不動産の売却について調べているとき、専任媒介契約という言葉を聞いたことはありませんか?どんな契約なのかよくわからず、戸惑う方も多いでしょう。
この記事では、専任媒介契約のメリットやデメリットを紹介します。
他の媒介契約との違いや、どんな人におすすめなのかも合わせて説明しますので、媒介契約を選ぶ際にお役立てください。
専任媒介契約とは?
専任媒介契約とは、依頼主(売主・貸主)が仲介業務を1社にのみ依頼できる媒介契約です。契約期間は3か月と定められています。
不動産会社は、契約期間内に物件を売買できるよう、営業活動をしていきます。その際、2週間に1回以上のペースで、活動状況を依頼主へ報告しなくてはいけません。
専任媒介契約では、複数の不動産会社と同時に媒介契約する行為が禁止されています。しかし、依頼主が自分で取引相手を見つけて売買する「自己発見取引」は可能です。
また不動産会社は、契約を結んでから7日以内に「レインズ」という不動産流通情報システムへ、物件登録しなくてはいけないと義務づけられています。
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専属専任媒介契約とは?
専属専任媒介契約は、もっとも条件の厳しい媒介契約です。専属専任媒介契約でも、依頼主(売主・貸主)が仲介業務を頼めるのは1社のみ。契約期間の上限は3か月です。
しかし、専属専任媒介契約では、自己発見取引も禁止されています。もし、依頼主が自分で取引相手を見つけたとしても、不動産会社を通して取引しなくてはいけないのです。
また不動産会社は、媒介契約を結んでから5日以内にレインズへ物件登録し、1週間に1回以上のペースで営業活動の報告を行います。専属専任媒介契約は、依頼主・不動産会社のどちらにとっても、制約が厳しくなるといえるでしょう。
一般媒介契約とは?
一般媒介契約は、先述した2つと違い、複数の不動産会社へ仲介業務を依頼できるほか、自己発見取引も認められています。
一般媒介契約では、契約期間に上限がありません。しかし実際のところは、国土交通省の推奨により、3か月間と決めている不動産会社が多いです。
また、レインズへの登録は任意となっているほか、依頼主への営業活動の報告が、義務づけられていません。一般媒介契約は、3つの中でもっとも制約の少ない媒介契約といえるでしょう。
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専任媒介契約と他を比較した際のメリット8選
ここからは、専任媒介契約と他を比較した際のメリットについて紹介します。
- 窓口を1本化できて楽
- 不動産会社の営業活動が積極的
- 営業状況の報告をこまめに受けられる
- 各社独自の特典を受けられることがある
- 売りにくい物件でも売却できる可能性が上がる
- 買主が早く見つかりやすい
- 自分でも買い手を探せる
- 他の媒介契約と比べて条件のバランスが良い
代表的なメリットは上記8つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 窓口を一本化できて楽
複数社と同時に媒介契約した場合、営業担当者とメールや電話で連絡を取りあう回数が増えてしまいます。仕事や家事などで忙しくしている人にとって、やりとりが増えてしまうのは大変でしょう。
しかし、専任媒介契約を選べば、仲介業務を依頼するのは1社だけとなります。そのため1回契約を結ぶと、3か月間は1社とだけやりとりすればよくなるのです。
窓口が1つになることで、営業担当者と連絡を取りあう時間や手間を省けるので、楽に感じられるでしょう。
② 不動産会社の営業活動が積極的
専任媒介契約は、不動産会社の売却活動が、一般媒介契約に比べて積極的になります。
専任媒介契約を結んでいる期間中、依頼主は、複数社と並行して媒介契約できません。つまり不動産会社からすると、専任媒介契約を結んだ物件の売却に成功すれば、仲介手数料として、必ず自社へ報酬が入ってくる状態となるのです。
専任媒介契約は、不動産会社の利益につながりやすいといえます。積極的な営業活動を行ってほしい場合は、専任媒介契約を選ぶとよいでしょう。
③ 営業状況の報告をこまめに受けられる
専任媒介契約では、依頼主へ営業状況を報告するよう、義務づけられています。不動産会社は、2週間に1回以上のペースで報告を入れなくてはいけません。
- 物件の宣伝物を作成したか
- レインズに情報を登録したか
- 見込み客から問い合わせが入っているか
このような報告が、メールや文書などで依頼主へ連絡されます。「無事に売却できそうか?」「問い合わせもなく厳しい状況か?」などをこまめに把握できるので、安心感が得られるでしょう。
④ 各社独自の特典を受けられることがある
不動産会社は、専任媒介契約を結べると、他社と競争せずに仲介手数料を得られる可能性が高くなります。つまり、不動産会社にとっては、報酬を得やすい状況をつくれるのです。
そのため、不動産会社はなるべく専任媒介契約を選んでもらえるよう、各社独自の特典を用意しているケースがあります。たとえば、次のようなサービスです。
専任媒介契約の物件が売買できた場合、
・物件の補修費用を最大〇万円まで負担する
・物件を引き渡す前にハウスクリーニングする
独自サービスの内容は、ホームページなどで確認できます。どんなものが用意されているか見てみましょう。
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⑤ 売りにくい物件でも売却できる可能性が上がる
専任媒介契約を結ぶと、売りにくい条件の物件でも、売却できる可能性が高くなります。不動産会社としては、専任媒介契約の期間中に買い手を見つけたほうがよいため、売却活動が積極的になるからです。
- 築年数が古い
- 旗竿地に建っている
- 駅から遠く、交通の便が悪い
- 郊外で人気エリアから外れている
- 付近に商業施設がなく、周辺環境が不便
このように、一般的に売りにくい条件の物件を売りたい場合は、専任媒介契約を選ぶとよいでしょう。
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⑥ 買主が早く見つかりやすい
専任媒介契約は、不動産会社から積極的に売り出してもらえるため、買主が早く見つかりやすくなります。物件を早く手放したい人にとっては、メリットが大きいといえるでしょう。
また、専任媒介契約を結んだ不動産会社は、契約してから7日以内に、レインズへ物件登録しなくてはいけません。
レインズへ登録された情報は、全国の不動産会社へ共有されます。そのため、問い合わせや内覧の予約が入る機会を増やせるでしょう。
⑦ 自分でも買い手を探せる
専任媒介契約の期間中に、他社と媒介契約を結ぶことはできませんが、自己発見取引は認められています。依頼主は、自分で買い手を見つけて、物件の売買ができるのです。
このことから、専任媒介契約を選ぶことで、「不動産会社に仲介業務を頼んで売却する方法」と、「自分で買い手を見つけて売却する方法」の両方のメリットを受けられるといえるでしょう。
また、物件を直接売買する場合は、不動産会社へ仲介手数料を支払う必要がありません。仲介手数料を節約できるかもしれない点も、嬉しいポイントです。
⑧ 他の媒介契約と比べて条件のバランスが良い
①~⑦までを踏まえると、専任媒介契約は他の2つと比べて、条件のバランスが良いといえます。
専任媒介契約 |
専属専任媒介契約 |
一般媒介契約 |
|
複数社への仲介依頼 |
NG |
NG |
OK |
不動産会社からの営業活動報告 |
2週間に1回以上 |
1週間に1回以上 |
報告義務なし |
レインズへの登録 |
契約から7日以内 |
契約から5日以内 |
登録義務なし |
自己発見取引 |
OK |
NG (取引相手を自分で見つけた場合も、仲介業者を通して売買する) |
OK |
契約期間の有無 |
3か月 |
3か月 |
規定なし (3か月にしている業者が多い) |
専属専任媒介契約は、依頼主への条件が厳しいとわかります。また、不動産会社からの活動報告が多くなるため、やりとりを増やしたくない人にとっては不便でしょう。
一般媒介契約では、レインズへの登録や、営業状況の報告義務がなくなります。そのため、不動産会社の売却活動が、消極的になる可能性があるでしょう。
専任媒介契約は、この2つの間をとったような契約内容といえるのです。
専任媒介契約の5つのデメリット
ここでは、専任媒介契約のデメリットを5つ紹介します。
- 囲い込みをされる危険性がある
- 売却できるかが営業担当者の腕前に左右されやすい
- 信頼できる不動産会社か見極める必要がある
- キャンセル料がかかるケースもある
- 不動産を売却したいことが周囲へバレるかもしれない
媒介契約の種類を選ぶときは、デメリットをきちんと把握しておくことが大切です。専任媒介契約のデメリットを理解し、対策できるようにしておきましょう。
① 囲い込みをされる危険性がある
「囲い込み」とは、自社が媒介契約した物件を、他社から紹介された購入希望者へ売らないように調整する行為のことです。たとえば、「レインズへ情報を登録しない」「他社から内覧依頼が入ったときに『売却相手が決まっている』と嘘をついて断る」などの行為が挙げられます。
囲い込みが行われる理由は、不動産会社が売主と買主をどちらも自社で見つけられれば、双方から仲介手数料を受け取れるようになるためです。つまり囲い込みに成功すると、不動産会社の報酬が2倍になるのです。
囲い込みをされると、本来行われるはずだった商談が流れてしまいます。売却が遅くなれば、不当な値下げをしなくてはいけない恐れも出てくるでしょう。
媒介契約をしたら、囲い込みを予防するために、「レインズへ登録したか」「広告媒体へ掲載したか」などを確認しましょう。
② 売却できるかが営業担当者の腕前に左右されやすい
専任媒介契約を結ぶと、契約期間中は、1社にのみ仲介業務を依頼する状況となります。そのため、物件をスムーズに売却できるかどうかが、営業担当者の腕前に左右されやすくなってしまうのです。
実力のある担当者ならば、スムーズに売却できる可能性が高いでしょう。しかし、実力のない担当者に当たってしまうと、希望通りの金額で売却できなかったり、売却までに時間がかかったりする恐れもあります。
専任媒介契約を結んでしまう前に、営業担当者の実績を確認させてもらいましょう。
③ 信頼できる不動産会社か見極める必要がある
専任媒介契約をするときは、信頼できる不動産会社かどうか、しっかり見極める必要があります。数ある不動産会社のなかには、悪質な会社も混ざっているからです。
- 囲い込みをしないか
- おとり広告を出していないか
- 顧客への対応は迅速で丁寧か
- 宅地建物取引業の免許をきちんと取得しているか
不動産会社を選ぶ際は、このような項目に注意しましょう。また、どんな営業活動をしてくれるのか合わせて確認すると、安心できるでしょう。
④ キャンセル料がかかるケースもある
契約期間中に依頼主の都合でキャンセルをすると、キャンセル料がかかってしまいます。
キャンセル料の内容は、不動産会社が物件の営業活動をするためにかかった広告宣伝費・交通費・通信費などです。やむを得ない場合を除き、契約期間中にキャンセルするのは、避けたほうがよいでしょう。
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⑤ 不動産を売却したいことが周囲へバレるかもしれない
専任媒介契約を結ぶと、不動産を売却したいことが、周囲へバレてしまう可能性があります。レインズへ登録することで、物件情報が全国の不動産会社へ共有されるからです。
「不動産業界で働いている知り合いにバレる」「物件を探している知り合いに、不動産会社経由でバレる」などのケースが考えられます。
レインズに物件登録したくない場合は、一般媒介契約を選ぶとよいでしょう。しかし、レインズに登録しておくと、買主が早く見つかる可能性もあります。どちらのほうが良いか、きちんと検討しましょう。
専任媒介契約はこんな人におすすめ!
ここでは、専任媒介契約におすすめな人の特徴を3つ紹介します。
- 早く買主を見つけたい人
- やりとりする窓口を1つにしたい人
- 自分で買い手を見つける可能性がある人
専任媒介契約は、他の媒介契約と比べて条件のバランスが良く、とても便利です。当てはまる項目のある方は、前向きに検討してみるとよいでしょう。
① 早く買主を見つけたい人
専任媒介契約は、早く買主を見つけたい人におすすめといえます。専任媒介契約を結ぶと、不動産会社から優先的に営業活動してもらえる確率が高くなるからです。
物件を広告媒体へ積極的に掲載するなど、多くの購入検討者にアピールしてもらえるでしょう。その結果、立地条件が悪かったり、築年数が経っていたりして売りにくい物件も、売却しやすくなります。
しかし、媒介契約後に囲い込みをされてしまっては危険です。囲い込みを行わないでほしいと伝え、信頼できる不動産会社かどうか見極めましょう。
② やりとりする窓口を1つにしたい人
専任媒介契約では、複数の不動産会社と並行して媒介契約を結ぶ行為が禁止されています。そのため専任媒介契約を結ぶと、契約期間中は、やりとりする窓口が1社のみに絞られます。
仕事や家事、育児などをしながら、複数社とこまめに連絡を取り合うのは、予想以上に大変です。窓口が1社に限定されることで、依頼主にとっては負担軽減となるでしょう。
専任媒介契約は、連絡の負担を軽減しつつ、不動産会社に仲介業務を頼める、バランスのよい契約といえます。
③ 自分で買い手を見つける可能性がある人
専任媒介契約では、依頼主が自分で取引相手を見つける「自己発見取引」が認められています。サイトやチラシなどの広告媒体を使って、不動産会社に営業活動してもらいつつ、自分でも取引相手を探せるということです。
もし、自分で買い手を見つけて売買契約できれば、不動産会社への仲介手数料は、支払わなくてよくなります。
自分で買い手を見つけて不動産を売却するケースは、意外と多いものです。自己発見取引の可能性がある人は、専任媒介契約を選んでおくとよいでしょう。
専任媒介契約を結んで売却活動のスピードを上げよう
専任媒介契約は、依頼主が1社にのみ不動産の仲介業務を依頼できる媒介契約のことです。契約期間は3か月で、自己発見取引が認められています。
不動産会社に物件の営業活動をしてもらいながら、自分でも取引相手を探せるため、他の媒介契約と比べて、バランスが良い条件といえるでしょう。
専任媒介契約を結ぶと、契約期間中は、やりとりする窓口が1つになります。依頼主にとっては、売却活動の負担を軽減できて便利です。
契約を結ぶときは、営業実績や活動内容をあらかじめ確認したり、囲い込みをしないよう相談したりして、信頼できる不動産会社か見極めましょう。
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