老後の住まいとして、マンションと一戸建てどちらに住むのがよいのか、悩まれる方も多いのではないでしょうか?
また、一昔前までは「家を買い、一生同じ家に住み続ける」というのが主流でしたが、最近では持ち家を避け、身軽な賃貸住宅に住む方も増えているようです。
しかし、子どもが巣立ち、定年退職を迎える際、「このまま賃貸でよいのだろうか」「持ち家のほうが安心して暮らせるのでは?」と考えるかもしれません。
そこで今回は、老後はマンションと一戸建てどちらに住むのがよいのか?また、持ち家と賃貸、それぞれのメリットについて解説します。
老後の住まいは一戸建てよりもマンションが多い!
「平成30年度住宅市場動向調査報告書」(国土交通省)によると、高齢者のみの世帯が住んでいる住宅の内訳として、分譲マンションが約5割。一戸建て住宅は、2割弱という結果が出ています。このことから、老後の住まいとして選ばれているのは、一戸建てよりもマンションのほうが多いということがわかるでしょう。
しかし、マンションか一戸建てどちらが適しているのかは、人それぞれ老後の暮らしかたによって異なります。
大切なのは、それぞれのメリットを把握し、老後の暮らしを具体的にイメージすること。そのうえで、老後はどちらに住むのがベストなのかを判断しましょう。
老後にマンションがおすすめな3つの理由
「老後はマンション住まいがよい」と聞くことがありますが、どうしてなのでしょうか。ここでは、マンションに住むのが良い理由を3つご紹介します。
- セキュリティがしっかりしている
- 部屋に階段がないから生活がしやすい
- 建物の管理などを行う必要がない
それぞれの理由について、具体的に説明します。
①セキュリティがしっかりしている
多くのマンションでは、エントランスのドアをオートロックにし、防犯カメラも複数設置するなど、セキュリティ対策がしっかり施されています。
近年では、高齢者を狙った空き巣をはじめとする、侵入犯罪の被害が増加傾向に。
セキュリティ対策が施されているマンションであれば、犯罪に巻き込まれる可能性をぐっと減らし、老後も安心して生活を送れるでしょう。
②部屋に階段がないから生活がしやすい
マンションの場合、部屋に階段がない「ワンフロア」で設計されていることがほとんどです。
高齢になると、体力や筋力の低下にともない足腰が弱まり、階段や段差のある間取りだと、体に大きな負担がかかってしまいます。
また、高齢者による自宅内のケガの多くは、階段からの転倒や転落です。
そのような危険から身を守るためにも、部屋に階段がないマンションであれば、各部屋への移動が楽になり快適に暮らせるでしょう。
参考:発生場所・事故要因別に見た高齢者の「転倒・転落」による救急搬送者数(平成 28 年)
③建物の管理などを行う必要がない
同じ家に長く暮らすと、建物の外壁や屋根などが劣化し、定期的なメンテナンスが必要になるでしょう。
その際、一戸建ての場合だと自身でメンテナンス費用を捻出し、建物の管理を行う必要があります。
しかしマンションであれば、管理組合が建物や敷地内を適切に管理できます。自分で何もせずとも、良好な住環境を整えてくれるのも、マンションで暮らす魅力の一つです。
関連記事:
マンションに管理組合は必要?主な役割とトラブル防止の注意点
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一戸建てに住むと良い3つの理由
一戸建ては、建物の管理やメンテナンスを必要としますが、自由度の高さが魅力です。ここでは、一戸建てに住むのが良い理由を3つ紹介します。
- 庭があるとガーデニングなどの趣味が楽しめる
- 自由にバリアフリー対応のリノベーション・リフォームができる
- プライバシーを保ちやすい
それぞれの理由について、具体的に説明します。
①庭があるとガーデニングなどの趣味が楽しめる
老後は、仕事や子育てが終わり、やっと自分の時間が持てるようになります。しかし、時間を有効に使わないと時間を持て余してしまい、ぼんやりとした老後生活を送ってしまうかもしれません。
家に庭がある一戸建てであれば、自分の時間をガーデニングなどの趣味に費やし、いきいきと楽しく老後の時間を過ごせます。
また、草取りを始めとする庭のお手入れ作業が適度な運動となり、心と体を健康に保てるでしょう。
②自由にバリアフリー対応のリノベーション・リフォームができる
一戸建ての住宅の魅力は、年齢や体の状態に合わせて、自由にバリアフリー対応のリノベーションやリフォームができることです。
年齢を重ねると、大きな障害がなくても、誰でも体の衰えは進行します。それに伴い、部屋の中に段差を無くしたり、スロープを付けたりとバリアフリー対応にすることで、老後も住み慣れた家で安心して暮らせるでしょう。
③プライバシーを保ちやすい
隣接する住宅との距離にもよりますが、マンションに暮らすよりは一戸建てのほうが建物の独立性が高く、プライバシーが保ちやすいのがメリットです。
マンションの場合、廊下やエレベーターなどの共有部分で住人とすれ違うことが多くあります。その際、「住人にあいさつしたのに無視された」といったストレスを感じることがあるかもしれません。
しかし一戸建てであれば、マンションとは違い共有部分がないため、他人との関わりを気にしなくてよい生活を送れるのも魅力の一つです。
マンションの管理費や修繕費が払えなくなった場合はどうする?
管理費が払えなくなった場合、基本的には管理組合から電話やメールで督促が来ます。その後も、滞納を続けてしまうと強制退去を迫られたり、家が競売にかけられたりします。
「管理費が払えない」状態になってしまった場合は、持ち家であれば競売にかけられる前に早めに任意売却を。賃貸であれば強制退去させられる前に、新しい引っ越し先を速やかに探す必要があります。
そもそも、「管理費が払えない」という事態にならないために、管理費を含めた金額を算出したうえで、マンションに住むか否かを決めることが大切です。
関連記事:
マンションの管理費の相場は?修繕積立金との違いは?支出を抑えるコツも伝授!
毎月払う管理費って一体なに?共益費と修繕積立金との違いとは?
持ち家で暮らす場合の4つの良い点
老後に持ち家で暮らす場合、以下4つのメリットが挙げられます。
- リフォームできる
- 資産が残せる
- 担保にしてお金が借りられる
- 住宅ローン完済後の出費を抑えられる
それぞれについて、詳しく説明します。
①リフォームできる
持ち家の場合、マンション・一戸建てに関わらず購入者のものになるため、自分好みにリフォーム・リノベーションできます。
マンションだと、共有部分や建物の都合上、自由度に制限が生じてしまいますが、規制にのっとった上でのリフォームは可能です。
例えば、年齢や身体状況に合わせてバリアフリー対応にしてみたり、壁紙や床素材を変えて部屋の雰囲気を変えたりもできるでしょう。
このように、ライフスタイルの変化に合わせた部屋づくりができるのが、持ち家のメリットです。
②資産が残せる
持ち家の最大のメリットは、「購入した家が将来の資産になる」ということです。
持ち家はローンを完済した後、売却し大きなお金を得ることができます。また、賃貸物件として第三者に貸し出せば、年金以外にも毎月安定した収入を得ることもできるでしょう。
「ただ暮らすだけの家」だけでなく、大きな資産価値にもなり得るのが大きなメリットです。
③担保にしてお金が借りられる
家を担保にしてお金を借りられるのも、持ち家のメリットとして挙げられます。とくに最近注目を集めているのが「リバースモーゲージ」です。
リバースモーゲージとは、自宅を担保にして、そこに住み続けながら生活費や一時的に必要になったお金を借りられるシステム。
その後、契約者が亡くなった後や、あらかじめ設定した契約期間満了時に、担保となっている自宅を売却し、借入金を返済できます。
老後は、年金だけでお金をやり繰りするのに不安がある方でも、家を担保にし生活資金の融資を毎月受けることで、お金の不安がいくらか解消されるでしょう。
④住宅ローン完済後の出費を抑えられる
一般的に、老後の収入の大きな柱になるのが年金です。受け取る年金額は人それぞれ異なりますが、一般的に現役で働いていた時よりも減ることがほとんどでしょう。
その際、毎月の固定費である「住宅費」は、大きな負担に感じるかもしれません。
しかし、定年までに住宅ローンを払い終えていれば、住宅費がかからなくなります。住宅ローン完済後であれば、毎月の出費を大きく抑えられるのが、持ち家のメリットです。
賃貸で暮らす3つの良い点
賃貸で暮らした場合には、以下3つのメリットが挙げられます。
- 家賃以外のコストがかからない
- 引っ越ししたい時にすぐ住み替えすることができる
- 住宅ローンの負担がない
それぞれについて、詳しく説明します。
①家賃以外のコストがかからない
賃貸で暮らすメリットの一つに、家賃以外のコストがかからないというのが挙げられます。
建物に不備が起きたときや、経年劣化により設備が故障した場合、賃貸であればオーナー(大家さん)がメンテナンスを行うのが一般的です。
当然、居住者が故意に故障させた場合には、支払う義務は生じてしまいますが、それ以外を除けば基本的に居住者の負担はありません。
②引っ越ししたい時にすぐ住み替えすることができる
賃貸は、ライフスタイルの変化や身体状況に応じて、引っ越ししたい時に、すぐ住み替えられるのが最大の魅力です。
例えば、定年後の収入減により固定費を下げたい時、安い家賃の物件へ気軽に住み替えることができます。
持ち家では、どうしても引っ越しが必要になった場合でも、ローン返済の兼ね合いや物件の売却手続きが必要になるため、賃貸のように「すぐに」住み替えることはできません。
③住宅ローンの負担がない
賃貸は毎月の家賃は発生しますが、住宅ローンの負担はありません。
近年、住宅ローンは低金利の傾向にはありますが、返済中に金利が高くなる可能性も十分あり得ます。
住宅ローンを払い続けているうちは、少なからず返済へのプレッシャーはあるもの。
しかし賃貸であれば、収入減に合わせて家賃の安い物件に住み替えれば解決できます。精神的な負担も軽減させられるでしょう。
持ち家と賃貸どちらがいい?将来設計から逆算して検討しよう
マンション・一戸建てに関わらず、家を購入する場合は大きな金額が動きます。
購入後に「こんなはずじゃなかった…」とならないためにも、将来設計から逆算し「持ち家にするか?」「賃貸にするべきか?」検討することが大切です。
ここでは、以下4つのパターンについて解説します。
- 老後資金に不安があるなら
- 介護の必要性を想定するなら
- 生活圏を固定したいなら
- 転居しやすい状況が良いなら
老後資金に不安があるなら「持ち家」
老後資金に不安があるなら、「持ち家」が良いかもしれません。定年までに住宅ローンを完済していれば、毎月の固定費を抑え、老後資金の不安を解消できます。
マンションだと、住宅ローンが完済しても管理費や修繕費は毎月支払いますが、賃貸にかかる毎月の家賃に比べれば、そこまで大きな金額ではありません。
また、先程も述べたように持ち家であれば、家を担保にお金を借りたり、第三者に家を貸して不労所得を得たりすることもできるでしょう。
介護の必要性を想定するなら「賃貸」
将来、介護の必要性を想定しているなら「賃貸」に暮らし、いつでも住み替えができる「身軽な状態」にしておくといいかもしれません。
持ち家の場合、施設に入るときには家を手放すか、身内か第三者に維持管理を依頼しなくてはなりません。
高齢になったときに、「持ち家をどうするべきか?」を決めるのは、ご自身に大きなストレスや混乱を招くことも考えられます。
生活圏を固定したいなら「持ち家」
生活圏を固定したいなら「持ち家」を選択したほうが、賃貸よりも安心して生活を送れるでしょう。
賃貸だと、どんなに暮らしやすい住環境であっても、建物の老朽化などを理由に、退去を迫られるケースがあります。
高齢になってからの望んでいない住み替えは、心身ともに疲弊しやすく不安もつきまとうでしょう。
老後は、住み慣れた街で長く暮らし続けたいと考えているなら、持ち家のほうが安心感があるといえます。
転居しやすい状況が良いなら「賃貸」
ライフスタイルの変化に合わせて住み替えをしたい場合は、転居しやすい「賃貸」が良いでしょう。
先程も述べたように、持ち家だとローン返済の負担、住宅の売却の手続きなどで、気軽に転居をすることは難しいといえます。
家族構成の変化により転居する予定がある場合や、老後は介護施設に入り生活を送りたいと考えているなら、持ち家に比べ身軽に転居できる「賃貸」を選択するのが妥当かもしれません。
どんな老後を送りたいかイメージすることが大切
一般的に、老後の住まいには一戸建てよりも、マンションを選ぶ人が多い傾向にあります。理由としては、セキュリティ対策や家のメンテナンスを自身で行う必要がないからというのが挙げられるでしょう。
また、家を購入するべきか?賃貸に住み続けるべきか?についても今のうちから考えておく必要があります。しかしながら、ライフスタイルやコスト面の負担を考慮すると、一概にどちらがおすすめとは言い切れません。
大切なのはそれぞれの特徴を把握し、老後の暮らしを具体的にイメージすること。そのうえで、検討・比較するのがよいでしょう。
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