マンションの購入では、住宅ローンを利用するにしても、頭金としてあらかじめお金を準備する人が多いです。しかし、頭金についてはわからないことも多いのではないでしょうか。
ここでは、頭金のベストな金額の目安や、頭金を払わない場合のリスクについて解説していきます。
そもそも頭金・手付金・諸費用って?
マンションを購入するとき、はじめに必要なお金には大きく3つの種類があります。
- 頭金
- 手付金
- 諸費用
これらは、それぞれ呼び名が違うように意味が異なります。どのような違いがあるのか見ていきましょう。
【頭金】マンション購入時に最初に現金で支払う金額のこと
頭金とは、マンション購入時に、最初に現金で支払う金額のことです。これは、住宅ローンでの支払いとは別で、あくまでも現金で用意する必要があります。
頭金は、物件価格の一部です。頭金で支払った額は住宅ローンから差し引かれるため、住宅ローンの借入額を少なくすることができます。
頭金なしでも物件を購入することはできますが、住宅ローンの借入額は高く見積もらなければなりません。頭金の金額や住宅ローンについては細かな計画が大切になります。
【手付金】「購入する意思」を証明するため払う金額のこと
手付金は「購入する意思」を証明するために、現金で支払う金額のことです。売買契約が結ばれた後のキャンセルでは、手付金は戻りません。手付金(契約金)は物件価格の5%〜10%が相場です。
売主は買主から購入する意思を証明されると、物件の宣伝や他の人との契約は進められなくなります。しかし、買主が契約途中にキャンセルをしてしまうと、売主はまた宣伝や次の買主を探す作業が必要です。
手付金は、売主と買主の契約での不公平をなくすために定められている、ペナルティとも言えるでしょう。
【諸費用】手続きの手数料や税金などのこと
諸費用は、物件購入にかかる手続きの手数料や税金などのことです。これは、物件価格には含まれません。物件価格の3%〜5%が一般的とされていますが、物件価格やローンの組み方などによっても金額は異なります。
住宅ローンを組む場合、事務手数料の他に保証料や印紙税が必要です。また、住宅の登記も必要となるため、登記免許税もかかります。これら全般にかかる金額が諸費用と呼ばれるものです。
なぜ頭金を払う必要がある?その理由とは?
頭金として最初に現金を用意しなければならないと考えると、厳しいと考える人もいるかもしれません。しかし、頭金の支払いには、大きなメリットがあります。
- 物件購入にかかる総額を抑えることができる
- 住宅ローンの金融機関の審査が通りやすくなる
頭金は、物件価格の一部としてあらかじめ支払う現金のことです。頭金を支払った分だけ残りの物件価格は低くなり、住宅ローンの借入額も少なく抑えることができます。借入額が小さければ利息も少なくなり、結果的に物件の総支払額を抑えられるのがメリットです。
また、金融機関が行う住宅ローンの審査でも、頭金は確認の対象になることがあります。頭金を用意できるかどうかが、借入れ主の経済状況や返済能力の目安とされるからです。
頭金はいくら払う必要がある?
支払う頭金の額は、住宅ローンの借入額とも大きく関係します。しかし、いきなり大きな金額を現金で用意するのも大変です。具体的にどのくらいの額が妥当なのでしょうか。
相場は20〜25%程度とといわれている
頭金の相場は、「物件価格の20%〜25%」だといわれています。もちろん、頭金を多く納めればその分だけ、住宅ローンの借入額は減らせます。
しかし、頭金として大きな金額を用意するには、何年もかけて貯蓄しなければなりません。
貯蓄の期間が長すぎると、物件の価格が変動してしまうことがあります。また、金利も変動していくため、結果的に物件の総支払額が高くなる可能性があるでしょう。
そのため、負担になりすぎない金額として20%〜25%くらいの額が相場となっています。また、不動産価格や金融情勢についても総合的に判断して、頭金や住宅ローンについて考えることが重要です。
3,000万円の家だと600万円くらいの頭金があるとベスト!
頭金の相場は物件価格の20%〜25%です。これを3,0000万円の物件購入に当てはめて考えてみましょう。
「3,000万円×20%=600万円」です。600万円を頭金に、残りの2,400万円を住宅ローンで支払うということになります。
物件ごとに価格は異なるため、同じように計算してみるとおよその金額が見えてくるでしょう。頭金の貯蓄をしている場合には、貯蓄額の目安にもなります。
【3,000万円の家の場合】頭金あり(20%)となしとで、毎月の返済額と総支払額はどう変わる?
住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、月々の返済額と総支払額はどのようになるのでしょうか。頭金がある場合とない場合について比較していきます。
頭金 |
借入金額 |
月々の返済額 |
年間返済額 |
利息 |
総支払額 |
あり (600万円) |
2,400万円 |
72,314円 |
867,768円 |
6,371,783円 |
30,371,783円 |
なし |
3,000万円 |
90,392円 |
1,084,704円 |
7,964,848円 |
37,964,848円 |
(参照:フラット35 借入期間35年、全期間固定金利1.4%、元利均等法式で算出)
3,000万円のマンションを頭金ありで購入した場合と、頭金なしで購入した場合の住宅ローン返済シミュレーションです。
頭金で600万円を支払うと、借入金額は2,400万円となります。ローンの総支払額に頭金の600万円を足した額はおよそ4,243万円。
同じ3,000万円のマンションを購入したとしても、総額ではかなりの差が生まれることがわかります。
関連記事:
3,000万円の住宅購入時、頭金はいくら必要?返済できる年収の目安は?
頭金なしでの購入は可能?住宅ローンのリスクはある?
頭金なしでも、マンションの購入は可能です。しかし、そこにはリスクが存在します。
- 住宅ローンの審査が厳しくなる
- 毎月の返済額が上がる
- 残債が多いと物件が売却できない
- 借入金利が上がる
これらのリスクについて、詳しく解説していきます。
関連記事:
頭金なしでも大丈夫?マンション購入で気になる頭金について
住宅ローンの審査が厳しくなる
住宅ローンの借入れには、金融機関による審査が必要です。金融機関は、「契約者が安定して返済できるかどうか」「年収に対する借入金額が適切かどうか」などをチェックします。
審査には「返済負担率」という考え方があり、年収の何割をローンの返済にあてられるかがポイントです。返済負担率が年収の25%以内だと、無理なく返済できる額という目安になっています。
頭金なしの場合、住宅ローンの借入額も当然大きくなるため返済負担率も大きくなるでしょう。すると、融資の条件を満たしていないと判断されることが予想されます。
毎月の返済額が上がる
頭金なしで住宅ローンを借入するということは、物件購入価格の全てを住宅ローンで支払うということです。
頭金がない分だけ、借入額も大きく返済期間も長くなることが予想されます。また、それに応じて利息も高くなるでしょう。必然的に、毎月の返済額も大きくなります。
住宅ローンは、長期にわたって返済していくものです。長期的に見て返済し続けられる額かどうかは、家計に影響します。
残債が多いと物件が売却できない
基本的に物件の売却には、住宅ローンが完済していることが条件となっています。
頭金なしの場合、住宅ローンの借入額は大きく、返済期間は長期にわたるでしょう。その期間にも、住み替えが必要になることがあります。しかし、残債が多いと、物件の売却ができません。
また、物件を売却した金額を住宅ローンの返済にあてたられたとしても、完済は難しいです。物件は購入した時点で中古になるため、次に売却しようとしても価格は購入時より低くなることが予想されます。
借入金利が上がる
住宅ローンは、借入をした分だけ返済額も大きくなります。さらに注意したいのは、金利の問題です。
変動金利の場合、借入をした時より金利が上昇すれば返済金額も大きくなります。また、固定金利の場合も、固定金利期間が終了したときに金利が上昇している可能性がないとはいえません。
住宅ローンは、借入れした額に利息をプラスして返済していくものです。金利の動きによっても毎月の返済額に大きな差が生まれます。
マンション購入時の気になる点
マンション購入には、お金に関して気になることがたくさんあります。
- 頭金に貯金の全てを回しても大丈夫?
- 住宅ローンはどれくらい貸してもらえる?
- 住宅ローンは借りられない場合もある?
お金の不安や問題は、マンションのような大きな買い物にはつきものです。まずは、知ることで解消していきましょう。
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貯金を頭金にすべて回して大丈夫?
頭金を少しでも多く支払おうと、貯金のすべてをまわすのはおすすめできません。確かに、頭金を多く支払えば住宅ローンの借入額を抑えることはできます。しかし、長期的な生活を考えるとどうでしょうか。
子どもは成長とともに教育費がかかります。そして、家族全員がずっと変わらずに健康に過ごせるとは限りません。また、自然災害などへの心配もあります。
お金はさまざまな場面で必要になります。いざという時のために貯金は残しておきましょう。
住宅ローンはどれくらい貸してもらえる?
住宅ローンでは、「返済負担率」をもとに借入金額を計算します。返済負担率は、年収の何割を住宅ローンの返済にあてるかを算出したものです。
借入れ可能な返済負担率は、年収の35%までと決められています。しかし、現実的に考えると25%までが理想です。
住宅ローンは「借入れ限度額=返済できる額」ではありません。現実的に無理なく返済していける額というところが重要になります。
他のローンがあると、住宅ローンを借りられない?
他のローンがあるからといって、住宅ローンが借りられないとは限りません。しかし、借入金額の上限が下がる可能性はあります。
- カーローン、カードローン
- スマートフォンなどの分割払い
- 奨学金の未返済分
住宅ローンのほかに返済の必要がある費用の総額が、返済負担率に含まれます。心配な場合は住宅ローンの審査までに、他のローンや分割払いを完済しておくと良いでしょう。
頭金の相場は物件価格の20%〜25%
マンション購入には、さまざまなお金の心配があります。住宅ローンの返済は特に、新居での暮らしに直結するものです。
頭金なしでも住宅ローンの借入はできますが、さまざまなリスクをともないます。頭金の支払いは、住宅ローン返済の負担を軽くする1つの方法とも言えるでしょう。
住宅ローンは長期にわたって暮らしながら返済していくもの。長期的な目線が大切になります。
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