家を買う際は、物件価格以外にも初期費用が必要です。頭金をはじめ、各種税金や住宅ローン手数料など、さまざまな初期費用を現金で支払うため、ある程度まとまった金額を準備しておかなくてはなりません。そうは言っても、初期費用のなかには見慣れない項目も多く、よくわからないと感じる方も多いでしょう。
この記事では、家を購入する際に必要な初期費用について、わかりやすく解説します。
初期費用の内容をよく理解しておけば、無駄な費用を節約することも可能です。家の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
初期費用の種類は3つある
家を買う際に必要な初期費用は、以下の3つの種類に分けられます
- 頭金や仲介手数料など「不動産取引に関する費用」
- 融資手数料や各保険料など「住宅ローンに関する費用」
- 引越し費用など「その他の費用」
マンション、一戸建てなどの種類によって初期費用は変わってきますが、まずは共通して必要な初期費用を確認していきましょう。
頭金とは?
頭金とは、家を購入するとき最初に支払うまとまったお金です。頭金の金額は、住宅価格の約20%が目安といわれています。
頭金は必ずしも必要なわけではなく、最近は頭金なしで住宅ローンが契約できる金融機関もあります。
しかし、頭金がない場合、金利負担や支払い期間が増えてしまいます。購入後の生活や返済を考えると、まとまった金額の頭金を用意しておいたほうがいいでしょう。
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家を買う際に発生する諸費用とは?
家を買う際に発生する諸費用とは、各種税金や住宅ローン手数料など物件価格以外に必要な費用です。諸費用は基本的に現金での支払いとなります。
諸費用の相場は新築、中古、一戸建て、マンションなど物件の種類によっても異なります。予想外の事態や支払いが発生したときのために、できれば物件価格の10%ほどの資金を初期費用として準備しておくといいでしょう。
マンションの初期費用はいくらかかる?相場は?
マンションの初期費用は、新築マンションと中古マンションで異なります。
初期費用の相場は、新築マンションの場合、物件価格の約3〜5%、中古マンションの場合は物件価格の約6〜10%です。
たとえば、物件価格が4,000万円の場合で考えると、新築マンション購入の初期費用は120〜200万円、中古マンションは240〜400万円となります。
中古マンションは仲介手数料や固定資産税など、新築マンションでは必要ない諸費用もかかるため、比較的やや高くなっています。しかし、新築物件の購入申し込みをする際にかかる申込み証拠金など、新築マンションのみに必要な費用もあります。
物件ごとで初期費用はどう違う?
家を買う際に発生する初期費用は、一戸建てかマンションか、また新築か中古か、など物件によって異なります。
ここでは、それぞれの初期費用の違いについてまとめました。
- 新築マンション
- 中古マンション
- 新築一戸建て
- 中古一戸建て
新築マンションの場合
新築マンションを購入する場合に必要な初期費用と相場は、以下の通りです。
初期費用の相場は、物件価格の約3〜5%といわれています。
- 管理準備金・修繕積立金(※):マンションの修繕計画などによってによって異なる
- 申込証拠金(※):2~10万円前後
- 固定資産税・都市計画税:固定資産税評価額による
- 手付金:物件価格の5~10%
- 印紙税:購入価格やローン借入額によるが2~4万円
- 登記費用・司法書士依頼費用:固定資産税評価額による
- 住宅ローン融資手数料:借入額×1~3%
- 火災・地震など各保険料:保険によってさまざま
- 不動産取得税:固定資産税評価額の3~4%
※管理準備金・修繕積立金は、新築マンション購入時のみにかかる費用です。
※申込み証拠金も、新築物件の購入申込みをする際に必要となります。
中古マンションの場合
中古マンションを購入する場合に必要な初期費用と相場は、以下の通りです。
初期費用の相場は、物件価格の約6〜10%といわれています。
- 仲介手数料:売買価格×3%+6万円+消費税が上限
(売買価格が400万円以上の物件の場合)
- 固定資産税・都市計画税:固定資産税評価額による
- 手付金:物件価格の5~10%
- 印紙税:購入価格やローン借入額によるが2~4万円
- 登記費用・司法書士依頼費用:固定資産税評価額による
- 住宅ローン融資手数料:借入額×1~3%
- 火災・地震など各保険料:保険によってさまざま
- 不動産取得税:固定資産税評価額の3~4%
新築マンションと中古マンションで大きく異なるのは、仲介手数料の有無です。また、固定資産税・都市計画税などの税金に関しても、新築マンションは優遇措置があるため、中古マンションのほうが税率が上がります。
新築一戸建ての場合
新築一戸建てを購入する場合に必要な初期費用と相場は、以下の通りです。
初期費用の相場は、物件価格の5〜10%といわれています。
- 水道分担金:自治体によるが数十万円かかることも
- 地盤調査費用・改良工事費用:地盤調査費用は数万~数十万円、工事は内容による
- 地鎮祭・上棟式費用:地鎮祭は3~5万円、上棟式は5~10万円
- 申込証拠金:2~10万円前後
-
固定資産税・都市計画税:固定資産税評価額による
-
手付金:物件価格の5~10%
-
印紙税:購入価格やローン借入額によるが2~4万円
-
登記費用・司法書士依頼費用:固定資産税評価額による
-
住宅ローン融資手数料:借入額×1~3%
-
火災・地震など各保険料:保険によってさまざま
- 不動産取得税:固定資産税評価額の3~4%
新築一戸建ての場合、上下水道の水道管を新設する水道分担金や、家を建てる土地の地盤を調査する地盤調査費用(地盤が弱い場合は改良工事費用も)などが必要です。
また、建設時には土地の神様に工事の無事を祈る地鎮祭や、棚上げまで完成した時点で上棟式という儀式をおこなう場合もあります。
中古の一戸建ての場合
中古の一戸建てを購入する場合に必要な初期費用と相場は、以下の通りです。
初期費用の相場は、物件価格の6〜9%といわれています。
-
仲介手数料:売買価格×3%+6万円+消費税が上限
(売買価格が400万円以上の物件の場合)
- 固定資産税・都市計画税:固定資産税評価額による
-
手付金:物件価格の5~10%
-
印紙税:購入価格やローン借入額によるが2~4万円
-
登記費用・司法書士費用:固定資産税評価額による
-
住宅ローン融資手数料:借入額×1~3%
-
火災・地震など各保険料:保険によってさまざま
- 不動産取得税:固定資産税評価額の3~4%
マンションと同様、一戸建てにおいても新築と中古で大きく異なるのは、仲介手数料の有無です。
不動産取得に関するお金について
初期費用のなかで、不動産取得に関するお金について解説していきます。
費用の名前 |
内容 |
---|---|
頭金 |
・家を購入する際、最初に物件価格の一部を現金で支払う分のお金。 ・相場は物件価格の10~20% |
仲介手数料 |
・不動産会社を仲介して家を買う場合に必要なお金。 |
登記費用・ |
・「購入した不動産の権利者は自分である」と示すために ・登記手続きを司法書士に依頼した場合は |
印紙税 |
・契約書を交わす際に、印紙を添付して支払う税金。 |
申込証拠金 |
・新築物件の購入を申し込む際に必要。 ・相場は2〜10万円で、売買契約前に支払う。 ・購入成立後は手付金の一部にあてられる。 |
手付金 |
・購入の意思を示すため、買い手が売り手に対して支払うお金。 ・相場は物件価格の5~10%で、購入価格の一部に充てられる |
不動産取得税 |
・不動産購入の際に1回だけ課税される税金。 ・相場は、固定資産税評価額の3~4% |
固定資産税・ |
・毎年1月1日時点での不動産所有者に課税される税金。 ・年の途中で家を購入した場合は、 |
不動産取得にかかる初期費用のなかでも、頭金と仲介手数料は割合が大きく高額です。余裕をもって自己資金を準備しておきましょう。
住宅ローンに関するお金
初期費用のなかで、住宅ローンに関するお金について解説していきます。
費用の名前 |
内容 |
住宅ローン融資手数料 (事務手数料) |
住宅ローンを契約する際は、金融機関に事務手数料を支払う。 相場は「借入額×1~3%」 |
印紙税 |
不動産取得に加え、住宅ローンを利用する際にも印紙税が必要。 |
団体信用生命保険 |
契約者が死亡や高度障害になった場合、ローン残高を保険料で支払う保険。 住宅ローン契約時に加入が条件になっている金融機関も多い。 |
火災・地震保険料 |
住宅ローンの契約では、火災や地震保険の加入が条件になっている場合も多い |
住宅ローンに関する費用は、契約する金融機関や保険などによっても大きく異なります。選び方によって初期費用の節約も可能なため、内容をよく確認しながら比較してみましょう。
その他のお金
初期費用のなかで、その他のお金について解説していきます。
費用の名前 |
内容 |
修繕積立基金 |
新築マンション購入の際にかかる費用で、相場は数十万円。 共有部分の大規模修繕に備えるお金。 |
地盤調査費用・ 改良工事費用 |
新築で一戸建てを建てる際、安全のために地盤を調査して、 地盤調査費用の相場は約10万円。 |
地鎮祭・上棟式 にかかる費用 |
地鎮祭は家を建てる土地の神様に工事の無事を祈るもので、 |
水道分担金 |
新築で上下水道の水道管を新設する際にかかる費用。 自治体によって価格は異なるが、 |
引っ越し費用 |
現在住んでいる物件からの引っ越し費用のほか、 |
新築でも建売住宅を購入する場合は地盤調査費用は必要ありません。
売主から調査結果を確認しておきましょう。
初期費用の支払いを抑える方法とは?
人生で最も大きな買い物ともいえる家の購入。高額な物件価格に加え、購入時は様々な初期費用が必要です。基本的に初期費用は現金で支払うため、負担に感じる方も多いでしょう。
ここでは、初期費用を安くする3つの方法をまとめました。
- 住宅ローン諸費用の少ない金融機関を選ぶ
- 火災保険を見直す
- 初期費用込みで住宅ローンを組む
初期費用は、ちょっとした工夫で安くおさえることが可能です。
①住宅ローン諸費用の少ない金融機関を選ぶ
住宅ローン契約に関する諸費用には事務手数料やローン保証料などがありますが、金融機関によって内容や金額が異なります。なかにはフラット35などローン保証が不要な住宅ローンや、ローン保証が無料でつけられる金融機関も。
住宅ローン諸費用が少ない金融機関を選ぶことで、初期費用の節約につながります。
また、「事務手数料は安いが、ローン保証料と合わせると高額になる」などといった場合もあります。事務手数料とローン保証料はセットで考えて、内容をよく確認しながら比較しましょう。
②火災保険を見直す
多くの住宅ローンでは、契約時に火災保険への加入を条件としています。あらかじめ決められている火災保険にそのまま加入するのではなく、立地や建物の構造を確認したうえで必要な保険を選ぶことで、保険料が節約できるでしょう。
例えば「ハザードマップを確認し、浸水の可能性が低いため高額な水災補償を外す」「パッケージングされているタイプではなく、必要に応じた補償を自分で選択する」などです。また、ネットで契約する火災保険では、掛け金が安い場合もあります。
地震による火災は通常の火災保険では補償されないため、保険の内容についてもよく確認しておきましょう。
③初期費用込みで住宅ローンを組む
住宅ローンは基本的に物件価格のみに対応していますが、なかには初期費用も含めて利用できるものもあります。「まとまった金額の初期費用を現金で用意するのが難しい」という場合は、初期費用込みの住宅ローンも選択肢のひとつとして考えてもいいかもしれません。
しかし、購入した物件の資産価値よりもローン残高が多い状態である「オーバーローン」というかたちになるため、金利が高くなる、売却しづらくなるなどのリスクもあります。利用する場合は、今後長期的に返済できるかどうか十分に検討しましょう。
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家を買うときは初期費用も考慮しよう
家を買う際の初期費用は物件の種類によっても異なりますが、頭金を除いても物件価格の約3〜10%と、ある程度まとまったお金が必要です。初期費用込みで住宅ローンを組むことも可能ですが、その際はオーバーローンになってしまうリスクがあるため注意が必要です。
初期費用の内容や項目についてよく理解し、工夫することによって費用を安くおさえることも可能です。余分な費用は節約しつつ、マイホーム購入を進めていきましょう。
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