天井高が高いと、解放感があって広く感じられますが、実は冷暖房が効きにくいといったデメリットもあります。天井高が低いと、ゆったりと落ち着いて過ごせる場合もあり、「天井高はただ高ければ高いほど良い」というわけではありません。
この記事ではマンションの天井高が高い部屋・低い部屋それぞれのメリットとデメリットをくわしく解説します。物件を選ぶ際は間取りや広さだけでなく、天井高も確認しておくことが大切です。自分の暮らしに合った天井高を知るのにお役立てください。
マンションの天井高とは?
マンションの天井高とは、床面から天井までの高さを指します。物件を選ぶ際は間取りや広さを重視することが多いと思いますが、天井高も部屋の開放感や過ごしやすさに大きく関わってくる部分です。
天井高が低いと圧迫感があったり、実際の広さよりも狭く感じてしまうこともあります。
どのくらいの高さからが”高い天井”?
建築基準法では、居室の天井高は最低でも2.1m(2,100mm)以上と定められています。近年は平均身長が高くなってきたこともあり、天井高の高い物件が増えています。
天井高の標準的な高さは2.2m〜2.4mであり、2.4m(2,400mm)やそれ以上の高さがある場合は「高い天井」といえるでしょう。なかには天井高が3m(3,000mm)を超える高さの物件もあります。
階高とは?
階高とは、マンションなどの建物において、下の階の床面から上の階の床面までの高さを指します。階高の平均的な高さは4m前後とされており、階高が高い物件は天井高を高くすることも可能です。
階高は床や天井のコンクリートや仕上げの厚さも含まれているため、設計図上のみで確認できる部分となります。
階高と天井高は混同されやすいため、それぞれの違いをしっかりとおさえておきましょう。
マンションの天井高を測る3ステップ
天井高を測る場合、コンベックスという金属製のメジャーが必要になってきます。布やビニール製の柔らかいメジャーは垂れてしまうため、身長を超える高さの天井高を測るには不向きです。コンベックスは水平、垂直保持力があるため手が届かない部分もテープが倒れず測定することができます。
コンベックスを使用し、以下の手順で天井高を測定します。
- まずメジャーを3mほど伸ばす
- 爪を床に合わせ、壁に添わせながらテープを天井に伸ばす
- 天井でテープが折り曲げるため、その部分の数値を確認する
また、最近は対象物にレーザー光線を当てるだけで正確な距離を測れる「レーザー距離計」もあります。天井高の測定に活用してみるのもよいでしょう。
天井高が低い部屋の3つのメリット
天井高は高い方が開放感があって良い!と考える方が多いと思いますが、天井高が低い部屋にもメリットがあります。ここでは、天井高が低い部屋の3つのメリットをまとめました。
- 閉鎖的な空間なので落ち着ける
- 音が響きにくい
- 窓からの光で明るく冷暖房も効きやすい
①閉鎖的な空間なので落ち着ける
天井高が低い部屋は、落ち着いた空間が作りやすいことがメリットです。
たとえば、横になって身体を休める寝室や直接畳の上に座ることが多い和室では、天井高を低くしたほうがゆっくりとくつろげるでしょう。寝室や和室は視線も低くなることが多いため、天井高が低くても圧迫感や窮屈な印象は受けにくくなります。
天井高が高いと開放感はありますが、人によっては広々としすぎてどこか落ち着かないと感じてしまう場合もあるでしょう。
②音が響きにくい
吹き抜けのリビングなど、天井高が高いと音が響きやすくなります。音や声が鳴り止んだあとも、天井や壁に反射して引き続き音が聞こえる「残響音」が気になってしまうのです。
天井高が低い部屋では比較的音が響きにくいため、残響音も気になりません。犬などのペットを飼っている家庭や、小さいお子さんがいる家庭でも快適に過ごすことができるでしょう。
③冷暖房が効きやすく光熱費がおさえられる
天井高が低い部屋は部屋自体の体積が小さいため、クーラーや暖房などが効きやすくなります。室内が適温になるまでに時間がかからず、結果的に光熱費が節約できることもメリットのひとつといえるでしょう。
特に暖かい空気は天井の近くに溜まりやすくなるため、天井高が高い部屋では冬場に室内が暖まるまでに時間がかかってしまうこともあります。
天井高が低い部屋の3つのデメリット
一方で、デメリットにはどのようなものがあるでしょうか。ここでは、天井高が低い部屋の3つのデメリットをまとめました。
- 大型家具は置けない場合もある
- 圧迫感がある
- 天井からぶら下げる照明は邪魔になることがある
メリットだけでなく、デメリットについてもよく確認しておきましょう。
①大型家具は置けない場合もある
近年は天井高が高めの住宅が多いため、家具も天井高2.4m前後に合わせて作られている場合が多いです。
そのため、天井高が低い部屋では、背の高い家具が配置できない、あるいは配置することで部屋が窮屈に感じてしまうこともあるでしょう。特に二段ベッドや大型のクローゼットなどは注意が必要です。
天井高が低い部屋の場合は、部屋に合わせて、高さの低い家具やインテリアを選ぶことをおすすめします。
②圧迫感がある
天井高が低いと、圧迫感や窮屈さを感じてしまう場合があります。実際の広さよりも、部屋が狭いような印象を受けてしまいます。特にリビングやダイニングなど、家族みんなが集まる空間は天井高が低いと窮屈さを感じやすくなるでしょう。
天井高が低い部屋は寝室にしたり、背の低い家具を配置したりと視線を低くする工夫をすると、圧迫感が軽減できます。
③天井からぶら下げる照明は邪魔になることがある
天井高が低い部屋では、シャンデリアやペンダントライトなど、天井からぶら下げるタイプの照明は邪魔になってしまうことがあります。背が高い人の場合は、ライトに頭をぶつけてしまう可能性も。
シーリングライトなど、天井に直接取り付けるタイプのライトを選ぶと良いでしょう。インテリアとしてどうしてもぶら下げるタイプの照明を選びたい場合は、天井高と照明の長さを事前に確認しておくことをおすすめします。
天井高が高い部屋の3つのメリット
天井高が高い部屋は、圧迫感がなく広々と感じられるため人気があります。ここでは、天井高が高い部屋の3つのメリットをまとめました。
- 開放感が得られる
- 窓を取り付ければ日当たりがさらに良くなる
- 室内の風通しが良くなる
①開放感が得られる
天井高が高い部屋の最大のメリットは、開放感が得られることでしょう。高さがあることによって、同じ間取りでもより広く感じます。気持ちの面でも広々と開放感を得やすい空間作りが可能になるでしょう。
背の高い家具やシャンデリアなどの照明も、圧迫感や高さを気にせず配置できるため、部屋のインテリアにもこだわることができます。
②窓を取り付ければ日当たりがさらに良くなる
天井が高い部屋といえば、吹き抜けなど日当たりが良く明るいイメージを持つ方が多いでしょう。天井に近い位置に窓を取り付ければ、さらに採光が取れて外からの自然な光を取り入れることができます。
高い位置に取り付ける窓はハイサイドライト(高窓)と呼ばれ、プライバシーを守りながら日当たりの良さや開放感を楽しめます。高窓をうまく活用できることは、天井高が高い部屋のメリットといえるでしょう。
③室内の風通しが良くなる
天井が高いと室内の風通しが良くなります。特に高窓を設置することで、より効率的に室内の空気循環を改善できるでしょう。
暖かい空気は上に溜まりやすい性質があります。天井に近い部分に溜まった空気が暖高窓から抜けることで、より効果的に室内の風通しが良くなるのです。
特に夏場の蒸し暑い日などは、風通しの良さによるメリットを感じやすいでしょう。
天井高が高い部屋の3つのデメリット
天井高は、高ければ高いほどいいわけではありません。ここでは、天井高が高い部屋の3つのデメリットをまとめました。
- 部屋が暖まりづらい
- 音が響きやすい
- 建材やインテリアにコストがかかる
メリットだけでなく、デメリットもしっかりと確認しておきましょう。
①部屋が暖まりづらい
天井高が高い部屋において最も大きなデメリットは、部屋が暖まりづらいことでしょう。天井が高いぶん部屋面積や空間が広くなるため、暖房の効きが悪くなります。部屋が暖まるまでに時間がかかり寒い思いをすることに加え、光熱費がかさんでしまいます。
解決策としては、天井にシーリングファン(天井に取り付けるタイプの扇風機)を取り付けて部屋の空気を循環させることで、空調をコントロールしてエアコンの負担を減らすことが可能です。
②音が響きやすい
部屋の防音性は快適に生活するうえで重要ですが、外からの音だけでなく室内で発生する音にも注意が必要な場合があります。天井高が高い部屋や吹き抜けのリビングなど広い空間では、室内の生活音が反響して残響音となり、気になってしまうことも。
特に室内で犬など鳴き声の発生するペットを飼う場合や、小さなお子さんがいる場合は音の響きやすさも検討して物件を選ぶことをお勧めします。
③建築やインテリアにコストがかかる
天井が高いとそのぶん壁の面積が増えるため、材料、施工費用など建築のコストが上がります。また、カーテンや壁面収納なども標準的なサイズのものが使えずオーダーメイドになる場合があるため、インテリアにもコストがかかってしまう場合も。
照明の電球が切れたときや掃除のときも、天井が高いと脚立を使っても手が届かず、業者に依頼することになります。このように、なにかと費用がかさむ場面も多くなるでしょう。
自分に合った天井高を選ぼう
天井高は高い方が良いイメージがありますが、メリットばかりではなく「冷暖房が効きにくく光熱費がかかる」「室内の生活音が反響しやすい」などといったデメリットもあります。
天井高が低い場合、リビングなど家族が集う場所では窮屈さを感じやすくなります。しかし、横になったり座ったりと視線が低くなる寝室や和室などでは、天井が低い方がゆったりと落ち着いた空間が作れる場合もあるでしょう。
天井高が高い部屋と低い部屋、どちらが快適に過ごせるかどうかは、部屋の使用目的やライフスタイルによっても変わってきます。それぞれの特徴やメリット・デメリットをしっかりと確認し、自分に合った天井高を選びましょう。
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