地震による家の倒壊を防ぐには、柱や梁だけではなく壁の耐震性も重要になってきます。日本は地震大国のため、住宅の耐震性は重要なポイントですよね。
本記事では耐震壁の種類や、耐力壁の違い、非耐震壁との違いを解説します。家を購入する予定がある方や、現在住んでいる家の耐震性が気になるという方はぜひ参考にしてみてください。
「耐震壁(たいしんへき)」とは?
「耐震壁」とは、地震の揺れから建物を守るために強度を強くした壁のことです。
住宅は縦方向からの重さには強いですが、横からのエネルギーには弱い構造です。住宅の場合、地震の横揺れや台風の強風などによって水平方向の力が加わる場面も多くなっています。
そのため、さまざまな方向からの力にも耐えられるように、耐震壁で住宅を補強する必要があるのです。
日本は地震大国のため、基礎部分や柱などといった主要部分はもちろん、壁にも耐震性が必要です。
「耐震壁」と「耐力壁」の違いは?
「耐震壁」のほかに「耐力壁」という言葉もあります。この2つの違いはどこにあるのでしょうか?
結論からいうと、耐震壁と耐力壁はどちらも同じ意味で「建物の耐震性を強くするために設置される壁」のことを指しています。建築基準法では「耐力壁」という表記になっていますが「耐震壁」という表記がされている公文書もあります。
建物の種類によってそれぞれの呼び方をされる場合もありますが、基本的には同じものとして考えてよいでしょう。
「非耐震壁」との違いは?
耐震壁と耐震壁ではない壁(非耐震壁)の違いについて解説していきます。
耐震壁は地震の揺れに耐えられるような構造になっているため、窓やドアのような開口部はありません。柱や梁でできた骨組みに金具などで頑丈に固定されている壁です。耐震壁は面全体を支えているため、地震の横揺れや傾き、ねじりの力にも耐えることができるのです。
一方、非耐震壁は窓やドアなどの開口部があり、柱や梁に固定されていない構造になっています。そのため、横揺れに耐えられる強度はありません。
耐震壁が多ければ横揺れの影響を受けにくく地震に耐えられますが、非耐震壁ばかりだと横揺れに耐えられずに住宅が倒壊してしまうリスクがあります。
耐震壁の種類とは?
耐震壁には工法によっていくつかの種類があります。ここでは、以下4つの耐震壁についてまとめました。
- 木造:筋交い
- 木造:石こうボード
- RC造:ラーメン構造
- RC造:壁式構造
1.木造:筋交い
筋交いとは、壁の角から角へ対角線X状に木材などを固定する工法です。斜めに固定するため上下左右全体に接続されて耐震性が強くなり、横揺れにも耐えることができます。
安価であり木造でよく使われますが、壁が重くなるため上層階には適していません。
リフォームで間取りを変更する際に筋交い壁があると、その部分の壁をなくす改修工事が難しくなります。
2.木造:石こうボード
石こうボードとは、石こうが板状に成形されたものです。これを壁面に固定することで耐震性を高めます。建築基準法上、耐震壁とするには石こうボードの厚みは12.5mm以上必要です。
比較的安価で軽量なため、一般住宅などでよく使用されています。また、石こうボードは燃えにくい不燃材料のため、耐火性能にも優れています。
3.RC造:ラーメン構造
「ラーメン」は食べ物のラーメンとは関係がなく、ギリシャ語で「枠組」という意味です。
ラーメン構造では、鉄骨の柱と梁が一体となり頑丈な「枠組」のようになっています。横揺れにも強く、木造と比較しても頑丈な構造です。必要な耐震壁の数も少なく済むため、リフォームで間取りを変えやすいこともメリットです。
一方で建築費用が比較的高く、音が響きやすいというデメリットもあります。
4.RC造:壁式構造
壁式構造とは、柱や梁をなくし壁のみで作られた箱状の構造です。壁のなかには梁に相当する配筋が作られることで、強度を確保しています。壁式構造は必要な壁の数が多いため、ラーメン構造と比べると部屋の大きさは小さくなります。
耐震壁のポイントとは?
耐震壁は耐震性に優れていますが、ただ設置すればよいというわけではありません。地震から大切な家を守るためには、いくつか抑えておくべきポイントがあります。
ここでは、より効果的に耐震壁を設置するためのポイントを紹介します。
耐震壁はバランスよく配置する
耐震壁はただ多ければよいわけではなく、どの位置に配置するかといったバランスも重要です。
耐震壁が東西のみ、南北のみなどどちらかの方向に偏っていると、耐震壁が揺れを吸収して小さく揺れる部分と大きく揺れる部分が生じます。その結果、揺れの境目に負担がかかり家が倒壊してしまう可能性があります。
耐震壁は外壁を中心に、東西南北にバランスよく設置しましょう。
これらの制約を事前に理解しておくことで、長期的な目線で家選びや今後のライフプランを立てることができるでしょう。 >>プロフィールはこちら
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耐震壁の見分け方とは?
耐震壁はどのように見分けるのでしょうか?
まず、ドアや窓など開口部分がある壁は耐震壁ではありません。マンションの場合は、自室と隣の部屋を仕切っている壁は耐震壁である可能性が高いです。
また、壁を手でコンコンと叩いて見分けることもできます。耐震壁の場合は音が響かず、固く詰まったような音がします。逆に耐震壁ではない場合は、空洞のような音が響きます。
耐震壁かどうかを正確に見分けることは難しいですが、建物の図面を見れば明確にわかります。図面では耐震壁とその他の壁を分けて表記している場合が多いためです。
耐震壁には「EW」という記号が用いられ、これは「Earth quake Wall」の略語です。その他の壁には「W」(「Wall」の略語)という記号が用いられます。
耐震壁について理解して、安心できる生活を
耐震壁は建物の耐震性を強化するために設置される壁であり、地震大国の日本において、地震から家を守るために重要な役割を担っています。
また、耐震壁には建物の種類や予算などに応じてさまざまな工法があります。工法によって部屋の広さやリフォーム時に間取り変更できるかどうかなども変わってくるため、どの工法が用いられているか把握しておくことをおすすめします。
耐震壁についての理解を深めることは、万が一のときにも安心して暮らせる家づくりにつながるでしょう。
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