マンションを売却するとき、支払った管理費や滞納した管理費はどうなるのでしょうか。
マンションの管理費は、修繕積立金とはまた別の費用です。また、管理費の支払いはマンション売却にも影響するものでもあります。
ここでは、マンション売却時の管理費はどうなるのか、清算方法や管理会社への連絡のタイミングをあわせて解説していきます。
管理費は何に使われる?
マンションを購入すると「管理費」「修繕積立金」を支払う必要があります。管理費と修繕積立金はそれぞれ別の用途の費用です。
はじめに、管理費と修繕積立金がどのようなことにつかわれる費用なのか確認していきましょう。
管理費はマンションの日常管理に使われる
管理費はマンションの日常管理に使われる費用のことです。具体的な用途としては次のようなものが挙げられます。
- 管理人の人件費
- 清掃・植栽の手入れ
- 電気・エレベーターなどの付帯設備
- 設備の点検費用
- 管理組合の運営費
マンションでの生活では、共用部の清潔が保たれているのは重要です。また、エレベーターは毎日使うものです。
電気系統などの設備に不具合があると快適な暮らしとはいえなくなってしまいます。つまり、管理費はマンションで快適な毎日を送るための費用ともいえるのです。
修繕積立金との違い
修繕積立金とは建物の定期的なメンテナンスを行うための費用です。具体的には次のような場面で使われます。
- 外壁や屋上などの塗り替え防水の修繕
- 配管設備の維持管理
- 通信設備の修繕
- 防災用設備の修繕
- 自然災害時の修繕
建物の外壁や配管などは時間の経過とともに古くなったり、劣化していくものです。また、防災用設備が整っていなければいざという時に困ります。
もしも地震や洪水などの自然災害で被害を受けてしまったとき、修繕できなければ快適に暮らすことはできません。
修繕積立金は主に建物の状態を保つためのメンテナンスや修繕のための費用です。毎日というよりは、長期にわたって必要になる費用ともいえます。
売却後の管理費は精算できる?
売却後の管理費はどのように精算するのでしょうか。どのタイミングで管理費の負担が売主から買主に移るのか、一般的な清算方法と合わせて解説していきます。
決済までは売主負担が原則
マンションの管理費は決済までは売主が負担します。売りに出していたとしても、既に住んでいなくても、マンションを所有している限り管理費を負担するのは売主です。
一方、決済日以降の管理費は買主の負担になります。マンションの売却が決まったとしても、決済日までは売主が負担するというところには注意しておきましょう。
また、管理費はマンション売却後に返還されることはありません。管理費は快適な日常生活を送るための費用と考えると、返還されないのは仕方がないこととも考えられるでしょう。
管理費は前払いであることが多く、翌月分の管理費を今月中に支払うシステムです。この場合、例えば決済日が1月10日であっても売主はすでに2月分の管理費を支払っていることになります。実際に1月11日からの管理費を負担しなければならないのは買主であるため、不公平がないように1ヶ月分の管理費は日割り計算する対策がとられています。
しかし実際は、売主が1ヶ月分負担するのが一般的です。1ヶ月に支払う金額は少なく日割り計算の方が面倒であり、売買契約を結んでくれた買主へのお礼の意味もあります。 >>プロフィールはこちら
管理費が滞納している場合の注意点
マンション売却時に管理費を滞納しているとどうなるのでしょうか。この場合、次の点に注意が必要です。
- 滞納分は買主に請求される
- 物件のイメージが下がり売却しにくくなる
- 査定額が下がる
- 管理費支払いの督促が来る
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
滞納分は買主に請求される
マンションを売却すると、法律上では滞納した管理費の債務も買主が引き継ぐことになります。つまり買主は、滞納分の管理費も支払うことになります。
しかし、管理費を滞納した状態を隠して売却するのは絶対にやめましょう。最悪の場合、売買契約の解除や賠償問題に発展する可能性があります。
また、買主が引き継いだ滞納分は支払い後に売主に請求できますが、何より買主に迷惑がかかります。滞納がないのが最も理想的ですが、滞納がある場合には正直に告知しましょう。
物件のイメージが下がり売却しにくくなる
買主にとって滞納がある事実は良い印象にはなりません。物件のイメージが下がるため売却しにくくなります。
宅地建物取引業法により、不動産会社には管理費の滞納を買主に告知する義務があります。売主が不動産会社に事実を隠すのはもちろん、買主に対して不動産会社が事実を隠すこともできません。
買主は滞納分の管理費も引き継ぐことになるため、物件によほどの魅力がない限り積極的に購入しようとはならないでしょう。そのため、滞納があると物件のイメージが下がり買主がつきにくくなるのです。
査定額が下がる
管理費の滞納があると、物件の査定額は通常の売却額より下がります。
物件は売り出す前に滞納した管理費の支払いを済ませる必要があります。そのため売り出し価格から滞納分を差し引いて精算するのが一般的です。
例えば1,000万円で売却可能なはずの物件で25万円の滞納があれば、1,000万-25万となり、売り出し価格は975万円になってしまいます。
マンションを売却するなら、より高く売れて欲しいものです。しかしそのためには管理費の滞納などにも注意しておく必要があります。
管理費支払いの督促が来る
管理費の支払いができていないと管理組合から電話や手紙による督促が来ます。これを放っておいて滞納が続くと督促が厳しくなり、督促状や催告書が届くようになります。
管理費の支払いができないからといって、これらの督促を無視することはできません。督促を無視すると、管理組合から裁判を起こされ裁判所から支払い命令を受けるケースがあります。
管理費の支払いが不安であれば、早めに支払い状況の角煮をしておきましょう。 >>プロフィールはこちら
売却時に管理会社へはいつ連絡をする?
マンション売却ではたくさんの書類や手続きがあり、大きなお金が動きます。なかでも適切なタイミングで必要な連絡をしておくことは重要です。
では、管理会社へはいつ連絡すればよいのでしょうか。分譲マンションの場合、管理会社だけでなく管理組合へも連絡を入れる必要があります。
管理会社・管理組合への連絡のタイミングと、連絡を入れなければならない理由を解説していきます。
売却が決まったら管理会社へ連絡しよう
マンションの売却が決まったら、必ず管理会社へ連絡しましょう。連絡が届いていないとまだ所有権があるものとされ、引き渡し後も管理費を請求されてしまいます。
また分譲マンションの場合、所有者はマンションの管理組合にも加入しています。マンションを売却したら管理組合の加入者の資格も一緒に手放さなければなりません。
売却の際には組合員の「資格喪失届」を管理組合から取り寄せ、手続きを行います。組合員資格喪失届は管理組合の理事長あての書類ですが、決済時に管理会社を通して提出するのが一般的です。
マンション売却後も管理費の請求が続かないよう、管理会社への連絡は忘れずに行いましょう。
管理費は引渡までに支払いトラブルの起きないようにしよう
マンションの管理費は快適な日常を送るための費用です。毎日使うエレベーターや共用部の電気代などは管理費からまかなわれています。
管理費の滞納は売却しにくくなるだけでなく、売却後のトラブルに発展するおそれもあります。管理費などの支払いは必ず引き渡しまでに済ませておきましょう。
管理費の滞納がないか不安な場合は、管理会社へ早めに確認しておくと安心です。売却が決まったら管理会社や管理組合への連絡・届出も忘れずに行いましょう。
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