耐震基準適合証明書はどのような書類なのか、ご存じでしょうか?
耐震基準適合証明書は耐震性に安心できるだけでなく、さまざまなメリットがあります。
そこで今回は、耐震基準適合証明書の発行費用の相場や発行までの期間、金銭面でどんなメリットがあるのか、気を付けたいポイントまで幅広く解説しますので、ぜひ参考にしてください。
「耐震基準適合証明書」とは?
耐震基準適合証明書は、建築士が耐震診断を実施したうえで対象の建物が建築基準法で定められている耐震性に適合していることを証明する書類で、平成17年の税制改正でできた比較的新しいものです。
この耐震基準適合証明書は、新築時などに必ず発行される書類ではないため、発行する必要があれば指定性能評価機関や建築士に申請し取得しなければなりません。
「耐震基準適合証明書」を取得することのメリットとは?
耐震基準適合証明書があることで得られるメリットは、おもに金銭面でのメリットです。とくに築年数の経過した中古住宅の場合は、減税措置などが受けられないケースも多いですが、そんな中古住宅でも耐震基準適合証明書があれば減税措置など金銭面で優遇されます。
ここでは具体的にどんなメリットがあるのかみていきましょう。
住宅ローン控除を適用できる
中古住宅で住宅ローン控除を受けるための条件のひとつに築年数があり、非耐火住宅は築20年以内、耐火住宅は築25年以内と定められています。
しかし、この条件よりも築年数が経過していても耐震基準適合証明書があれば、住宅ローン控除は適用されるので、築年数の経過した中古住宅を取得する場合は、耐震基準適合証明書の申請を検討しましょう。
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中古物件の登録免許税を減税できる
登録免許税は、所有権移転登記(中古住宅)の手続きをする際に必要な税金です。中古物件で登録免許制を減税するには、所有権移転登記をする前に住宅家屋証明書を用意する必要があります。
しかし、築年数が20年を超える住宅の場合、耐震基準適合証明書がなければ住宅家屋証明書を取得できず、登録免許制の減税措置も受けられません。
築20年を超える住宅でも、耐震基準適合証明書発行することで登録免許税を減税することができます。
中古物件の不動産取得税を減税できる
不動産取得税は、登録免許税と同様に不動産取得時に1度だけ支払う税金です。通常、昭和57年1月1日以降に建築された建物は減税されますが、それより前に建築された建物は減税されません。
しかし、耐震基準適合証明書があれば、昭和57年1月1日より前に建築された建物であっても減税の対象となるため、築年数を確認し耐震基準適合証明書が必要か検討しましょう。
「耐震基準適合証明書」発行にかかる費用と期間は?
耐震基準適合証明書は申請してからすぐに発行してもらえるわけではありません。ここでは、どのくらいの費用と期間が必要なのかご説明します。
これから耐震基準適合証明書が必要な方にとって大事なポイントになるので参考にしてください。
証明書発行費用は約5万円
耐震基準適合証明書の発行には、証明書発行費用・耐震診断費用が必要で、証明書発行費用は5万円前後、耐震診断費用は10万円前後かかるといわれています。
ただし、耐震基準適合証明書を発行できる、指定性能評価機関や建築士のうち、どこに申請するかによって費用は異なるため事前に調べておくといいでしょう。
また、耐震診断の結果、工事が必要であれば工事費用も追加されます。
申請〜発行の期間は約1ヶ月から3ヶ月
耐震基準適合証明書を申請してから発行されるまでの期間は、1カ月から3カ月ほどです。具体的な流れは、申請してから現地調査まで約1週間、耐震診断までは1カ月ほどですが、診断の結果、追加工事が必要な場合は追加で2カ月ほどかかります。
もちろん申請場所や住宅の広さ・構造によって、耐震基準適合証明書を発行するまでの期間は異なるため、必要な場合は早めに申請しておきましょう。
「耐震基準適合証明書」発行に必要な書類は?
耐震基準適合証明書を発行するには以下の書類が必要です。
- 耐震基準適合証明申請書仮申請書
- 検査登記事項証明書写しもしくは建物登記事項証明書の写し
- 物件状況等報告書
- 台帳記載事項証明書もしくは検査済証の写し
- 販売図面
耐震基準適合証明申請書仮申請書は国土交通省のホームページからダウンロードできます。記入例もあるのであわせて確認しておきましょう。
耐震基準適合証明書の取得方法とは?
耐震基準適合証明書は当該住宅に居住している人は取得できません。例えば中古物件を購入する場合であれば、売主から引き渡しを受ける前に買主が耐震基準適合証明書を申請する必要があります。
ここでは、買主が耐震基準適合証明書を取得するための方法を説明しますので参考にしてください。
1.耐震診断を実施することを売主に伝える
耐震診断をするには当該住宅の詳細な資料が必要になります。また、当然ながら現地調査も実施するため、必ず耐震診断を実施することは売主に伝えておきましょう。
とくに現地調査には2~3時間かかるため、売主と時間の打ち合わせもしなければなりません。売主の都合もあるため耐震診断を実施するなら早めに伝えておきましょう。
2.耐力壁の位置等を確認できる設計図を貰う
耐力壁とは当該住宅に水平方向・垂直方向の力がかかった際に建物を支える役目をもつものです。木造の住宅で一般的な在来工法であれば柱と梁のマスに斜めに渡してある筋交いのある壁のことをいいます。
耐震診断をするにはこの耐力壁の位置や数・バランスなどを確認しなければならないため、事前にもらっておきましょう。
3.その設計図で耐震診断を実施可能か診断業者に相談する
耐力壁の位置などを確認できる設計図が手に入ったら、診断業者に連絡を取り、その図面をもとに耐震診断を実施可能か相談します。
診断業者により金額も異なるためよく比較して耐震診断を依頼する業者を決めてください。その際、スムーズに進むとどのくらいの期間で耐震基準適合証明書を発行できるのかおおよそのスケジュールも確認しておきましょう。
4.診断業者に依頼と日程調整する
診断業者に耐震診断が実施可能と判断されたら、正式に耐震診断を依頼します。申請者である買主が診断業者に耐震基準適合証明申請書仮申請書を発行し、売主に耐震診断を依頼した旨伝えましょう。
その後診断業者と売主と連携し日程調整をおこない、現地調査の日時を確定させます。売主との日程調整をしっかりおこなわないとトラブルの原因となるため、注意してください。
5.物件の調査を実施する
物件の調査は建築士などによる、図面資料と現地調査です。現地調査は当該物件の中や外、床下や屋根裏などにも入り、壁の材質や劣化状況など多岐に渡る項目を確認するため、2〜3時間ほどかかります。
図面資料が足りない場合には、目視だけの調査ではなく、筋交いセンサーなどの機械を使って調査を実施するケースも少なくありません。
6.耐震診断の報告書受領と適否の確認する
耐震診断後、報告書を受領し、耐震基準に適合していて耐震基準適合証明書の発行ができるか確認します。耐震診断の結果、耐震基準に満たしていなければ、耐震基準適合証明書は発行されません。
そのような場合、耐震基準適合証明書を取得するには追加工事をする必要があるため、取得までにさらに時間と費用がかかってしまいます。
7.「耐震基準適合証明書」を発行する
耐震診断の結果に問題が無ければ耐震診断適合証明書が発行されるので代金を支払います。
一般的には耐震診断終了後3日程度で耐震診断適合証明書と代金の請求書が郵送され、期日までに振込で代金を支払うケースが多いようです。
このような後払いの場合は、支払いを済ませるまで耐震基準適合証明書を取得したとはいえません。支払い忘れがないように気を付けてください。
「耐震基準適合証明書」の注意点とは?
耐震基準適合証明書で受けられるメリットはおもに築年数の経過した中古住宅のため、新築の場合は耐震基準適合証明書は必要ありません。
またメリットのひとつである住宅ローン控除は、入居した翌年に確定申告をしなければ適用されないため注意しましょう。
耐震診断をした結果工事が必要だった場合、耐震基準適合証明書でうけられる金銭的なメリット以上に費用がかかってしまう可能性があります。総合的に判断し余計な費用負担がないよう気をつけてください。
事前準備はお早めに
中古住宅を購入する場合、買主が当該住宅の引き渡しを受ける前に耐震適合証明書を取得することで金銭面で多くの優遇を受けられます。
ただし、耐震適合証明書を取得するには時間と費用がかかること、場合によっては工事が必要なことを覚えておきましょう。耐震適合証明書を上手く利用し、お得に住宅を手に入れてください。
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