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接道義務とは?建築基準法上のルールについてわかりやすく解説

2022.05.02
2022.12.28
道路に直接面した住宅街の画像
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宅地建物取引士
庄司優世
大学卒業後、大手戸建分譲会社に新卒入社し、自社の新築戸建の仲介を担当。 今までの実績と経験を活かしながら、住宅購入の最 ...続きを読む

土地探しの際に接道義務を意識したことはありますか?たとえ気に入った場所を見つけたとしても、この接道義務を満たせるかどうかで家づくりは変わります。

今回は接道義務についての基礎や道路の種類、条件を満たしにくい場合の解決法などをご紹介します。

知っておくことで土地探しも家づくりもスムーズになりますのでぜひ参考にしてください。

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接道義務とは?わかりやすく解説

「道路に面した3軒の家の図」

まず「接道」とは、建物を建てる敷地に接している道路のことを意味しますが、接道義務はどんな道路でも良いというわけではありません。

建築基準法第42条・43条において接道義務とは、「建築物の敷地が、建築基準法で認められた幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」と定められているものです。

接道義務は「都市計画地域、および準都市計画地域」という計画的な街づくりに使用されるエリアにのみ適応されます。この条件を満たしているかどうかで物件の価値も変わる、とても重要な法律です。

 

旗竿状地とは?

接道義務に関して注意が必要な土地が「旗竿状地」です。

旗竿状地とは、細い路地の先にある奥まった土地のことで旗の付いた竿のように見えることに由来しています。「路地状敷地」や「袋地状敷地」も形状は同じです。

 

この旗竿状地の場合、道路に接している路地の間口が2m以上接していなければなりません間口が2m未満の場合や、道路に接している部分が2m以上あっても通路部分が2m未満になっている場合は接道義務を満たしていないことになります。

 

セットバックとは?

セットバックとは、土地の境界線から一定の距離まで後退した場所に建物を建てることです新築や中古物件、土地探しをしているときにセットバックが条件として提示されていることがあります。

このセットバックが定められている理由は、接道義務が施行される以前に作られた、現在の基準を満たしていない道路や建築物の緩和措置のためです。

 

よって、該当する中古物件の建て直し、幅員の足りない道路に面した敷地に家を建てる場合には、現在の接道義務を満たすためにセットバックが必要となります。

 

なぜ接道義務がある?

「疑問符が描かれた黒板を背景にし、開いた状態で置かれた本」

接道義務が定められている1番の理由は、緊急時における救急車両の出入りや避難経路の確保、安全のためです。救助のために車両が通り、対象の建物に近づくためには2mほど必要となります。幅員4mというのも、車両がすれ違えるように定められてた数値です。

また、私たちの日常生活において、道路の日照や通風などの確保が重要な役割も担っています。

 

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宅地建物取引士
庄司優世
接道義務は昭和25年に施工されました
施工される前はまだ交通量が多くなかったので、道路幅も2.7m以上が一般的でした。しかし時代の変化にともない、自動車も普及し交通量が増え、道路幅が見直されます。
現在のような交通量が多い中でも、私たちの安全が守られた環境を作っていくために必要で大切な法律です! >>プロフィールはこちら

 

建築基準法上の道路とは?

「木々とオフィスビルが並ぶ、晴天の日の大道路」

私たちが普段利用している道路はさまざまです。

幅員や条件によって建築基準法上で分類されており、接道義務だけでなく、家を建てる際の容積率や建ぺい率にも直接関わります。道路の種類によっても希望の住宅を建てられるかどうか、また売買価格などに影響し大きく変動するため、建築基準法上とても重要です。

 

道路にも種類がある

では、私たちが普段利用している道路にはどのような種類があるのでしょうか?

道路にはそれぞれ建築基準法において一定の基準が設けられています。

わかりやすくするために、大きく7つに分けて表にまとめました。

 


法42条1項1号道路

・道路交通法による道路を示す

・国道、都道府県道、市町村道などの公道のうち幅員4m以上のもの

法42条1項2号道路

・都市計画法、土地区画整理法など、法律により認可を受けた道路

・幅員4m以上


法42条1項3号道路

・昭和25年の建築基準法が施行される以前か、所在地の市町村が

 都市計画地域に指定されたときのどちらか遅い時点において、

 すでに存在していた道路

・幅員4m以上

法42条1項4号道路

・都市計画道路など、2年以内にその事業が行われると特定行政庁が 指定したもの

法42条1項5号道路

・私道であり幅員4m以上で、特定行政庁が位置を指定したもの

・指定を受けることで接道義務を満たしたもの



法42条2項道路

・昭和25年の建築基準法が施行される以前か、所在地の市町村が

 都市計画地域に指定されたときのどちらか遅い時点において、  すでに建築物が建っていたもの

・特定行政庁が定めた基準を満たしている

・みなし道路と言われる


法43条2項道路

・道路とはみなされないものの、特定行政庁が交通上・安全上・防 火上・衛生上支障がないと認めたもの

・但し書き道路と言われる



「公道」と「私道」の違いとは?

「日本家屋が両サイドに並ぶ道路」

道路は管理者・所有者の違いによって、公道と私道に分かれます。

 

公道は、国や都道府県、市区町村が管理している公共一般の道路です。国道や県道、市町村道をはじめ、都市づくりのための計画道路も公道に含まれます。

 

一方、私道は個人や企業が所有している道路のことです。所有地の一部や、そこに設置された道路状の土地も私道となり、教習所や大規模な工場内の道路も私道扱いとなります。

 

なお、売り出されている土地には「私道負担」が条件として提示されていることがあります。トラブルを未然に防ぐためにも、私道負担について確認しておきましょう。

 

「私道負担」とは?

私道負担とは、土地の一部に私道が含まれていることで、2つの意味があります。

それは「土地に接している道路が私道であること」「土地の一部を私道として提供する必要があること」です。

私道負担のある土地は、同じ立地・広さの土地と比較すると手頃な価格であることが多くなりますが、私道負担ならではのトラブルに巻き込まれないためにも注意点を理解しておく必要があります。

 

「私道負担」の注意点

私道は個人が所有している道路ではありますが、私道負担の土地の場合は塀や柵、建物を建てることはできませんまた、緊急車両が通行するためにも障害物になりうる物を置くことも禁止されています。

なお、私道の整備は基本的に所有者が行いますアスファルトの舗装や欠損が生じた場合は、費用など所有者同士での話し合いと対処が必要です。

また、土地を売却することになったとき、私道部分の売却忘れによって管理責任・管理費用を問われ続けるというトラブル事例も多くありますこうなった場合、所有権が残ったままの私道部分のみを売らなくてはなりません。私道部分のみの売却は困難になりますので、特に注意が必要です。

 

接道義務を満たさないとどうなる?

「白い三角屋根の家の模型と赤い疑問符の模型」

道路にもさまざまな種類があり、地域によって条件の違いがありますが、原則として接道義務を満たしていないといけません。

しかしながら、接道義務が施行されたのは昭和25年であることから、それ以前に建てられた建物も多く存在します。

このような接道義務を満たしていない建物は「再建築不可物件」と認定されるため注意が必要です

具体的にどういうことなのか確認しておきましょう。

 

再建築不可物件になる

再建築不可物件とは、「建物を取り壊して、新たに建て替えをすることができない」という物件のことです。リフォーム・リノベーションは可能ではありますが、場合によっては建築確認申請が必要になったりと制限が設けられています。

建築基準法、都市計画法が施行される以前に建てられた建物が該当している場合もあります。

 

再建築不可物件は売却しづらい

やはり、新たに建て替えができないということが売却しづらい大きな要因となります。

リフォームできたとしても、建物の老朽化や耐震性に問題があった場合は基礎や構造の修繕が必要不可欠です。

しかし、再建築不可物件は道路幅が狭い場所に建てられているため、搬入時に工事車両が入りづらいなど手間がかかり、費用がさらに上乗せされることがあります。

また、自然災害や家事などで建物が倒壊してしまった場合でも、新たな建て替えはできません。

 

再建築不可物件は、ほかの物件と比較すると価格が安く、課税評価額が低いため固定資産税や都市計画税が安くなるというメリットもありますが、こうしたリスクもあることを理解しつつ検討する必要があります。

 

例外はある?

「白い家の模型が並んでいる中に、ひとつだけ赤い家の模型が置いてある様子

接道義務には例外があります

それは道路の種類としてご紹介した、法43条2項道路である「但し書き道路」の場合です。

 

但し書き道路とは、道路とみなされていないものの敷地周辺に広い空き地があり、安全上支障がない道のようなスペースのことです。

但し書き道路の特例は、通常敷地は道路に2m以上接していなければなりませんが、敷地の周辺に空き地や広場などがあり、そこを道路として利用しても安全だと認められれば建築可能になります。

なお、但し書き道路を利用して家を建てる場合は、例外許可申請を行う必要があります。

 

接道義務を満たしにくい場合の解決策

「自然の緑を背景に、白で描かれた疑問符とひらめきを表す電球の絵」

既存する土地や物件が、現在の接道義務を満たせていないことはよくある事例です。

ここでは、相続・購入した土地や家が接道義務を満たしにくい場合の解決策をご紹介します。

 

セットバックする

記事の冒頭でも解説した通り、道路幅が足りない場合であればセットバックすることにより建築が可能です。

例えば、土地の前の道路幅が3mならば、所有している土地を1m後退して道路幅が4mになるようにすれば、接道義務を満たすことになります。

ただし、セットバックした部分は所有する土地面積から外されるため、のちに立て直しの際に建ぺい率や容積率も変わるので注意が必要です。将来的に立て直しや相続の計画があるならば、確認しておきましょう。

 

土地を追加購入する

接しなければならない土地が2m以下の場合に有効な方法です。例えば、道路幅は4m以上あるものの道路に面した土地が1mであるならば、隣地の土地を1mを購入して合計2mを所有すれば接道義務を満たせます

ただ、隣地にその分の土地の余裕があることが条件です。また、当事者同士ではなく、専門の仲介人をたててトラブルの無いように交渉する必要があります。

 

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隣地から土地を借りる方法もあります!
隣地の土地を購入するのが困難な場合、一時的に土地を借りることも解決策の1つです。
この場合、口頭ではなく「一時使用の貸借契約書」を作成します。建築確認申請時にもこの書面は必要になるので、忘れないようにしましょう。 >>プロフィールはこちら

 

接道義務を正しく理解しよう

接道義務は、交通量の多い環境の中でも私たちの暮らしの安全を守れるように定められた大切な法律です。

土地・物件探しの際はその場所のみに目が行きがちですが、道路との関係を知っておくことで将来的な活用方法の視野も広がります。

 

これら道路にはさまざまな種類があるので、道路に関する不明点がある場合は管轄する自治体に確認するといいでしょう。

土地と物件の価値にも関わりますので、ぜひ周辺道路についてもチェックしてみてくださいね。

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