マンションを購入する際、気になるのはやはり「この先何年住み続けられるのか」ということではないでしょうか。
この記事では、マンションの耐用年数や寿命について詳しくお伝えしていきます。
耐用年数や寿命について知ることは、マンションを選ぶ上で非常に重要なことです。マンションの購入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
マンションの耐用年数とは?定義は?
マンションの耐用年数とは、マンションがどのくらいの期間使用できるのかを示す年数のことです。
耐用年数には、3つの考え方があります。
①「物理的耐用年数」:建物そのものが物理的、もしくは科学的原因により劣化して住むことが不可能になるまでの年数
②「法定耐用年数」:建物の価値を算出するために国が定めている年数
③「経済的残存耐用年数」:マンションの不動産的価値がなくなるまでを示す年数
【耐用年数】どのように決まる?
3つの耐用年数の考え方のうち、「法的耐用年数」は税法によって定められていますが、「物理的耐用年数」「経済的残存耐用年数」には明確な基準というものはありません。
例え同じ建物であっても、利用状況や修繕状況によって傷みは変わるものなので、「物理的耐用年数」「経済的残存耐用年数」については、建物の物理的な劣化状況などを個別に調査した上で判定されることとなります。
【耐用年数】計算方法は「使用年数+残存年数=耐用年数」
「法的耐用年数」ではなく、実際にマンションを使用できる年数を求める場合、計算式は『使用年数+残存年数=耐用年数』となります。
この残存年数については、専門の不動産鑑定士が調査した上で判断されることになります。
【耐用年数】期間は約40年
鉄筋コンクリートの建物は、物理的には100年以上もつといわれていますが、実際には40年程度で建て替えが行われていることが多くなっています。これは単に建物の老朽化だけが理由ではなく、耐震性の問題も大きいといわれています。
1981年に「新耐震基準」が定められましたが、それ以前に建てられたマンションは、耐震性に問題があるために建て替えが進められていることが多いのです。
建築技術が発達している現在は、1981年の「新耐震基準」以降に建てられており、管理体制やメンテナンスが行き届いている場合、40年を優に超えて住み続けられるといわれています。
法定耐用年数とは?
法定耐用年数とは、税法上でマンションの価値がゼロになるまでの年数のことです。鉄筋コンクリートで作られているマンションの法定耐用年数は47年と定められています。
これはあくまで税法上の話なので、47年以上経過したからといってマンションが寿命を迎えるというわけではありません。そのため、こちらは注意が必要です。
マンションの寿命は何で決まる?耐用年数との違いとは?
マンションの寿命を決めるのは、主に以下の4つです。
・耐震性
・メンテナンス
・建材
・立地
マンションの寿命は、耐震性や建材など、建設時に決まってしまうものもありますが、立地やメンテナンスなどの経過も大きく影響します。
つまり、全く同じ造りのマンションでも、立地やメンテナンス状況が違うと寿命も大きく変わるということです。
また、寿命と耐用年数の違いは、税法で期間が定められているか、メンテナンス次第で期間を延ばすことができるかです。
「法的耐用年数」は、マンションの資産価値が維持できる期間ですが、「寿命」は、マンション自体の機能を維持できる期間のことをいいます。
以下から寿命について解説していきます。
【寿命】建物の耐震性によって決まる
地震大国の日本では、耐震性はマンションの寿命に大きく関わります。
1981年に制定された「新耐震基準」では、震度6強から7程度まで倒壊しないようにと定められましたが、それ以前の「旧耐震基準」では震度5強程度の揺れに耐えうることが基準となっていました。
そのため、「旧耐震基準」のマンションは「新耐震基準」を満たすマンションへの建て替えを行うケースが多くなっています。
【寿命】建物のメンテナンス状況によって決まる
マンションの寿命にはメンテナンスも大きく影響します。
近年建築されたマンションは長期修繕計画書が作成されており、計画的なメンテナンスが実行されていますが、築古マンションのなかには長期修繕計画書が作成されておらず、適切に修繕がされていない場合もあり得ます。
その場合、何年もメンテナンスを施されていないこともあり、マンションの寿命が短くなる原因になります。
【寿命】建物の建材によって決まる
使用されている建材が長持ちするものであれば、その分寿命も長くなります。
つまり、マンションに使われている建材の質も寿命に影響するということです。マンションの場合、特にコンクリートの質が大きく影響します。
セメントに対して水の比率が低いものを使用しており、鉄筋を包むコンクリートの「かぶり厚」が大きい場合は、ひび割れが起きにくく、鉄筋がさびにくくなります。
コンクリートの技術開発は日々進歩しているので、築年数の古いマンションほど寿命は短いと考えてよいでしょう。
【寿命】建物の立地環境によって決まる
マンションの寿命には、立地環境も影響します。
例えば、海の近くに建てられたマンションでは塩分による錆が問題になりますし、日当たりが悪ければカビが発生し、劣化の原因となります。
全く同じ建物でも、立地によりマンションの寿命は大きく変わるでしょう。
マンションの減価償却とは?
マンションの減価償却とはマンションを保有する固定資産を経費として計上できる費用のことで、マンションを経営している人が確定申告をする際に必要となるものです。
減価償却の対象は経年により価値が下がるものなので、マンション本体については減価償却の対象となりますが、土地は対象外になるので注意が必要です。
減価償却とは経年による資産価値の減少のこと
減価償却とは、価値が経年によって減少する分を必要経費として計上することをいいます。
減価償却は、賃貸収入がある場合や、不動産を売却する際に計算が必要となります。あくまで会計上の仕組みなので、マンションを自宅として使用している場合は必要ありません。
耐用年数と減価償却は関係ある!
法定耐用年数は、税法上でマンションの価値がゼロになるまでの年数のことで、減価償却を計算するときに使用するものです。
鉄筋コンクリートのマンションの耐用年数は47年と税法で定められています。この法定耐用年数を過ぎると、税務上の資産価値はゼロということになります。
減価償却の計算方法は「取得価格×償却率」
減価償却費は『取得価格×償却率』で計算することができます。償却率は、法的耐用年数に応じて決められており、具体的な数値については国税庁が発表しています。
法的耐用年数が47年と定められている鉄筋コンクリートのマンションであれば、償却率は0.0022です。
また、中古物件については、耐用年数を計算する必要があります。
法定耐用年数の全部を経過したものについては、『耐用年数=法定耐用年数×20%』
法定耐用年数の一部のみを経過したものについては、『耐用年数=法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%』
で計算することができます。
マンションの場合、マンション本体以外の設備についても減価償却の対象となるので、実際に計算する際は本体と設備でそれぞれ計算し、足し合わせる必要があります。
耐用年数が過ぎた物件はどうなる?
法定耐用年数を過ぎると、その建物の税務上の資産価値はなくなります。
しかし、法定耐用年数を超えたからといって、その建物に何か問題が生じるものではありません。ただし、住宅ローンを組む際には注意が必要です。
融資期間の審査は、耐用年数と築年数の差分で設定されるため、耐用年数を過ぎた物件を購入する際は基本的には融資を受けられないことになります。
金融機関により融資期間の基準は違うので、必ずしも融資を受けられないというわけではありません。耐用年数を過ぎた物件を購入したいと考えている場合は、まずは金融機関に相談し、ローンの返済期間について確認しましょう。
耐用年数を超えても住めなくなるわけではない
法定耐用年数は、あくまで税法上の減価償却の計算に用いる基準ですので、法定耐用年数を超えたからといってマンションに住めなくなるわけではありません。法的耐用年数と、物理的なマンションの寿命は全く異なり、多くのマンションでは法的耐用年数を越えても住み続けることは可能となっています。
寿命を迎えた物件はどうなる?
しっかりメンテナンスを行っていたとしても、いずれは必ず寿命が訪れます。
マンションが寿命を迎えてしまった場合、取るべき選択肢は以下の3つです。
・建て替えをする
・物件を売却する
・土地を売却する
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
寿命を迎えた場合は建て替えをしよう
1つ目は、建て替えをするという方法です。
しかし、マンションを建て替えるには所有者の5分の4以上の賛成が必要になります。建て替えをするには膨大な費用がかかるため、なかなか所有者の賛同を得られないことが多いといわれています。
寿命を迎えた場合は物件を売却しよう
2つ目は、物件を売却するという方法です。不動産開発業者にマンションを売却した場合、居住者は不動産開発業者より売却益を受け取り引っ越しをすることになります。
ただし、不動産開発業者はマンションを解体し新たな建物を建設するため、売却費用から解体費用が差し引かれることになります。そのため、売却益が想定よりも少なくなることもあり得ます。
寿命を迎えた場合は土地を売却しよう
3つ目は、マンションを解体して更地にした後、土地を売却するという方法です。
この場合、所有者は土地を売却する前に引っ越しをする必要があります。こちらも、マンションの解体費を売却費から差し引かなくてはならないため、期待したほど売却益を得られないことがあります。
中古マンションを購入する際に気をつけるべき3つのポイント!
中古マンションを購入しようと考えた場合、部屋の良し悪し以外にも確認すべきポイントがあります。代表的なものは以下の3つです。
・修繕費用はいくらかかるのか
・資産価値は下がりにくい物件か
・住宅ローンの借入期間を確認しておく
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
①修繕費用はいくらかかるのか
マンションは十数年ごとに大規模修繕が必要です。この大規模修繕には数千万ないし数億円という大きな金額を要するため、そのための費用を所有者から修繕積立金として毎月徴収するのが一般的です。
つまり、マンションを購入する場合は、月々のローンや管理費の他に、この修繕積立金も支払わなくてはならないので、購入前に必ず確認しましょう。
また、中古マンションの場合、長期修繕計画書が作成されていないこともあります。
長期修繕計画がない場合、修繕積立金の値上げを要求されたり、突然一時金を請求されるようなことも起こりえます。
マンションの管理組合が機能していない可能性もあるので、中古マンションを購入する際は必ず長期修繕計画が建てられているか、定期的に見直しがされているかも必ず確認しましょう。
②資産価値は下がりにくい物件か
マンションを購入する場合は、新築、中古に関わらず資産価値が下がらないということも重要なポイントです。購入時から資産価値を考えて選ぶことによって、ライフステージが変わった際もスムーズに住み替えが可能になります。
資産価値を考えるうえで重要なのは、マンションの管理体制です。マンションの管理組合が機能していない場合、マンションの管理が行き届かなくなることで建物の劣化も進み、資産価値を損なってしまいます。
また、マンションの立地も非常に重要です。人気のあるエリアにあるマンションは、土地価格が下がりにくいため、経年によって建物価格が下がったとしても一定の価値は保ち続けることができます。
マンションの購入時は、「住居は資産である」ということを念頭において選びましょう。
③住宅ローンの借入期間を確認しておく
通常、住宅ローンは35年で組むことが多いですが、中古物件の場合、築年数によっては融資期間が制限されることもあります。
金融機関により融資期間の基準は違うので一概にはいえませんが、融資期間の審査は耐用年数と築年数の差分で設定されることが多くなっています。
つまり、『マンションの法定耐用年数の47年-築年数=借入期間』ということです。
中古マンションを購入する際は、築年数も考慮して、どの金融機関から何年のローンを組めるのかを最初に確認することが大切です。
耐用年数も考慮してマンションを購入しよう
マンションの耐用年数、寿命についてお伝えしました。
マンションの法定耐用年数は47年と決まっていますが、それは税法上のことであり寿命とは全く異なるものです。マンションの寿命を決める要因はさまざまですが、メンテナンスなど、マンションの管理体制が大きく影響しています。特に、大規模修繕が計画的に行われているかは非常に重要で、そのマンションの管理組合が機能しているかを見極める大きなポイントになります。
マンションの購入を考えている人は、本記事を参考に「この先何年住み続けられるか」を考えて検討してみてください。
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