亡くなった親の家を売却するにはどのような手続きが必要なのでしょうか。自分の家を売却するのとは違った手順が必要になります。
この記事では、相続から売却までの手順や売却時にかかる税金の節約方法を解説します。難しそうに感じるかもしれませんが手順を知ればスムーズに売却が可能です。
相続した実家を売却できるよう確認しておきましょう。
親が亡くなった場合の家の売却方法
親が亡くなった場合、どのようにして家を売却すれば良いのでしょうか。おおまかな流れは以下の通りです。
亡くなった親の家を売る場合、いきなり売却できるわけではありません。売却の7ステップについて、それぞれ詳しく確認していきましょう。
①遺言書や遺産を確認
まず行うべきことは、亡くなった親の遺言書や遺産を確認することです。それから家を相続することになります。遺言書がある場合は、その遺言書に従って遺産を相続することになります。
それと同時に、故人が産まれてから死ぬまでに築き上げた財産の確認も行います。遺言書や遺産の確認を行わなければ次に進めないため、家の売却を考えている場合は速やかに確認するようにしましょう。
②遺産分割の協議を行う
亡くなった親の遺産の確認が取れたら、誰がどの遺産を相続するのか協議して決めます。
遺言書がある場合には、その内容に従って遺産分割をすれば問題ありません。ただし、遺言書がない場合や亡くなった親の遺言に不満がある場合には、相続人全員の話し合いで遺産分割しましょう。
ここで亡くなった親の家を相続した場合にのみ、その家を売却することができます。
相続した家を売却したいのであれば、次のステップへと進みましょう。
③相続登記での名義人変更
親が亡くなって別の人が家を所有していたとしても、所有者名義は親のままです。そうなると家を売却できないため、名義変更を行わなればいけません。
名義変更をするためには法務局へ以下の書類を提出する必要があります。
- 亡くなった親の戸籍謄本
- 相続した人の戸籍謄本と印鑑証明書
- 遺産相続人全員の住民票
- 遺産分割協議書
これらの書類は自分でそろえることもできますが、司法書士などにお願いして用意してもらうこともできます。
④売買契約書や土地境界線の確認
相続登記を行って名義人を変更できたら、売却する家を買ったときの売買契約書や請負確認書などを確認しましょう。これらの書類は家の売却価格を決めるときの資料となります。
売買契約書などの確認と合わせて、土地境界線も確認しておきましょう。土地境界線は隣の家との境界線をはっきりさせるために確認します。一戸建て住宅を売る際には必要なので、もしも土地境界線が未確定ならば、測量してもらわなければいけません。
⑤売却相場の確認
さて土地境界線が確定していよいよ売却できる状態になったら、家の売却相場を確認しましょう。
売却価格は家の所有者が自由に決められますが、あまりにも高すぎると売れ残ってしまうこともあります。
反対に、相場より安い売却価格だと知らずに家を売ってから相場を知って後悔するかもしれません。そのため、似ている物件の売却相場を調べておくと価格を決めやすいです。しっかりリサーチして悔いのない売却にしましょう。
⑥売却査定を行う
家の売却相場を把握したら、売却査定を行います。不動産を売却するときには必ず複数の不動産会社に査定してもらいましょう。
売却価格は不動産会社によって異なります。そのため1社のみに査定してもらうと、別の不動産会社ならもっと高く売却できた、なんて失敗をしてしまうかもしれません。
査定は基本的に無料なので複数の不動産会社に査定してもらい、あなたがいいなと思った不動産会社を選んでください。
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⑦仲介売却の契約
複数の不動産会社に査定してもらったら、どの不動産会社に売却を仲介してもらうのか決めます。そして、死亡した親の家の売却を仲介してもらうために媒介契約を結びます。どのような条件で家を売却するのかや、売却したときの報酬はどうするのかなどをこの媒介契約で明確にしておきます。
契約すると不動産会社が買い手を探したり、売買契約を交わしたりと、不動産会社が中心となって家の売却を進めてくれるのです。
関連記事:
媒介契約の選び方とは?3つの媒介の違いは?知っておきたい不動産売却のコツをご紹介
死亡した親の家を売却するのにかかる税金
死亡した親の家を売却する場合、相続税・登録免許税・印紙税・譲渡所得税の4つの税金がかかります。
印紙税や譲渡所得税は、死亡した親の家を売却したり、売却によって利益が出た場合に支払う税金です。
いずれも知らなかったでは済まされないので、しっかりと把握しておきましょう。
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相続税
家に限らず一定額以上の遺産を相続した場合、相続税が課せられます。相続税の税率は以下の表のとおりです。
法定相続分に応ずる取得金額 |
税率 |
控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
ー |
3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
5,000万円以下 |
20% |
200万 |
1億円以下 |
30% |
700万円 |
2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
6億円以下 |
50% |
4,200万円 |
6億円超 |
55% |
7,200万円 |
引用︰
国税庁 相続税の税率
ただし、3,000万円+600万円×法定相続人の数が基本控除額となるので、その額におさまれば税金はかかりません。
登録免許税
登録免許税は死亡した親の家を相続するだけではなく、名義変更のために相続登記を行うと課せられる税金です。登録免許税の額は固定資産税評価額×0.4%で算出できます。
相続登記の手続きは、自分で行うことが可能です。しかし、複雑な手続きになるため、ほとんどの人が司法書士に依頼します。司法書士にお願いすると5〜20万円ほどの手数料を支払う必要があるので、依頼するかどうかは相続人で話し合って決めましょう。
印紙税
印紙税は、死亡した親の家を売却したときに発生する税金です。不動産の買い手と売買契約を結ぶとき必要な添付書類に、印紙を貼ることで納税します。印紙税は家の売却価格によって変動し、その金額は以下の表のとおりです。
契約金額 |
本則税率 |
軽減税率 |
10万円超え50万円以下のもの |
400円 |
200円 |
50万円超え100万円以下のもの |
1,000円 |
500円 |
100万円超え500万円以下のもの |
2,000円 |
1,000円 |
500万円超え1,000万円以下のもの |
1万円 |
5,000円 |
1,000万円超え5,000万円以下のもの |
2万円 |
1万円 |
5,000万円超え1億円以下のもの |
6万円 |
3万円 |
1億円超え5億円以下のもの |
10万円 |
6万円 |
5億円超え10億円以下のもの |
20万円 |
16万円 |
10億円超え50億円以下のもの |
40万円 |
32万円 |
50億円超えるもの |
60万円 |
48万円 |
譲渡所得税
譲渡所得税は、死亡した親の家を売却し利益が出た場合に課せられる税金です。売却したときに得た利益が所得とみなされ、課税することになります。
譲渡所得税は、死亡した親の家を所有していた期間によって計算方法が異なるのです。所有期間が5年を超えるかどうかで分けられます。5年以下なら短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得と区別されるのです。短期譲渡所得税は課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)、課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)で算出します。
引用︰
国税庁 短期譲渡所得の税額の計算、国税庁 長期譲渡所得の税額の計算
亡くなった親の家を売却する際の節税方法
亡くなった親の家を売却する際に利用できる制度を4つ紹介します。条件に当てはまれば節税ができるかもしれません。
- 所得税や住民税を節税する
- 取得費加算の特例を利用する
- 相続空き家の3,000万円特別控除を利用する
- 低未利用土地等の100万円特別控除を利用する
特に1つめは、親の家を売却時のみならず普段から利用できる制度なので、参考にしてください。
所得税や住民税を節税する
死亡した親の家を売却した時に限らず、所得税や住民税を節税する方法はいくつかあります。
たとえば、ふるさと納税を利用すれば自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。所得税の計算をするときに寄付金額を所得額から控除できるため、支払わなければならない所得税額が低くなります。
ほかにも、iDeCoを利用して節税することも可能です。iDeCoは私的年金の制度で、その掛け金が所得控除の対象となるため、所得税額が少なくなります。
取得費加算の特例を利用する
取得費加算の特例を利用すると、譲渡所得税を節税することができます。
取得費加算の特例を利用したときの譲渡所得は、譲渡価額-取得費-取得費に加算する相続税額-譲渡費用で算出できます。つまり、取得費に加算する相続税額の分だけ譲渡所得が少なくなるため、支払う税金も少なくなります。
取得費加算の特例を受けるためには、以下の条件を満たさなければなりません。
- 相続や遺贈により財産を取得した者
- その財産を取得した人に相続税が課税されている
- その財産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡している
相続空き家の3,000万円特別控除を利用する
相続空き家の3,000万円特別控除も、譲渡所得税を節税するための控除です。
相続によって取得した家や土地などを、一定の条件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。ただし、死亡した親の家を平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売った場合にのみ適用されるので、気をつけましょう。
売却した時期以外にもいくつかの条件を満たす必要があるため、当てはまるかどうか確認してください。
引用︰
国税庁 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
低未利用土地等の100万円特別控除を利用する
都市計画区域内にある低未利用土地等を500万円以下で売った場合、売却した年の低未利用土地等の譲渡に係る譲渡所得の金額から100万円を控除することができます。ただし譲渡所得が100万円に満たないときは、譲渡所得の金額が控除額となります。
引用︰
国税庁 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
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相続した家は登記せずに売却できる?
相続した家は相続登記しなければ売却することができません。相続登記とは、家の所有者を死亡した親から相続した人に名義変更することです。
もし相続登記をしなかった場合、亡くなった親の家は相続人達の共有財産とみなされます。家を売却できないだけではなく、他の相続人があなたの持ち分を勝手に登記して売却したり、管理が複雑になったりする可能性があるのです。
家を相続した場合は相続登記を忘れずに行いましょう。
亡くなった親の家は売却できる
亡くなったした親の家は、相続登記をすることで売却できるようになります。家を売却できない他にもさまざまなデメリットがあるため、家を相続したら必ず相続登記をしておきましょう。
親の大切な家をどのように活用するかは、あなた次第です。家を売却するつもりならば、事前準備が大切です。納得のいく売却を行うために相場や課税される税金をあらかじめリサーチして、損をしないようにしましょう。
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