は切り上げて1年として計算します。
マンションの所有期間が5年5か月の場合は、5か月の部分を切り捨てて、経過年数5年として計算しましょう。
マンションをリフォームした場合は、リフォームした日からの経過年数で減価償却費を計算しなければなりません。
手順⑤計算式に代入する
建物部分の取得費×0.9×償却率×経過年数に代入して減価償却費を計算します。以下の例を用いて計算していきましょう。
- マンションの建物部分の取得費:3,000万円
- 鉄筋コンクリート造
- 購入日:2010年2月1日
- 売却日:2020年3月1日
マンションが鉄筋コンクリート造のため、償却率は0.015となります。経過年数は10年1ヵ月ですが、6ヶ月未満は切り捨てるため、10年として計算しましょう。
計算式に代入すると、3,000万円×0.9%×0.015×10となり、減価償却費は405万円になります。
マンション売却時に減価償却費を計算するときの注意点
ここからは、マンション売却時に減価償却費を計算するときの注意点を解説します。
注意点①減価償却の対象は建物部分のみ
減価償却の対象は、マンションの建物部分のみです。マンションの建物部分は築年数と共に劣化すると考えられていますが、土地は経年で劣化することはないと考えられています。
そのため、マンションが建てられている土地部分は減価償却の対象外となることを覚えておきましょう。
注意点②マンション売却時は定額法で計算する
マンション売却時の減価償却費の計算は、定額法を用いて計算します。定額法とは、耐用年数の期間中、毎年同額を減価償却していく方法です。
注意点③マンションの用途によって計算方法が異なる
マンションの用途によって計算方法が異なるため、注意しなければなりません。
事業用マンションの場合は、減価償却費=(建物購入価格-残存価格)×償却率×業務に使用した月数÷12で計算します。
マンション売却時には減価償却費の計算が必要
マンション売却時に必要な減価償却費の計算方法や注意点について、詳しく解説していきましたがいかがでしたでしょうか。
マンション売却後に正しい譲渡所得税を算出するためには、減価償却費の計算が必要です。マンション売却時に必要な減価償却費の計算方法を抑えておきましょう。
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